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青春18きっぷで兵庫県への山旅
No.473 六甲山931m
令和6年(2024年)3月11日(月) 晴れのち曇り

ホテル竹園芦屋の8Fの部屋の窓から撮影
芦屋の街並みと六甲山(ホテルの窓から撮影)

六甲山の略図
第1日目
柏原駅~近江長岡駅の区間から撮影
雪を被った伊吹山
東海道本線の車窓から
第2日目
前方に芦屋川駅・右に芦屋川
まず芦屋川沿いに・・・

登山口近くの高座ノ滝
高座ノ滝

ロックガーデンの岩場を登る
ロックガーデン

ちょっと春霞・・・
風吹岩(ロックガーデン)にて

静かな池でした
横池に立ち寄る

いい感じの沢です
徒渉

電波塔が大きい
六甲最高峰の山頂

天然林を下る
ミヤコザサの下山道

山の中腹に建つ
有馬稲荷神社に参拝

古い街並みの有馬温泉街
有馬温泉に下山!

芦屋から有馬温泉への名コース

①3月10日(晴)=東京→豊橋→芦屋
②3月11日(晴・曇) 登山日=芦屋~高座ノ滝~芦屋ロックガーデン・風吹岩~横池~雨ヶ峠~七曲り~一軒茶屋~六甲最高峰931m~有馬稲荷神社~有馬温泉・有馬御苑 【歩行時間: 6時間20分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(六甲山)へ
③3月12日(雨・曇)=有馬温泉→姫路・姫路城見物→尼崎
④3月13日(晴)=尼崎→豊橋→東京



 青春18きっぷを利用しての、兵庫県への4日間の山旅日記です。4日間とは云っても初日と最終日は移動のみの一日ですので、正味2日間の山旅です。六甲山931mの登山日は概ね晴れて予定通りだったのですが、その翌日(第3日目)は雨で、予定していた虚空蔵山596m(丹波の名山です)は断腸の思いで断念して、姫路城観光の一日となりました。
 六甲山は「単独行」の加藤文太郎のフィールドで、日本のロッククライミング発祥の地でもあるので、行く前から(特に)わくわくしました。

第1日目(3/10・晴)東京→芦屋
 JR線の普通・快速列車が1日乗り放題になるという「青春18きっぷ」は、毎日が日曜日の(つまりヒマな時間だけはたっぷりとある)老人にはもってこいの超割安のフリーパスだ。若者だけの支配下には置けない、と思う。春の利用期間の今、利用しない手はない。
 私達夫婦は日曜日の午前6時に東京都大田区内のJR駅からスタートした。神奈川県の川崎駅で東海道本線に乗り換え、右の車窓から丹沢山塊や白銀の富士山などを眺めながら、小田原…沼津…静岡…と、それぞれの駅で乗り換えて西へ進み、豊橋駅で改札を出て構内の食堂街で昼食にする。洋食店だったと記憶しているが、何を食べたかは覚えていない。たしか、それなりに美味しかった、と思う。
 それからこれも白銀の伊吹山などを眺めたりして、大垣駅と米原駅で乗り換えて、京都駅と大阪駅を通り過ぎ、兵庫県の芦屋駅に着いたのは16時28分。そのまま真っ直ぐ今日の宿・芦屋駅前の「ホテル竹園芦屋」にチェックインする。
 「青春18きっぷ」はチョ~割安で便利で使いやすいとはいえ、老体にはけっこうきついかも、やっぱし。

