「私達の山旅日記」ホームへ

No.364 ゴージャスに 武奈ヶ岳
平成30年(2018年)5月17日 3日間とも曇りがち

武奈ヶ岳の略図
武奈ヶ岳の略図
第1日目(比叡山)
横川中堂付近の杉並木
横川地域の参道を歩く

一打50円です
比叡山西塔・釈迦堂の鐘楼

バックの山影が武奈ヶ岳方面です
宿の窓から琵琶湖を見下ろす


比叡山巡拝・武奈ヶ岳登山・そして京都見物
お財布から千円札や一万円札がじゃんじゃん出ていく…

第1日目(5/16)比叡山三塔巡拝品川06:37-《新幹線のぞみ5号》-08:48京都…JR奈良線東福寺…京阪本線出町柳…叡山本線八瀬比叡山口駅・ケーブル八瀬駅…ケーブル比叡駅・ロープウェイ比叡駅…比叡山頂駅 10:13…シャトルバスを利用して比叡山三塔巡拝…ケーブル延暦寺駅…ケーブル坂本駅-《バス7分》-湖西線比叡山坂本駅15:40…堅田駅-《タクシー5分》-国民宿舎・ビューロッジ琵琶

第2日目(5/17)武奈ヶ岳登山ビューロッジ琵琶-《タクシー25分》-葛川坊村06:15〜御殿山1097m〜ワサビ峠〜武奈ヶ岳1214m〜八雲ヶ原〜北比良峠〜(大山・ダケ道)〜大山口〜イン谷口〜16:00比良駅…おごと温泉駅-《送迎車5分》-暖灯館きくのや 【歩行時間: 7時間20分】

第3日目(5/18)京都見物おごと温泉…京都〜嵐山・嵯峨野散策など〜京都17:26-《新幹線のぞみ246号》-19:37品川

 → 地理院地図の該当ページ(武奈ヶ岳)へ


 在宅介護中の父が5日間のショートステイ(短期入所生活介護ともいわれ、要介護の高齢者が短期間の施設入所できるサービス)を利用することになって、私達夫婦の数日間の山旅が可能になりました。いろいろと考えて(とても楽しい時間でした…)比良山系の二百名山・武奈ヶ岳へ登ることにしました。東海道新幹線を利用して前泊後泊の、つまりゴージャスな山旅(大名登山)です。ケアマネジャーさん(介護支援専門員)や関係の方々に今回も大感謝です。

●第1日目(5月16日) 比叡山三塔巡拝
 武奈ヶ岳登山の前日は、行きがけの駄賃で比叡山見物。…“見物”なんて不謹慎な。もとい、東塔(とうどう)地域・西塔(さいとう)地域・横川(よかわ)地域の延暦寺三塔を比叡山内シャトルバスを利用して巡拝。たっぷりと半日以上はかかるボリュームだった。この日は東側(琵琶湖側)の坂本へケーブルで降りて、比叡山坂本駅から湖西線を堅田(かたた)へ北上して、国民宿舎ビューロッジ琵琶に宿をとった。
 比叡山に行ったのは生まれて初めてのことだと思っていたのだけれど、妻の佐知子の記憶だと「中学生の修学旅行で行っている筈よ」とのことだ。私達夫婦は小学校も中学校も同じ幼なじみなので、う〜ん、まぁそうかも(行ったことがあるのかも)しれないな。まったく思いだせなかったけれど…。
 比叡山延暦寺については、想い描いていたよりも随分と近代化されたような…東京都八王子市の高尾山薬王院有喜寺の規模を大きくしたような…そんな感想をもった。京都の鬼門(北東の方角)封じの役割があると聞くが、その延暦寺の教え「一隅を照らす」は私の好きな言葉・座右の銘でもある。
* 国宝の根本中堂は(平成28年度から約10年をかけての)大改修中で、ちょっと残念でした。
 この日、印象的だったことは、東福寺駅から出町柳駅へ向かう京阪本線のおもちゃのような1両編成の(江ノ電のような)車両内でのこと。途中駅から地元の保育園児たち約10名が引率の先生(保育士)たちといっしょに乗り込んできて、可愛らしい仕草に他の乗客たちの頬も緩んだ。そのとき佐知子が私の耳元で囁いた。 「す、すごい! あんなちっちゃな子供たちも京都弁をしゃべっている!」

