「私達の山旅日記」ホームへ

No.101 霧島山(韓国岳・高千穂峰)
平成12年(2000年)3月18日〜19日 レンタカー利用

霧島山の略図
九州南部の山旅3日間(前編)
韓国岳と高千穂峰を別々に登る

《レンタカー利用》 第1日=宮崎空港-《車90分》-えびの高原〜韓国岳1700m〜硫黄山〜えびの高原-《車15分》-硫黄谷温泉 第2日=硫黄谷温泉-《車15分》-高千穂河原〜高千穂峰1574m〜高千穂河原-《車》-指宿  第3日=指宿…開聞岳…鹿児島空港
 【歩行時間: 第1日=2時間15分 第2日=2時間30分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(韓国岳)へ
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(高千穂峰)へ


3月18日(第1日目・韓国岳登山) 晴れ

 羽田発午前6時25分・ANA601便・宮崎行に搭乗。全国的に晴れ。羽田空港の滑走路から富士山がよく見えた。霧島へは鹿児島空港からの方が近いのだが、鹿児島行きの飛行機は始発便でも羽田発7時55分とのことで、少しでも時間に余裕をもたせたかったこともあり、宮崎経由を選んだ。
 宮崎空港で予約しておいたレンタカーに乗り、宮崎自動車道を西へ向かう。カーナビ付きの自動車を初めて運転したのだが、このカーナビがなかなかの優れもので、方向オンチの私達夫婦にとっては強い味方になってくれた。小林インターで高速を降り、暫らく走って、えびの高原の韓国岳登山口バス停近くの駐車場に車を止める。途中、モクレン(コブシだったかも)があちこちで咲いていたが、新緑の季節には全然早すぎた。
岩だらけの山頂部
韓国岳の山頂部

韓国岳から望む高千穂峰と新燃岳(右手前)
高千穂峰を望む


韓国岳から見下ろした大浪池
大浪池
 登山開始は午前10時10分、まず石の階段を登り始める。そして赤いゴロ石の目立つ急坂や、歩きづらい丸太階段などを登りきり、五合目で小休止。ここからは幾分傾斜が緩くなる。振り返ると、えびの高原やその奥の白鳥山などが見えている。潅木帯を抜け、さらに高度を上げる。
 山頂近くの吹きさらしの岩稜から、左下に広がる韓国岳(からくにだけ)のまあるい火口を恐る恐る覗き込んでみた。地形図で調べたら、火口の直径は約900メートル、深さ(火口底と韓国岳山頂との落差)は約280メートルだった。
 岩だらけの頂上に着いたのは午前11時40分。気温摂氏約11度、西の風が強く少し寒かった。東京を発ってから僅か5時間15分の後に、霧島連峰の最高峰に立っている自分達自身が、何故か信じられなかった。南東の方向、春霞の中、新燃岳(しんもえだけ・1421m)の左奥に、ぼんやりと、両翼を広げた崇高な高千穂峰(たかちほのみね・1574m)が、横長の「山」という字の形に見えている。あぁ、ここは九州の霧島山なんだ、と、そのとき初めて実感した。
 足下の火口を眺めながらの、山頂での大休止。吸い込まれそうな高度に少し恐怖を感じながらの食事だったが、持参したオニギリは大変美味しかった。食後、改めて山頂を歩き回ってみた。南西方向の眼下に伝説の火口湖、大浪池(おおなみいけ)が大きい。
 霧島山は韓国岳と高千穂峰を中心として23座の火山からなるという。(鹿児島県の案内板には23座、ガイドブックなどには22座と書かれているものや25座と書かれているものがあるが、一体どれが本当?) 山頂にはそれぞれ小火口があるらしい。鹿児島県の案内板によると完全な火口が15、大浪池のような水のたまった火口湖が10もあるとのことだが、なるほど、ここから見下ろした霧島火山の眺めは、クレーターの多い月の表面を見ているようだ。
 山頂から来た道を引き返す。下山口近くで往路を外れ、硫黄山を見物してみた。噴気の上がる賽ノ河原や大地獄小地獄などの様子は、火山独特のおどろおどろしいもので、こういう景色を見ると何時も背筋に戦慄が走る。
 駐車場に戻ったのは午後2時丁度だった。それから車に乗り、カーナビのアナウンスに従って運転していたら、あっという間に今夜の宿、硫黄谷温泉へ着いてしまった。何か、あっけない感じがした。新燃岳方面への縦走が可能だったかもしれない。コース計画に余裕を持たせすぎたかな。と、そう感じたのは、この日は天気も良く、体調も絶好調、交通などすべてが順調だったおかげだ。少し残念だったのは、薄靄のため、桜島などの遠くの景色が望めなかったことだ。でも、あとから思うと、それは少し贅沢過ぎる不満だった。贅沢な不満を持った私達に神罰が当たることになる。この翌日、天孫降臨の地、高千穂峰は雨だった。

