No.151 南高尾山稜(大洞山536m) ゆるやかな稜線の散歩を楽しむ |
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INDEX その@ 大垂水峠から縦走 H15/02/09 そのA 高尾山を経由する周遊コース H17/11/05 そのB 神奈川県側(津久井湖方面)へ下るコース H23/01/16 そのC ついでに城山湖を半周 H25/09/22 ※ 里山探検コース: とっておきの裏コース! H21/11/18 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(大洞山)へ
その@ 大垂水峠から縦走 平成15年(2003年)2月9日・晴れ: じつは、本日の山行は、はっきりしていなかった。宿で妻の佐知子と相談した。相談したとは云っても、何時もの通り彼女の意見に従うことになるのだが…。で、結論は、昨日は高尾山の北側の山稜(北高尾山稜)を歩いたので、今日は南側の山稜(南高尾山稜)を歩いてみましょう、ということになった。高尾山から景信、陣馬と続く中央の山稜(奥高尾山稜)は既に歩いているので、これで高尾周辺の主脈完全制覇だね、と、うれしさも中くらいなりのおらが春だった。 美女谷温泉の若女将(聞きそこなったが多分)に二つ返事で車で送ってもらい、少し遠回りをしてコンビニでお弁当を買って、国道20号線(甲州街道)の大垂水峠(標高388m)で降ろしてもらった。美人の若女将にお礼を言って、歩き出したのは午前8時40分頃。昨夜からの雨も上がり、晴れ渡った清々しい朝だ。国道を見下ろしながら、「関東ふれあいの道・湖のみち」をゆるやかに登る。常緑低木のアオキの葉が、ここでも濃緑色に美しく光っている。シジュウカラなどの小鳥たちが盛んに囀っている。 このコースは始点の大垂水峠から終点に近い草戸山までが東京都と神奈川県の国境の道だ。アップダウンの多い稜線だが、昨日の北高尾山稜とは比べものにならないほど、やさしい尾根道に思える。 南高尾山稜最高峰の大洞山536mを皮切りに、コンピラ山515m、中沢山492m、泰光寺山479m…、と、徐々に高度を下げながら東へ進む。ヒノキやスギの植林地帯にコナラやサクラなどの広葉樹が交ざる里山の植生だ。殆どのピークには木製のベンチやテーブルがあり、休憩場所には事欠かない。気分はピクニックだ。おもだったピークには巻き道がついていたが、私達は全てのピークを見極めた。と、ちょっとかっこいいが、実はどちらを歩いてもたいした差はない。中沢山の山頂には聖観世音菩薩の立派な石像が立っていたが、この観音様の向いている方向には丹沢の大山がある。きっとこの山域との(信仰上の)繋がりが深いのだろう、と推察した。 中沢山から10分ほど進むと、南西面が大きく開けていて、眼下の津久井湖やその奥に広がる丹沢や道志の山々が見渡せる箇所がある。大室山の右肩にピョコンと富士山が、更にその右奥には南アルプスも見えている。ベンチに腰掛けて、長いこと山座同定を楽しんだ。西山峠で梅の木平方面への道を左に分けて直進。昼食はその少し先の泰光寺山の山頂で摂った。巻き道があるからか、静かな山頂だった。時間がゆっくりと流れていく。 三沢峠を経て城山湖の見渡せる草戸山(松見平休憩所)へ着くと、途端に人影が増えた。草戸山は標高が365mなので一年山とも呼ばれている、というのが面白い。展望台やベンチは軽装のハイカーたちで埋まっている。私達もここで小休止したが、約20分歩いては15分間の小休止、一体これで何回目の休憩なのか、分からないほどの休憩場所の多いコースではあった。 尚も主稜を進む。八王子市の観光課が発行している当地のハイキングマップによると、三沢峠辺りから北へ伸びるこの尾根を特に「東高尾山稜」と呼んでいるようだ。軽いと思っていたのだが、アップダウンがけっこうあり、案外タフなコースだ。 京王線高尾山口駅へ下山したのは午後2時50分頃。ここから新宿駅までの電車賃は370円。近くて安い都民の里山だった。 * ハイキングルートについて: 老婆心ながらひとことアドバイス。私達は美女谷温泉にほど近い大垂水峠から歩き出したのですが、日帰りの場合、高尾山から大垂水峠へ下り(歩行時間1時間強)、それから南高尾山稜に取りつくルートがお勧めです。勿論その反対コースも可です。また、三沢峠辺りから南へ(神奈川県側へ)下って、峰ノ薬師→津久井湖という風光明媚な里山歩きのトレイルもあります。美女谷温泉の女将の話によると、この山域のベストシーズンはスミレの咲くころだそうです。茎に氷の結晶が発達するシモバシラの季節(冬)もよさそうです。 後日、それらのコースを歩く機会に恵まれました。そのときの山行記が下欄(そのA〜C)です。[後日追記] 南高尾山稜の見晴台から南西方向を望む
