No.410 佐白山205m(笠間市) 令和3年(2021年)1月18日(月) |
||
寺社と公園をめぐる軽ハイキング → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(佐白山)へ マイカー利用で、陶器の笠間焼などで有名な茨城県笠間市の佐白山(さしろさん)を歩いてきました。殆ど(登山ではなくて)ウオーキング、といった感じなのですが、今のこの時期、常日頃の鍛錬不足の私達夫婦にとってはうってつけの「山」だったと、結果、思いました。 * 佐白山(さしろさん): かつての山城としての山頂部の堀の跡や石垣など、なんともいえぬ哀愁がたまりません。笠間盆地の真骨頂といえる…平らで広くて周囲に低い山並みの…茨城の独特な景観もなかなかでした。 落差のある石段を登りきると佐志能神社(さしのうじんじゃ)のある狭くて岩っぽいピーク(笠間城天守曲輪跡)で、ここが標高205mの山頂です。拝殿の前には(自然石を穿った)手水石があったり、本殿のある裏手へ回ると(天守の瓦を利用したという)一風変わった瑞垣(土壁)があったり…、狭いけれど趣のある山頂です。少し前までは石垣崩壊の危険性から立ち入り禁止になっていたらしいですが…、修復が済んだのでしょうか、今は自由に歩き回れます。 この山頂の北側〜西側の一帯も含めた広い空間が、いわゆる笠間城跡で、各種の石碑や説明版なども多く、笠間市の力の入れようが推察できます。三等三角点182.05m(点名:城山)の標石は佐志能神社の西…直線距離で約150mの位置…東屋の建つ小高い丘(土塁?)の上にありました。 「新・関東百名山(山と渓谷社)」の該当項によると、“古くは三白(さんしろ)山とよばれていて、神の使いの雉(きじ)、鹿、狐の3匹の白い動物が棲んでいたことが山名の由来”とのことです。 何れにしてもこの佐白山は、見学しながらゆっくりと歩くべき山、だと思います。 * 佐白山の植生: 遊歩道沿いは、スギ・ヒノキ林も交じりますが、そのほとんどはコナラ・ケヤキ・ヤマザクラ・イヌシデ・クリ・マンサクなどの落葉樹にシラカシ・スダジイ・ヤブツバキ・イヌツゲ・アオキなどの照葉樹が交ざる、この地における自然な植生で、心が落ち着きます。 * 佐白山のハイキングコースについて: いろいろなコースがあり、何処をどう歩いても(周回ハイクだけですと)正味1時間半程度の歩程です。健脚な人にはかなり物足りないボリュームですが、「笠間稲荷神社」や「笠間つつじ公園」や「笠間芸術の森」などの、山麓周辺の名所や景勝地などの散策を併せると、下山後に余った時間はまず飽きません。 この日は…、街中に位置する稲荷神社以外ではほとんど人に会いませんでした。行き帰りの常磐自動車道もスイスイで、朝の6時半に東京都大田区の自宅を出て、午後の3時には帰宅できました。 * 佐白山麓公園: 鎌倉時代に笠間時朝によって築城された笠間城の下屋敷跡や時鐘楼、そして忠臣蔵の大石内蔵助の像などもあります。そう…、浅野氏は赤穂転封の前は笠間藩主だったのですよね。赤穂へ移って57年後(1703年1月30日=旧暦:元禄15年12月14日)に浪士の討ち入り事件が起こります。 子供向けの遊具もあるのがなんとも公園らしいです。近くには日動美術館もあります。大きな駐車場には(朝は)私達の車だけで、お昼の下山時には計2台、だけでした。近くには(やはり閑散とした)笠間稲荷神社の無料大駐車場もあります。 * 笠間つつじ公園: 広い山頂部(富士山144m)には360度を見渡せる展望台があって、笠間周辺を一望できます。特に西面の笠間市街の奥に聳える仏頂山431m・高峯520mの山並みが近くてかっこいいと思いました。その左手の吾国山・愛宕山・難台山の低い山並みの奥に並んで聳えているのは加波山と筑波山です。展望案内板の無いこの展望台での、私達の(思い出だけを頼りの)山座同定は、それはそれは楽しい時間でした。 この広い高台の一角には(物語上で)この地で生まれ育ったという座頭市の碑もあります。4月中旬から5月上旬にかけての(25品種8500株あるという)ツツジの花の季節には入園は有料になり、観光客で賑わうそうです。シーズンオフのこの日ですから…あっちへ行ったりこっちに来たり、ゆっくりと園内を一周しても1時間足らずですが…とうとう誰にも出会いませんで、超静かな散歩を楽しめました。 * 笠間稲荷神社: 「笠間稲荷と佐白山」として茨城百景に選定されているそうです。伏見稲荷大社や豊川稲荷などとともに日本三大稲荷の一つとされていますが、「三大…」については諸説あるようです。 参拝後に、閑散とした参道沿いで売っていた七色唐辛子を購入しました。陳皮や麻の実などの混じった良い香りにうっとり。売っていたおばさんの茨城弁の響きにも心がほっこりとしました。 * 笠間芸術の森公園: 平成4年(1992年)5月に開園した“自然と芸術が融合したテーマパーク”とのことで、茨城県陶芸美術館(現在、土・日以外は休館)・野外イベント会場・陶の杜・あそびの杜、…などにゾーニングされています。総面積はかなりの広さ(54.6ha)で、まるでゴルフ場のロングコースみたいな一角もあります。入園は無料です。 この日の私達は、佐白山麓公園からこの芸術の森まではマイカーで移動しましたが、2km足らずの距離なので、歩いて移動しても良かったかもしれません。 * Tamuから一言: 少人数(家族)での、マイカー利用の静かなミニ山旅…。コロナ禍におけるアウトドアの一つの“カタチ”を垣間見たような、なんとも嬉しい私達の今年の初歩きでした。 フィトンチッドなどの森の気はNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させて、がん細胞やウイルス感染細胞などからの防御力(人間が本来もっている免疫力)を強化するといいます。こんなときだからこそ森林浴=山歩き(登山・ハイキング)は有効かもしれません。三密とは程遠い、紫外線が燦々と降り注ぐ、新鮮で清々しいそよ風の吹く野山へ、勇気を出して、みなさんも出掛けてみませんか。 佐知子の歌日記より 佐白山(さしろさん)ショルダーバッグで頂上へ 盆地なんだね笠間の町は 長年の謎がとけたり神社の名 一字違いの笠間と鹿島 佐志能神社・本殿の瑞垣(天守の瓦を利用したらしい) 笠間つつじ公園から(笠間市街越しの)西面を望む このページのトップへ↑ ホームへ |