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No.66 日光白根山(奥白根山)2578m
平成10年(1998年)7月19日 曇り

奥白根山の山頂部(火口原)

「以北・以東最高峰」に憩う

JR上越線沼田駅-《バス》-吹割の滝見物-《バス》-鎌田-《タクシー》-丸沼温泉(泊)-《タクシー》-菅沼〜弥陀ヶ池〜奥白根山2578m〜避難小屋〜五色沼〜前白根山2373m〜湯元温泉(泊)… 【歩行時間: 6時間55分】
 → 国土地理院・地図閲覧サービスの該当ページへ


登山前日(7/18)
吹割の滝
吹割の滝

丸沼温泉ホテル前のほとりにて
丸沼温泉前の湖畔にて
登山当日(7/19)
バックが奥白根山
弥陀ヶ池通過

奥白根山山頂にて
奥白根山の頂上
 7月18日(登山前日): 沼田からのバスを途中下車して、利根村の「吹割の滝」などを見物。 吹割渓谷遊歩道(全長約2Km)をグルっと一周してみた。 凝灰岩の川床上を流れる片品川は、パンフレットの写真よりずっと水量が少なく見えた。 とてもよい処だが、「東洋のナイヤガラ」とは、いくらなんでも言い過ぎだろう。
  バスとタクシーを乗り継ぎ、この日は静かな湖畔の丸沼温泉に宿をとる。

丸沼温泉「丸沼温泉ホテル」: 丸沼のほとりにあるリゾートムードの一軒宿。 深い山と森に囲まれ、ロケーションは最高。 泉質は芒硝泉(単純泉)、掛け流し。 大浴場の「ニジマス風呂」など、とてもよかった。
  夕方と早朝、部屋の窓から見える沢山のイワツバメを観察してみた。 ホテルの軒下などに巣を造り、小さな昆虫などを捕食しているようだ。 木々との間を行ったり来たり、鳴声がやかましい。 少なくても5〜6百羽はいるだろうか…。 常に聞こえている鳴声は2〜3羽で、1回の鳴声がせいぜい2秒くらいの長さだから、単純計算すると、一羽のイワツバメは約7分20秒に1回だけ鳴声をあげる、ということになる。 一羽だけだと案外おとなしいんだな、なんて、愚にもつかないことを、そこはかとなく考えてしまった、静かな山旅の宿だった。
* 平成13年4月、丸沼温泉ホテルはリニューアルして、本来の名称である「環湖荘」と改称したようです。[後日追記]
  丸沼温泉「環湖荘」のHP

 7月19日(登山当日): 丸沼のイワツバメに見送られ、菅沼の登山口まではホテルで予約のタクシーを利用した。 登山開始は午前8時15分。
  弥陀ヶ池まで登ると、ドーム状の奥白根山の山頂部が雲と霧の隙間から顔を出した。 立派な山だな、と思った。 岩質は安山岩と玄武岩と凝灰角礫岩が主とのことだ。 この山名が由来にもなったというシラネアオイの季節に遅く、咲いていなかった。 もっとも、残念なことに、この花は当地では激減しているとのことで、今では見ることができたらラッキーということらしい。 そのかわり、フキに似た草が群落をなして黄色の花をつけていた。 すれ違った山歩きのベテランと思われるオジサンが、聞きもしないのに 「この花はマルバダケブキだ」 と教えてくれた。 三連休で人が多く、「先生」はいくらでもいるのだ。
  「この以北と以東において、日本のなかに標高の勝るものなし」 という奥白根山頂に着いたのは11時30分。 眼下の五色沼や、五色山から前白根山の稜線が箱庭のようによく見えたが、曇りのため、お目当ての山々(日光連山、尾瀬の山々、上州武尊山、赤城山など)が見えず、少し残念。 雲の切れ目から一瞬、燧ケ岳(と思われる)が見えたのみだった。 ま、雨が降るよりはいいか。
  登り返しの前白根の山頂から見た奥白根の眺望が素晴らしく、思わず振り返っての中休止となった。 「時間管理の徹底」がここでも図れず、下りでは苦戦を強いられることになった。
  とにかく急勾配で、キツい下りだった。 湯元に下山したのは午後5時5分。 足腰が痛い。 左膝が特に痛い。 「歳」を感じる昨今だ…。
  湯元温泉にゆっくりと宿泊して、明日は戦場ヶ原を散策してから帰路につく予定だ。

