|
裏磐梯・2泊3日の山旅日記 No.505 猫魔ヶ岳と雄国沼と五色沼 令和8年(2026年)8月24日~26日 |
||||
|
第2日目(8/25・雄国沼)=押立温泉…雄子沢登山口~雄国沼[往復]…裏磐梯「ペンション蛍」 【歩行時間: 4時間30分】 第3日目(8/26・五色沼)=裏磐梯「ペンション蛍」…五色沼自然探勝路・散策…東京 【歩行時間: 約1時間20分】 ●第1日目(8/24・晴): 八方台から猫魔ヶ岳 …首都高…東北自動車道…磐越自動車道・猪苗代磐梯高原IC-《車40分》-八方台駐車場・登山口~(猫魔ヶ岳やまびこ探勝路)~猫魔ヶ岳1404m[往復]…八方台登山口-《車20分》-押立温泉 【歩行時間: 2時間30分】 → 地理院地図の該当ページ(猫魔ヶ岳)へ 朝の6時半頃、東京都大田区の自宅を出て、首都高~東北自動車道~磐越自動車道とマイカーを走らせる。途中のサービスエリアで朝食を摂ったり、車窓からの移りゆく景色を楽しんだりしながらの…久しぶりの運転で少し緊張したけれど…快適なドライブだ。マイカーのカーナビがかなり古いので…長男に教えてもらった…スマホのグーグルマップも併用する。助手席では(もうとっくに運転免許証を返納している)妻の佐知子が、「ほら危ない! 車線をはみ出しているわよ。横見をしちゃダメでしょ!」などと、自動車教習所の教官のような口調で指示をする。 ここのところずっと公共交通を利用する私達の山旅だったのだが、先々月に受けた高齢者免許講習の際の、講師から聞いた話が…私が運転を再開する…背中を押してくれた。 教習所の講師は、意外なことに「高齢者はなるべく免許を返納しましょう」なんてことは言わなくて、「免許を返納した(講師の)知人が、それから急に認知症が進んでしまった」という話をされていた。つまり「安全のための諸々の注意点を認識したうえで、運転は積極的にしましょう!」ということなのだ。それを聞いて、はたとガッテンした。認知機能検査や運転技能検査や視力検査に合格したこともあり…少し自信がついて…免許返納は今しばらくさておいて、機をとらえてなるべく運転をするようにしょう!ということになったのだ。
という訳で、磐越自動車道の猪苗代磐梯高原ICから一般道へ出て約40分、磐梯山ゴールドライン上にある70台は収容できるという八方台駐車場(既に10台ほどが駐車)に着いたのは11時30分頃だった。ここは(東の)磐梯山と(西の)猫魔ヶ岳の双方の登山口にもなっている。軽登山靴に履き替えたりトイレへ行ったりストレッチしたり準備してから、今回初めて購入してみた「熊避けスプレー」がザックのサイドポケットに入っているのを慎重に確認する。それから徐に「猫魔ヶ岳やまびこ探勝路」へ足を踏み入れる。佐知子がお尻を振り振り熊鈴を鳴らしている。…そして暫く進むとブナの純林で、もう既に感動だ。 ブナ林の脇役はオオカメノキ(赤い実)、カエデ類(ウリハダカエデ、ミネカエデなど)、タマアジサイ(花)、ミヤマシキミ(青~赤の実)、ナナカマド(赤い実)、アカミノイヌツゲ…などで、林床の主はチシマザサ(ネマガリダケ)だ。草本の花は…季節がらか…キオンのような花が少し目立っているくらいで、殆ど咲いていない。…アブラゼミが鳴いている。アサギマダラが飛んでいる。どっかと道端に二人で座り込んで、羽生PAで買ってきたメロンパンを齧る。ちょっと高いメロンパンだったけれど、香ばしくてとても美味しい。 八方台登山口(標高1194m)と猫魔ヶ岳(標高1404m)の標高差は210mで、アップダウンはあるけれど、それなりに整備された…比較的になだらかな傾斜の…(若い)ブナ林の登山道を更に西へ進む。やがて安山岩質の最後の急勾配を登り切ると、そこが大展望の猫魔ヶ岳山頂だった。那須連山などの南面の遠くの山々は霞んでいたけれど、北面の檜原湖の彼方に連なる吾妻連峰は何とか同定できる。なんといっても近くの(東に聳える)磐梯山が大きくて、その右下の猪苗代湖などはよく見えている。 その岩ゴツの猫魔ヶ岳の山頂で一緒になった(私達と同世代と思われる)ご夫婦に話を聞くと、「雄国せせらぎ探勝路」で入山して雄国沼方面から登ってきたという。私達との会話が長引いたので…はっと気が付いて…来た道をいそいそと下って行った。「健脚なご夫婦だねぇ~」と、私達は会話した。…そして、私達二人だけになった静かな山頂を、心ゆくまで堪能した。 