No.332 源氏山(鎌倉散策) 葛原ヶ岡・(裏)大仏 ハイキングコース |
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行程: JR横須賀線北鎌倉駅〜浄智寺〜天柱峰〜葛原岡神社〜源氏山公園(源氏山93m)〜大仏切通〜長谷貯水池〜極楽寺〜由比ヶ浜〜高徳院(鎌倉大仏)〜長谷寺〜江ノ島電鉄長谷駅 【歩行時間: 2時間40分】 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ INDEX @山から海への半日ハイキング: 平成27年(2015年)3月 A紫陽花を見に鎌倉へ: 令和5年(2023年)6月 @山から海への半日ハイキング:平成27年(2015年)3月13日・晴れ 早春の半日、いつものメンバーで(妻の佐知子と二人で)、古都鎌倉をまったりと散策してきた。ハイキングというよりはどちらかというとウオーキング。「安・近・短」と云いたいところだが、鎌倉のちょっとこじゃれたお店などに入るとけっこう高価なので…つまり「高・近・短」だった。 JR北鎌倉駅のホームに降り立ったのは午前8時半頃。大勢の(通学の)女子高生が私達と一緒だったのだが、鎌倉街道を左へ歩き出すころには誰もいなくなった。矢張り平日だ。辺りは閑散としている。暫く進むと右手に鎌倉五山第四位の浄智寺があり、「拝観志納・大人二百円・ご用の無い方は左の山道へお進みください」と書かれた立札が出ている。私達は特に“ご用”はないので、左の山道をなだらかに登る。 間もなく「天柱峰」と彫られた石碑と五重の石塔が置かれている小平地を通過するが、ここは浄智寺の住職がその眺望に感動して名付けた場所だという。現在では木々が生い茂り眺めは望めない。やがて日野俊基を祀ってあるという葛原岡神社を過ぎ、源氏山公園へ進んでいく。 道沿いの樹種はスダジイ、シラカシ、マテバシイ、タブノキ、ツバキ、アオキ、などの照葉樹(当地の極相種)が主体だが、それにコナラ、クヌギ、ヤマザクラ、エノキ、ハリギリ、シデ類、モミジ類などの落葉樹が交ざる。思ったよりずっと“自然”だ。ときどき目の前をタイワンリスがすばしっこく、しかし可愛らしく横切る。 指導標や案内板を参考にして源氏山公園内を散策する。西の方向には富士山がちらっと顔を出している。様々なツバキがいろいろな花をたくさんつけているが、それらは殆ど園芸種だ。 源頼朝像が建つ広場から源氏山93mを往復したのだが、石碑や石祠のあるピークには、なんと、山頂標識が見当たらない。「観光地で、あちこちにいろいろな標識があるのに、山頂標識が無いなんて珍しいこともあるもんだね」 などと話し合った。しかしながら、木立に囲まれたひっそりとした落ち着ける空間で、これはこれで私達には好ましいロケーションだ。東面が開けていて鎌倉アルプス(天園方面)が懐かしく見えていた。サクラやイチョウやモミジの木が多いので、花見や紅葉のころには賑わう処であるらしい。 裏大仏コースへ入りなだらかな尾根を南西方向に進むと、再び林間の山道になる。短い区間だけれど、昔日の武蔵野を彷彿とさせるクヌギやコナラの雑木林(二次林)を通る。どうやらこの(小さな)山域も、ゾーニングによる自然保護をやっているようだ。やっぱり鎌倉市は素晴らしいと思う。所々に展望箇所があるのも嬉しい。 今は休業中のカフェ「カフェテラス樹ガーデン」を過ぎて、暫く進むと二股の分岐があり、ここにも指導標が立っている。左方向は「高徳院(鎌倉大仏)400m」で、右方向は「大仏切通150m」と書いてある。私達は予定通りここを右折して下る。足元の陽のあたる場所にはタチツボスミレやオオイヌノフグリが咲いている。 鎌倉市教育委員会の解説板のある大仏切通(*)を見学して、民家の脇を通ってアスファルト(県道)へ出て、ここを左へVターンする。そして、数年前(2009年3月)に拡幅工事をしたという大仏トンネル(延長129.5m)を抜け出た地点で暫し立ち止まり、ここで緊急夫婦会議となった。 「このまま県道を進めば鎌倉大仏がすぐ近くで、食指が動くんだけれど、さてどうしよう?」 