日光湯元温泉「奥日光小西ホテル」: 奥日光湯ノ湖北岸の閑静な温泉街に建つ温泉ホテル。 泉質は硫黄泉、白濁。 露天風呂あり。 内湯は石造り。 懐石風の料理など、高級感あり。 ただし、宿泊料金も高級。
  ここ湯元にもイワツバメが沢山飛んでいた。
  「奥日光小西ホテル」のHP

* イワツバメ(岩燕): 腹から腰にかけて白く、都会にいる燕などと比べ尾が短い。 冬はアフリカ、インドなどに渡って越冬する、のだそうだ。 (家に帰ってから野鳥図鑑で調べました。)

* その後: この年の暮(平成10年12月)に、丸沼スキー場のゴンドラが新設されたとのことだ。 ゴンドラの山頂駅は標高既に2000m とか…。 この白根山も益々登りやすくなっているようだ。[後日追記]

丸沼温泉の近くです
丸沼湖畔にて(登山前日)
前白根山付近から眺めた奥白根山
奥白根山と五色沼



*** コラム ***
以北最高峰について (平成18年11月)

  国内において北側にその山より高い山がない、という山を「以北最高峰」と呼んでいますが、じつはこの「以北最高峰」や「以南最高峰」などについての呼び方についてはそれほど昔からあったものではないようです。 埼玉県にお住まいのTさんによりますと 「昭和40年代前半頃にすでに存在していた言葉ではないか」、ということですが…。 確かに“概念”としてはあったような記憶が私にもありますが、それを「以北最高峰」という言葉で表していたかどうかは、私には確証がありません。
  以遠最高峰について薀蓄のある坂本茂さん(東京都小平市・都立高校教師・55歳)からは今回その一覧表の資料をいただきました。 坂本さんは1981年頃、深田久弥著「日本百名山」の火打山の項で、「緯度的に見て、火打より北に火打より高い山はない」 という記述を目にし、ちょうどそのころ登った奥白根山もこの種の山であったことなどから、「以北(遠)最高峰」という概念に興味を持ちはじめた、とおっしゃっています。 近年盛んに「以北最高峰」などの言い方や概念が使われ出していることに対しては、坂本さんご自身は非常に驚きを感じているようです。
  坂本さんはこうおっしゃっています。
・・・ 当時、地図帳を見ながら「以北、以南最高峰山列」原形の表を作った際、鳥海山が漏れるのは寂しいことだと感じました。 その後、建設省国土地理院編集:平成3年8月技術資料C・1−No202「日本の山岳標高一覧1003山」からの座標(経緯度)と標高を基にリストを作成しました。 今では地形図閲覧システムによりインターネットで調べられます。 ・・・
  この先にその山よりも高い山がないのですから、やはりその山はスゴい存在だと思います。 ロマンをさえ感じます。 以下に、坂本さんの諒解を得まして、坂本さんご自身の調査結果(一部改変)を公開いたします。 大変貴重で興味深いデータだと思います。

