No.97-1 都民の森から三頭山(奥多摩) 「森を守る」ことの難しさを学んだ |
|||||||||||||||||
INDEX @「森を守る」ことの難しさ: 1999年12月 A白い花たちの競演: 2009年6月 Bレンゲショウマが咲いていた: 2012年9月 C三頭大滝を見てきた: 2020年6月 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ
三頭山-その@ 「森を守る」ことの難しさ 多少の渋滞はあったが、東京都大田区の我家から約3時間ほどの運転で、桧原村にある都民の森(標高約1000m)の駐車場に着いた。都民が都民の森へ行くのに3時間もかかるなんて、「都民の森」って、はたして本当に都民の森なのかなぁ…。 * じつは、平成2年(1990年)に東京都西多摩郡檜原村と山梨県上野原市を結ぶ(笹尾根を貫く)甲武トンネルと栗坂トンネルが開通していて、中央自動車道の上野原I.Cからのアプローチならば(拙宅から)2時間ほどで都民の森に行けたようです。知らぬこととはいいながら、随分と身勝手なことを書いてしまい、またまた反省の日々を送る私です。m(__)m [後日追記] 都民の森の売店でおやきと朝鮮饅頭(なんかよく分からないが旨かった)を食べて、歩き出したのは午前10時30分。既に紅葉は終わっていて、山は冬に入っていた。 鞘口(さいぐち)峠を過ぎた辺りの枯木立の隙間から、奥多摩湖北岸の鷹ノ巣山などの山々(石尾根など)が見えてきた。その左側に見える広角三角形は雲取山。そのさらに左端に見える容量のある山は飛竜山(大洞山)だ。懐かしい山々を見たことで足取りも軽くなってきた。三等三角点のある三頭山(みとうさん)東峰1528mの展望台からは東(右)の方向に御前山や大岳山が展望できた。 最高点1531m(中央峰)を通過して三頭山西峰1525m(こちらを中央峰だと云う人もいる)の小広い山頂に着いたのは12時20分。南方に薄ぼんやりと、丹沢や道志の山々が見えている。その右側に、三ツ峠山を従えた白銀の富士山が、白い空に同化せず神々しく聳えている。それにしても、この山の3つ(くらいの)ピークの呼称については異同が多々あり、ちょっとやっかいだ。 → この後、山頂標識などが整理されて、すっきりとした表示になったようです。(後日追記) 落ち葉の復路、飽きることはなかった。ブナやカエデ類に混じりミズナラ、ダケカンバ、ナツツバキ、イヌブナ、ツガなどが目に付く。殆どの木は落葉しているので樹皮と樹形を楽しむことになる。所々にぶら下がっている樹木名の標板を頼りに、さらに樹木の観察を続ける。ヒノキ、カラマツ、シイ、ホオ、モミ、クリ、ミズキ、リョウブ、アセビ、ツツジ類…、沢筋にはシオジ、サワグルミ、カツラ、トチノキ、フサザクラなどが目立っている。…所謂ここは針広混交の自然林(雑木林)だ。 途中、「このあたりは東京では貴重なブナ林です」 との説明板が立っていた。それなら何故、沢山のブナの木を切って…たくさんのお金(都民の税金)を使って…、ここに「都民の森」を造ったんだろう、と少し不思議にも思った。しかし…、整備された登山道などのおかげで簡単に(安心・安全に)三頭山を往復することができたのだから、まぁいいか、と、妻の佐知子と小さな声で会話した。 「檜原都民の森森林館」でいろいろな展示物を見学したりして、「復習」してから帰路についた。 その都民の森の「森林館」には森の四季を映し出すマルチビジョンというのがある。きのこや樹木を検索できるパソコンなども設置されている。一歩表へ出ればすごい自然が待っているというのに、何故、都会の博物館のようなものがここに必要なんだろうか…、といった議論は別にするとして、この都民の森で、私達夫婦は「森の役割と森を育てることの大切さ」を学んだ。そして、「健全な森を21世紀に引き継ぐ」ことの難しさもよく理解できた。 * 帰り道、桧原温泉センター「数馬の湯」に、食事を兼ねて立ち寄ってみた。公営(村営)の割には従業員たちの感じは良く、ゆっくりとくつろげた。「数馬の湯」については次項「三頭山から数馬の湯」も参照してみてください。 * 三頭大滝: 下山後暫くしてから、山の友人に、復路(又は往路)、何故「三頭大滝」を見てこなかったのか、と叱責された。なんでも、東京にもこんなにいい滝が有ったのか、というほどの立派な滝なんだそうで、それならもっと早く言ってくれれば良かったのに、と、後悔先にたたず。(このず〜っと後日、三頭大滝を見物する機会を得ました。↓下欄へ)
