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No.118-2 高尾山599m(八王子市)アラカルト
何回登っても楽しいよ♪

高尾山自然研究路・略図
高尾山自然研究路・略図

途中に琵琶滝があります
6号路を下る(H20年春)
初夏にはスギの木に着生している
セッコク(ラン科)の花を観察できます。


素晴らしい新緑です
日影沢の林道にて(H19年初夏)

大きなブナに子供たちも大喜び
4号路脇の“美人ブナ”(H18年春)

* 高尾山のハイキング道: 自然研究路については、1号路〜6号路、稲荷山コース、いろはの森コースなど、お好みに合わせて各種あります。何れのコースを辿っても山頂までの歩行時間(コースタイム)は約1時間30分、下りは約1時間です。私は個人的には照葉樹林の3号路、落葉広葉樹林の4号路、沢歩きの6号路(妙音谷・琵琶滝コース)、植生豊かな日影沢(裏高尾)の“いろはの森コース”、などが好きです。
 それにしても、“・・号路”という呼名は機械的な感じがして情緒がないですねぇ…。

* 高尾山を歩くハイカーについて: 高尾山は年間250万人以上もの人々が訪れる山で、世界一登山者の多い山、だそうです。(登山についての)初心者が多いですが、植物などの自然に詳しい方もたくさん歩いています。私の個人的な感想ですが、両極端(超ビギナーと超達人)のハイカーがうじゃうじゃと混在する山、それが高尾山の特筆すべき個性のひとつだと思います。

* 高尾山の植生: 主稜線の北側が落葉広葉樹林(冷温帯林)、南側が照葉樹林(暖温帯林)とかなりはっきりと分かれていて、その境目に位置する山域ということからも、植生は驚くほどに豊かです。高尾山だけで約1300種、奥高尾山稜なども含めると約1600種の植物(シダ植物以上)が確認されているそうです。これは日本全国で約5500種、イギリスの国全体でも約1500種と云われていることなどと比べても、その多様さが理解できると思います。
 高尾山の豊かな植生については、薬王院(正式な寺名は高尾山薬王院有喜寺)の存在…信仰上の理由等で長い間保護されてきたこと…など、いくつかの要因によるとされています。もちろん、地形や地質などととも深い関係があると思います。
 高尾山の植生などの季節変化については次項・高尾山の四季を参照してみてください。

* 高尾山のブナ: 最近(平成22年11月)のある調査によりますと、高尾山のブナの総数は75本だそうで、そのほとんどが標高400m以上に生育しています。[* この後、台風で2株が倒れ、そして元禄ブナが倒れ、平成23年12月現在は72本です。(後日追記) しかしいずれも老木で、若木は育っていません。温暖化がその主因と思われます。現存のブナは、江戸時代の小氷河期に、高尾山まで南下して自生したブナがそのまま残ったものである、とされています。高尾山より標高の高い近隣の山々にはブナがないというのが不思議ですが、永年にわたって自然が守られてきた高尾山だからこその、きわめて珍しい現象とも云えます。
 高尾山で名前(愛称)が付いているブナでは、いろはの森の上部・4号路から少し奥まった処にある「美人ブナ」、ケーブル高尾山駅前の「駅前ブナ」などが有名ですが、その他にも「やどり木のブナ」、「ノッポブナ」、「地蔵ブナ」などというのもあるそうです。
 高尾山で一番大きなブナは1号路の「元禄ブナ(ブナ太郎とか太郎ブナなどとも呼ばれる)」ですが、もう寿命らしく樹勢はかなり衰えています。現在はまだ無名ですが、1号路の双眼鏡展望所の少し先の谷側に胸高直径1mを超える風格のある巨樹があり、元禄ブナ亡きあとはそれが高尾山でナンバー1のブナになりそうです。“将軍ブナ”と呼ぼう、と言っている人もいるようですが…。

