>>ほうがん | < >

「バイファム」第45話感想

前話(第44話)から?日経過。そう日はたっていないはず。地球軍と接触するべく、彼らの指定した星域へ向かう航海が続く。今回、絵が辛かった。
ジェダに「両親が無事とわかってよかったですね」と言われたということは、ジミーとカチュア以外の子どもたちの両親は全員生きているということになる。かなりさりげないセリフなので要注意。
そしてやや唐突にデュボアが、子どもたちがカチュアをずっと守ってきてくれたことに感謝する。私たちがこれからやろうとすることを君たちはすでにやっている、と。ジェダも、ククトニアンと地球人がうまくやっていけることをあなたたちが身をもって証明したと彼女にあわせる。ああ、なんだか子どもたちのあずかり知らないところで勝手にまつりあげが始まっているような。
ペンチがルチーナの誕生日の話を持ち出して、女の子主導のイベントが始まる。女の子だけで集まって何かやるって、第22話の下着裁縫以来かも。
しかしシャロンでも星占いなんてやるんだね。でもねー、イプザーロンじゃ星座の見えかた全然違う(はずな)んだけど……。星の明るさだって近くにあるから明るく見えるだけの星だって多いはずだし……。イプザーロンでは「聖闘士星矢」ははやらないんだよー。
マルロの誕生日ではないわりに、マルロの注文が多い。こんなでっかいデコレーションケーキ->ホットケーキ->アイスクリーム。だんだん小さくなるのはシャロンにどやされたから。ただシャロンは「オレたちだけでも誕生日のおいわいやってやる」と基本的には気前いい。
誕生会の飾りを作るカチュア、ペンチ。カチュアが造花をこしらえるのは、ケイトの葬送のときと同じ。表情が暗いのも。でも、机の上に土足で上がるのはやめておいたら? 沈むカチュアに、マルロが「おねえちゃん、どうしたの?」と。よく考えると、自分がククトニアンと知ってしまってから、彼女には誕生日もなくなったわけだ。
クレアとマキは料理。「腕によりをかけておねえちゃん、がんばるからね」とマキ。
いまだ誕生会のことを知らないらしい男の子連。ジミーのけん玉で遊んでいる。ジミーはけん玉なんてどこから見つけたんだろう。避難するときにわざわざ持ってきたのか、それともジェイナスの中にあったのか。
そこへシャロンがやってきて何かプレゼントを見つけろと。「穴にさきっちょを入れる」、「穴をさきっちょに入れる」ってヒワイかも……(失礼)。
年長組の男の子たちは、誕生日と聞いて感慨にふける。ベルウィック以来よく生き延びてきたと。「奇跡だな、まったく」とバーツ。彼はさらに「キャップ、これもひとえにあんたのおかげだよ」と言ってスコットを照れさせる。
「プレゼント」からカチュアとジミーに話が転じるのは、少々強引。「カチュアとジミーに何かしてあげる」べきなんじゃないかとロディ。しかしねー、いったい何をしてあげられるんだろう。物質的なことより精神的なことのような気がするが。バーツもスコットもわからず、「宿題」に。
それにしても(ジェダが、今までつらい目にあってきたんだから、楽しいことはいくらあってもいいと言ったのに答えた)デュボアの「そうね、ね?」に顔を赤らめて「はっ、はい、僕もそう思います」と返事したスコットはけっこうほれっぽいかも。クレアがいなくてよかったこと。
ククトニアンにもクリームがあるらしい。それともあのマークは単に「攪拌」なのかな。ということでマルロのお望みどおりケーキができあがりつつある。マルロはあいかわらず自分の誕生日でもないのにはしゃいでいる。「あ、のどちんこ」とか。
クレアのお尻にはね飛ばされて、マキのお尻に顔を突っ込むケンツのかわりをしたい。こうしてみると男どもは何だか本当にただ待っているだけみたいだなあ。
そしてケンツは「来月の9日」が自分の誕生日なのでと誕生会に便乗する。しかし、「来月の9日」なのに、その日が「1週間も先」とは、変わったこよみだ。
普通、ケーキってみんなでわけるもんだと思うんだけど、そこまでして取り分を多くしたいのか? それでもクレアとマキのOKが出て「2人とも今日はまことにきれいであります!」とおせじ。マキは「ナマ言うんじゃないの、『今日』はよけいなの」。マルロとルチーナは「よろこんでる」、「かわいいものね」。
うかない顔のカチュアはジミーがいないのに気づいて探しに行く(第11話っぽい?)。彼女を追いかけてロディは、あのあと(第44話)、自分がジミーにも今後のことをきいたら、「カチュアが行くなら自分も地球に行く」という返事をもらったことを伝える。だがカチュアはまだ迷っている。ロディは、コロニーの両親に会うのは戦争が終わってからにすればいい、そして地球では俺たちがついていると繰り返す。だからー、地球じゃ離ればなれになっちゃうってば。
暗い廊下で、カチュアの肩に手を置いて説得するロディ。ほとんど逢い引き。そばを通りかかったシャロンが急いでいなかったら何と言われたことやら。
「ロディ、この戦争、すぐ終わると思う?」
「終わるさ!」
「本当にそう思う?」
「カチュア…」
ミューラァもいなくなったことだし、向こう側の状況を描写する必要もないと思う。無粋な連中が攻撃を画策。どうして追いつけるのか不思議だ。態勢を立て直すのにもかなり時間がかかったはずなのに。「この前は血迷ったミューラァに邪魔されたが、今度は抜かるな!」