そのA 高尾山を経由する周遊コース 平成17年(2005年)11月5日・小春日和: 東京に生まれ育っているのに、今まで一度も高尾山へ行ったことがないという親友のT君。何故か小学校の遠足でも高尾山には縁がなかったらしい。高校生や大学生のころは私といっしょに穂高岳や常念岳にも登ったことがあるT君だが、社会人になってからは山歩きとは全く無縁になり、最近三十数年ぶりに歩きはじめたという。 「たのむ、高尾山へ連れていってくれ」 という彼の希望に応えて、再びこの山域を歩くことになった。気心の知れ合った他の2名の友人たちも加わって、むさ苦しい男4名の、楽しい山行となった。 単なる高尾山往復じゃ能がない、と思い、苦慮した挙句に私が選んだコースが、高尾山と南高尾山稜を結びつけた、京王線の高尾山口駅からの周遊コースだった。午前9時の朝一番のケーブルカーで高尾山へ登り、T君の「積年の夢」をまずかなえさせた。大人しいT君は、終始「・・・(無言)」で、なにやら感慨深げだった。 高尾山頂から城山方面へ向かって長い石段を下りてから、主稜線を左折して「学習の歩道」へ入り、大垂水峠へ出て、それから南高尾山稜に取り付いた。 こういう日を小春日和と云うのだろうか。穏やかな一日だったが、まるで春霞のようなモヤが視界を塞ぎ、もともと展望箇所の少ないコースということもあり、遠望には恵まれなかった。しかし、赤や黄色に色づき始めた木々がさわやかで、シジュウカラやコガラなどの小鳥のさえずりが常に聞こえていた。 中沢山の山頂で観音石像の背中を見ながら遅めのお弁当を食べた。ヒノキやコナラやイロハモミジやアオキなどの樹木観察をしながら、時には若かったころの思い出話しなどもしたりして、休み休みゆっくりと歩いた。 草戸山から四辻を経てドスンと下る最後のワンピッチがけっこう長く、記憶していたよりもアップダウンもあったりで、歩きがいのあるワンデーハイキングになった。高尾山口へ戻り着いたのは日も大分翳ってきた午後4時20分頃だった。 それから近くの蕎麦屋で「打ち上げ」をやった。ほどよい疲れと酔い心地の中で、何時もは無口なT君が、このときはめずらしく饒舌になっていた。今日のハイキングは本当にいいハイキングだった、と、そのとき思った。 帰路、三々五々友人たちと別れ、電車の座席に一人だけになったとき、なんかとてもさびしく感じた。 そのB 神奈川県側(津久井湖方面)へ下るコース 平成23年(2011年)1月16日・晴れ: 山の仲間たち(山歩会)と東高尾山稜(南高尾山稜の東側)を歩いてきた。高尾山主脈の喧騒はどこへやらの静かなトレイルだ。めちゃくちゃ寒い日だったが、草戸山山頂でみんなと食べた寄せ鍋の味は最高。城山湖などの眺めもなかなか良かった。都心や横浜方面のビル群も、なんと建設中の東京スカイツリーも、くっきりと見えていた。 今回のテーマは当地の里山(雑木林)のあれこれについて。まず、手入れの殆どされていないほったらかしの暗いスギ・ヒノキの人工林のことについての説明。それから、シイやカシなどの照葉樹が台頭しつつあるコナラ主体の天然林(いわゆる雑木林)の現状や問題点についてなどを話した。 林下の足元にはジャノヒゲ(蛇の髭)が点々と茂っている。ユリ科の常緑多年草で、その細長い葉の中に隠れるようにして、紺色の美しい果実(じつは種子)を小さくつけていた。 三沢峠の少し手前から神奈川県側へ左折して、津久井湖を前方に見下ろしながら、峰の薬師経由で下山した。峰の薬師は武相四大薬師の一つにも数えられる古刹で、姿三四郎と桧垣鉄心が決闘した舞台としても有名。本コース中、ここにだけはトイレがある。 津久井の里道も、見ごたえのある屋敷林の巨木(ケヤキ)など、情緒があって飽きなかった。景色のよい三井(みい)大橋を渡って津久井湖の南岸へ渡り、城山ダム手前(津久井湖観光センター前)のバス停から和気藹々と帰路についた。 今回のこのコース、交通の便もよく意外と静かで、都心からの“まったり日帰りハイキング”には最適だと思う。
そのC ついでに城山湖を半周 平成25年(2013年)9月22日・晴れ: 午前9時45分に高尾山口駅から歩き始め、草戸山から東へ下って「城山湖散策路」を半周、加藤武雄の文学碑前でお弁当を食べ、三沢峠の南側で峰の薬師への山道と合流し、津久井観光センターに下山したのは午後2時少し前でした。単独行ということもあり、いつもの「私達の山旅日記」よりは早いペースだったかもしれません。 今回のコース取りの自慢は、城山湖と津久井湖の二つの湖をたっぷりと眺めながらの下山コースです。(そのBと比較して)プラス1時間弱の歩程になりますが、日帰りの軽ハイキングとしては(私的には)ちょうどいいボリュームだと思いました。それでも歩き足りない場合は、津久井湖の南東に聳える三角形の山(城山375m・神奈川県立津久井湖城山公園)をぐるっと巡るのもいいと思います。 さわやかな初秋の風が湖面を渡り、里ではヒガンバナが満開で、山道にはコナラなどのどんぐりがたくさん落ちていました。暑さ寒さも彼岸まで、とはよくいったものです。 * じつは…、今回の山行の真の動機については、高尾山口駅の近くを職場とする私が、非番の日に間違えて出勤してしまい、同僚から指摘されて慌てて踵を返したことに端を発します。家路へのついでに少し歩いてしまおう、ということです。高尾山方面は例によって人だらけでしたので、南高尾山稜方面へ(自然に)足が向きました。 ですから、本文の“午前9時45分に高尾山口駅から歩き始め…”については、“私の職場から歩き始め…”が正直で正確な文章になります。なお、写真は携帯(ガラ携です)で撮りました。<m(__)m>
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