No.96 一切経山から東吾妻山 平成11年(1999年)11月6日〜7日 |
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吾妻小富士の火口から東吾妻山〜一切経山を望む 静かな湿原は既に初冬の趣 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(一切経山)へ 磐梯吾妻スカイラインは11月5日から15日までは時間規制が布かれていて、通行できるのは7時から17時まで、とのことで、早く着きすぎた私達夫婦は料金所の手前で暫くの間待たされることになった。(16日以降は、道路は閉鎖されるらしい) その待ち時間を利用して、靴を履き替えたりザックの中身を点検したり、登山の準備をした。急に思い立った今回の山行、カメラや帽子を家に忘れてきた…。少しタルんでいた。普段の行ないがよくなかったせいか、晴れの天気予報が大はずれ。小雨が降ってきた。
午前9時、一等三角点のある一切経山の頂上へ着いた。ザレ土(火山礫)の広い山頂だ。雲と霧の合間から、近くの(吾妻連峰の)山々が見え隠れしている。北側の縁からは、足元に五色沼の神秘的なブルーの湖面…魔女の瞳だ!…が見下ろせる。北北西の風が強い。 文字通り「鎌」の形をした鎌沼や、なだらかな山容の東吾妻山などを眺めながら、もと来た道を引き返す。分岐で右へ曲がり、酢ガ平から鎌沼畔を通り、姥ガ原までは素敵な高原の散歩道だった。この辺は高山植物の咲き乱れる処だそうだが、なんとも言えぬ穏やかな景色は、花の無い今の季節でも「絶品」だった。絵心の無い私達でさえ、思わず絵を書きたくなるようなロケーション。日が射してきて風も止み、気温も幾分か暖かくなってきたこともあり、静かな鎌沼湖畔のベンチに腰掛けての大休止。陽だまりの中、至福のひとときを過ごした。 ササ原や、アオモリトドマツ(オオシラビソ)、コメツガ、ハイマツ、シャクナゲ、などの木々の間を登り、三等三角点のある東吾妻山のだらーんとした頂上へ着いたのは11時5分だった。残念ながら再び風と霧。期待していた磐梯山などの景色は見えそうもない。ドライブの途中で買ってきたレンズ付きフィルムで「証拠写真」を撮り、寒い山頂を早々に退散。南へ少し下った湿原の木道脇の簡易ベンチで、湯を沸かしてラーメンの昼食。ここいら辺もとてもよい処だ。 案外の悪路を下り、景場平を経て自動車道に出る。この自動車道を横切って浄土平までの針葉樹(黒木)林の遊歩道(鳥子平自然探勝路 2.8Km)がまたよかった。吾妻小舎の横を通り過ぎ、暫く行くと前方に吾妻小富士、左方に今日登った山々の姿が見えてくる。今回の山行、山で出遭ったのは数組の少人数のパーティーのみ、久しぶりに静かな山歩きを楽しめた。 浄土平へ戻ったのは午後2時50分。広い駐車場は何時の間にか満車状態、観光客で賑わっていた。そそくさと車に乗り、裏磐梯などの景観をフロントガラス越しに眺めながら、磐梯吾妻スカイラインを土湯峠へ南下。この日は幕川温泉に宿をとる。 幕川温泉「吉倉屋旅館」: 源泉は単純硫黄泉など3種類あり。露天風呂には湯の花がいっぱい浮かんでいた。内湯は檜造り。標高約1300メートル、ブナ林に囲まれた幕川の源流沿いに、もう一軒の宿「水戸屋」と仲良くひっそりと軒を連ねている。いろいろな意味で、非常に上質な温泉旅館だと思った。 落葉松の黄葉が辛うじて残っていた。宿の人の話によると、ここの紅葉の見頃は、今年は少し遅かったが、例年は10月10日前後とのことだった。来週末で今年の営業は終了するそうだ。もうすぐ吾妻連峰一帯は長い冬に閉ざされる…。 翌朝、再び浄土平へ行き、吾妻小富士に登り、まあるい火口を一周して、霧の切れ間から一切経山や東吾妻山などの景色をおさらいした。歩行時間は約1時間だった。 * カメラを家に忘れてきたため、今回はレンズ付きフィルムで撮影しました。 No.129西吾妻山: この2年後(平成13年8月)に、同じ吾妻連峰の西端に位置する連峰最高峰の西吾妻山へ登る機会を得ました。[後日追記]
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