佐賀県・3日間の山旅日記・その① No.453 脊振山と鏡山 令和5年(2023年)3月13日(月) |
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【歩行時間: 脊振山(駐車場から往復)=約15分 鏡山散策=約60分】 ※移動はレンタカー → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(脊振山)へ → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(鏡山)へ ANAの格安パッケージツアー(航空券+レンタカー+宿泊)を利用して、行ったことのない佐賀県を山旅しましょう、ということになった。で、とりあえず2か月以上も前にネット予約して料金も支払った。そしてそれから(慌てて)、前期高齢者の終盤に差し掛かっている軟弱な私達夫婦の、その体力と気力に見合った3日間の山旅をコーディネートしてみた。 ターゲットにした山は日本三百名山の脊振山(せふりさん・1055m)、虹の松原の絶好の展望地でもある鏡山284m、新日本百名山の黒髪山516m、そして佐賀の名峰・天山1046m、の4座だ。結末を先に云ってしまってはいささかつや消しかもしれないが、お天気にも恵まれて、予定した4座はもとより吉野ヶ里歴史公園なども観光することができて、大満足な山旅となった。 ●脊振山(せふりさん・1055m) 東京都大田区に住む私達にとって羽田空港は非常に交通の便が良い。なので早朝発の飛行機も全然苦にならない。機内で空弁を食べたりしているうちに、あっという間に福岡空港に降り立った。最近ではレンタカーの手続きも慣れたもので、とんとん拍子に事は進む。おまけに現地は快晴だ。まずは、福岡と佐賀の県境に延々と連なる断層山地(脊振山地)の盟主…山岳密教の修験場でもあったという脊振山を目指す。 カーナビに従ってどんどん高度を上げて、脊振山の山頂直下に位置する広い(トイレも自販機もある)無料駐車場に着いたのは10時50分頃だった。すぐ隣が航空自衛隊の脊振山分屯基地(レーダーサイト)なので、なんか物々しい感じがする。 金属フェンスに沿って石階段をゆっくりと登る。周囲は若い落葉樹(背の低いリョウブ、ネジキ、アカメガシワ、ツツジ類、など)が多いようで、その足元はミヤコザサの群落だ。役行者の古そうな石像もあるぞ…。などとメモしていたら、これもあっという間に…10分足らずで…弁財天が祀られているという脊布利神社の上宮と二等三角点のある、脊振山の山頂に着いてしまった。上宮の立派な石祠の後ろにはこの山の象徴ともいえる…大きなマスクメロンのような…然し銀色のレーダードームが…ど~んと立ち塞がる。周辺の山々や福岡市街などの展望は良いのだけれど、風が強くて寒かったこともあり、そそくさと踵を返し、駐車場に戻ったのは11時20分頃だった。 矢張りこの山は車谷登山口や田中登山口などからの山道を利用して、そして縦走するのが正しい歩き方かもしれない。山稜には県内でも数少ないブナやアカガシの天然林があるというのも魅力だ。…矢張り今回はちょっと楽をし過ぎたかも…。 * 脊振山の別名について、「佐賀県の山-分県登山ガイド(山と渓谷社)」によると、弁財天岳、脊布利山、茶降山(ちゃふりやま)。「日本山名事典(三省堂)」の該当項によると、金龍山(きんりゅうざん)、白宇津山(しろうつさん)、立拝山(りゅうはいざん)、国見岳(くにみだけ)、上宮岳(じょうぐうだけ)、があるという。一方、ウィキペディアの該当項には「江戸後期までは廣瀧山と呼ばれた」「現在の脊振山山頂は上宮獄と呼ばれていた」などの記述もある。…その山の別名において、ガイドブックと事典でまったく違うものが列記されている、というのが面白いと思った。…まぁ、これだけ別名や異字があるということは、何かにつけ里の人との関わりが深かったという証拠であろう、とも思う。 佐知子の歌日記より キャスター付きスーツケースの人ら避け リュックの我らも羽田行きに乗る 海と山見渡すレーダー基地の横 徒歩十分の背振山頂 ●鏡山(かがみやま・284m) 佐賀県出身の古くからの友人から、佐賀の観光で一番お勧めなのは「虹の松原」だよ、と聞いていた。国の特別名勝で、静岡県の三保松原と福井県の気比の松原と並ぶ日本三大松原のひとつでもあるらしい。なので、今回の佐賀県への山旅では(ついでに)是非とも立ち寄ってみたかった。…ちょっと調べてみたら、その虹の松原の絶好の展望地に鏡山という標高300mに満たない低山があるらしい。山名の別称も多く、領巾振山(ひれふりやま)、松浦山(まつらやま)、七面山(しちめんざん)、玉島山(たましまやま)、などがあるようだ。 という訳で、この日の午後は唐津湾に面する台形の山・鏡山へ(車で)登った。広い駐車場のある山頂部は自然公園の趣きで、展望台などからは虹の松原に隣接した唐津湾や市街地の景色が素晴らしい。そんな「ひれふり展望台」と「鏡山展望台」をハシゴしたり、佐用姫(さよひめ)神社や鏡山神社に参拝したり、蛇池の周りを散策したり、松浦佐用姫像前の解説板を読んで、万葉集にも登場するという伝説(悲恋物語)に心酔したり、そして三等三角点の標石を見つけて喜んだり…などして、1時間以上を山頂部で楽しく過ごした。サクラやツツジの季節はさぞかし賑わうのでは、と思った。…この山も、本来は麓から登山道(遊歩道)を登るべき、だったかもしれないが…。 それから山を(車で)下って、虹の松原の林内を彷徨った(つまり観光した)。その松林は思ったよりもずぅ~っと広くて深くて、一株一株のクロマツの背が高くて立派だ。地元の方々の並々ならぬ尽力のおかげと、改めて感謝して感動する。 鏡山と虹の松原を堪能した後は、近くの「鏡山温泉茶屋・ 美人の湯」にちょっと後ろ髪を引かれたが、2連泊の予約をとってある武雄温泉へ直行する。 遠つ人松浦佐用姫(まつらさよひめ)夫恋ひ(つまごい)に領巾(ひれ)振りしより負える山の名(山上憶良) 佐知子の歌日記より 唐津湾に沿いて広がる砂浜に緑の帯なす虹の松原 |