倉庫の中でルチーナにあげるプレゼントを探すケンツ。空薬莢くらいしかないって言ってたけど、「レディ」にそれはないんじゃない? ま、大事なのは気持ちだけど、そうは言ってもねえ。
ケンツは倉庫の隅で落ちこむジミーも見つける。彼は自分の誕生日が過ぎてしまったと言う。敵が攻めてきてるときだったから言えなかったのだと。ケンツはジミーのぶんもいっしょにやろうと言うが、ジミーが落ちこんでいた理由は本当にそんなことだったのだろうか?
ルチーナが本当に「5歳」に。「これでまたマルロのお嫁さんに一歩近づいた」わけだ。それにひきかえ気のきいたことの言えないケンツは、ジェダとデュボアも参加しているのに「残虐非道なるククトニアン」とは……! 非常識も甚だしい。悪気はないんだろうけど、ねえ。ちなみに、彼のセリフによれば、「かえりみますれば、第1次クレアド戦役からはや半年」だそうで「バイファム」は半年くらいの物語らしい。ただ、第n次って呼びかたは少なくとも第2次が出てから生まれるものなので(たとえば今(2000年)、湾岸戦争を第1次湾岸戦争と呼ぶ気はしないように)、この呼称がケンツが勝手につけたのでないとすれば、クレアドで地球軍の巻き返しがあったと考えるのが適当になる。
日用品にも不自由する中で、何とか工夫してプレゼントを探しだす13人。昔、うちが貧乏で、友だちの誕生日にあげるプレゼントがなかった(買う金をくれなかった)ことがあるので、あげるものを見つけられた彼らがうらやましい。とにかくみんなできる精一杯のことをやる。
マルロは巨大な宝石(ガラスだろうけど)を、フレッドは自作の工作品(「歌うテープ」って言ってたような)を、ペンチはどうやら自作の詩らしい(それともお絵描き用にノートだけあげたのか…)。
そしてジミーはお守り=ギャンザーのしっぽ。こんなのどうやって手に入れたんだ??ほかにもエリマキガエルの歯(カエルに歯はないんだけど、ベルウィックの生き物だろうからなあ…)は幸運のお守りらしい。うさぎの足みたいなものかなあ。なんとなくジミーが勝手に決めたんじゃないかって気もするけど……。
ケンツはジミーの誕生日が過ぎちゃったことを発表、クレアは手際よくローソクを追加する。このローソクはジミーのなのかなあ。カチュアが真っ先に拍手する。一息で消すローソクを勢い余ってクリームまで吹き飛ばす(よく考えると危険なような)。顔や髪にクリームをくっつけたクレア、「おいしい、アハ」。マキは帽子をとっている。
カチュアはやっぱり元気がなく、デュボアに心配される。彼女は、「ご両親が亡くなったってあの子?」とジミーを見てカチュアに尋ねる。そういえば、カチュアの育ての親が死んだってことはみんなに伝わっているんだろうか? デュボアは3人にククトニアンの笛を渡す。
ここでまったく具合よくアイゼルが最後の攻撃をしかける。パーティは台無しになり、「誕生日くらいのんびり」させられたケンツにかわって、マキとカチュアがトゥランファムに乗り込む。
ロディは今回も甘ちゃん。なーにが、「俺にはわかる」だ。カチュアの「この戦争、すぐ終わると思う?」という問いにもまともに答えられなかったくせに。出撃時にそぐわないモノローグをするのもよしなさい。どうも後半の彼は妙な役どころを押しつけられて、ちぐはぐなキャラクターになってしまったように見える。敵と戦う前にカチュアとジミーの話をするあたりからしていまいち気にくわない。
前話にああいう戦闘をやっておいて今回はしつこいという気もする戦闘は大苦戦。バイファムの盾が、ネオファムとトゥランファムのスリング・パニアが吹き飛び、旅の「終わり」が間近に感じられる。
船の子どもたちはやっぱりすることがなく、ケンツもそれを感じている。ジェイナスなら援護できるのにと。戦いのさなか、ジミーはケンツに自分のハーモニカを渡す。パーティをやってくれたお礼にと。ジミーは本当に友人を大切にするやつだ。滅多に心を開くことはないけれど、一度認めたら一生、というタイプ。この歳で天涯孤独の身の彼には、いい友だちになることを願う。(しかし、彼はそれでもカチュアを選ぶのだ。)
ルチーナは、落としてしまったジミーのギャンザーのしっぽに手を伸ばす。今回もパンツが妙に描き込まれていた。そんなことはさておき、ああして、たとえ嫌いでも、危険な状況でも、贈り物を拾うのは、彼女のいいところ。
しかし、残っていた2機のギャドルのうち1機も撃墜され、一行は窮地に。ジェダはコースから外れてしまうのを承知で逃げることを決意しかける。そんな中でもロディの「カチュア、無理するな。みんな一緒に地球に行くんだ」に心が揺れるカチュア。しかしそれ以前にそういうセリフを戦闘中に言わせるなと言いたい。
ジミーのお守りがきいて、地球軍が来てどうにかきりぬける。この登場のしかたが、平面的でなくて(艇の「上方」から現れたので)ちょっと感心。ただ、RVでないのが謎。ああいう戦闘機はたいていやられ役なんですけど。結局オタの出撃が見られなかったのが心残り。地球軍の「我々が来たからにはもう大丈夫です」は今さらよう言うよという感じ。
スコットは「やったよクレア」とクレアに抱きつき、フレッドはペンチの肩に手を回す。この2組はもうすっかり仲良しさん。ただしクレアとペンチには相手への温度差があるかも。歳の差か?
そういえば、さすがに今回のパーティではアルコールが登場しなかった。
原画
佐々門信芳、桜井芳久

Vd: 2000.5.5, Vd: 1998.8.6