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No.472 玄岳(くろたけ・799m)
令和6年(2024年)3月2日(土) 曇り時々晴れ

下山時に撮影
伊豆スカイラインから玄岳を望む

玄岳の略図
登山口の竹林(モウソウチク)
まず竹林を抜ける

油瀝青:クスノキ科クロモジ属
アブラチャンの林を抜ける

スズタケのヤブ漕ぎ
山頂部手前は笹薮

饅頭を押しつぶしたような・・・
玄岳の山頂部が見えた!

バックは箱根山方面・富士山は雲のなか
玄岳の山頂

前方は沼津・駿河湾方面
下山開始!
↑中央の山並みは沼津アルプス

晴れていればこの奥に富士山が・・・
氷ヶ池の脇を通る

熱海の裏山は展望抜群!

熱海8:05-《バス》-8:23玄岳ハイクコース入口~玄岳登山口(車道終点)~熱海新道陸橋~玄岳799m~西丹那登山口~氷ヶ池~熱海新道陸橋~14:20玄岳ハイクコース入口14:36-《バス約20分》-熱海駅・駅前温泉浴場(入浴)… 【歩行時間: 4時間】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


 寿命というか余命というか、はたまた年金の受給額と出費の関係というか、は段々と切迫してきたように感ずる今日この頃だけれど、日々の時間というかヒマというかはたっぷりとある。なので、自宅の最寄り駅から熱海駅までは青春18きっぷ(*)を利用した。都区内からだと熱海駅辺りからは青春18きっぷの方が断然割安なのだ。

* 「青春18きっぷ」とは: ご存じの方も多いとは思いますが、大雑把に云うと、JR線の普通・快速列車が1枚で1日乗り放題になるというフリーパスのことです。期間限定で、今春の利用期間は3月1日~4月10日。5枚綴りで12,050円(1枚2,410円)。ちなみに品川~熱海の往復乗車賃は(1,980円×2=)3,960円で、青春18きっぷ利用の方が1,550円ほどトクになります。もっと遠くまでだと、当然のことながら、その差はさらに広がります。

