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広島・山口 4日間の山旅日記 その3
No.436 東鳳翩山(ひがしほうべんざん・734m)
令和4年(2022年)6月1日(水) 高曇り

東鳳翩山の略図
けっこうな迫力!
錦鶏ノ滝(雌滝)

「ナマナマコース:悪路」と書いてある
登山口の標識

トラロープを頼りに
ロープ場

二ツ堂ルート分岐の少し先
ウン回目の一休み

額空木:アジサイ科の落葉低木
ガクウツギ(コンテリギ)

「柱石き損」となっているけれど・・・
東鳳翩山山頂の三角点

東鳳翩山の山頂から西鳳翩山を望む
西鳳翩山を望む

丁度いい温度かも
温度計は摂氏16度

のどかな山村風景
上天花町へ下山!


自然も展望も素晴らしい!

第1日目(5月29日)=品川-《新幹線》-広島・市内観光…宮島
第2日目(5月30日)=宮島・弥山登山…宮島観光…宮島口

第3日目(5月31日)=宮島口…秋芳洞・秋吉台…湯田温泉
第4日目(6月1日)=湯田温泉-《タクシー約13分》-錦鶏ノ滝入口~錦鶏ノ滝~(ナマナマコース)~東鳳翩山734m~二ツ堂登山口~上天花町-《タクシー約10分》-山口駅13:56-《JR山口線》-14:19新山口駅-《新幹線》-19:08品川… 【登山の歩行時間: 3時間40分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


*** 前項「秋芳洞と秋吉台」からの続きです ***

 山口県の山口市と萩市の境界(中国山地>長門山地)に位置する東鳳翩山(東方便山)は、以前から地元のハイカーに愛されていたらしい。それが2004年に「新日本百名山」の一座に選ばれてからは、その人気に拍車がかかり、全国各地からもハイカーが押し寄せるようになったという。…私達夫婦もその「押し寄せ組」の片割れだが、今回登ってみて悟ったのは、やっぱり人気の山にはそれなりの理由がある、ということだった。
* 新日本百名山: 登山家の岩崎元郎さんが、中高年が登り易い山という点を加味して、各県から選んだ百名山。平成16年(2004年)10月5日付けの朝日新聞で発表された。

 湯田温泉「西の雅・常盤」の7時からの豪勢な朝食を食べてからチェックアウトして、予約しておいたタクシーに乗り込む。同年配の(つまり老人の)運転手さんが、私達が山口県を初めて訪れたと聞いて、いろいろと話しかけてくれる。「この山口市は、日本の県庁所在地の中では地価が一番安いんだよ」「通り道だから、瑠璃光寺の五重塔を是非見て行ってください」「山口の人はおっとりしているんだ。テンポがゆっくりなんだ」…等々、短時間に(テンポよく)いろいろと教えてくれた。
 錦鶏の滝入口で降ろしてもらい、山口市が設置した「萩往還」や「錦鶏の滝」の解説板などをじっくりと読み、歩き始めたのは午前8時を少し過ぎたころだった。維新の志士たちも歩いたという萩往還(石畳の細い道)を右に分け、一の坂川の左岸に沿ってなだらかに進む。やがて益々道は細くなり、登山道っぽくなってくる。
 指導標のある分岐をまず右折して、錦鶏ノ滝の雌滝を観賞する。けっこうな迫力だ。そして分岐に戻って右折して、ちょっと古くなった見物台(?)から雄滝も観賞する。高低差では負けているけれど、その迫力においては雌滝に軍配が上がる。
 不動明王像などを傍らに見ると、いよいよ(要所には)トラロープなどが出てくる。とはいえ、この「ナマナマコース」はそれなりに整備されていて、ごく普通の(いい感じの)登山道、といった風だ。登山口には「悪路」と表示されていたけれど、ちょっと脅かしすぎといった感じだ。
 スギ・ヒノキも交るけれど、登るにつれてスダジイ、アカガシ、シロダモ、ヤブニッケイ(イヌガシだったかも)、アオキなどの照葉樹主体の天然林に移行する。ガクウツギ(コンテリギ)の白花が美しく咲いている。各種のシダ類の緑がとてもきれいだ。ウグイスが囀っている。足元に落ちている花はテイカカズラだ。
 ナマナマコースの途中には…「新日本百名山(山渓)」のガイド文によると…民俗学的に貴重な「焼き子」住居跡(四国から一家をあげて炭焼きに一時期移り住んだ)があるという。しかしこのときは、その標識などがなかったものか、植物観察に心を奪われていたこともあるのか、知らずに通り過ぎてしまった。と、ちょっと後悔。
 下山道に予定している二ツ堂ルートが左から合わさると、登山道は遊歩道に変容する。明るくてなだらかで超歩きやすい「自然歩道」だ。アカマツ、リョウブ、ウラジロノキ、イロハモミジ(もしかして園芸種かも)、そしてアセビなども目立ち始める。こちらではエゴノキの落花が道を飾る。ニガナが黄色く咲いている。ノアザミが咲き残っている。相変わらずガクウツギの白花が美しい。所々の木製のベンチで一休み、一休み。
 ナナカマド、クリ(花)、ガマズミ(花)、ヤマツツジ(花)、などの低木に囲まれた、岩ガレの東鳳翩山の山頂に着いたのは10時40分頃だった。もちろん、一点360度の大展望だ。地元のハイカーたちがあちこちを指さして、いろいろな山の名前を告げ合って、あの山には3回、あの山には5回登った、とか言っている。耳を澄ませてその会話を聞いているのだが、知らない山名ばかりだ。ただ一座、西の近くの(山頂部に電波塔の多い)西鳳翩山742mが、唯一知っている山名だった。というのは、昨夕も今朝も、宿(湯田温泉)の6階の部屋の北窓から正面に見えていた山だったからだ。車で山頂の近くまで行けるらしいが…。
 この東鳳翩山の山頂には三等三角点の標石(点名:東方便)があるけれど、帰宅してから調べてみて「おや?」と思った。国土地理院サイトの基準点基本情報によると、「成果区分成果の公表を停止しているため、座標値等は閲覧できません」とか「成果状態が正常でない為、点の記は閲覧できません」などと書いてあるのだ。2009年11月26日現在の現況状態については「柱石き損」となっているけれど、私達が現地で見たときは全く気がつかなかった。…まぁ、どうでもいいといえばどうでもいいことだけれど…。
 超(最近では“メッチャ”と云うらしいが)整備された二ツ堂ルートを辿って、二ツ堂登山口に下山したのは12時20分頃だった。ここでタクシー会社に予約の電話を入れて、さらに里道を15分ほども歩いて、天花公園(上天花町)の駐車場を過ぎた交差点で待っていると、間もなくタクシーが到着した。運転手さんは今朝と同じ初老の方で、私達を見てニコッと笑ってくれた。
 下山地の上天花町から山口駅までは約8kmの距離で、歩いても良かったのかもしれないが、矢張り今回も水は低いほうへ流れてしまった。でも、10分足らずのタクシーの車内でもいろいろと地元の話が聞けて良かった、とも思う。…東京へのお土産は、運転手さんのお奨めもあり、駅近くの「御堀堂」で山口名物の外郎(ういろう)を購入することにしよう。

