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No.409 鉢窪山太郎杉(中伊豆)
令和2年(2020年)12月18日(金) 晴れ マイカー利用

鉢窪山と太郎杉の略図
鉢窪山登山
下山時に茅野の集落から撮影
麓から鉢窪山を望む

山頂は近い!
天然林(雑木林)を登る

この山域では希少な富士山展望箇所かも
展望デッキから富士山を望む

周囲はヒノキ林
山頂部の噴火口跡にて
太郎杉歩道
沢の水がとてもきれい!
滑沢渓谷を遡上する

ここから先は立ち入り禁止!
これが太郎杉だ!


下田街道を彷徨う

…湯ヶ島温泉(前泊)-《車5分》-浄蓮の滝・駐車場〜茅野集落・登山口〜はちくぼ遊歩道〜鉢窪山674m(往復)…浄蓮の滝-《車5分》-滑沢渓谷入口〜太郎杉歩道を往復…伊豆スカイラインなどを観光ドライブ…東京 【歩行時間: 鉢窪山登山=2時間20分 太郎杉=50分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(鉢窪山)へ
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(太郎杉)へ


鉢窪山登山: 浄蓮の滝〜鉢窪山
 湯ヶ島温泉「湯本館」の朝湯にまったりと浸かって、朝食をゆっくりと摂ってからマイカーに乗り込み、5分間ほど国道414号線(下田街道)を南へ運転すると、浄蓮の滝の大駐車場(無料)に着いた。昨日(水生地下から八丁池を周回)の疲れはすっかりと癒えて、天気も良いし、とてもいい気分の朝だ。国道を横切って、踊り子歩道(旧下田街道)を歩き始めたのは9時20分頃だった。…何処も彼処も閑散としている。
 20分ほどなだらかな坂道を歩いて茅野集落を過ぎると、島崎藤村の文学碑と鉢窪山の解説板があって、道標に従ってその先を左折して踊り子歩道に別れを告げる。この裏手にある静岡大学セミナーハウスの少し先が「はちくぼ遊歩道」の入口(鉢窪山の登山口)になっている。
 「へぇ〜、ほんとにまったく、こんな処にこんな山があったなんて知らなかったなぁ〜」 と思わず独り言。
 「わくわくするわねぇ」 と佐知子が反応する。この鉢窪山(はちくぼやま・674m)については、伊豆半島ジオパークのHPを閲覧して知った山で、私達夫婦にとっては未知の山だったのだ。足元のマンリョウが赤い実を可愛らしくつけている。
 急こう配の「はちくぼ遊歩道」をジグザグと登る。古いスコリアが目立つ土壌だが、それが、この山が火山(約1万7千年前に噴火とのこと)であることを主張している。…どうやら山腹は、ヒノキの人工林を過ぎると、森林の二次遷移が進行中の天然林らしい。山道のいたるところに樹木名とその解説を記した標板が掛かっていて、同定する手間が省けて私は楽だ。その樹木名を片っ端からメモってきた。
 → アカメガシワ、ミズキ、ヤシャブシ、リョウブ、ヒサカキ、ホオノキ、イワガラミ、シロダモ、ウツギ、イヌガシ、ケヤキ、アセビ、オオモミジ、イヌツゲ、スギ、クマノミズキ、イロハモミジ、ネジキ、ヤマツツジ、イタヤカエデ、アオダモ、サルナシ、ハリギリ、ノダフジ、ガマズミ、キブシ、ヤマザクラ、ヒメシャラ、ジャケツイバラ、カマツカ、ウリハダカエデ、クロモジ、タンナサワフタギ、サンショウ、ニシキウツギ、マユミ、イヌシデ…(観察順)

