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No.152 秋山二十六夜山972m
平成15年(2003年)5月3日 晴れ

秋山二十六夜山 略図
浜沢バス停から歩き始める
浜沢から山道へ入る

花が下向きに咲くチゴユリ
チゴユリ

露岩の上に立ち倉岳山を望む
倉岳山を望む

ひっそりとした緑の山頂
二十六夜山の山頂

二十六夜塔(明治22年)
二十六夜塔

尾崎の里を寺下峠へ向かう
尾崎の里

寺下峠で小休止
寺下峠


新緑を求めて

二十六夜山から寺下峠を越えて…

JR中央本線上野原駅-《バス45分》-浜沢〜あずま屋〜露岩〜明星平〜二十六夜山〜二十六夜塔〜下尾崎橋〜大曲沢橋〜寺下峠〜塩瀬〜JR中央本線梁川駅 【歩行時間: 5時間】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


  今年の私達のGWは三連休しかない。 しかも何かと私用の多い昨今、私達に許されたハイキングデーは一日間のみ。 新緑のこの季節、絞りに絞って計画した日帰りの一座が、道志山塊の北東端、秋山川沿いにひっそりと聳える(もうひとつの)二十六夜山だった。

  新宿から高尾までは、朝のこの時間、京王線がいいようだ。 安いし早いし…。 高尾でJR中央線に乗り換えて、上野原駅に着いたのは午前8時24分。 駅前から午前中一便しかない8時28分発の無生野行きのバスに乗る。 尾崎を通り越し、終点の少し手前、標高約520mの浜沢バス停に着いたのは9時15分。 バスから降りたのは私達のほかには3人のパーティのみだった。 歩き始めて間もなく、あっさりとその3人組に追い越された。 この日このコースで出会ったハイカーは、結局この3人と山頂ですれ違った中年夫婦のみだった。
  小鳥の囀る静かな山道を、しかし予想以上の急坂を、沢から尾根へ登る。 コナラやクヌギやイヌブナなどの雑木林にアカマツ林が交じる。 花は、春の花には遅く、初夏の花には早すぎたのか、思いのほか咲いていなかった。 それでも、下向きのチゴユリが可憐に咲いている。 タチツボスミレもあちこちに咲いている。 道標がしっかりとしているので道に迷う心配はなさそうだ。 あずま屋を少し過ぎた道端に座り込んで第一回目の小休止。 緑のそよ風が肌に気持よい。
  再び急登が続く。 暫らく進むと道が二つに分かれている。 道標はなかったが、どちらを選んでも同じ道の筈。 私達は右の直登(岩場)コースを選ぶ。 間もなく、思った通り露岩(小さな舟状の岩)へ出た。 岩の上から北西側が開けていて、眼前の倉岳山が大きい。 その右奥には扇山も薄ぼんやりと見えている。 春霞が出ていなければ、きっと左方には南アルプスも見えたはず。 展望の少ないこのコース、それがちょっと残念。
  主稜線へ出ると気持のよいプロムナード。 面白いと感じたのは稜線の左(北)側は広葉樹の明るい雑木林なのに右(南)側はヒノキやスギの暗い植林地帯だったということだ。 「なんかアンバランスね」 などと話しをしながら右へ曲ったら、そこが二十六夜山の山頂だった。
  芽吹きの緑に囲まれた明るい山頂には赤ペンキで塗られた3等三角点の標石があった。 その少し奥の平らな土の上にビニールシートを敷いて少し早めのお弁当。 小さなヒガラが間近の小枝に止って、テンポの早い声で「ツッピーツッピー」と鳴いている。 展望はなかったが一時間超の大々休止。 静かに憩える山頂だった。
  頂上から主稜線へ戻り、右へ少し進むと、雑木林の開けた処に二十六夜塔があった。 道志二十六夜山のそれと較べると幾分背丈が低く(約1m弱)ずんぐりとしていて可愛らしい。 道志の二十六夜塔は1854年(嘉永7年)、この秋山の二十六夜塔は1889年(明治22年)の建立とのことで、石碑としては道志のほうが年上のようだ。