* 国民宿舎ビューロッジ琵琶: 堅田駅からタクシーで約5分の距離。東側の部屋の窓からは琵琶湖が眼前に横たわり、真下が白砂青松の砂浜で、しかもその左奥には武奈ヶ岳などの比良山系の山々が連なっている。ロケーションは抜群だ。夕食は近江牛のしゃぶしゃぶなど、とても美味しかった。1泊1食付き(朝食抜き)で一人11,400円。サービスはやや事務的だが、山旅の私達には必要かつ十分だった。
  「ビューロッジ琵琶」のホームページ
第2日目(武奈ヶ岳登山)
三宝橋を渡って明王院の境内へ
名王院の橋を渡って登山道へ

新緑がきれい!
ワサビ峠を通過

武奈ヶ岳山頂手前の明るい草原
あと一息で武奈ヶ岳だ!

1点360度の大展望!
武奈ヶ岳の山頂

きれいなブナの純林です!
コヤマノ岳手前のブナ林

八雲ヶ原のヤクモ池
ヤクモ池畔でも小休止

ミニ尾瀬ヶ原的な高層湿原
八雲ヶ原を巡る

つわものどもが夢の跡・・・
北比良峠を通過

前方の建物は登山口の管理小屋
イン谷口へ到着

●第2日目(5月17日) 武奈ヶ岳登山
 本日がメインの武奈ヶ岳登山日。早朝、堅田の国民宿舎から西側の代表的な登山口のある葛川坊村までは(平日は適当なバス便がないので)タクシーを利用した。タクシーはまず国道477号線を走り、琵琶湖に注ぐ和邇川(わにがわ)に沿って徐々に高度を上げる。やがて国道367号線(若狭路・鯖街道)に吸収されてからも北上して、さらに高度を上げる。そして花折トンネルを通り過ぎるとこれも琵琶湖西岸に注ぐ安曇川(あどがわ)に突き当たって、今度はその川に沿ってなだらかに下る。この地の地形に明るくないのでそのときはどうもよく分からなかったのだけれど、あとから地形図の等高線をじっと眺めて理解できた。そう、花折トンネルで花折峠を越えたのだ。…ここもやはり(この国の山地は)複雑な地形…ということでお茶を濁しておく。道沿いの所々にはタニウツギが、ピンク色の花を今を盛りに咲かせている。
 堅田から約25分で、坊村の比良山荘裏に位置する地主神社(じしゅじんじゃ)の前で降ろされた。標高約290mのここが武奈ヶ岳登山口になっているのだ。若くて無口な運転手さんに7,010円のタクシー料金を支払って、軽くストレッチして、午前6時15分頃、その地主神社の左側に位置する名王院の橋を渡って登山道へ入る。ウソやカラ系の小鳥たちのさえずりが絶えない。