 樹木観察を楽しんでいたら、あっという間に山頂が近くなってきた。登山口から鉢窪山山頂までの標高差は約400mで、しかも足場のよい急勾配だから一汗で登り切ってしまうのだ。まぁ、前期高齢者の私達にはちょうどいい加減のボリュームで、一本立てたくなってきたころに展望デッキがあって、ここで小休止。北側の富士山や西側の山並…伊豆山稜線の峰々だろうか…などの展望を楽しむ。これはこの山へ登ったご褒美だ。
 広い山頂部は平坦で、鬱蒼としたヒノキ林になっている。噴火口跡と思われる小さな窪地には、丸太や切り株を利用した素朴なベンチがあって、ここでも小休止。お鉢を伏せたような山容で、山頂部にこの窪地があるので「鉢窪山」なのかな、やっぱり、と思った。
 窪地を取り巻く小さな山並み(外輪山?)の最高点(山頂)から「作業道コース」への道は、台風による倒木のため現在は通行禁止になっている。なのでやむなく、来た道を引き返すことになる。これが今回の心残りだったが、また何時かこの鉢窪山に登る機会があったら是非、周回コースを歩いてみたいと思う。
 浄蓮の滝駐車場に戻ったのは丁度お昼の12時だった。

太郎杉歩道: 滑沢渓谷入口〜太郎杉
 浄蓮の滝観光センターの食堂(レストランだったかも)で「わさび丼」などを食べてから滝見物をして、それから国道414号線(下田街道)を車で南へ約5分、天城峠の手前に位置する滑沢渓谷入口近くの駐車スペースに車を停める。狩野川上流の本谷川の支流・滑沢に沿った太郎杉歩道を歩き始めたのは13時20分頃。とにかく、道標がしっかりしているので安心だ。(井上靖文学碑が近くにあったらしいが、見落としたかも)
 対岸のわさび田が印象的な、渓谷沿いの歩道や林道(涸沢林道)を交互に遡っていると、案外と短時間(30分足らず)で、巨木の太郎杉が目に飛び込んでくる。下から見上げるとそれほどでもないけれど、階段を登って近寄ってみるとけっこうな迫力で、孤高の一株、といった感じだ。こんなに真っ直ぐなスギが何故(伐られないで)残ったのか、ちょっと不思議だ。昔から「御林」として守られてきた結果なのか。地形的な問題(伐採に不向き)か、もしかして太郎杉はウラゴケ(材として不適切)なのか…、などと妄想は尽きない。やっぱり来てみてよかった、と思う瞬間だ。
 踵を返し、滑沢渓谷入口近くの駐車スペースに戻ったのは14時30分頃だった。森のフィトンチッドと沢のオゾンをたっぷりと吸って、NK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させた(かもしれない)私達だった。

* 太郎杉: 現地の解説板(環境省と静岡県)によると『…推定樹齢400年、樹高48m、根回り13.6m、目通り幹周り9.6m。天城山中で1番大きな杉の木で、県の天然記念物…』とのことです。
 特に江戸幕府は天城連山を「御林」として「九木の制」を布き手厚く管理した、といいます。つまりスギ、ヒノキ、サワラ、マツ、ケヤキ、クス、カシ、モミ、ツガの9種の有用樹木の伐採を一切禁じ、破れば厳罰に処した、ということです。そのおかげで、今も天城の山中には樹齢約250年以上の立派なスギが何本も立っているのです。
(「日本の森列伝・米倉久邦著」の該当項などを参照して記述)

 帰路、近くの道の駅「天城越え」に立ち寄って、昭和の森会館を見学してから、地域共通クーポンを利用して土産の「わさび漬け」などをたくさん買った。結局、今回の二日間の山旅は、下田街道を何度も行ったり来たりすることになった。とはいえ、風致のよい処は何回往復してもよいもので、全然飽きない。
 そして懐かしの伊豆スカイラインを観光ドライブして、やっぱりまったりと…、コロナ禍の渦中の…東京への家路についた。

  佐知子の歌日記より
 倒木に登山禁止の看板よ九合目にあり鉢窪山の
 帰りには伊豆スカイライン運転し遠い昔を思い出す夫




気持ちのよい自然林
鉢窪山から富士山を望む(下山時に撮影)
今年の今の富士山は、例年と比べると随分と雪が少ないようです。

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