三頭山-そのA 白い花たちの競演! 第50回目となった「山歩会」の定例山行に奥多摩三山の一峰・三頭山を選んだ。なんだこうだと云っても東京にブナの生い茂る、やっぱりいい山だと思ったからだ。今回は交通手段に電車とバスを利用しての、オーソドックスな山行を試みた。都民の森から三頭山へ登り、南東に伸びる主尾根(笹尾根)を進み、槙寄山(まきよせやま・1188m)を越えて西原(さいはら)峠から数馬の里へ下るルートだ。 曇り空で展望はイマイチだったが、沢筋にはマルバウツギが、山稜の林床にはフタリシズカやユキザサやミヤマガマズミが咲きそろい、コゴメウツギも小さく花をつけている。そんな、入梅時の白い花たちの競演があるからこそ、ベニバナノツクバネウツギの紅花がひときわ目を引いていた。 今回はブナ(シロブナ)とイヌブナ(クロブナ)の違いやコクサギの独特な葉っぱの並び方、腐生植物(*)のギンリョウソウの生きるための戦略などを勉強しながら、深山の趣のある稜線を楽しく歩いた。 都民の森を午前10時半頃から歩き始めて、数馬の里へ下山したのは午後4時50分頃だった。ちょうどいいボリュームの、展望も植生も素晴らしいハイキングコースだと思う。しかし…、登山口の都民の森まで、電車とバスを使うと(つまり公共交通機関を利用すると)大田区の自宅から3時間半もかかってしまうのは、やっぱり遠いと感じた。 「檜原温泉センター・数馬の湯」での入浴後…、生ビールの美味かったことは云うまでもない。 * ギンリョウソウについて: 腐生植物と云われてきたが、最近では「菌寄生植物」もしくは「菌従属栄養植物」と呼ばれることが多くなってきたようだ。菌根を作り、菌糸から根に栄養を吸い取っている、とのことで、つまりキノコに寄生しているということらしい。[後日追記] 檜原温泉センター「数馬の湯」: 三頭山や笹尾根縦走の下山後に立ち寄るにはうってつけの立ち寄り温泉。1996年に開館とのこと。公営(村営)の割には従業員たちの感じは良く、ゆっくりとくつろげる。 泉質はアルカリ性単純泉、加熱循環。無色透明無味無臭。石タイル貼り。小さいが、露天風呂、サウナ風呂もある。中央高速「上野原インター」から約50分。バス利用だとJR武蔵五日市駅から約1時間。緑豊かな秋川渓谷に位置する。利用料は大人一人800円(タオル付き) → この後、利用料金は880円になり、タオル付きのサービスは廃止されました。平成24年3月にリニューアルしています。(後日追記) 「数馬の湯」のHP
三頭山-そのB レンゲショウマが咲いていた! ダルになってしまった身体を引き締めるための、佐知子と友人(もちろん女性です)のアベック登山。ほとんど前回と同じコース(都民の森〜三頭山〜西原峠〜数馬の湯)で歩いたとのことです。 帰宅した彼女に感想を尋ねたら 「残暑厳しい東京よりずっとマシな涼しさで、初夏でもないのにやっぱり緑がきれいだと思った」 とのことだった。その後に続いて…下山地の温泉入浴(数馬の湯)がよかったことや、帰路の何処何処で食べた何何が美味しかったことなどの話…が延々と続くのだけれど…。 デジカメで撮ってきた写真は全部ピンボケだった。機能充実の今のデジカメで、どうしたらこんなにピンボケばっかり撮れるんだろう、と不思議に思ったが、あまり追及すると可哀想な感じだったので、何も言わなかった。数枚撮ってきたその写真の中に(比較的にピンボケ度の少ない)とてもきれいな花が写っていた。どこかで見たことがあるような〜と思ってちょっと調べたらやっぱりレンゲショウマだった。 「へぇ〜、三頭山でレンゲショウマを見ることができるんだ〜」 と私が佐知子に話しかけたら、「えっ? その写真って、自生種のレンゲショウマという花だったの? 里の園芸種が飛んできたのかも、と思っていたわ」 と彼女は(私より)びっくりしていた。 * レンゲショウマの他にもホトトギス、カメバヒキオコシ、ツリフネソウ、キバナアキギリ、セキヤノアキチョウジ、アキノキリンソウ、オヤマボクチ、タムラソウ、などが咲いていたそうです。 |