悪天候の(日本最高所の)稜線を歩く
第1日=中央本線甲府駅-《タクシー1時間30分》-広河原・大樺沢出合〜大樺沢二俣〜白根御池小屋 第2日=白根御池小屋〜大樺沢二俣〜八本歯のコル〜北岳3193m〜北岳山荘〜中白峰3055m〜間ノ岳3189m〜農鳥小屋 第3日=農鳥小屋〜西農鳥岳3050m〜農鳥岳3026m〜大門沢小屋〜早川第1発電所(農鳥岳登山口)-《宿の車5分》-奈良田温泉(泊)-《バス2時間40分》-身延線身延駅
【歩行時間: 第1日=3時間50分 第2日=7時間30分 第3日=7時間50分】
→ 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(北岳)へ
台風の影響か、特に肝心な第2日目は天候絶不調。で、静かな山歩き。とうとう景色はナアーンにも見えず、命からがら下山。北岳は「来ただけ」になってしまった。
北岳の山頂
間ノ岳の山頂
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北岳から間ノ岳を経て農鳥岳へ至るホワイトアウトの稜線では、ロストコースに気を付けながら、強風とアラレ混じりの冷たい雨から身を守るのが精一杯だった。要所では妻の佐知子と離れ離れにならないようにザイルで繋ぎ合った。きれいな高山植物が随所に咲いていたけれど、ゆっくりと観察もできず、メモっている余裕もなかった。
稜線縦走では日本の最高所を辿る人気のこのコースを、悪天候にもかかわらず予定通り歩き通してしまったが、後味はあまりよくなかった。されど「山」、ではあるのだが、年に一度の夏休み。あまりに悔しかったので、2週間後の南アルプスへの再チャレンジ[次項No.48仙丈岳]を決心した。
それにしても、ここいらへんの山小屋は、人間をブタ扱いにしているとしか思えない。一畳に二人とか小屋の主人の対応の悪さとかはまだ許せる。許せないのは料理の不味さだ。いくら何でも「工夫」と「心」がなさすぎる。特に酷かったのは農鳥小屋だ。ゴッタ煮みたいな鍋を小屋の宿泊客達が皆でつつくわけだが、その中に卵がいくつか入っていた。私の好きなゆで玉子だ。殻をむいて食べようとしたら「我々のだ」と小屋の主人に取り上げられてしまった。鍋に残ったのは(ダシの効いていない)スープと訳の分からないゴミみたいな具ばかりだった。従業員達の奥の部屋からはスパゲッティーミートソースの美味しそうな臭いが漂ってきていた。小屋の宿泊客たちは皆唖然としていた。ザケンナヨナ!
食い物の怨みは怖いのだゾ。
* 北岳 80センチ高かった: 平成16年10月16日付けの読売新聞社会欄によると、北岳の標高が、現在より0.8メートル高い3193.2メートルだったことが、国土地理院の測量でわかった、とのことだ。「三角点から約30メートル離れた岩場の方が80センチ高いことがわかった」
と新聞には書かれてあった。しかしちょっと思い出すと、そんな山頂、日本中にはウジャウジャあると思うけど…。
尚、北岳の標高の変更は1904年の測量以来100年ぶり、だそうだ。また、平成18年7月にはボロボロになっていた山頂の三等三角点の標石を102年ぶりに改修したそうだ。100年前の測量技術ってスゴかったんだなぁ。[後日追記 ]
奈良田温泉「白根館」: 御主人が下山口まで車で迎えにきてくれた。純日本風の落ち着いたたたずまい。商売熱心な御主人で、懐石風の料理も、総檜造りの「七不思議の湯」などもとても良かった。料金もリーズナブルなものだった。山小屋でイヤな思いをしてきた後だったから、特にそう感じたのかも知れないけれど…。 食堂食。塩化物泉。「日本秘湯を守る会」の会員旅館でもある。
「白根館」のHP
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