 東鳳翩山は(比較的)安心安全に歩けて、交通の便が良くて自然も展望もそこそこで、つまりバランスの取れた60点主義の、総合的に評価するとかなりレベルの高い、ハイキングには良い山だと思った。…そういう観点では、箱根の金時山や東京の高尾山にも似ているかもしれない。

  佐知子の歌日記より
 平日に登山者多し海望む鳳翩山(ほうべんざん)は地元のオアシス

湯田温泉「西の雅・常盤」: 湯田温泉は山口市街に隣接する…というか山口市街の西の一角に位置する…大温泉地。山口県を代表する温泉「防長四湯」の一つでもあるという。鉄道や路線バスなどの交通の便もすこぶる良い。中心部に「中原中也記念館」があるが…、見学を予定していた昨日が休館日だったのは、返す返すも残念だ。
 「西の雅・常盤」は大通りに面した立派な温泉ホテル。私達が泊まった6階の部屋の窓からは西鳳翩山が正面に望めた、ということは本文にも書いた通りだ。泉質はアルカリ性単純泉。無色透明無味無臭。湯量豊富で、6つある大浴場はどれもこれも満足のいくものだった。現地の食材を生かした懐石料理も美味しかった。目玉の催しに「女将劇場」というエンターテイメント的なのがあって、心が誘われたのだけれど、夜の8時過ぎからの開演とのことで、それは私達にとっては真夜中の時間だ。なので見には行けなかったけれど…、後悔はしていない。
 1泊2食付一人14,450円(税込み)は、まぁ致し方のないところかも。
 外部のサイトへ移動 「西の雅・常盤」のホームページ

* この山口県の湯田温泉は詩人の中原中也(1907~1937)の生まれ育ったところであり、放浪の俳人・種田山頭火(防府市の生まれ・1882~1940)とも深い因縁がある。二人とも既成の手法に反発して、独自の文学世界を構築したという点で似ているかもしれない。…そういえば童謡詩人の金子みすゞ(1903~1930)も山口県(長門市)、だったなぁ…。

 中原中也・未刊詩篇より・「砂漠」の冒頭部
砂漠の中に、火が見えた!
砂漠の中に、火が見えた!
 あれは、なんでがな あったろうか?
 あれは、なんでがな あったろうか?
 ・・・・・・・・

 山頭火の有名な自由律句から8句
 分け入つても分け入つても青い山
 すべつてころんで山がひつそり
 まつすぐな道でさみしい
 笠へぽつとり椿だつた
 あるけばきんぽうげすわればきんぽうげ
 あるけば草の実すわれば草の実
 あるけばかつこういそげばかつこう
 よい宿でどちらも山で前は酒屋で



東鳳翩山は自然も展望も素晴らしい!
二ツ堂ルート分岐の少し先(上部)
スダジイなどの自然林を登る
360度の大展望!
東鳳翩山の山頂部は山上庭園・・・
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