八方台登山口からの「猫魔ヶ岳やまびこ探勝路」はこの先、猫石を経由して雄国沼まで続いている。この猫魔ヶ岳の西側山腹は特に(伐採を逃れた)極相状態のブナ林(ブナの原生林)であると聞く。それも観察してみたかったのだけれど、歩き始めた時間も遅かったし、ちょっと残念だけれど、もうここから引き返そう、ということになった。雄国沼へは、明日、改めて「雄国せせらぎ探勝路」を利用して行くことにしよう。 ということで猫魔ヶ岳山頂で踵を返し、下りの復路もゆっくりと歩いて、八方台の大駐車場に戻ったのは15時20分頃だった。日が陰ってきて、涼しい風が火照った身体に心地よい。…ここから今日の宿・押立(おったて)温泉「さぎの湯旅館」までは車で25分ほどだ。 ★猫魔ヶ岳(ねこまがたけ)について(補足): 猪苗代湖の北、磐梯山の西に位置する円錐状火山。西側にカルデラ湖の(広大な湿原に咲く初夏のニッコウキスゲの群落で有名な)雄国沼があります。 猫魔ヶ岳の山頂には一等三角点1403.46m(点名:猫摩岳)がありますが、私達はその存在に気付かずに山頂から踵を返してしまいました。下山してから知ったのですが、私達が休憩した岩ゴツの(山頂標識のある)ピークから西へ(猫石方向へ)少し進んだ処にあったらしいです。ちょっと残念だったかも…。 なお、猫魔ヶ岳の山名由来については、化け猫伝説やネズミ退治のために猫王を山に祀ったためとする説など、諸説あるようです。[以上は日本山名事典(三省堂)、及びウィキペディアの該当項などを参考にして記述しました。] 福島県の猪苗代町は磐梯山、安達太良山、吾妻山の3座の活火山を抱え、源泉には事欠かない温泉地です。猪苗代・磐梯にはこの押立温泉の他、中ノ沢温泉、はやま温泉、沼尻温泉、天鏡台温泉など、数多くの源泉があります。 じつは、私はかつて…昭和37年(1962年)8月:この国の高度成長期の真ん中頃…自家用車で両親と東北旅行をした際、押立温泉に一泊した思い出があります。都会育ちの私にとっては木造茅葺の…時代劇に出てきそうな…当時の古めかしい建物の印象が強烈でした。そのときに父が撮った写真があったのを思い出して、古いアルバムをめくってみました。(→写真) 野口英世記念館などを見学したり…、少年時代の私の、かけがえのない(楽しかった)福島県の思い出です。 ●第2日目(8/25・曇・晴): 雄子沢から雄国沼
押立温泉-《車30分》-雄子沢(川)登山口~(雄国せせらぎ探勝路)~雄国沼休憩舎~雄国湿原[往復]~雄子沢登山口-《車10分》-裏磐梯「ペンション蛍」 【歩行時間: 4時間30分】 → 地理院地図の該当ページ(雄国沼休憩舎)へ 押立温泉「さぎの湯旅館」の6時半からの朝食後、チョー割安な宿泊料を支払って、笑顔でマイカーに乗り込む。緑豊かな磐梯山ゴールドラインを進み、昨日利用した八方台駐車場の脇を通り過ぎ、檜原湖手前のT字路を左折して国道459号を少し進むと、広くて閑散とした雄子沢(おしざわ)駐車場に着く。軽くストレッチしてから、雄子沢の左岸に沿った「雄国せせらぎ探勝路」へ足を踏み入れたのは8時15分頃。きょうもまずまずの空模様だが…、何気に、こちらの登山口にも「熊注意!」の立て看板。佐知子は熊鈴を、私はクマ避けスプレーを、引きつった笑顔で再確認する。 登山口から暫く進むと、なんと、昨日の「猫魔ヶ岳やまびこ探勝路」に勝るとも劣らない、ブナの純林だ。途中の短い区間にスギとカラマツの針葉樹林(植林帯)はあるけれど、行程の殆どは若いブナ林(当地の自然林=冷温帯林)で、眼も脚も心もずぅ~っとウキウキ感動だ。ブナ林の明るい緑って、ほんとうに美しくて素晴らしい。…小さな沢をいくつか跨いで、植物観察などをしながらまったりと登る。 こちらの(沢筋の)ブナ林の準主役は急傾斜地に多いミズナラで、脇役はサワグルミ、トチノキ、ホオノキ、オオカメノキ(赤い実)、カエデ類(ハウチワカエデ、コハウチワカエデ、イロハモミジ、ミネカエデ?、など)、ハリギリ、タマアジサイ(花)、などで、林床の主役は例によってチシマザサだ。所々でノブキが群生して白くて小さな円錐花序を咲かせていて、なかには放射状の実(一つ一つがひっつき虫です)をつけているものもある。ゲンノショウコやツリフネソウやホタルブクロも少し咲いている。キツツキ(アカゲラかな?)のドラミングが遠くから聞こえる。 