硫黄谷温泉「霧島ホテル」: 林田温泉などとともに霧島温泉群の一角を担う、立派な杉木立に囲まれた、一軒宿とは呼びづらい、あまりにも大きな温泉ホテル。坂本竜馬も新婚旅行(?)でお竜さんと宿泊したという幕末からの歴史を誇る。1500名が同時に入浴できるという「硫黄谷庭園大浴場」は、広さ(560坪)といい湯量といい、とにかくスゴイ。泉質は豊富で、硫黄泉、塩類泉、明ばん泉、鉄泉など多彩。浴槽も大小各種バラエティに富んでいる。もう、ただただ呆れ返るばかりで、これには完全にマイッタ。究極の温泉、の、一つのカタチなのかな…?
  「霧島ホテル」のHP

硫黄山付近から韓国岳を望む
登路から韓国岳を望む
韓国岳山頂の三角点
韓国岳山頂の1等三角点
このページのトップへ↑

3月19日(第2日目・高千穂峰登山) 雨

 昨夜からの雨だったが、天気は快方に向かっているとの天気予報を信じて、予定通り高千穂峰(たかちほのみね)登山を決行。硫黄谷温泉を出たのは午前8時頃。高千穂河原の駐車場に車を止め、雨具に身を固め、歩き出したのは8時30分だった。どしゃ降りの雨にもかかわらず、何処かで小鳥たちが囀っている。思った通り人影は全く無い。
高千穂河原
高千穂河原からスタート!

少し霧が晴れてきた
馬ノ背越にて
 鳥居をくぐり、霧島神宮古宮跡を左に見送り、石積みの遊歩道を静かに登る。やがて道は赤茶色のザレとなる。この赤茶色の道の色にアカマツ林の緑色が映えて、とても美しい。でも、ゆっくりと景色を楽しんでいる余裕はその時の私達には無かった。汗がムレて息苦しい。カッパの首と胸のホックを外すと冷気が爽やかだ。気温は摂氏約9度だ。
 松林を抜けると、露岩と赤ザレの急坂になってきた。風を遮るものが無くなり、突風に佐知子のさしていた傘がオチョコになった。傘なんかさしている場合ではなかった。早くも私の古靴に雨水が進入してきた。稜線(馬ノ背越)へ出ると南風がいっそう強くなった。右下に火口(御鉢:直径約550m、深さ約200m)の底部がぼんやりと見えている。鞍部へ出て、最後の登りにかかる。視界約30〜40メートル。脱コースに注意しながら、ズルズルとすべる火山性の砂礫道をゆっくりと歩く。
 坂本竜馬とお竜さんがアベック登山をして、悪戯心で抜いてしまったという「天の逆鉾」の立つ山頂へ着いたのは午前10時10分だった。小さな山頂小屋は管理人常駐とのことだったが、戸には鍵が掛かっていて中へは入れなかった。少しずつ雲の切れ間が広がっているようだ。時折、霧が少し晴れて、御鉢や新燃岳が見えてくる。感動的な眺めだが風なお強く、アラレ混じりの雨が顔に当たると、とても痛い。
 30分間ほど寒さに耐え、山頂で時間を過ごし、10時40分に下山開始。雨も風も弱くなってきた。登りは歩きづらかった砂礫の道も、富士登山の砂走りじゃないけれど、要領を覚えてしまえば楽しく下山できる。砂礫がクッションになり、膝にもそれほど負担がかからない。
 下山途中からは霧も晴れてきて、待望の桜島の遠景も、薄っすらとではあるけれど望むことができた。ただ、昨日登った韓国岳だけは依然雲の中だった。
 この日、この山で出遭った登山者は4組の十数名だけ。しっとりとして静かな山歩きだった。
 高千穂河原の駐車場へ戻ったのは午前11時55分。昼飯前、だった。朝は私達の車だけだったのが、何時の間にか10台ほどの車が駐車していた。
 車に乗った途端、雨が完全に止んだ。指宿スカイラインを南下中、明日登山予定の開聞岳が、青空の広がる南の彼方にくっきりと見えてきた。

* 韓国岳と高千穂峰の別称について: 韓国岳(からくにだけ・1700m)の別称には空国岳・唐紅岳・西霧島山・西岳・筈野岳・雪岳・複の岳・御天井嶽・甑岳などがあるという。いっぽう高千穂峰(たかちほのみね・1574m)には鉾嶽・東嶽・矛峰・御岳様・御天井様・二上峰・東霧島山などの名もあるらしい。高千穂峰を東岳・東霧島というのに対して、韓国岳を西岳・西霧島と呼ぶこともあるそうだ。たくさんの別称に歴史を感じる。[三省堂の日本山名事典を参考にして後日追記]

次項・開聞岳 へ続く

天の逆鉾が立つ高千穂峰山頂
高千穂峰山頂
2等三角点と天の逆鉾などがある
間もなく高千穂河原に到着だ
赤ガレの道とアカマツ林
前方は高千穂河原


* 後日(2023年11月)、同山域を歩く機会に恵まれました。そのときの山旅日記です。
 →No.467「大浪池」
 →No.468「白鳥山・えびの高原の池めぐり」



左手の噴煙は硫黄山
えびの展望台から韓国岳を望む(2023年11月に撮影)

このページのトップへ↑
No.100「大楠山」へNo.102「開聞岳」へ



ホームへ
ホームへ
ゆっくりと歩きましょう!