* 平成23年6月現在、1号路の元禄ブナがいよいよ寿命のようです。新葉がまったく展開していません。[後日追記]
* 平成23年9月21日、台風15号の影響で、元禄ブナがとうとう倒れてしまいました。数百年の時の流れを思うと感慨深いものがあります。これからは「将軍ブナ」が高尾山のNo.1…かも。[後日追記]

* 高尾山はミシュランの「観光三つ星」: 平成19年(2007年)から連続して、ミシュランガイドの最高ランク「三つ星」の観光地に選出されています。日本の山で「三つ星」の観光地に選出されているのは富士山とこの高尾山のみ、とのことです。高尾山って、す、すごいんだなぁ…。 * “…山”と名のつく「三つ星」の観光地には高野山もあるようですが…。


高尾山の下山後はまったりと温泉入浴

高尾の湯「ふろッぴィ」: 所謂スーパー銭湯で、健康ランドと云うかクアハウスと云うかヘルスセンター(ウーン、ちょっと比喩が古すぎ…)と云うか、のような日帰り入浴施設。“11種類のお風呂”が売りのようです。施設の位置は高尾駅の南側で、駅から歩いたら10分以上はかかりそうな処ですが、八王子、高尾、高尾山口のそれぞれの駅前から無料送迎バスが30分〜1時間おきに運行されていて便利です。高尾山ハイクの際は勿論、中央沿線の山歩きの帰路にも利用できそうです。露天風呂が天然温泉(運び湯)とのことで、茶褐色の湯はいかにも効きそうな感じですが、ヨウ素(ヨードチンキの原料)の臭いが少し強すぎるようにも感じました。カラオケつきの大舞台がある宴会場や各種の食事処、テレビ付きのレストルームやゲームコーナーやエステ関係など、それこそ往年の船橋ヘルスセンターとか平和島温泉じゃないけれど、娯楽的な(通俗的な?)設備は充実しています。
 * 2018年3月に、高尾の湯ふろッぴィは“閉店”したようです。…とても残念に思います。
京王高尾山温泉「極楽湯」
京王高尾山温泉「極楽湯」: 京王線の高尾山口駅に隣接する、待望の日帰り温泉施設が平成27年(2015年)10月27日にオープンしました。外見も内装も和風な作りで、これには好感がもてます。泉質はアルカリ性単純温泉で加温、半循環。多少ヌルヌル感があっていい湯ですけれど、塩素臭がちょっと気になります。替り風呂、マイクロバブルの檜風呂、座り湯、湯温の違う各種の露天風呂など、湯船等は多種多様で、それらが迷路のような配置になっているのも面白いかも。もちろんサウナ、水風呂もあります。区切られた洗い場の構造や蛇口の水量など、日帰り温泉の最新のノウハウを随所に垣間見ることができ、効率的でナウい感じなのも、まぁいいと思います。下山後に入浴して食事して…、に特化した日帰り入浴施設、とも云えると思います。営業時間が8:00〜23:00で年中無休、というのもスゴいです。(H29年5月7日・取材)
  「極楽湯」のホームページ


ヤマガラが手のひらに

ヤマガラ(山雀・シジュウカラ科) 平成18年12月某日(曇): 森林インストラクター仲間の4人といっしょに「高尾山登山」をしました。その下山時の、霞台から琵琶滝〜清滝駅方面(琵琶滝コース)へ歩いていたときのことですが、十数羽のヤマガラと至近距離で遭遇しました。手を差し出すと乗ってきます。人なつっこい小鳥で、とても可愛かったです。昔、縁日などでおみくじを引いていた小鳥、ですよね。多分、一部のハイカー(?)による「餌付け」が原因だと思われます。それ(餌付け)が良いことか悪いことかは難しい問題だとは思いますが…。
 この日は3号路でも、手の届きそうな距離でコゲラ(キツツキ科)が一生懸命に小枝を突ついている光景を観察することができました。ヤマガラにしてもコゲラにしても、双眼鏡を使う必要がないほど近くでよく見ることができたのは、望外の収穫でした。
* こんな写真を撮っておいて云えた義理じゃありませんが、動物に対する介入(餌付けなど)は生態系を狂わせます。 遠くからそっと観察するだけにしましょうね。(^_^;)


高尾山にクマが出た!

