佐渡島の山旅日記(前編) No.402-1 ドンデン高原と大佐渡石名天然杉 令和2年(2020年)9月17日〜18日 |
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広大なシバ草原に感動! 第2日目(9/18・雨)=ドンデン山荘…島内一周観光(「大佐渡石名天然杉」の遊歩道散策や「宿根木集落」の見物など)…相川「大佐渡温泉」 【歩行時間:約90分】 第3日目(9/19・晴れ)=相川…白雲台〜金北山1172m〜白雲台…トキの森公園を見学…両津港 【歩行時間: 3時間10分】 ※島内の移動はレンタカーにて → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(尻立山)へ ●第1日目(9/17曇): 両津…ドンデン高原 新潟港の万代島埠頭から11時30分発の佐渡汽船・ジェットフォイルに乗り込む。乗客は満席の4分の1程度だろうか、コロナ禍のこととて矢張り閑散としている。時速は80km弱とのことだが、まるで飛行機に乗っているような気分の…67分間の快適な航行だ。 両津港からは予約しておいたニッポンレンタカーのSAクラス(車種はカローラ)に乗り込む。あとはカーナビ任せだけれど、助手席の佐知子は不安げに観光用の道路地図とにらめっこしている。 両津港からカローラを運転してクネクネ道を約30分、大佐渡山地のほぼ中央・標高890mに位置するドンデン山荘に到着した。建物前の南側が大きく開けていて、小佐渡山地を挟んで両津湾〜国中平野〜真野湾が航空地図のように俯瞰できる。晴れていれば佐渡海峡を隔てて東北や信越などの遠くの山々も見渡せるらしい。まず、予想以上の素晴らしい眺めに感動! ドンデン山荘のチェックインを済ませ、一段落した14時30分頃、駐車場脇の登山口から北へ向かって遊歩道を登り始める。ツツジ類(ハクサンシャクナゲ、レンゲツツジ、ウラジロヨウラクなど)、カエデ類(コハウチワカエデ、ヤマモミジなど)、潅木化したブナ、オオカメノキ(ガマズミだったかも)、ツリバナ(マユミだったかも)、エゾユズリハ、イヌツゲ、いじけたスギ、そしてチシマザサ…などの緑のトンネルだ。ノコンギクやオトコエシなどの秋の花たちが足元を飾る。 暫く登った左側がピークっぽくなっていて、電波塔らしきものが低木林の奥に見え隠れしている。多分そこいら辺に標高934.28mの三等三角点(点名:三ノ平=もしかしてこれが所謂ドンデン山?)があるはずだが、藪が深くて入り込めず確認するのはあきらめる。やがて間もなく山稜へ出ると空が開けて、すごいすごい!“広大なシバ草原”が眼前に広がったのだ。 強い偏西風のため、そして近代から現代にかけての牧草地としての人的な作用(最近は人間の手で草苅)も影響していると聞くが…若干の潅木帯はあるけれど…高木は育っていない。この山稜の特徴であるシバ草原の…まさにその風景の中を私達夫婦は歩いている。あちこちには相変わらずのノコンギクやヤマハハコ、そしてヤマトリカブト、ウメバチソウ、エゾリンドウ、ミヤマコゴメグサ、ツリガネニンジン、アカツメクサ(外来種)などが群生して咲いていて、お花畑の様相だ。数は少ないけれどハンゴンソウ、アキノキリンソウ、キリンソウ、ホツツジ、そしてなんとトモエシオガマも、小さくきれいに咲き残っている。ススキたちも夕日を浴びて美しく輝いている。里の植物から高山植物まで、(佐渡島の植生の)守備範囲が広いことにまず驚いて、春から初夏にかけての花の季節はさぞかしだろうと推測する。 尻立山940mの山頂などからは両津港〜加茂湖などの下界の風景も、このときは少しモヤっていたけれど、よく見えている。そしてさらに北へ下って進み、ドンデン池の岸辺の木製ベンチに腰かけて、ペットボトルのお茶を飲んだりアーモンドチョコレートを齧ったりした。