第2日目(3/11・晴→曇)六甲山登山
 快適な駅前ホテルでの7時からの朝食後、チェックアウトして芦屋のビル街を歩き始めたのは7時40分頃だった。ここ(JR芦屋駅の付近)は標高約15m。つまりきょうの六甲山横断トレイルは、六甲山最高峰931mまでの標高差をもろに登り、標高約360mの有馬温泉へ下るというものだ。若干のアップダウンもあるようなので、累積標高差はかなりなものになりそうだ。距離もありそうだし…、思わず気合が入る。朝の気温は摂氏約7度。ほどよい冷気が肌に気持ちよい。
 芦屋川を大正橋で渡り、その(桜並木の)右岸に沿って…バス待ちをしている通学や通勤の人波を横目に…北へ遡上する。阪急神戸線の芦屋川駅のガードを潜り、指導標に従って芦屋川を離れ住宅街へ入る。チョー高級住宅地として知られている六麓荘町(ろくろくそうちょう)が東に近いこともあるのか、一区画が大きめの高級住宅街的なムードだ。…何気に、次第に閑散としてきて、傾斜がきつくなっている。
 住宅街を抜け、「ロックガーデン・滝ノ茶屋」と書かれた看板の下を潜り、「大谷茶屋」も通り過ぎると、目の前が高座ノ滝だった。近くには藤木九三氏(1887-1970年:ロック・クライミング・クラブの創設者)のレリーフや木藤精一郎氏(1892-1975:やまゆき会の初代会長)の石碑があり、祠もあったりして、なんか厳かな雰囲気だ。高座ノ滝は思っていたよりも小さな滝で水量も少なくて、あぁこれはカメラ映りの良い滝だったんだ、と思った。…ここからいよいよ花崗岩の岩登りだ。
 岩登りといっても(一般登山道については)ホールドもスタンスもしっかりと整備されていて、たぶん子供でも(もちろん私達でも)安心安全に登ることができる。とはいえ、崩れやすい岩質なので注意は必要だ。
 慎重にゆっくりと、芦屋ロックガーデンの中央稜を1時間ほども辿ると、市街地や大阪湾などの眺めの良い風吹岩(かざふきいわ)で、その岩上に攀じ登ったりして暫く時を過ごした。シーズンの週末などはハイカーでごった返していて、渋滞することもあると聞いていたけれど、平日ということもあり、この日はとても静かだった。
 “神戸の海で獲れた魚介類を有馬へ運ぶために利用したことから魚屋道(ととやみち)と呼ばれるようになった”とのことだが、阪神深江駅やJR甲南山手駅方面からのその由緒ある峠道が風吹岩の辺りで左から合流する。で、これからはその六甲越えの古道を北へ(有馬方面へ)進むことになる。
 風吹岩の少し先に横池があり、その静かな湖面も見物する。落葉樹のコナラ、ネジキ、シデ類、ナツツバキなどは葉を落としているけれど、マテバシイ、ヒサカキ、イヌツゲ、アセビ、アカマツなどの常緑樹の緑が陽に映えていい感じ。…葉の隅を白くした林床のミヤコザサが美しい。
 イノシシ避けの扉を開けてゴルフ場(芦屋CC)の中を通り、松林を抜けて、東屋のある雨ヶ峠も通り過ぎる。いい感じの沢を何回か徒渉してから、急坂の七曲りをくねくねと登る。と間もなく自動車道(県道16号線)に出て、その手前が一軒茶屋(この日は休業日)だった。汗を流して登ったら自動車が走っていた、という例の(登山がっかりバージョンの)あれだ。…まぁでも、六甲最高峰の山頂はもう近いので…時間的な目安が立ったこともあり…気を取り直して一軒茶屋の石碑の前で大休止にする。と、ここで事件発生。
 メロンパンやアンパンとサーモスの熱いコーヒーでのピクニックランチが終わって、さていよいよ山頂にアタック、と歩き始めたら佐知子が何やら騒いでいる。目薬をつけるために外したメガネが見つからない、というのだ。さぁ大変。ど近眼の彼女だから、メガネは身体の一部なのだ。
 私も一緒になって随分と(休憩した辺りを)捜したが、とうとう見つからない。「なんか勘違いでもしているんじゃないのぉ?」「でも…確かにここでメガネを外した…ような…」などと、段々と彼女の記憶も曖昧になってきたようなので、捜すのを断念して歩き出した。幸いなことに昔の(古い)メガネを予備としてザックに入れておいたらしい。

* 一軒茶屋の怪(後日談): これは帰路の東海道本線の車中で判明したことだが、なんと、佐知子が座っていたすぐ脇にメガネが落ちていた。たまたま休憩場所の写真を撮っていたので、その足元を拡大してみて分かったのだ。(→下欄の写真)
 地面の色と保護色になっていて気がつかなかったこともあるけれど、私達はもっと遠くの周囲ばかりを探してしまっていたらしい。う~ん、残念。…佐知子は帰宅してからすぐに新しい眼鏡を購入したが、何れにしても、青春18きっぷを利用した経済効果はあっという間に吹き飛んだ。


