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No.250 塔ノ岳1491m (丹沢表尾根縦走)
平成20年(2008年)11月26日 小春日和

丹沢表尾根 略図
三ノ塔山頂にある休憩舎の裏側にポツンとありました
三ノ塔の地蔵尊

稜線上のブナの大木
ブナの脇を通過

生憎とガスってしまいました
塔ノ岳の山頂

長い大倉尾根を下ります
下山開始!


夜景が宝石箱のようにきらめいて…

小田急線秦野駅-《バス40分》-ヤビツ峠761m〜富士見山荘〜二ノ塔1140m〜三ノ塔1205m〜烏尾山1136m〜行者ヶ岳1209m〜政次郎ノ頭〜新大日ノ頭1340m〜木ノ又大日ノ頭1396m〜塔ノ岳1491m〜金冷ノ頭〜花立〜小草平(堀山ノ家)〜駒止茶屋〜見晴茶屋〜大倉高原山ノ家〜観音茶屋〜大倉290m-《バス11分》-小田急線渋沢駅 【歩行時間: 7時間20分】 * 下りの夜道で約60分は時間をロスしています
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


  山の仲間たち山歩会と、前から狙っていた東丹沢の表尾根を縦走することになった。 丹沢で最もポピュラーなトレイルだ。 ウィークデーのロングコースということもあり、集ったメンバーは妻の佐知子を含め6名で、男は私だけだった。
  小田急線の秦野駅北口から午前中はこれっきゃないという8時18分発のバスに乗る。 車窓からは時折西の方向に白銀の富士山が見えている。 快晴だがややもやっている。 こんな陽気を小春日和というのだろうか。
  軽くストレッチをして、標高761mに位置するヤビツ峠からアスファルトを歩き始めたのは9時を少し過ぎた頃だった。 気温は摂氏5〜6度くらいで、空気がし〜んとしている。
  人っ気のない富士見山荘を過ぎると間もなく山道へ入る。 スギの植林地帯を抜け、オオモミジなどのカエデ類やヤシャブシなどのハンノキ類が明るく茂る稜線へ出る。 所々に若いミズキなども整然と並んでいて、植生回復のための植林がされているのがよく分かる。 紅葉はその終期を迎えていて、大量の落葉を踏みしめる自分の足音が耳に心地よい。 右手を振り返ると大山の金字塔が大きい。
  二ノ塔へ出ると展望が広がる。 登り返した三ノ塔の山頂はさらに大展望で、雲を被った塔ノ岳を中心にした表尾根の連なりや、水無川の流れる大きな谷の彼方の秦野盆地やその先の相模湾もぼんやりと見えている。
  三ノ塔からいったん下って少し登り返した烏尾山(からすおやま)の平らな山頂で昼食の大休止。 ここではコンロで暖めたココアが大好評だった。 何時ものことだが、のんびりムードな私たち。 下山時間のことがチト気になりだした。
  このコース唯一のクサリ場のある行者ヶ岳もアップダウンして、政次郎ノ頭から新大日、木ノ又大日へ向けて、明るい尾根をゆっくりと、さらに西進する。 ブナやミズナラが目立ちはじめ、益々いい感じの稜線だ。 毒があるのでシカが食べないアセビが青々と茂り、トゲのあるノイバラは小さな赤い実をつけている。 今日が平日のこととて、稜線上にあるたくさんの山小屋は何処も閉まっている。 政次郎ノ頭に建っていた書策(かいさく)小屋などは、ちょっと覗いてみたけれど、まるでお化け屋敷のようだった。 木ノ又大日の付近ではシカの母子連れを間近で観察することもできた。
   この表尾根縦走コースは展望の尾根歩きあり、ブナなどの林間コースあり、スリルのクサリ場あり、と変化に富んでいて、流石に名コースと云われるだけのことはある、とあらためて思った。 人気のコースにはそれなりの理由が必ずあるものだ。
  三等三角点と尊仏山荘のある広い塔ノ岳山頂へ辿り着いたのは午後2時50分頃。 生憎とガスってしまったのがちょっと残念だが、ここへ来るまでの稜線でたっぷりと展望を楽しんでいるので、まぁいいか、の心境だ。 これからはもう登りはないのでメンバーたちは安心している…。 「時間」が益々気になってきたが、私たちだけの静かな山頂を、これも何時ものように、賑々しくまったりと楽しんだ。
  そしてそれから、長くてダルな大倉尾根をひたすら下る。 しかしとうとう、駒止茶屋の辺りで日が落ちた。 メンバーのうちの佐知子を含めた4名は今流行のヘッドランプで、先頭を歩く私を含めた2名は手に持つ懐中電灯だ。 益々辺りが暗くなると、それらの明かりがくっきりと地面を照らして幻想的だ。 安全のためもあり、歩行速度をガクンと落とし、声を掛け合いながらナメクジのように下山する。 渋沢の辺りだろうか、眼下の街の明かりが宝石箱のようにきらめいて、とてもきれいだ。 メンバーたちは口々に 「めったにできない、貴重な経験だわ」 と云っている。 「時間管理」のルーズな私を労わる、優しい心の面々だ。
  暗闇の「夜間歩行」を正味2時間近く続け、和気藹々と、大倉のバス停へ下りついたのは午後6時40分頃だった。 間もなく、30分に1本程度の渋沢駅行きのバスが私たちの前に止まった。 渋沢からの帰路は、小田急線を途中下車して、鶴巻温泉「弘法の里湯」で反省会の予定だ。

鶴巻温泉「弘法の里湯」については「夏の鍋割山」の頁を参照してください。

山男の後ろ姿*** コラム ***
塔ノ岳の思い出

  学生時代の冬、毎週のように一人で通い詰めていたのが東丹沢の沢だった。 水無川の本谷や源次郎沢やセドの沢や新茅の沢、それに葛葉川本谷などを、憑かれたように攀じ登っていた。 特別な登攀用具は何も使わない、所謂“初級沢登り”だったが、それは私にとってはかけがえのない青春の思い出のひとつになっている。 それぞれの沢の特徴などは疾うに忘れてしまっているが、それらの沢を登り詰めた終点にあったのが塔ノ岳で、その頃の山頂の様子は今でもよく覚えている。
  塔ノ岳の山頂は、槍ヶ岳や穂高岳を歩いて上高地へ下山したときのような、私にとっては達成感と安らぎのある小広い空間だった。 今では、長いベンチが野球場の観客席のように並ぶ、随分と変わり果てた山頂になってしまったけれど…、そこでの私の思い出は色あせていない。
  ところで…当時の登山者は、私が憶えている限りでは、塔ヶ岳
(とうがたけ)と呼んでいた。 何時のころからだろうか、地図を見てもガイドブックを見ても現地の道標などを見ても、塔ノ岳(とうのだけ)に統一されてしまっている。 かつて関東大震災の余震で崩れ落ちるまでは、塔ノ岳の山頂部には尊仏岩という岩塔があったと聞くが、やはり塔の岳(塔のある山)が由緒正しい山名であるらしい。 私的には、やはり馴染んできた“塔ヶ岳”のほうが好きなのだが…、こればかりは如何ともしがたい。



丹沢表尾根は変化のある名コース!
バックは塔ノ岳
展望の縦走路(烏尾山にて)

木ノ又大日から塔ノ岳へ向かう稜線にて
前方にシカが・・・
岩場を下る
行者ヶ岳のクサリ場

夜道:大倉尾根の下山道にて
まるで炭鉱夫(婦?)・・・
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