と私。 「時間もまだたっぷりあるし、当初の計画通り極楽寺方面をぐるっと散策しましょう!」 と佐知子。 で、私達はトンネル脇の石段を上って再び尾根へ出る。見晴しの良い長谷貯水池で小休止してから(当初の計画通り)極楽寺へ向かう。夫婦会議の議決権は常に彼女が握っているのだ。 極楽寺からは江ノ電に乗ることができるけれど、私達は踏切を渡って直進して、成就院の脇を通過して、相模湾の東に位置する由比ヶ浜へ出た。そして一面の大海原を眺めながら、潮風を腹いっぱいに吸い込む。静かな春の渚もいいものだ。歌の文句じゃないけれど、寄せる波だけが騒いでた。→日野てる子の「夏の日の想い出」・・・ちょっと古いかなぁ…。(^^ゞ 観光客で賑わう長谷通りの食堂で地ビール(鎌倉ビール)を飲んで、解禁になったばかりという湘南シラスのどんぶり(生シラス丼)を美味しく戴いた。それから甘露甘露のほろ酔い気分で鎌倉の大仏様(高徳院)を拝観したり、その裏手にある与謝野晶子の歌碑(*)をしみじみと読んでみたり、長谷寺にも参拝したり、鎌倉観光も充分に楽しんだ。おまけに、里の梅の花が見頃で、蝋梅や山茱萸や三椏もきれいに咲いている。白木蓮の大きな花芽が今にも開きそうなこの日は、ほっこりとしたほんとうに良い日だった。 充分に満足して、江ノ電の長谷駅から車中の人になったのは日のまだ高い午後1時40分頃だった。 * 切通し: 鎌倉の背後は山々に囲まれていますが、その山の尾根を開削してつくった道のことで、かつての要塞としての(鎌倉名物の)遺構です。この「大仏切通」を含め主な切通しが7つあり、「鎌倉七切通・鎌倉七口」などと呼ばれています。 * 与謝野晶子の歌碑: 「鎌倉や御仏なれど釈迦牟尼は美男におはす夏木立かな」の歌が刻まれています。じつは、鎌倉の大仏様は釈迦牟尼(釈迦如来)ではなく阿弥陀如来なのです。晶子は勘違いをしていたようです。でも、そんなことにはこだわらない彼女のおおらかさがステキですね。当時(明治時代の後半)、御仏に対して不遜である、と物議を醸した一首でもあるようです。 佐知子の歌日記より 鎌倉の九十メートルの山に立ち まぁハイキングをしたことにする 雨風にさらされ長谷の大仏は全角度よりカメラにおさまる 「今日からが解禁日」との呼び声に生シラス丼をするりと食べる
A紫陽花を見に鎌倉へ:令和5年(2023年)6月21日・曇り時々晴れ
梅雨晴れの水曜日に、いつものメンバー(夫婦)で、まず明月院に立ち寄ったりしてから、殆ど(上述と)同じコースで鎌倉を歩いてきた。つまり「葛原岡コース」と「大仏コース」を繋げて歩く「人気の王道コース」だ。 あじさい寺として有名な明月院など、鎌倉のあちこちで見ることのできる紫陽花は未だその花の盛りで、充分に楽しめた。コロナが一段落したお陰もあるのか、平日だというのに(里の)人出は多かった。とはいえ(例によって)山中にはほとんど人は歩いておらず、静かな散歩を楽しむことができた。 ところで、鎌倉はやっぱりお金がかかる。明月院の拝観料は@500円。高徳院・大仏の参拝料は@300円。長谷寺にいたっては拝観券@400円のほかに「あじさい路入場券」の@500円が必要だ。しかもその「あじさい路」は入場するのに40分待ちとのことで、私達は長谷寺の境内散歩だけで踵を返した。とにかくものすごい人出で…。(くどいようですが)平日だというのに…です。 この日、たまたま立ち寄ってみたのが大仏コースの途中にある「カフェテラス・樹ガーデン」で、私は地ビールとナッツ類と鎌倉サラミ、妻の佐知子は紅茶とケーキ類(クリーム入りのクロワッサンだったかな)。…このとき知ったのだが…、この人気の「樹ガーデン」は今月をもって閉店せざるを得ないとのことだった。入口の張り紙「閉店に際しての、お客様への感謝のメッセージ」によると、鎌倉市との交渉がうまくいかなかったようだ。約40年間続けてきた営業とのことだが、とても残念に思う。ロケーションもセンスも抜群の、森の中の「天空のカフェテラス」なのだけれど…。
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