No.474 熱海市の 岩戸山(いわとやま・734m) 令和6年(2024年)4月15日(月) |
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→ 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ 先月に登った熱海の裏山・玄岳(くろたけ・799m)が案外とよい印象だったので、今回はその北側に位置する(矢張り熱海の裏山の)十国峠~岩戸山を、いつものメンバー(夫婦)で歩いてみた。…結論を先に書いてしまうのは味消しかもしれないが、今回の岩戸山ハイキングコースも観光と展望と自然を(比較的楽に)楽しめる、しかも膝にやさしい、名コースだと思った。 熱海駅バス停の2番線から9時18分発の元箱根行き東海バスに乗る。所要時間は38分の筈だけれど、(原因は不明だが)途中の大渋滞で1時間以上はかかってしまい、十国峠登り口バス停に着いたのは10時半近くになってしまった。十国峠ケーブルカーの十国峠山麓駅から15分刻みで発車しているレトロなケーブルカーに乗り、山頂駅まで約3分(全長:316m・標高差:101m・片道370円)。観光客で賑わう十国峠の展望台から四周を眺めて悦に入る。峠と名付けられてはいるが、別名を白金山(ひがねさん・771m)というピークだ。 伊豆・相模・駿河・遠江・甲斐・安房・上総・下総・武蔵・信濃の十国を見渡せることが名前の由来、というが、なんとなくガッテンだ。この日は晴れてはいたけれどちょっと薄靄(黄砂かなぁ?)で、白銀の富士山などは背後霊のようにぼんやりとしていた。それでも伊豆・相模・駿河の三国くらいはよく見えていたので「きょうは三国峠かも」、と頭の中で揶揄してみた。 と…何やかやで、賑やかな十国峠展望台から歩き始めたのは11時を過ぎていた。今回のトレイルは山登りではなくて殆ど山下りである。開けた芝地を歩き始めるとすぐ、前を見ても振り返っても誰もいなくなって…、私達だけの静かな山歩きになった。 小型犬専用のドッグラン(天空のドッグラン)施設を過ぎ、「THE GLAMPING 箱根十国峠」という建物群…魅惑的なキャンピングという意味らしいが…異様な外見の宿泊施設の脇も通り過ぎる。それから源実朝の歌碑(*)や熱海白金霊園や姫の沢公園の入口や足元に咲くタンポポなどを横目で見ながら、なだらかに下る。平日ということもあるのか、それらの施設は何れも閑散としている。 * 源実朝の歌碑: 「箱根路をわが越えくれば伊豆の海や沖の小島に波のよるみゆ」・・・沖の小島とは初島のことだそうです。 「南無白金地蔵尊」の赤色の奉納旗に導かれて、白金山東光寺(真言宗の古刹・けっこうシブい!)をお参りする。それからハコネザサの茂る尾根道を東へ辿ると、道端の所々に「四十一丁目」とか「三十九丁目」などと彫られた丁目石が置かれている。そういえば、この区間は北側の湯河原方面からの「石仏の道」とクロスしている箇所でもある。それらの丁目石や古い石仏群に導かれて更に進むと、クサボケの咲く芝の広場(笹の広場=三十五丁目)に出る。熱海市街方面が望めるのどかな処だったので、ここでも小休止。辺りには満開の白花をつけたアセビが、赤い新葉とともに芸術的な美しさで私達を見下ろす。 笹の広場の分岐から指導標に従って来宮(きのみや)への道を右に分け、タチツボスミレやクサイチゴやミツバツチグリ(ヘビイチゴだったかも?)の咲く山道を正味約30分ほども進むと、案外と狭い岩戸山の山頂だった。熱海の温泉街や太平洋(相模灘)に浮かぶ初島などを眺めながら、三等三角点(点名:伊豆山村)の標石近くのベンチに座って大休止。何時ものメニュー、佐知子手製のおにぎりとゆで卵だ。デザートのチョコボールアーモンドを食べながらのサーモスの熱いコーヒーも旨い。 下山は更に東へ、天然林の尾根道を下る。けっこうな(登山道らしい)急坂だ。時間に余裕がありそうなので、ゆっくりと休み休み、辺りの樹種などをメモりながら下る。 * 下山道で観察のできた木本など(メモ順): ヤマザクラ、シデ類、エンコウカエデ、アカメガシワ、コナラ、モミジイチゴ(花)、サンショウ、クロモジ、ノイバラ、ツツジ類、ヒサカキ(多い)、シロダモ、ヤブニッケイ、イヌツゲ、ミヤマシキミ(花)、アオキ、タイミンタチバナ、そしてヒノキ、アカマツ、…等。林床の主はササ類(ハコネザサ、ネザサなど)。 ★ 伊豆山神社への下山道が分からない?? 岩戸山からの下山道。送電線が尾根を横切っているところ(泉越峠:七尾原の辺り?)で車道に出合ったが、じつはここからが大変だった。何故かはっきりとした指導標がなくて、右へ行ったらよいのか左へ行ったらよいのか、分からないのだ。地理院地図(電子国土Web)の該当ページをプリントアウトしたものと首っ引きで、あっちへ行ったりこっちへ来たり、ずいぶんと(伊豆山神社へのショーカットの道を)探し回ったが、よく分からない。これはと思う方向に下る階段には「通り抜けできない」との標示があったので行かなかったけれど、下山後にネット検索で調べたら、そこを強引に下っても伊豆山神社へ辿り着けたらしい。つまり…、現在は廃道になっている…? もしかして、例のあの(2021年7月3日の)熱海市伊豆山土石流災害とも関係しているのかしら…。 車道の何処かで右折して、伊豆山神社の本宮方面へ出る道もあったらしいが、結局もうイヤになっちゃって、やみくもに(熱海駅方面へ)下った。そして、水立(みずたて)というバス停から15時04分発のバスに乗って…そのバス停の3駅先が帰路に予定していた伊豆山神社入口(仲道入口)だった…無事に熱海駅前へ“下山”できた。でもやっぱり…何となく後味は悪かった。「何時か必ず再チャレンジして“道”を極めましょう!」と佐知子も云っている。 熱海駅前温泉浴場で山の汗を流してから、気分よく、家路に就いた。 熱海駅前温泉浴場についてはNo.472「玄岳」の項を参照してみてください。 佐知子の歌日記より 山道を探せず下るアスファルト 膝庇いつつダブルストックで 熱い湯がドットドットと溢れでる 五百円なり駅前温泉 |