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佐賀県・3日間の山旅日記・その②
No.454 青螺山から黒髪山
令和5年(2023年)3月14日(火) 快晴 レンタカー利用

佐賀県の略図

黒髪山の略図
黒髪山の略図
青螺山の山頂は近い!
泥壁を登り・・・


青螺山の山頂に到着!

けっこうな高度感!
「展望の岩場」にて

クサリ・ハシゴを登る・・・
黒髪山の山頂直下
横にカネコシダ?↑

バックは青螺山
天童岩のピークにて

黒髪山の山頂(天童岩)にて
有田焼の方位盤

中央奥が青牧山
竜門駐車場に下山


奇岩や奇峰の「最強の低山」

脊振山と鏡山(前日)…武雄温泉-《車40分》-竜門駐車場(登山口)~青牧峠~青螺山618m~前清螺(青螺御前)~見返峠~展望の岩場~黒髪山(天童岩)516m~蛇焼山505m~後ノ平~鬼の岩屋~二俣~(竜門峡)~竜門登山口…武雄温泉 【歩行時間: 5時間30分】
 ※移動はレンタカー
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


 武雄温泉の「ホテル春慶屋」で7時からの朝食をゆっくりと味わって、それからカーナビをセットして出発。…国道35号線を西へ進んで間もなく、右手前方にこれから向かう黒髪山地(黒髪連山)の山々が見えてくる。…有田の市街を抜け、県道の細い道を進み、左折して竜門ダムの天端を渡る。と、ダム湖の奥に青螺山(せいらさん・618m)と思しき金字塔が聳えている。その右奥に位置する黒髪山(くろかみやま・516m)の山頂部は、手前の山稜に邪魔されて見えない。初めての山に登るときはいつもそうだが、胸が高鳴る。今日もいい天気だ。
 標高約110mに位置するダム湖の東端(竜門峡の入口)には広い駐車場があって、付近にはシックな川魚料理店(龍水亭)や「竜門峡山の家」やキャンプ場などがある。「竜門峡ガイド」と題した佐賀県有田町の解説板には黒髪山の大蛇伝説のことなどが書いてあり、妻の佐知子がトイレへ行っている間に読んでみたのだが、文字が小さくてしかも字数が多いので、ちょっと難儀した。…何やかやで(指導標に従って)キャンプ場のある北へ向かって歩き始めたのは8時40分頃だった。
 暫くは天然林の急登が続く。スダジイ、アカガシ、カゴノキ、ヤブニッケイ、サカキ、アオキ、タイミンタチバナ、そして関東人の私達にとっては珍しいカンザブロウノキやイスノキなど、殆ど照葉樹で、とても自然だ。足元の所々には早春の花・アカネ科のサツマイナモリが群生して小さな白花を咲かせている。ヤブツバキの深紅の落花も森の景色にアクセントをつけている。
 有田町と北側の伊万里市の境界でもある稜線へ出ると、道は幾分緩やかになる。青牧峠を過ぎて暫く進むと(地形図には載っていない)分岐があって、真っ直ぐに進むのは見返峠方面へのトラバース道(国体縦走路)であるらしい。私達は少し迷ったが、当初の計画通り、左折して青螺山経由のやせた尾根道へ進む。…この急勾配の泥壁と岩壁の道が、ロープはあるけれど、足腰と平衡感覚の衰えている私達にとっては、けっこうな難所だったのだ。
 ロープや岩角や木の根っこなどにしがみついて、ようやく青螺山の狭い山頂に辿り着いたのは10時50分頃。矢張りほっとして、南面の展望を楽しんだりして大休止。ここで出逢ったベテランと思われる男性ハイカーから 「こちら(青螺山)んほうが(黒髪山よりも)100メートルも背ん高うして、登山難易度も高かとばい」 と教えられた。なるほど、彼の指さす黒髪山は…黒髪山地の盟主と云われる割には…随分と下方に(貧弱に)見えている。慌てて地図を取り出して其々の標高などを確認して、(今回も)事前の下調べがいい加減だったことを反省した。「へぇ~」と驚いている私達に向かって、その地元のベテランハイカーは、この黒髪山地が「最強の低山」と云われていることを、何度も自慢していた。
 この青螺山から黒髪山へ向かう稜線は西側の有田町と東側の武雄市の境界になる。ロープのある急勾配を下って、少し登り返して地味な山頂の前清螺(青螺御前)を通り過ぎ、十字路の見返峠でも一休み。この辺りは当地で発見されたというクロカミラン(絶滅危惧IA類)の植栽地でもあるらしく、その旨を記述した山内町(現・武雄市)の解説板が立っている。その下部に『心無い登山者に盗掘されてしまった…』旨の記述が読めたが、なんとも痛々しい。黒髪山よ、おまえもか。と云いたい。
 * 見返峠付近で観察できた樹木: アカガシ、カゴノキ、クロガネモチ、イスノキ、ヤブツバキ、ケヤキ、エノキ、ヒノキ…など。
 もう既にけっこう疲れているけれど、気合を入れて再び歩き出し、道を外れて左折して100m、雌岩・雄岩の「展望の岩場」を“体験”する。近くの切り立った岩壁や南東面の絵画のような里山の景色を俯瞰することができる。そのスリルのある(凝灰角礫岩の)岩上でも小休止して、少しは体力が回復したようだ。黒髪山への登りもロープやクサリや鉄ハシゴだけれど、こちらは足場が丁寧に階段状に切ってあって、(青螺山の登りと比べれば)随分と楽に感ずる。
 黒髪山の山頂…つまり露岩(天童岩)の天辺はウワサに違わぬスリルと爽快感だった。先ほど登った青螺山もよく見えているし、山腹の岩峰や里の様子など360度の大展望で、有田焼(陶板)の方位盤も置かれていたりしているのも面白い。30分ほどそんな岩上を行ったり来たり、子供のように楽しんで時間を過ごす。この山の人気をしみじみと感じた瞬間でもあった。
 山頂手前の分岐(小広場)に戻り、ここからは西へ蛇焼山(じゃやきやま・へびやきやま・505m)~後ノ平方面へ向かう。このルートは思っていたよりも整備されていて、安心して歩くことができた。地図にも載っている天然記念物の「黒髪山カネコシダ群生地」を知らずに通り過ぎてしまったことが、少し心残りだったが…。
 二俣を左折して“神秘的で清冽な流れの”竜門峡をゆるやかに下り、竜門駐車場に戻ったのは15時20分頃だった。広い駐車場は今朝と同じように、数台の車で閑散としている。改めて周囲を見回して25000図と見比べて、「竜門峡山の家」の左奥(キャンプ場方面)に聳えているピラミッド型の小峰が、青螺山の西…牧ノ山552mの少し東…に聳える、地形図上は名も無いピーク(牧II峰=青牧山)だということが分かった。だから何なの、というほどのことではあるのだけれど、私は何とはなしにこの地(黒髪山の登山口)を去り難く思っていたのかもしれない。それほど、この青螺山~黒髪山は…今の私達にとっては限界とも思えるコースだったけれど…達成感のある素晴らしい登山だった。

