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*** 鎌倉アルプスPart1 ***
No.251 鎌倉アルプス(天園ハイキングコース)
平成20年(2008年)12月6日 高曇り

鎌倉アルプス 略図
建長寺の奥が登山口です
まず建長寺から

紅葉のグラデーション
紅葉がきれい!

明月院コースです
裏道のマテバシイ林

石の彫刻は磨耗が激しい
十王岩を通過

大広場から山頂部を望む
大平山の山頂部

展望を楽しみながらおでんでイッパイ・・・
天園の「峠の茶屋」

狭いけれど南面の展望は抜群です!
天園の展望台

天台山の3等三角点141.30m(後日撮影)
天台山の山頂

鎌倉独特の墳墓です
中世の墳墓「やぐら」

殆どが照葉樹の天然林です
下山道にて


いざ、ご近所の鎌倉へ!

JR横須賀線北鎌倉駅〜建長寺〜半僧坊〜勝上献展望台〜明月院〜勝上献展望台〜十王岩〜鷲峰山〜大平山159m〜天園(六国峠)〜天台山141m〜貝吹地蔵〜瑞泉寺〜鎌倉宮〜鶴岡八幡宮〜鎌倉駅 【歩行時間: 4時間】
* 登山口をぐるっと二通り歩いていますので、通常のルートより1時間近く余分です。
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


  鎌倉市街を守るようにその背後に連なる山並を、何時誰が名付けたのか「鎌倉アルプス」と呼んでいるそうです。 大平山(おおひらやま・159m)を盟主とした低い山々の連なりですが、かつては自然の要塞として機能しており、峻険な箇所も随所にあるといいます。 自宅から比較的に近いということや、ハイキングや鎌倉散策のガイドブックにも必ず載っているので、その存在だけはよく知っていました。 かなりの昔ですが、歩いたことがあるような気もします。 しかし私も妻の佐知子も、その殆どを覚えていません。 目標の一つにしている「関東百名山(山と渓谷社・1993年初版)」に天園(鎌倉アルプス)がその名を連ねていると知ったのは割と最近のことです。 で、とにかく、いざ鎌倉! ということになりました。

* 登山口のことですが、じつは、私達は建長寺コースをまず登ったのですが、登りつめた勝上献(しょうじょうけん)展望台付近で合流する北側の明月院コースも試しに往復してみました。 そこではっきりとそれぞれの登山コースの良し悪しがわかりました。
  建長寺はわが国初の禅寺で、鎌倉五山の第一位、臨済宗建長寺派の大本山でもある立派なお寺で、その広い境内(庭園林)を歩くのはステキなことなのですが、「歩く」ことに関しては石の道や階段ばかりで、それに入園料の300円を支払わなくてはならないとか、つまりかなり人工的で、私達の“趣味”に合いませんでした。
  一方、明月院の左脇から登っていくコースは、ガイドブックにはあまり紹介されていませんが、そのほとんどが照葉樹の天然林で、柔らかい土の道を歩くのがなんとも云えずいい気持ちでした。 特にその途中(中腹)にあるマテバシイの純林は、痩せた木々でしたけれど、なかなか見ごたえがありました。 葉っぱが大きくてその量も多いことからマテバシイの林は薄暗く、林床の植生は貧弱です。 その“森の嫌われもの”の様子がよく観察できて、私にとってはとても興味深いものでした。 マテバシイは(ほっぽっておくと)純林を作りやすいといいますが、それが現実に自然の形で存在するのを見るのは、案外と希少なことなのです。

* 山道へ入ってからも休憩箇所は随所にありますが、コース上のトイレは大平山から天園方向に3分ほど歩いたところにしかないようです。 天園に2軒ある茶店にもトイレはありませんでした。 ウィークデーでさえ人が多いこのコースですから、所謂“お花摘み”へは行きにくい状況です。 特にご婦人の方は留意しておく必要があると思います。
  大平山の山頂から幅広の岩場を少し下ったところが草原の細長い大広場になっていて、ここで大勢のハイカーたちが休憩しています。 明るくてゆったりとしたとてもいい処ですが、その北側の近くにゴルフ場(鎌倉CC)の建物などがあって、アスファルトに車が駐車しているのが見えるのはちょっとつや消しです。 汗をかいて一生懸命に登ったらそこに自動車が止まっていた、なんてイヤになっちゃいますよね。
  この縦走路は、けっこう枝道(分岐)が多く、ぼんやりと歩いていると里へ下る道へ入ってしまいます。 まぁ、迷ったってなんとかなるコースですが、注意が必要です。

* 天台山の山頂はコース上にはありません。 天園から南下して、クスノキの大木が立ち並ぶ心地よい尾根道を通り過ぎて暫らく進むと、貝吹地蔵へ出る手前に分岐がありますが、ここを右(西)へ少し登った処が天台山の山頂141mです。 分岐には道標がないので、ウッカリしていると見過ごしてしまいます。 樹林に囲まれて展望の無い、三等三角点の標石と山頂標識があるだけの、狭くて地味な山頂です。
  この天台山もそうですが、天園一帯の地質は凝灰質砂岩とのことです。 なお、鎌倉アルプスのこの一帯を「天園」と名付けたのは日露戦争の英雄、元帥海軍大将・東郷平八郎、とのことです。 (「日本山名事典(三省堂)」などを参考にして記述しました。)