Tamuのオリジナルイラストです 平成18年12月某日: 八王子付近にクマが出没しているニュースは新聞等でも報道されましたが、高尾山でも発見されました。高尾山にサルやイノシシはたくさんいますが、クマは非常に珍しい。
 12月6日、ハイカーからの目撃情報により、都レンジャー2名が確認に行ったところ、4号路吊り橋付近で子グマを確認した、とのことです。クマの主食であるブナの実が不作である今冬は、高尾山のような都心に隣接する里山にもクマが出てきます。充分にご注意下さい。[情報提供は八王子市在住のTさんです]

* その後(平成20年5月現在)、高尾山にクマが出たという話は聞いていません。あのときの小グマはどうなったのでしょうか? そちらのほうが心配な私です。


高尾山の豊かな自然

Tamuです 平成18年3月〜4月: 私が所属する「森林インストラクター東京会」主催による「春の高尾山親子自然観察会」が今春も開催されましたが、幹事を担当したこともあり、3月から4月にかけてその「下見」なども兼ねて、数名の仲間たちと毎週のように高尾山へ出かけました。そのうちの裏高尾の“いろはの森コース(日影沢コース)”及び4号路の一部で観察のできた植物や昆虫などを書き記してみました。参考になれば幸いです。
 観察結果の貴重なデータを提供していただいた森林インストラクター仲間のみなさん、ありがとうございました。

●山野草類(スミレ類): タチツボスミレ、アカフタチツボスミレ、ヒナスミレ、アオイスミレ、コスミレ、ケマルバスミレ、エイザンスミレ、ヒカゲスミレ、タカオスミレ、ヒメスミレ、ナガバノスミレサイシン、アカネスミレ
●山野草類(スミレを除く): ニリンソウ、イチリンソウ、ヤマルリソウ、ヨゴレネコノメ、ヤマネコノメ、セントウソウ、サラシナショウマ、ユキノシタ、イタドリ、トウゴクサバノオ、カントウミヤマカタバミ、ラショウモンカズラ、ミヤマキケマン、ムラサキケマン、ツルカノコソウ、カンスゲ、ウラシマソウ、ミミガタテンナンショウ、ジャノヒゲ、ノブキ、ミヤマナルコユリ(蕾)、ホウチャクソウ(蕾)、チゴユリ、マルバコンロンソウ、ウワバミソウ、フデリンドウ、カキドオシ、ミヤマハコベ、ヤマエンゴサク、ツクバキンモンソウ、シュンラン、キランソウ、ユリワサビ、フタバアオイ、カントウカンアオイ、タマノカンアオイ、カタクリ、アズマイチゲ、キクザキイチゲ、ナツトウダイ、トウゴクサバノオ、エンレイソウ、ハシリドコロ、コチャルメルソウ、オウギカズラ、ヤマエンゴサク、ジロボウエンゴサク、カテンソウ