植物観察に気を入れていたこともあり…若干のアップダウンがあるとはいえ…雄子沢登山口(標高約880m)からログハウス調の雄国沼休憩舎(標高約1100m)までの約3.3km(コースタイム1時間)を、2時間以上もかけて歩いた。まぁ、きょうの時間はたっぷりあるし…、そう、半日コースを一日かけて歩こう! で、雄国沼休憩舎(無人の避難小屋)の中へ入って「猫魔火山-磐梯山の兄弟火山-」と題するパネルをじっくりと読んだり、「雄国沼湿原」の案内板を予習したり、最近クマやカモシカなどの出た地点を示す展示の地図を恐る恐る見つめたり…、時間を過ごした。休憩舎の近くには背の高いオクトリカブト(ヤマトリカブトの亜種:別名アイズトリカブト)が咲き始めている。…そしていよいよ雄国沼(おぐにぬま)へ向かって、よく整備された遊歩道をゆるやかにアップダウンして下る。 雄国沼休憩舎からは距離にして1.5kmくらいはあっただろうか。ようやく雄国沼湿原の遊歩道入口(立派な木道)へ出て、尾瀬ヶ原にも似た広大な高層湿原の景観に感動する。しかも、何処を探しても誰もいなくて…見回りの林野庁監視員の二人と出遭っただけの…勿体ないほどの静かさだ。雄国湿原と雄国沼を、まるで二人占めしたような贅沢な時間が流れる。6月下旬~7月上旬にはニッコウギスゲの大群落でつとに有名な雄国沼湿原だが、多分、何時来てもいい処だと思う。 雄国沼の向こう岸の頭上には猫石の尖がりをつけた山体が見えている。そしてそのすぐ左奥に、昨日登った猫魔ヶ岳のピークも見えている。空は水色で、さざなみの立つ湖面は空色だ。緑の草原が手前に広がり、茶色の木道が景色にアクセントをつけている。ヤナギランの花が風に揺れている。まるで稲穂のようなアブラガヤの花序も風に揺れている。…秋には草紅葉が楽しめそうだ。 すたすた歩けば20分ほどで一周できる雄国湿原の遊歩道だけれど、私達は所々のベンチで休み休み、小1時間をかけてこの高層湿原を味わった。 それから雄国沼休憩舎に引き返し、広場のベンチで昼食にする。コンロで湯を沸かして、佐知子はビッグサイズのカップヌードル、私は普通サイズの「マルちゃんのきつね」だ。山で食べると何でも美味い。 眼も心もお腹も満足して、充実した気分で雄子沢駐車場に戻り着いたのは14時50分頃だった。 ●第3日目(8/26・曇): 五色沼自然探勝路
裏磐梯・ペンション蛍-《車5分》-裏磐梯高原・五色沼自然探勝路入口~深泥沼まで往復~裏磐梯高原・物産館-《車40分》-猪苗代磐梯高原IC…磐越自動車道…東北自動車道…首都高… 【歩行時間: 約1時間10分】 → 地理院地図の該当ページ(裏磐梯高原)へ 裏磐梯・2泊3日の私達の山旅の最終日、半日ハイキングを桧原湖にするか五色沼にするか迷った。ペンション蛍のご主人に相談したら、「桧原湖畔探勝路はクマが出るから平日はやめておいたほうがいい」と言われた。で、懐かしの「五色沼自然探勝路」を歩くことにした次第。 昔は(→No.64磐梯山:1998年5月)、確か「五色沼ハイキングコース」という名称だったよな、確か。とか会話しながら、ペンション蛍からマイカーで約5分の裏磐梯高原・五色沼自然探勝路入口の無料駐車場に車を止める。すてきな自然探勝路(遊歩道)を歩き始めたのは9時頃だった。 パンフレットの説明によると、「五色沼」は大小30ほどの様々な色彩をもつ湖沼の総称で、正式名称は「五色沼湖沼群」、ということらしい。28年前に同地を歩いたことは…殆ど忘れているけれど…緑豊かで湖面が美しかったことなどが微かに思い出される。 柳沼~遠藤現夢翁の碑~青沼~るり沼~弁天沼~竜沼~深泥(みどろ)沼、と全行程の約半分強を逍遥して…、時間の関係で歩いてきた道を引き返した。特に「青沼」と「弁天沼」の湖面の青が美しいと思った。 復路もゆっくりと見て回って、自然探勝路の入口に戻ったのは11時の少し前だった。駐車場脇の裏磐梯物産館に立ち寄って、福島名物の桃などをお土産に買った。大きくて高級な桃だけれど、宿泊料が(キャンペーンの旅行クーポンもあり)超安かったので、ここで散財することは全然気にならなかった。 きょうの昼食は、帰路のどこかのサービスエリアなどで、喜多方ラーメンでも食べてみようかなぁ~。 佐知子の歌日記より 気味悪き名前なれども心地よき緑の山の猫魔ヶ岳よ 大昔し親と来たんだと夫の言う押立温泉やさしく静か ゆっくりと静かな森を歩きつつ熊除け鈴を鳴らしつづける |