奥湯河原の滝めぐり No.486 天照山ハイキングコース 令和6年(2024年)11月24日(日) |
||
→ 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(天照山神社)へ 湯河原町の南側を流れ、相模湾にそそぐ小さな川は千歳川で、神奈川県(湯河原町)と静岡県(熱海市)の県境にもなっている。JR東海道線・湯河原駅前から奥湯河原行きの(午前8時発の)路線バスに乗り、その千歳川に沿った県道75号線を遡上する。道の両側は情緒ある温泉街の風景だ。 8時15分、私達夫婦は終点のひとつ手前の奥湯河原入口バス停で降り、千歳川の本流を左に見送って、支流の藤木川に沿った舗装道をゆるやかに上る。“千歳川の本流”とは云うが、実際のところはこちらの藤木川の方が本流らしいのだけれど…。 昭和のムードが漂う奥湯河原の閑静な老舗旅館街(広河原)を過ぎると林道っぽい道になり、緑も益々豊かになってくる。と間もなく、石鳥居と簡易トイレのある小広場(兼・無料駐車場?)に着く。ここが天照山ハイキングコースの入口で、ここから先は天照山神社の参道でもある。 左下に清流・藤木川の瀬音を聞きながら、その沢筋を遡上する。所々にスギ林も交ざるけれど、殆どはシイやカシなどの照葉樹とカエデ類やフサザクラなどの落葉樹がしのぎを削る、いい感じの天然林だ。 沢を金属製の小橋で渡ってから急坂をジグザグと登る。と、深い木立に囲まれた「去来の滝」や「天照山神社」や「白雲の滝」といった本コースの名所が次々と現れて、飽きることはない。特に白雲の滝は思っていた以上に水量が多くて、見ごたえがあった。 ところが、登りつめて目がテンになった。その小広場の先は自動車道(椿ライン)で、天照山バス停の看板(標識版)がある。何とも不可思議な空間だ。 「このバス停が天照山ハイキングコースの終点…だな、多分」 「ここが、つまり山頂なの…???」 と、例によって(下調べのいい加減な)私達の無意味な会話が暫く続く。…振り返ると木々の隙間から近くの山並みがチラッと見えている。見上げるとマユミだろうか、その薄紅色の実が鈴なりに、青空に映えて抽象絵画のような美しさだ。 * この天照山バス停を通過する箱根登山バスの便(湯河原~大観山・箱根方面)は、現在は運休中です。 来た道を戻り、再び白雲の滝をじっくりと見物したり、天照山神社境内のベンチでおにぎりの昼食を摂ったりした。それから振出しの奥湯河原へ下って、右折して千歳川を池峯橋で渡って「もみじの郷」へ進もうとしたのだけれど、ここでも目がテンになった。なんと、復路に予定していた奥湯河原側からの「もみじの郷ハイキングコース」は…豪雨の影響で橋が崩落した為…通行禁止になっているのだ。これまた事前の情報収集不足の産物だ。 「もみじの郷」に未練はあったけれど、紅葉の見ごろが予想していたよりも遅れていたこともあり、きっぱりとあきらめた。そして「こごめの湯」までは県道75号線をだらだらと下ることにする。 ところがこの県道歩きが…途中にある「五段の滝」や「不動滝」や「だるま滝」の滝見物などもできて…退屈しなかった。これで「白雲の滝」と「去来の滝」を併せて湯河原五大滝のすべてを観賞することになった…。嬉しさも中くらいだ。 超ゆっくりと気分よく歩いたこの日。「こごめの湯」に“下山”したのは午後2時頃だった。 湯河原温泉「こごめの湯」: 「幕山から南郷山」の項を参照してみてください。 「こごめの湯」のホームページ * 天照山ハイキングコースで観察のできた樹木: スダジイ、シラカシ、ヤブツバキ、ヤブニッケイ、シロダモ、ヒサカキ、イヌツゲ、アオキ、ケヤキ、エドヒガン、イロハモミジやイタヤカエデなどのモミジ類(植栽されたものも含まれる)、ホオノキ、ヤシャブシ、フサザクラ、ミズキ、アカメガシワ、ヤマハンノキ、シデ類、マユミ、アブラチャン、スギ、モミ、イヌガヤ、など。林床のササ類の殆どはスズタケ。 * 蛇足ながら、今回は帰路の交通手段に(生まれて初めて)グリーン車を利用してみました。これがなかなか、割安の遅い新幹線といったところで、楽で、とてもよかったです。 * 総括: 展望に乏しい天照山ハイキングコースですが、白雲の滝などのいくつかの滝を巡る味わい深いルート設定で、所々に湯煙の立つ里歩きもなかなかでした。日曜日の割にはハイカーが少なくて、静かな山行を楽しめたのもよかったです。期待した紅葉にはちょっと早かったのが、少し残念でした。 この地のホワイトクリスマスが紅葉クリスマスになるかもしれない、というのが冗談ではなく真実味を帯びてきたかも、と思える今日この頃です。 |