富士山(剣ヶ峯)を基点にした「以遠最高峰」山列の一覧です
以北・以南・以西・以東 最高峰山列
  緯度    標高 以北最高峰
35°21′39″ 3776 剣ヶ峯(富士山)
35°22′00″ 3756 白山岳(富士山)
35°40′29″ 3192 北岳(南ア)
36°17′21″ 3190 奥穂高岳(北ア)
36°20′31″ 3180 槍ヶ岳(北ア)
36°34′33″ 3015 立山(大汝山・北ア)
36°37′24″ 2998 剱岳(北ア)
36°45′31″ 2932 白馬岳(北ア)
36°46′25″ 2769 小蓮華山(北ア)
36°47′41″ 2611 雪倉岳(北ア)
36°47′55″ 2578 奥白根山(日光)
36°48′41″ 2483 女峰山(日光)
36°55′22″ 2462 火打山(頸城)
36°57′18″ 2356 柴安ー(燧ヶ岳)
43°39′49″ 2290 旭岳(大雪山)
43°41′34″ 2244 北鎮岳(大雪山)
43°41′56″ 2197 比布岳(大雪山)
43°42′28″ 2112 愛別岳(大雪山)
43°46′48″ 1883 ニセイカウシュッペ山
45°10′43″ 1721 利尻山(利尻島)
45°22′21″ 490 礼文岳(礼文島)
45°26′21″ 180 ゴロタ山(礼文島)
45°29′08″ 167 丸山(宗谷)
  緯度    標高 以南最高峰
35°21′39″ 3776 剣ヶ峯(富士山)
35°20′38″ 2693 宝永山(富士山)
35°20′17″ 2591 光岳(南ア)
35°19′49″ 2392 池口岳(南ア)
35°18′26″ 2332 信濃俣(南ア)
35°15′22″ 2329 大無間山(南ア)
35°14′08″ 2171 不動岳(南ア)
35°11′46″ 2067 黒法師岳(南ア)
35°11′22″ 2010 バラ谷の頭(南ア)
33°46′04″ 1982 天狗岳(石鎚山)
30°20′10″ 1935 宮之浦岳(屋久島)
30°20′01″ 1867 栗生岳(屋久島)
30°19′52″ 1860 翁岳(屋久島)
30°19′38″ 1847 安房岳(屋久島)
30°17′24″ 1734 ジンネム高盤岳(屋久島)
30°16′51″ 1638 鈴岳(屋久島)
30°16′23″ 1410 割石岳(屋久島)
30°15′56″ 1259 破沙岳(屋久島)
29°51′33″ 979 御岳(トカラ富士・中之島)
24°14′01″ 916
* (南硫黄島)
24°03′28″  60
* (波照間島)
20°25′30″   0
* (沖鳥島)
以西・以東 最高峰山列
  経度    標高 以西最高峰
138°43′39″ 3776 剣ヶ峯(富士山)
138°14′20″ 3192 北岳(南ア)
137°38′53″ 3190 奥穂高岳(北ア)
137°38′51″ 3180 槍ヶ岳(北ア)
137°38′37″ 3163 ジャンダルム(穂高・北ア)
137°28′49″ 3067 剣ヶ峰(御嶽山)
137°28′36″ 2959 摩利支天山(御嶽山)
137°27′54″ 2867 継母岳(御嶽山)
136°46′17″ 2702 御前峰(白山)
136°45′59″ 2684 大汝峰(白山)
136°45′31″ 2557 七倉山(白山)
136°45′13″ 2520 四塚山(白山)
136°44′03″ 2158
* (天池・白山)
136°43′50″ 2138
* (天池南・白山)
133°06′55″ 1982 天狗岳(石鎚山)
130°30′15″ 1936 宮之浦岳(屋久島)
130°29′33″ 1886 永田岳(屋久島)
130°29′09″ 1549 障子岳(屋久島)
130°17′56″ 1483 平成新山(雲仙岳)
130°17′32″ 1359 普賢岳(雲仙岳)
130°17′14″ 1347 国見岳(雲仙岳)
130°17′09″ 1333 妙見岳(雲仙岳)
130°04′35″ 1076 経ヶ岳(多良岳)
130°04′36″ 1057 五家原岳(多良岳)
129°51′25″ 979 御岳(トカラ富士・中之島)
129°42′50″ 796 御岳(諏訪之瀬島)
129°19′17″ 694 湯湾岳(奄美大島)
129°13′34″ 649 矢立山(対馬)
128°59′00″ 645 井之川岳(徳之島)
124°11′00″ 526 於茂登山(石垣島)
123°53′28″ 469 古見岳(西表島)
123°47′45″ 447 波照間森(西表島)
123°28′17″ 362
* (魚釣島・尖閣諸島)
123°00′20″ 231 宇良部岳(与那国島)
122°57′29″ 195 久部良岳(与那国島)
  経度    標高 以東最高峰
138°43′39″ 3776 剣ヶ峯(富士山)
138°43′46″ 3756 白山岳(富士山)
138°45′08″ 2693 宝永山(富士山)
139°22′33″ 2578 奥白根山(日光)
139°29′27″ 2484 男体山(日光)
139°32′11″ 2483 女峰山(日光)
142°51′15″ 2290 旭岳(大雪山)
142°52′47″ 2244 北鎮岳(大雪山)
142°54′21″ 2230 白雲岳(大雪山)
142°55′16″ 2158 小泉岳(大雪山)
142°55′56″ 2067 東岳(大雪山)
143°01′56″ 2013 二ペソツ山
142°02′07″ 1932 音更山(石狩山地)
143°10′35″ 1876 武利岳
143°11′00″ 1668 支湧別山
145°07′20″ 1661 羅臼岳(知床半島)
145°08′37″ 1564 サシルイ岳(知床半島)
145°09′41″ 1562 硫黄山(知床半島)
145°16′26″ 1254 知床岳(知床半島)
145°19′10″  992 ポロモイ岳(知床)
145°19′20″  652 ウイーヌプリ(知床)
145°36′00″   54
* (根室市)
145°48′10″   25
* (納沙布)
153°59′09″   9
* (南鳥島・マーカス島)
*印は山名注記のない山の標高点・基準点です。参考までに記しました。

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