武雄温泉「ホテル春慶屋」: 私達が佐賀県の山旅で2連泊したのが武雄温泉。その温泉街のシンボルである武雄温泉楼門のすぐ近くに位置するのが「春慶屋」。昭和24年に昭和天皇がご宿泊されたという由緒ある宿であるらしい。フロントの対応も洗練されている。何といっても部屋食なのが…今どき珍しくて…嬉しかった。最上階にある掛け流しの展望露天もなかなかで、泉質はアルカリ性単純泉、無色透明のヌルヌル感。トロっとした湯触りがいい感じ。部屋の窓から天山の山容を眺めることができたのも良かった。割とリーズナブルな宿泊料で、おまけにコロナ関連の地域限定クーポン(二人で8,000円)も貰えて、お土産をどっさりと買えたのもとてもよかった。
 外部サイトへリンク 「春慶屋」のホームページ

 佐知子の歌日記より
 左足重く引きずり青螺山(せいらさん) やっと登るが景色はおぼろ
 黒髪山 クサリ・ロープに助けられ 頂に見る佐賀の山並み

次項「天山」へ続く



黒髪山の山頂(天童岩)からの一点360度の展望
夫婦岩(雄岩・雌岩)も見えています
北面を望む(左端が青螺山)

2枚の写真の合成です
南面を望む(右下に有田ダム湖)

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