 まずはスギ林の急登で、やがて植林地帯を抜けて標高500m〜600mの辺りからは立派なモミが目立ってくる。さらに高度を上げると周囲はいよいよミズナラ、カエデ類(コハウチワカエデ、ハウチワカエデ、イロハモミジなど)、そして(武奈ヶ岳山名の由来の)ブナなどの明るい冷温帯林になってくる。森の脇役はミズキ(花)、ナツツバキ、ハリギリ、コシアブラ、ヤマボウシ(咲き始めの花)、日の当たる開けた空間(ギャップ)にはアカマツなど…とても自然だ。ベニドウダンが紅色で釣鐘型の総状花序をたわわにつけ、数は少ないがヤマツツジもまだ咲き残っている。アセビの新葉が花のような薄紅色に染まっている。小鳥たちの歌声に交じってアカゲラのドラミングが森にこだまする。おまけにまだ充分に新緑だ。うれしくて楽しくて、わくわくしっぱなした。
 傾斜が幾分ゆるやかになってきて益々いい感じ。もう既に2〜3回は休憩をとっているけれど、御殿山1097mのこじんまりとした山頂でも一休み。ここからは西側の北山方面や北側の武奈ヶ岳方面が一望できる。ここでじぃ〜っと昭文社の登山地図を見つめていた佐知子が「坊村の登山口からこの少し先のワサビ峠までのコースタイムは2時間になっているけど、もう3時間20分も歩いているわよ」と私を睨んだ。「コースタイムがきついんじゃないかなぁ〜。ハハハ・・・」と私は笑ってごまかして、「まぁ、あわてずにマイペース、マイペース」と独り言のように呟いた。ゆっくりでも道を間違えずに前へ向かっていれば…そう、必ず目的地に着くものだ。
 レンゲツツジやサラサドウダンやアカモノやイワカガミやミツバツチグリ(?)の咲く展望のよいなだらかな草原の山稜を尚も北へ進み、露出してしまった三等三角点の標石と小さな石仏の並ぶ武奈ヶ岳1214mの山頂に着いたのは10時半頃だった。ここは滋賀県の最高標高地点、あっけらかんとしたガレの、素敵な山頂だ。ぐるっと1点360度の展望を…モヤっていたので近隣の山影しか見えなかったが…たっぷりと楽しむ。これがあるから「山」はやめられない。至福の時間だ。
 それから草原の山稜を南へ少し戻って、指導標に従って分岐を左折してコヤマノ岳(鈴ヶ岳)方面へ向かう。殆どブナの純林の美しい森を通って、コヤマノ岳の少し手前を再び左折して八雲ヶ原へ下る。ここからは防火帯のような広くて明るい道だけれど…、これはやっぱりスキー場跡のようだ。
 “我が国の高層湿原の南限”といわれるミニ尾瀬ヶ原的な八雲ヶ原も、登り返したピークの明るい小平原(北比良峠)の辺りも、“荒廃したスキー場跡”といった感じで、矢張り不自然だ。つわものどもが夢の跡の名残りが…人間の儚さを物語っているようで…それがちょっとやるせない。しかし“荒廃”ということはつまり森林の自然の遷移(二次遷移)が進行中ということでもあり、これから数百年後のこの地の極相林…このままほっぽっておいたとしたら…が楽しみではある。私たちの世代ではそれをこの目で見届けることはできないけれど、多分絶対。
 脆い花崗岩質の歩きにくいガレの急坂もあるけれど、概ねよく整備された登山道(ダケ道)を下る。ここでも上を向いたイワカガミの花が美しく咲いていて、ホンシャクナゲの茂る小道も通る。小さな平地のカモシカ台を過ぎて暫く下ると沢道になって、タゴガエルの「グェ、グェッ…」という鳴き声があちこちから聞こえてくる。タゴガエル君たちは未だ春なのかな。
 大山口で右手からの正面谷コースと合流して、ここから20分ほどなだらかな林道を下ると駐車場のあるイン谷口に着いた。ここは釈迦岳1060mへ至る登山道(イン谷)との合流地点・登山口でもある。ほっとして、道端の草むらに座り込んで休憩していたとき、再び登山地図を取り出した佐知子が云った。
 「武奈ヶ岳の山頂からここ(イン谷口)までのコースタイムは2時間35分だけれど、休憩時間を除くとほとんどコースタイムで歩いているわ」
 「コースタイムが甘いんじゃぁないの〜。ハハハ・・・」とカラ笑いして私は答えた。しかし頭の中では“体力の上り、技術の下り”と私達自身を半分だけ自慢していた。
 このイン谷口から里道をさらに50分ほども歩いて、湖西線の比良駅に着いたのは午後4時近くになっていた。振り返ると、広い田園風景の奥の比良山系の山々が私達を見下ろしている。
 「どれが武奈ヶ岳かしら?」と佐知子が呟いたので、私も目を大きく見開いて凝視したけれど、あれかなぁと思っただけで、はっきりとは分からなかった。多分(武奈ヶ岳の山頂部は)手前の峰々に隠れてしまっているのかもしれない。

