千葉県勝浦市の岬めぐり(荒磯の道) No.488 八幡岬から官軍塚 令和7年(2025年)1月7日(火) |
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雄大な海景を満喫! → 地理院地図の該当ページ(八幡岬)へ おとそ気分もまだ明けやらぬ正月7日、二日酔いが続いて重たくなった胃袋を抱えて、いつものメンバー(夫婦)で初歩きをしたのは、夏は涼しくて冬は暖かいという千葉県の勝浦だった。前々から冬に歩くのには(寒がりの私にとっては特に)良い処かもと思っていた外房の海辺だが、際立った山が無いので…つまり「山歩き」ができないので…躊躇していた。ところが「分県登山ガイド・千葉県の山(山と渓谷社)」の50コースのひとつに勝浦の『八幡岬・官軍塚』の項があったことを…ふと…思い出して、無性に行ってみたくなった。コースの大半は「関東ふれあいの道(荒磯の道・延長8.4km)」になっている。 混雑している東京駅構内を随分と歩いて、京葉線のホームから7時15分発の「特急わかしお1号」になんとか乗車できた。「早めに自宅を出てきてよかったわね」と佐知子が云う。「東京駅の京葉線ホームがこんなにも深い地下にあって、山手線のホームから急ぎ足でも10分以上もかかるなんて、忘れていたよ」と私。ともあれ、ネット予約したチケットレス割引の指定席にどっかと座り、背もたれを少し倒して安堵する。電車が動き出すと、コンビニのサンドイッチと持参の(サーモスの)ホットコーヒーで朝食を摂る。出だしはまずまず順調だ。車内はがらがらで、閑散としている。 勝浦駅前の様子をぐるっと確認してから、歩き始めたのは9時の少し前だった。人通りの少ない市街地を通り、まず(有名な)勝浦の朝市を見物したのだけれど、平日ということもあって数軒の出店しか営業しておらず、こちらも閑散としている。 朝市をやっている通りから60段あるという石段…「勝浦ビッグひな祭り」で有名な冨咲(とみさき)の石段…を上り、遠見岬(とみさき)神社を参拝する。房総半島を開拓した天冨命(あめのとみのみこと)をお祀りするとのことで、なかなか立派な郷社だ。展望広場などからは勝浦市街や勝浦魚港(日本有数のカツオ水揚げ港だ!)方面の海の景色もすこぶる良い。本殿裏の御神木・枝を四方に張ったタブノキも立派なものだった。 この遠見岬神社が祀られている小さな山は宮山というそうだ。地形図(25000図)には山名注記のない山だが、等高線を読むと標高50m以上(60m未満)はあるようだ。う~む、一応「登山」だ。(^^;) 遠見岬神社のホームページ 勝浦漁港脇の海岸通りを南下して、狭いトンネルを二つ通り抜けると広い駐車場があって、そこからが八幡岬公園の敷地内だった。観光用の案内図を頭に入れてから歩を進めると、右手は勝浦湾で、近くに平島の鳥居が見えている。その向こうには…かつて私の趣味が磯釣りだったころに散々訪れた「黒鼻(くろっぱな・くろび)の磯」のある岬が見えていて、その左側はずう~っと太平洋だ。 岬の先端に位置する八幡岬公園をぐるっと散策。階段を上って八幡神社に参拝したり、「勝浦城址石碑」や「お万の方銅像」などをじっくりと見物する。そして、展望広場からも雄大な海景を堪能する。何気に、左側にはこれから向かう勝浦灯台(ひらめヶ丘)が見えている。 八幡岬から勝浦灯台~官軍塚の区間もなだらかな舗装道だったが、与謝野晶子の詩碑があるという植村記念公園を(知らずに)スルーしてしまったのがチト心残りだ。 勝浦灯台下も官軍塚の展望台も…地球の丸さが実感できるほど…太平洋の眺めが抜群だった。 養珠院(お万の方): ウィキペディアの該当項 官軍塚: 千葉県教育委員会サイトの該当項 * 八幡神社の周辺で観察のできた樹木: タブノキ、ヤブツバキ、モッコク(?)、マルバグミ(=オオバグミ)、マサキ、(エゾ?)ユズリハ、トベラ、ヤツデ、アオキ、など 殆どが舗装道歩き、というのが…「山歩き」のジャンルだとしたら…このコースの短所かもしれない。とはいえ、潮騒と潮の香りを(静かに)満喫するにはもってこいの散歩道だと思う。 官軍塚から勝浦市役所や警察署の脇を経由して勝浦駅へ戻ったのは12時の少し前だった。家路に就くにはまだ早いと思ったので、駅前のバス停から12時33分発の路線バス(小湊バス)に乗って、日帰り入浴ができるという「勝浦つるんつるん温泉」へ行ってみることにした。…ところが、これが大変な結末になってしまう…。 勝浦駅前から大多喜車庫行きのバスに乗って約15分、勝浦温泉入口バス停で降りたけれど、その勝浦温泉がどこにも見当たらない。バスの車内は閑散としていたが、この辺りも閑散としている。とりあえず標識に従って歩き始めたが、5分~10分と歩いても畑の中で、それらしい施設が見えてこない。 「なんかヤバくない~?」と焦り始めたころ、ようやく「勝浦つるんつるん温泉」へ着いたのだが、入口の看板『本日は13時30分から14時30分までお風呂清掃のため入場できません』にびっくり、目がテン・額にタテ線になった。またしても事前の情報収集不足に反省しきりの私達。復路の(少ない)バス便などの関係もあって、断腸の思いで…もう笑うしかなかったけれど…温泉入浴をあきらめて、急いで引き返すことになった。 * 勝浦つるんつるん温泉から引き返すときに分かったことですが、国道297号線上にある勝浦温泉入口バス停の近くにあった標識は自動車用の道標だったようで、徒歩の場合は細い道の短縮コース(近道)がありました。 何れにしても、この勝浦温泉の広報については公共交通(路線バス&徒歩)を利用する顧客をまったく想定しておらず、マイカー族専用の温泉入浴施設、の位置づけであるようです。 「勝浦つるんつるん温泉」のホームページ そしてそれから、勝浦駅近の食堂でまったりと時を過ごした。名物の勝浦タンタンメンにするかどうか迷ったのだけれど、やっぱり(佐知子も私も)海鮮料理をオーダーした。もちろんお酒もビールもたらふく飲んだ。おなかが空いていたのでとても美味しかった。 佐知子の歌日記より 波の音大小ありて勝浦の切り岸そっと君と歩けり バス停より徒歩二十分の温泉に着けば只今清掃中よ ---------------------------- 上総の勝浦(作詩・与謝野晶子) おお美しい勝浦 山が緑の 優しい両手を伸ばした中に 海と街とを抱いている 此処へ来ると 人間も、船も、鳥も、 青空に掛る円い雲も すべてが平和な子供になる 太洋で荒れる波も この砂の上で 柔かな鳴海絞りの袂を 軽く拡げて戯れる それは山に姿を仮りて 静かに抱く者があるからだ おお美しい勝浦 此処に私は「愛」を見た ---------------------------- |