* コース上の展望については、勝上献展望台、十王岩(かながわの景勝50選)、大平山山頂、天園など随所に好適地があります。 鎌倉市街や相模湾などがよく見渡せました。 晴れ渡っていれば富士山や伊豆大島まで望めるとのことです。
  コース上やコースから少し外れた処で見ることのできる「やぐら」と呼ばれる鎌倉独特の墳墓跡や、天園から20分ほど下った道筋の左手にある「貝吹地蔵」など、中世の面影を垣間見ることができるのもこのコースの面白さのひとつです。

* ルートについて、本項では北鎌倉駅から歩き始め鎌倉駅へ下るコース設定になっていますが、勿論逆コースもありえます。 私達夫婦がこのコース(南行き)を選んだ理由は、下山地に瑞泉寺、鎌倉宮、頼朝の墓、鶴岡八幡宮などを配して、まったりとした鎌倉散策をしたかったからです。
  この時季、サザンカがあちこちの軒先で花の旬を迎えていました。

* 鎌倉アルプスの植生についは、スギなどの植林地帯もありますが、スダジイ、アカガシ、アラカシ、タブノキ、ヤブツバキ、シロダモ、ヤブニッケイ、マテバシイなどの照葉樹の天然林がこの地のメインで、これにコナラ、クヌギ、ヤマザクラ、カエデ類などの落葉広葉樹が交ざります。 つまり雑木林です。 林床にはアオキ、ヤツデ、アズマネザサなど、けっこう“自然”で、当地の気候風土から鑑みた植生上の違和感はありません。
  タイワンリス*)によるものと思われる樹肌の痛々しい食痕は、特にタブノキやモチノキに集中しているようです。 よく観察してみると、それらの食痕の殆どはかなり古いものであることに気がつきました。 樹皮などの、リスにとっては比較的に不味い食べ物を、あえて食べなくても楽々と生きていけるほどこの地における冬の栄養源が豊富になってきた、ということでしょうか。 そうだとしたら、その“冬の栄養源”は一体どこからきているのでしょうか。 それ(冬の栄養源=里の食害)を考えると、本当に眠れなくなりそうです…。
  天園から瑞泉寺分岐へ至る稜線上にはイチョウの木が目立っていました。 それは勿論植林されたもので不自然なものなのですが、何故かこの道にはしっくりと調和していたように見えました。 黄葉がとてもきれいだったのです。 鎌倉アルプスにはイチョウがよく似合う、と思いました。
  矢張り、「鎌倉」の真骨頂は寺社めぐり・庭園林めぐり、ということになると思います。 建長寺や瑞泉寺などの境内にはビヤクシンをはじめいろいろな樹木や草花が植わっていますので、それらを観察するのも面白いと思います。 瑞泉寺のスイセンや明月院のアジサイは有名ですね。

* タイワンリス: げっ歯目(ネズミ目)・リス科・ハイガシラリス属・クリハラリスの亜種。 台湾南部原産。 ニホンリスよりもひと回り大きいです。 1951年に伊豆大島から連れてきた54匹のタイワンリスを江ノ島植物園で飼育していましたが、台風で飼育小屋が壊れたことで逃げだし、弁天橋を渡って鎌倉市内に入り込んで繁殖するようになった、という説が有力らしいです。 2005年6月に施行された外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)において、特定外来生物に指定されていて、今後はアライグマなどとともに、その“捕獲・駆除”が本格的になるものと思われます。 「葉山町自然環境情報交流サイト」及び「ウィキペディア(Wikipedia)」の該当項等を参考にしました。

* 鎌倉アルプス(天園ハイキングコース)は、かつての修験道だったようで、意外と「自然」が残っていて、それなりに良かったのですが、やっぱり人間臭さが強すぎると思いました。 人気のコースということで人が多すぎるのがまず難点です。 そしてなんと云っても「山歩き」としては、そのボリュームにおいて物足りなさが残ります。 あくまでも鎌倉散策(寺社めぐり)の延長としての鎌倉アルプスと位置づけるのが正解であるように思われます。 ハイキングのついでに寺社めぐり、または寺社めぐりのついでにハイキング、といったところです。 地元のハイカーが、昼飯を食ってから急にヒマになったときなど、ふらっと半日で歩くにはいいかもしれません。
  実際このコース上には、ハンドバッグや手提げ袋にタウンシューズといった軽装のハイカー(観光客?)が散見されました。 大平山の上り下りなど、足場の悪い岩場もあるので、それはないと思いましたが…。


鎌倉アルプスPart2 この3週間後に、港南台から横浜市民の森を経て鎌倉アルプスを歩きました。



横浜方面や伊豆の山々が見渡せます
大平山の山頂
鎌倉市街や由比ヶ浜(相模湾)が見えます
天園の展望台からの展望
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