 一軒茶屋からセメント道を登って電波塔の脇を通り抜けると、そこが六甲最高峰の広い山頂だった。一等三角点(931.28m)の標石と地味な方位盤などのある案外と殺風景な平地で、私達はちょっと拍子抜けした気分だった。春霞で少しもやっていたけれど、山頂部をぐるっと一回りして、市街地や海や近隣の低山群などの展望を楽しんだ。…そして、有馬温泉へ向かって、「温泉だ! 冷えたビールだ!」と念じながら、よく整備された魚屋道をひたすら下る。
 「有馬温泉癒しの森」というネーミングがされているようだが、この下山路もそれなりに自然な天然林だった。歴史的に人間臭い土地柄で…開発の煽りもあり…割と最近までは(特に明治の初めの頃がひどかったらしいが)六甲山はハゲ山だったと聞く。高度経済成長が一段落したころから(木材が輸入材にとってかわったころから)…ほっぽっておかれたおかげもあって…もちろん植林などの自然保護運動の成果もあって…徐々に緑を回復してきたのだろう。この地の森はどこを見回しても若齢だ。
 有馬稲荷神社経由のルートを辿って、観光客で賑わう有馬温泉の温泉街なども観光して、今日の宿「有馬御苑」にチェックインしたのは15時50分頃だった。

 「新日本百名山(山と渓谷社)」の該当項で、著者の岩崎元郎さんは「六甲山を歩くのであれば、芦屋→ロックガーデン→雨ヶ峠→七曲り~六甲最高峰→有馬温泉、の南北縦走のコースがいちばん」で「これは日本を代表する山歩きの名コースであろう」とまで云っている。半信半疑で読んだ岩崎元郎さんの見解だったけれど、実際に歩いてみて、なるほどとガッテンした。今回のこの変化のあるコースは、神戸市、芦屋市、西宮市、宝塚市などの街並みの背骨(バックボーン)ともいえる至近距離に位置しながら、自然を堪能することができる素敵なコースだった。

温泉マーク 有馬温泉「有馬御苑」: 神鉄有馬線・有馬温泉駅の近く、温泉街の中心部に位置する温泉ホテル。由緒ある金泉(含鉄-ナトリウム-塩化物強塩泉・茶褐色に濁る)と銀泉(単純弱放射能泉・無色透明)の両方の湯に浸かることができる。金泉は半循環で銀泉は循環式。私達が泊まった部屋の窓からは有馬温泉の街並みやそのバックの六甲山方面がよく見えていた。(→下欄の写真)
 豊臣秀吉も絶賛したという有馬温泉。神戸牛の牛しゃぶなどもとても美味しかったし…、1泊2食付き一人22,590円(税別)は、まぁ致し方のないところかも…。
 外部サイトへリンク 「有馬御苑」のホームページ

第3日目
姫路城の入口近くにて
雨の姫路城
第3日目(3/12・雨→曇)姫路城見物
 冒頭にも書いたとおり、この日は朝からの雨で、予定していた虚空蔵山登山をあきらめて、姫路城観光の一日となった。
 「有馬御苑」を8時半ごろにチェックアウトして、私鉄(神戸鉄道有馬線)の有馬温泉駅から三宮までは切符を買って、JRの三ノ宮から姫路まではスイカを利用した。姫路駅に10時8分に着いて、駅のコインロッカーにザックを預けて、それからまったりと姫路城や好古園などを見物した。…昼食は近くの食堂であなご丼を食べた。
 六甲山登山の翌日ということもあり、姫路城の天守閣までの標高差にはけっこう辟易したけれど、世界文化遺産にも登録されている歴史のある美しいお城を、殆ど一日をかけてじっくりと観光できたことは、とても良い思い出になったと思う。
 この日はJR尼崎駅近くのホテル(ホテルヴィスキオ尼崎)に宿をとる。夕食は近くのイタ飯屋で白ワインなどを飲みながら、佐知子はマルゲリータ(ピザ)、私はスパゲッティカルボナーラを食べた。

第4日目(3/13・晴)帰路に就く
 ホテルヴィスキオ尼崎の7時からの朝食後、一路(青春18きっぷ利用なので乗換えが多いけれど…)東京へ。今年から後期高齢者になる私達夫婦の、青春18きっぷを利用した山旅は、楽しい思い出をたくさん残して、無事に終了した。

 佐知子の歌日記より
 「青春18きっぷ」を持ちて行く芦屋駅まで七十路こえて
 六甲山すなわち眼鏡をなくしたと多分記憶にとどまるだろう
 姫路城白く美し 城内は戦に備える基地ではあるが



岩上に立って怪気炎!
芦屋ロックガーデン・風吹岩
証拠写真です
一軒茶屋の怪・・・

「有馬御苑」の部屋の窓から撮影
有馬温泉から六甲山方面を望む

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