●シダ類: ベニシダ、リョウメンシダ、ジュウモンジシダ、イノデ、クマワラビ、ヤブソテツ(ヤマヤブソテツ)、オオバノイノモトソウ

●木本類: カツラ、ヤマナシ、ハルニレ、キブシ、ハクモクレン(花)、ハナイカダ(蕾)、ヤマブキ(花)、ミツバツツジ、コクサギ(蕾)、クサギ、サルトリイバラ、アブラチャン(落ちている実)、ヤブコウジ(実)、サイカチ(落ちている実)、ケヤキ、ブナ、イヌブナ、ヤグルマカエデ、イロハモミジ(蕾)、イタヤカエデ、ハリギリ、チドリノキ、オニグルミ、ホオノキ、ミズキ、ウワミズザクラ(蕾)、ヤマザクラ(花)、クヌギ、オニシバリ(ナツボウズ)、ヤブムラサキ、リョーブ、ウグイスカグラ(花)、モミジイチゴ(花)、ツタウルシ、フサザクラ(蕾)、カラスザンショウ、ウラジロガシ、アカガシ、シロダモ、アオキ、ミヤマシキミ(花)、ヒイラギ、ヒサカキ、ヤブツバキ、モミ、カヤ、イヌガヤ、スギ、ヒノキ
* いろはの森の木々たち(関東森林管理局・高尾森林センターの選定による): ロハカエデ、クロギ(エゴノキ)、クウンボク、ワトコ、オノキ、イタマノキ(アブラチャン)、ウゴクミツバツツジ、ドリノキ、ョウブ、ルデ、リミノウシコロシ(サワフタギ)、オモミジ、セビ(アセビ)、ヤ、グソミネバリ(ミズメ)、マアジサイ、ンゲツツジ、ロ(アカシデ)、ノハシバミ、ムノキ、ツツバキ、オギ(ハナイカダ)、ラサキシキブ、ワミズザクラ、タヤカエデ、リウツギ、オウラジロノキ、リ、マボウシ、ルバアオダモ、ヤキ、ナ、ナラ、ノキ、イカカズラ、ラカシ、ワシバ、ブシ、ズリハ、グスリノキ、ズキ、ロダモ、ンコウカエデ、ノキ、ミ、ンノキ(ハリギリ)、ギ、マベノキ(ウバメガシ)

●鳥類(鳴声のみの観察も含む) キセキレイ、ヒヨドリ、メジロ、ヤマガラ、シジュウカラ、ヒガラ、オオルリ、イカル、ヤブサメ、ウグイス、キビタキ

●昆虫、その他: コマルハナバチ、モンシロチョウ、アメンボウ、シャクトリムシ、カメムシ、ヘリバッタ、スケバハゴロモ(成虫・幼虫)、ホソアシナガバチ+巣、カゲロウ、キセルガイモドキ、クスサン(さなぎ)、ヤマアカガエル(オタマジャクシ・成体)、タゴガエルの声、サワガニ、ニホンザル(4匹)、ムササビの樹洞、テンの糞
イヌブナの実生(子葉)
* イヌブナの実生(子葉・芽生え)をたくさん観察することができたのは、ちょっと感動でした。
 ブナやイヌブナは毎年結実するわけではなく、数年に1度の割合で豊作年があります。近年では1988年、1995年が大豊作でした。そして昨年の2005年はちょうど10年目の大豊作になって、それが今春、一斉に発芽したのです。豊作年の翌春にはたくさんの実生が見られますが、上木が開葉する夏頃には約80%は枯死してしまうようです。さらに2年目にはほぼ全滅という結果 になり、後継樹はほとんどありません。


 * 当サイト(私達の山旅日記)の高尾山関係のページ
  高尾山・ハイキング: 高尾山の山旅日記です。
  高尾山・アラカルト: 高尾山のあれやこれや。(本ページ)
  高尾山の四季 高尾山の1年をお伝えしています。
  北高尾山稜 通好みの山稜の山旅日記です。
  南高尾山稜 穏やかな山稜の山旅日記です。
  景信山と陣馬山 奥高尾山稜の山旅日記です。
  小仏城山 日影沢林道を下ったときの山旅日記です。
  春の日影沢林道に咲いていた花・写真集

 * 高尾山についての情報サイト
  高尾森林ふれあい推進センター: 林野庁関東森林管理局の関係サイトです。
  高尾ビジターセンター: 東京都の関係サイトです。
  高尾山・八王子市: 東京都八王子市の関係サイトです。
  八王子観光コンベンション協会: 東京都八王子市の関係サイトです。
  高尾登山鉄道公式サイト: 高尾登山電鉄(株)が運営している情報サイトです。
  山ほど遊べるTAKAO: 京王電鉄(株)が運営している情報サイトです。
  高尾599ミュージアム: 京王グループが運営する八王子市の観光施設です。
  高尾山薬王院
  森林総合研究所多摩森林科学園
  東海自然歩道

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