おごと温泉「暖灯館きくのや」: 比良駅からおごと温泉駅まではJR湖西線で約20分(京都駅からも約20分)の距離。おごと温泉駅の駅前ロータリーには送迎のミニバスが待っていてくれた。この「暖灯館きくのや」も琵琶湖畔に位置する好ロケーション。内湯も露天風呂もゆったりと浸かることのできる大きさで、泉質はアルカリ性単純泉、加熱、循環、無色透明無味無臭。部屋食の夕食は…、じつはこの日も(前日に宿泊した堅田の国民宿舎と同じ)近江牛のしゃぶしゃぶだったのだが、美味いので(2日連続でも)ぜんぜん飽きない。“ペット歓迎”がこのホテルの売りのようで…この日はペット連れの客はいなかったようだが…私も犬や猫は大好きなので歓迎だ。従業員たちの対応などもとても感じがよかった。ネット予約の1,000円割引で、一泊二食付き一人15,120円だった。良心的な料金設定だと思う。
 ウィキペディアの該当項によると、最澄によって開かれたと伝えられる約1200年の歴史を持つ由緒ある雄琴温泉は、平成12年以降は平仮名表記の「おごと温泉」に統一されたようだ。昭和40年代以降に歓楽街・風俗街が進出したようだが、バブル崩壊後の不況を乗り越えて、生き残った10軒のホテルなどがイメージの払拭に努め、現在では“社会信用・信頼も大きく回復を遂げている”とのことだ。
  「暖灯館きくのや」のホームページ

第3日目(京都見物)
嵐山・嵯峨野を散策
嵐山・渡月橋のたもとにて
●第3日目(5月18日) 帰路のついでに京都見物
 この日の予定は比良山系南主稜の主峰・蓬莱山1174mの日帰り登山だったのだが、天気予報があまり良くないので中止して、京都見物と洒落込むことにした。
 琵琶湖畔の宿「暖灯館きくのや」でまったりと朝湯に浸かったり朝食を摂ったりしてから、宿の送迎車でおごと温泉駅まで送ってもらって、とりあえず京都駅へ出てコインロッカーにザックを仕舞った。それからJR嵯峨野線や嵐電(嵐山本線)などを利用して、東映太秦(うずまさ)撮影村を見物したり嵐山・嵯峨野を散策したり、それから東本願寺などの京都市内観光(というか彷徨ったり)もした。
 とにかく、京都は人が多くて外人が多くて賑やかで、まるで人種のるつぼ(サラダボウルかも)的なインプレッションだ。比叡山三塔巡拝もそうだったけれど、お財布から千円札や一万円札がじゃんじゃん出ていってしまう…。

 蒸し暑い陽気で少し疲れたけれど、(私達夫婦にとっては)ゴージャスな3日間を楽しみ、命の洗濯にはなったと思う。そう…、明日からの“日常”もガンバルしかない…。


  佐知子の歌日記より
 比叡山の緑につつまれ延暦寺 シャトルバスにてお堂を巡る
 雲多く琵琶湖は見えぬが新緑の武奈ヶ岳には小鳥の声多し
 山靴のゴム底剥がれつま先がパクリとカバの口を開く
 観光の人混みのなか早口の世界の言語を聞く京都


文章の流れの関係で「本編」には書きませんでしたが、じつは今回の武奈ヶ岳登山の下山中に佐知子の山靴の底が(例の)パックリ状態になりかけて、慌てて細ひもなどで縛って、とりあえず事無きを得たのであります。帰宅後は即、スポーツ用品店で新しい軽登山靴を購入していましたが、なんか、(新しい山靴を買う口実ができて)ウキウキしていた佐知子でした。

武奈ヶ岳・花の写真集 大きな写真でご覧ください。

仕切り線

コースタイムの1.5倍で歩いた 武奈ヶ岳横断!
レンゲツツジの咲く明るい山稜
レンゲツツジを見ながら 武奈ヶ岳へ向かう
比良駅付近から撮影
振り返って比良山を望む 「どれが武奈ヶ岳〜?」

このページのトップへ↑
No.363「能岳〜八重山〜根本山」へNo.365「帝釈山から田代山」へ

仕切り線

ホームへ
ホームへ
ゆっくりと歩きましょう!