No.427 守屋山(もりやさん・1650m) 令和3年(2021年)12月3日(金) |
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上諏訪をベースにした2日間の山旅日記(後編) → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ *** 前項「霧訪山」からの続きです *** 上諏訪温泉の宿からカーナビに導かれて約30分、国道152号線(杖突街道)沿いの、とても閑静な古屋敷集落の辺りを右折して林道を西へ上る。と、ひっそりとした林の中に駐車場があって、数台の(先着の)車がとまっている。下山後に分かったことだが、この辺りにはちょっとした駐車空間があちこちにあって、つまり“この辺り”が守屋山立石コースの登山口、なのだ。 指導標に従って歩き始めたのは8時40分頃だった。カラマツ、アカマツ、コナラ、ミズナラなどが主役の(枯れ葉舞う)明るい森の道を暫く登ると、亀石とか御陰核岩などの、何やら怪しげな岩が次から次へと現れる。このコースのシンボル的な立石(たていし)には高遠町(現在は伊那市)の説明板が立っていて『僧侶が立っている姿に似ているので坊主岩ともいう』と書いてある。どう見ても「僧侶」には見えないけれど、こういうのってなんかロマンがある。 やがて道は二手に分かれる。左が岩巡りコースだが、それは復路の楽しみにして、上りは右側の尾根コースを行く。林にはシラカンバも目立っている。 岩っぽい道を暫く登ると展望の開けた百畳岩へ出て、ここでいったん左右の登山道が重なるが、引き続き私達は右側の尾根道を進む。どうやらこの立石コース(守屋新道)は、並行する二つの登山道(尾根コースと岩巡り・岩見コース)が数ヶ所で交差しているようだ。この次の交差点では、私達もついに左側のコースへ進み、浅間ノ滝を見物した。チョロチョロと流れる(今にも渇水しそうな)滑滝で、足元には小さな石祠が祀ってある。シブいというか「わび・さび」の世界というか、それなりに趣のある小滝だった。 一休平からは前嶽1515mのピークを往復(約6〜7分)してみた。四等三角点(点名:立石)の標石のある、樹林に囲まれてひっそりとした狭い山頂だった。おやっ?と思ったのは、その三角点の標柱が…コンクリート製だろうか…円柱形だったことだ。これは案外珍しいと思う。(→写真) 一休平からは「息切坂・胸突き八丁」と呼ばれる坂を登る。林床にチシマザサの目立つ林を過ぎると視界が開け、やがて360度展望の(山岳展望盤の設置された)守屋山の東峰1631mに立つ。ここには守屋神社奥宮が祀られていて、その石祠が鉄柵に囲まれて厳重に守られている。これも後で知ったことだが、石祠を谷へ落されないための鉄柵だという。かつて雨乞いのためにこの石祠を谷へ落して(わざと)神の怒りを買うことで雨を降らせる、という儀式があったそうだ。…こういうのって、なんか民話的でいいなぁ、と思うけれど、当時の農民たちは真剣だったのだろうと想像すると、決して笑えない。 地味な山頂の中嶽1643mを通り過ぎ、なだらかにダウンアップするとラビットハウスという名の可愛い避難小屋があって、その少し先が守屋山最高点の西峰1651mだった。ここも東峰に負けず劣らずの…日本百名山のうちの33座を望むことができるという…大展望だ。ため息をつきながら、例の(新品の)山岳展望盤と首っ引きで、日本アルプスや八ヶ岳や諏訪湖(諏訪盆地)などの眺めを心いくまで満喫する。そして山頂部を行ったり来たり、グリコポッキーを齧ったりサーモスの熱いお湯で溶かしたインスタントコーヒーを飲んだり、心底、来てみてよかったと思う至福の小1時間を過ごす。 復路の道標の分かりづらい(杖突峠コースとの)分岐でちょっと迷ったけれど、予定通り立石コースの岩巡りコースと岩見コースを下ることにする。この鬼ヶ城〜屏風岩〜親子岩〜平成のビーナス(なんか、意味わかんない)〜十文字岩〜と巨岩を巡る小道も、それほどの危険箇所もなくて、とても楽しかった。 大展望と変化のあるトレイルに大満足して、振出しの立石登山口・駐車場に下山したのは12時40分頃だった。さて、ここからゆっくりと、カーナビにすべてを任せて、家路に就くとしよう。 * 守屋山の登山コースについて(補足): 前日の霧訪山登山の際、その山頂で出会った(霧訪山も守屋山も100回近く登っているという)地元のハイカーさんたちから聞いた話です。 『守屋山へ登るなら立石コースかいいですよ。最近ずっと、杖突(つえつき)峠からのコースばかりがネットなどでも主流になっているけれど、ソーラーパネルなどの人工的な景色が多すぎてお勧めできません。立石コースならば、岩巡りなど変化に富んでいて、何回歩いても飽きないです。静かな松尾峠コースや守屋神社コースは歩くことがあっても、(この山のことをよく知っている人なら)杖突峠コースはまず歩かないと思います』 私達は地元の経験豊かなハイカーさんたちの意見を尊重して、今回のルート(立石コース)を選択したのです。 守屋山頂からの大展望(YouTube) 上諏訪温泉「ホテル鷺乃湯」: 前項「霧訪山」を参照してみてください。 佐知子の歌日記より 雪山を数多のぞめる守屋山(もりやさん)子を背負い登る若い女(ひと)あり 木々の間に我家の青い車見え 下山出来たと痛い膝撫づ |