「私達の山旅日記」ホームへ

九州南東部・4日間の山旅日記・その②
No.468 白鳥山(えびの高原・池めぐり)
令和5年(2023年)11月27日 曇りのち晴れ レンタカー利用

えびの高原の略図
えび色に染まるススキ野
えびの高原からスタート!
↑えび色に染まるススキ野

ここもえび色
アカマツの美林

二湖パノラマ展望台より甑岳を望む
六観音御池越しに甑岳
↑二湖パノラマ展望台より

バックは韓国岳
白鳥山の山頂

推定樹齢五百数十年
六観音御池畔の巨木杉
ブロッコリーのような照葉樹の自然林
綾の照葉大吊橋


ビューポイントだらけの自然探勝路

第1日目(11/26)=東京…宮崎空港…大浪池一周…霧島温泉
第2日目(11/27)=霧島温泉-《車15分》-えびの高原駐車場~えびの展望台~白鳥山南登山口~二湖パノラマ展望台~白鳥山1363m~北展望台~六観音御池~白鳥山北登山口~白紫池~白鳥山南登山口~えびの高原駐車場-《車100分》-綾の照葉大吊橋(観光)-《車90分》-都農 【歩行時間: 白鳥山=約2時間30分・綾の照葉樹林=約40分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ
第3日目(11/28)=都農…尾鈴山登山…青島
第4日目(11/29)=青島…双石山登山…宮崎空港…東京

 ※移動はレンタカー


*** 前項「大浪池一周」からの続きです ***

 霧島温泉「おやど花みずき」の朝風呂に浸かって、8時からの朝食…実際はその10分前頃には食べることができた…をそそくさと済ませ、チェックアウト。レンタカーの小型車を15分ほど走らせて、エコミュージアムセンターや足の湯や屋外アイススケート場などが近くにあるえびの高原駐車場に着いたのは9時少し前だった。駐車料金の500円を支払って、まだ1台も停まっていないガラ~ンとした一角に車を止める。今朝方からの雨がちょっと気になっていたのだが、この頃には上がっていて、気分よく歩き出すことができた。
 指導標に従って「池めぐり自然探勝路」へ進む。何気に、辺り一面のススキなどがとても赤く見える。ウィキペディアの該当項(えびの高原)の解説によると「硫黄山から噴出する亜硫酸ガスが酸化され希硫酸となりススキに含まれるアントシアンに作用するため」であるらしく「えびの高原の雨の多さ、秋の気温低下、強い紫外線などの条件も関与している」と考えられているらしい。葡萄色(えびいろ)に染まったススキが「えびの」の由来となったという説もあるようで、それはガッテンだ。晩秋(初冬かな)のいい時季に私達はこの地を歩いている。
 やがてアカマツの美しい林が続く。所々に「えびの高原の植物」とか「えびの高原の動物たち」などと題した丁寧な解説板が立っていたりするので、勉強になる。アカマツの他には(樹木名板なども参考に・観察順に)ネジキ、ヤマウルシ、ミズナラ、ツタウルシ、ナナカマド、モミ、ブナ、ハリギリ、ヤマグルマ、オオカメノキ、リョウブ、コハウチワカエデ、ムラサキシキブ、アカガシ…、そして関東に住む私にとっては珍しいハイノキ、カナクギノキ、キリシマミツバツツジ、コバノクロヅルなど、明るい森はけっこう多彩だ。植物で最古の「生きた化石」と呼ばれているヒカゲノカズラ(日陰鬘:常緑性のシダ植物)が、今朝の雨に未だ濡れていて、巨大なスギゴケのような感じで、足元に群生している様は美しいと思った。遠くでシカが「キーン」と鳴いている。
 白鳥山南登山口の分岐を左折して白鳥山を目指す。暫く登って二湖パノラマ展望台でも一休み。白柴池(びゃくしいけ)を隔てた韓国岳(からくにだけ・1700m)と不動池を隔てた甑岳(こしきだけ・1301m)がよく見えている。そしてなお少し登ると鉄塔(アンテナ群?)が見えてきて、その右手前の小広場が三等三角点の標石(点名:六観音・1363.04m)と立派な石造りの展望盤がある白鳥山の山頂だった。ここも展望が良くて、霧島山群が見放題だ。
 白鳥山の山頂で中休止の後、北展望台を通過して下り、分岐(白鳥山北登山口)を左折する。それからスギの巨木が林立する箇所を過ぎて赤い鳥居を潜る。と、ここもビューポイントの六観音御池の畔で、近くに六観音堂(豊受神社)がひっそりと建っている。直径約400mのコバルトブルーの湖面や、奥にくっきりと聳える韓国岳などを眺めながら、展望台の長いベンチで、菓子パンとサーモスの熱いコーヒーの(少し早めの)昼食を摂る。このころから日が照ってきて、とうとう青空が覗き始めたのだ。
 この六観音堂から先の…甑岳や不動池方面への…道は例の硫黄山の噴火レベルがこの7月に引き上げられた関係で通行止めになっている。なので少し残念だけれど、ここから引き返すことになる。
 帰路は白紫池の東岸を経由する。この直径約250mの火口湖は水深1m程であるらしく、かつては天然のアイススケート場として利用されていたという。冬場の霧氷の美しい所でもあるらしいが、今はただひっそりと昔日の面影を漂わせていた。
 白鳥山の南分岐からは来た道を辿り、大駐車場に戻ったのはお昼の12時頃。このえびの高原や辺りの霧島連山の風景をもう一度ぐるっと見回して、4月のミヤマキリシマや5月のノカイドウの花期などに、是非もう一度訪れてみたいと、ふと感じた。白鳥山の北山麓には日本武尊を祀る白鳥神社があり、そして白鳥温泉があるという。

* 綾の照葉樹林を垣間見る: えびの高原の池めぐりを堪能してから、くねくねした道を約1時間40分運転して、「綾の照葉樹林」の象徴として有名な「照葉(てるは)大吊橋」に立ち寄ってみた。今では世界的にも案外と珍しい(宮崎県綾町の)照葉樹の原生林を、是非とも見ておきたかったのだ。
 一人350円の入園料を支払って長さ250mの大吊橋を渡って、照葉樹林展望コース(遊歩道)を途中まで歩いてみた。で、それなりに暖温帯の原生の森を垣間見ることはできたのだけれど…、もっと時間が欲しかった。何時かまたシイやカシの生い茂るこの極相の森を、時間をかけてじっくりと歩いてみたい、と本当にそう思った。何れにしても、適切なゾーニングによる徹底した自然保護(森林保護復元プロジェクトなど)を推進するこの綾町に、拍手喝采だ。
 外部サイトにリンク 綾の照葉樹林: 林野庁九州森林管理局のHPの該当項です。

 「綾の照葉樹林」から約1時間半のドライブで、きょうの宿・都農(つの)町のシティホテル(格安ホテルです)に着いたのは17時頃だった。いよいよ今回の山旅のメイン・尾鈴山登山は明日に迫った。
 ※ この日の歩数計: 10735歩

 佐知子の歌日記より
 えび色にえびの高原染められて静かに歩く二人で歩く
 くねくねと車道は曲がる目が回る吊り橋揺れる両足すくむ

次項「尾鈴山」へ続く



えびの高原越しの硫黄山(左端)と韓国岳
えびの展望台から韓国岳を望む(復路で撮影)

このページのトップへ↑
No.467「大浪池一周」へNo.469「尾鈴山」へ



ホームへ
ホームへ
ゆっくりと歩きましょう!