池越しに見えている赤い三角屋根のドンデン避難小屋について、まるで「アルプスの少女ハイジ」の小屋みたい…、などと会話した。佐渡島にはクマやイノシシなどの大型哺乳類がいないので、何処にいても何処を歩いていても心底くつろげる。シカがいない(食害がない)ことも花が多い理由の一つであるらしい。 来た道を戻って、ドンデン山荘に戻ったのは16時10分頃。矢張り誰とも出会わない、珠玉のミニトレッキングだった。 * ドンデン高原ロッジ(ドンデン山荘): 山小屋というよりはリゾート風のホテル、といった感じ。この日の宿泊客は私達夫婦だけで、貸し切り状態だった。管理人さん(この日はオジサン2名)はとても優しい方で、なにかと気を使ってくれる。風呂も立派だし部屋の窓からの景色も絶品。夜の窓から見下ろすと、両津の街明かりだろうか、が星のように瞬いていた。これが本当の贅沢というものかもしれない。1泊2食付き一人10,300円。 「ドンデン高原ロッジ」のホームページ 佐知子の歌日記より 草原をハイジのようには走らねど君と見渡すドンデン高原 ●第2日目(9/18雨): 島内一周観光…相川 肝心なこの日の新潟上空には秋雨前線が停滞していて、未明から本降りの雨だった。なので、ドンデン山荘〜金北山〜白雲台の縦走の予定を急きょ変更して、翌日(最終日)に予定していた島内のドライブ観光をすることになった。それは非常に残念なことだったけれど、奇形のスギ巨木が立ち並ぶ「大佐渡石名天然杉(*)」の遊歩道を(傘を差して)散策したり、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている宿根木(しゅくねぎ)の集落を散歩したりなど、けっこうアカデミックに楽しんだシックな一日でもあった。もちろん、懐かしの二ツ亀や大野亀も見物した。 道路については…両津や相川の中心地を除いては…ガラガラに空いていて快適なドライブだった。印象的だったのは、内地(山間部)の谷を流れる川が黄土色の濁流になっていて、それが怖いほどの迫力だった、ということだ。 この日は相川の温泉ホテル(ホテル大佐渡)に宿をとり、食事と温泉入浴を楽しんだ。 大佐渡温泉「ホテル大佐渡」については次項「白雲台から金北山」を参照してみてください。 * 大佐渡石名天然杉: ドンデン高原(タダラ峰)の北東、大佐渡山地の主稜線付近(標高約900m)に位置する天然林(県有林石名団地)。周遊コースの遊歩道が整備されていて、専用駐車場からゆっくり歩いて約1時間で一周できる(無料)。雪の重みと強い季節風の影響だそうだが、奇形の巨木老木が林立する原生の姿が面白い。スギの樹皮が赤っぽく見えたけれど、それがこの地のスギ(ウラスギ)の特徴かもしれない。 スギの他に観察できた樹木はヒノキアスナロ、ミズナラ、カエデ類(イタヤカエデ、コハウチワカエデなど)、リョウブ、オオカメノキ、ツリバナ、エゾユズリハ、ハクサンシャクナゲ、イヌツゲなど。林床に咲いていた花はヤマトリカブト、サラシナショウマ、野菊の類など。ユキザサがあちこちで赤い実を可愛らしくつけていた。 それにしても静かな森だった。雨が降っていたこともあるかもしれないけれど、昨日のドンデン高原散策と同じで、とうとう誰にも出会うことはなかった。 → 次項のコラム欄(佐渡島の自然林について)も参照してみてください。 佐知子の歌日記より 赤黒い幹なる杉の天然林 雨にぬれつつ見学したり 昼食はやっと見つけた萬屋で菓子パンを買うコンビニがなく もともとは頑丈な船だったという小木集落の杉板の家 尻立山からドンデン池へ下る・明るい山稜のシバ草原に感動! 次項「白雲台から金北山」へ続く
初秋の佐渡島(大佐渡山地)・花の写真集: 大きな写真でご覧ください。 このページのトップへ↑ ホームへ |