  山頂から1時間強で尾崎の集落へ下りつく。 振り返ると今登ってきた二十六夜山の山頂部が見えている。 ここのバス停で30分ほども待てば、午後2時10分頃の上野原行きか都留市行きのバス(午後も1便しかない)が到着する時間だが、私達は予定通り、寺下峠越えに(桂川が流れる)中央本線の梁川(やながわ)駅へ下山するコースを進む。 この峠越えの山道が、所謂さびれていて、じつは、なかなかだったのだ。
  尾崎の県道を横切り、下尾崎橋で秋山川を渡り、5〜6分ほど舗装道路を歩いて大曲沢橋を渡った処で、はたと困った。 ガイドブックにはこの大曲沢橋を渡った処を左へ折れ、と書いてあるが、道標らしき朽ち果てた木柱は立っていたものの文字は全く判読不明で、なんか判然としない。 辺りの地形等からみてもまず間違いないだろう、と思って、その大曲沢の左岸に沿った幾分荒れた山道を、不安な気持で登り始めた。(*
  暫らく進むと山道は沢を離れ稜線へ向かっているようだ。 いくつかの分かれ道があるが道標はない。 コンパスと勘で進路を選ぶ。 所々の倒木で道は塞がれている。 佐知子がかなり不安がっている。 「踏み跡もあるし、コンパスを見たって、ほら、ちゃんと北へ向かっているから大丈夫だよ」 とは云ってみたものの、私も先月の両神山(単独行の道迷い)で方向感覚の自信をなくしていたところなので、少し不安だった。 なあに、晴れた日の里山の峠越え、迷ったって何とかなるさ、とにかく進んでみよう! ということで、倒木を跨いだり潜ったり、ヒノキ林の急斜面を大きくジグザクと登る。 面白い峠越えになってきた。
  結果オーライだった。 結局、尾崎から1時間足らずで標高700mの寺下峠(ここには読める道標が立っていた)へ辿り着いた。 小鳥のさえずりを聞きながら、ほっとして一休み。 まだ充分熱いサーモスのコーヒーの残りを全部飲む。
  寺下峠から北西方向の塩瀬へ下る落葉広葉樹林の斜面は、明るい新緑の桃源郷だった。 ふと見上げた時、真上にホオの若葉が天空を被っていた。 四方はパステルカラーの緑の大津波だ。 思わず 「うゎ〜!」 と感嘆詞。 これが1時間以上、続くのだ。 道志二十六夜山と較べて何となく「つまらない」と思っていた秋山二十六夜山。 この峠越えの下山道で、いっきょに挽回してしまった。
  沢道になって暫らくすると塩瀬の集落へ入る。 路端の一段低い畑で作業中のオバチャンに声を掛けられた。 収穫中の菜っ葉を一握り私達に見せて、「旨いからもっていけ」 と云う。 カキナ(掻菜)と云うんだそうだ。 路端からでは手が届かないので、ザックからエマージェンシーグッズの細紐を取り出して、ポリ袋に括りつけて下へ降ろした。 オバチャンはニコニコしながら近づいてきて、ポリ袋いっぱいに採りたてのカキナを入れてくれた。 「あのー、お幾らほど…?」 と言ったら、オバチャンは、そんなものいらねえ、といったような顔をして再び農作業へ向かった。 大きな声でお礼を言って、オバチャンと別れた。 渓谷美の桂川に架かる大きな橋(塩瀬橋:最近完成したらしい)を渡りながら、私達はとても豊かになった自分たちの心を嬉しがった。
  約20分の里歩きで、梁川駅に着いたのは午後5時頃だった。

  翌日の自宅での夕げに、梁川町塩瀬のオバチャンに貰ったカキナをお浸しにして、言われた通りマヨネーズをつけて食べてみた。 大好きなコマツナに食感は似ていて、とても美味しかった。 奥多摩近辺で栽培されているノラボウにも似ている感じがした。 ほんのりと柔らかく、歯ごたえもあって、オバチャンのやさしい香りがした。

* 秋山二十六夜山には尾崎二十六夜山、高金山、高ヶ嶺山など、いろいろな呼び名があるようです。
* 寺下峠越えの尾崎側の入口(大曲沢橋)には、この後、立派な道標が設置されたとのことです。 [後日追記]

道志村の二十六夜山については No.146道志二十六夜山 を参照してください。



新緑の峠道
燃えるような新緑に感動! (寺下峠越えの斜面にて)

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