 という訳で、午前6時頃に東京都大田区の自宅を出て、JR東海道本線(在来線)を利用して、熱海駅に着いたのは午前7時59分だった。駅前のバスターミナル3番線から8時5分発の「ひばりが丘」行きの路線バスに乗り、玄岳ハイクコース入口バス停で降りたのは定時を少し過ぎた8時25分頃。指導標に従って徐にアスファルトを歩き出す。何時ものメンバー、妻の佐知子が先導する。
 玄岳登山口までの里道はけっこうな急坂だ。杖を突いて朝の散歩をしている老婦人に「がんばってね!」と声をかけられる。この地区の住人はきっと、みんな健脚なんだろうね、と会話した。
 バス停からゆっくり歩いて約20分、登山者用の(今は1台も停まっていない)無人で有料の駐車場が左に見えてきた。もう既に疲れ始めているので、この広い駐車場の一角を借りて、菓子パンとサーモスの熱いコーヒーで遅めの朝食を摂る。高曇りの空がなかなか明るくならないけれど、思ったほどは寒くない。佐知子のキーホルダーの温度計によると摂氏約8度。山歩きにはちょうどいい気温だ。
 登山者用駐車場の少し先が車道終点で、そこが玄岳登山口だった。暫くはモウソウチクの素敵な竹林が続き、それからはスギやヒノキの植林に交じってコナラやシデ類などの天然林が続く。森の脇役はイタヤカエデ(エンコウカエデ?)、ヤシャブシ、アカメガシワ、ゴンズイ、(テリハ?)ノイバラ、アカガシ、スダジイ、ヤブニッケイ(多い)、シロダモ(多い)、ヒサカキ、イヌガヤ、アセビ(少ない)、ツツジ類、ナツグミ、イヌツゲ、ヒイラギ、タイミンタチバナなどで、林床の主はスズタケやネザサ(?)などのササ類だ。熱海新道に架かる陸橋を渡った辺りにはアブラチャン(株立ち状なので分かりやすい)の目立つ区間があった。上部になるとミヤコザサが目立ってくる。山道の真ん中にテンだろうか、の黒っぽい糞が落ちている。何時ものことながら、森を歩いていると私はとても仕合せだ。
 玄岳は饅頭型の山容だから、つまり上へ登るほど傾斜が緩んでくる。樹林帯を抜けると空も抜けてくる。スズタケやミヤコザサなどのササ類をかき分けて進むと、おっとりとした広い山頂…熱海市の最高地点だ…に到着した。残念なことに富士山方面には雲がかかっていた。けれど、天城山などの伊豆の山々~沼津アルプス~駿河湾~沼津の街並み~愛鷹山塊~近くの箱根の山々~真鶴半島~相模湾に浮かぶ初島~など、360度の大展望だ。
 ササに隠れて見つけにくかった二等三角点798.46mの標石の近くに陣を取り、早めの昼食を摂る。ゆで卵や白菜漬物などをおかずに、海苔の香りが漂う梅干とおかかのおにぎり…みんな佐知子のお手製だ…を美味しく頬張って、ペットボトルのお茶を飲む。北西の風が強くて少し寒いけれど、ここでもまた私達は仕合せな気分に包まれる。
 静かだった玄岳山頂からはV字型に踵を返し、笹薮を漕いで北側の氷ヶ池方面へ下る。途中に伊豆スカイラインを右斜めに横切る箇所(西丹那登山口・西丹那駐車場が近い)があって、そこにはっきりとした標識がなかったこともあり、進むべき下山路がちょっと分かりづらかった。
 何れにしても、この氷ヶ池へ下る笹薮の遊歩道は十国峠や箱根駒ヶ岳などのパノラマ的な展望に優れていて、目が飽きない。所々にひっそりと生えているイヌツゲの容姿にも趣きがある。…まぁ、観光道路でも特に眺めに定評のある区間でもあるので、さもありなんと思う。かつては熱海高原として、風景の観光名所であったような記憶もあるが…。(今でもそうかも…)
 かつては氷を切り出したこともあったという氷ヶ池は、しっとりとした小さな堰止湖で、晴れていればその奥に富士山が水面に映えるらしい。池畔で一休みして、心眼で富士を見る。(^^;)
 伊豆スカイラインと熱海新道が交差する辺りもちょっとややこしくて分かりずらかったけれど、25000図のコピーと首っ引きで、何とか迷わずに熱海新道からの(楽な)道を下ることができた。右手を振り返ると饅頭を潰したような玄岳が横に大きい。
 熱海新道陸橋からは来た道を下って、玄岳ハイクコース入口バス停に戻ったのは14時25分だった。14時36分発の熱海駅行きには余裕で間に合った。さぁ、これからは熱海駅前温泉浴場で山の汗を流して、そしてそれからは…、何処かで冷えたビールでも…。(*^^)v

温泉マーク 熱海駅前温泉浴場: 「駅前」とはいっても、実際は駅前の裏・振興会館の1階に位置する人気の共同温泉浴場。男女別内湯のみの(銭湯的な)小さな浴場で、レトロ感は半端ない。熱海駅前振興事業協同組合が運営している。泉質はカルシウム・ナトリウム-塩化物泉。少し濁った感じで、口に含むと微かに苦味のある甘しょっぱい味。4~5人で満員のタイル張り浴槽で、もちろん源泉掛け流し。とはいえちょっと熱すぎるので、水を薄めての入浴となる。石鹸もシャンプーも置いていないので、頭などはお湯を何回もぶっかけて洗った。今度のときはシャンプーを忘れないようにしようと思った。入浴料は500円。とにかくよく温まる、いい風呂だった。
* この1ヶ月後(4月15日)、岩戸山ハイキングの下山後に同温泉施設を利用しました。もちろんこのときは石鹸とシャンプーも持参して、完璧な入浴を楽しみました。相変わらずのいい風呂で、源泉掛け流しはやっぱりいいなぁ~、と思いました。[後日追記]

 佐知子の歌日記より
 急な坂をスニーカー履き手には杖 地元老婆の日課の歩み
 富士山の近くに来たのに雲が湧く 恨み辛みの玄岳
(くろたけ)山頂



左の潅木はイヌツゲ
下山路にて:左奥は箱根山・右は十国峠方面

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