No.374 乙女峠から丸岳1156m(箱根) 平成31年(2019年)4月4日(木) |
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→ 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ 箱根外輪山の北西側に位置する富士山展望の名所のひとつが乙女峠で、そこから北へ進む尾根道には超人気の金時山1213mがあるので登山者が絶えない。ところが、乙女峠から南側へ進む丸岳・長尾峠方面は“極端に登山者が少なくなる”という。前々から狙っていたこの芦ノ湖西岸北部の尾根道を、花の季節にはチト早く、かといって春霞で富士山展望はイマイチかもしれない4月の上旬に、妻の佐知子と歩いてみた。 結論を先に云ってしまうと、この日は(春らしくない)すっきりとした快晴で、明るい山稜からは富士山や近くの箱根の山々などの大展望を随所で楽しむことができたのだ。今回歩いたトレイルは金時山コースと比べても遜色がなく、「箱根登山の穴場・一級品展望の尾根歩き!」と銘打って差支えないと思う。実際、下山時にはふと振り返って「また来てみたい」と思ったりしたものだ。 平日なのにやっぱり「箱根」だ。箱根湯本駅構内でトイレだなんだでもたもたしていたら、駅前のバス停には既に長い行列ができていた。1台目の9時発のバスには(満員で)乗れず、約10分後の次の便にようやく乗ることができた。 で、乙女口バス停から歩き始めたのは午前9時45分頃。まずは懐かしの山道を、足元に咲くナガバノスミレサイシンなどを愛でながら、小1時間ほど登って乙女峠へ出る。そして廃屋のようになっている乙女茶屋の右奥にある小さな展望櫓に上って、御殿場の街並みの頭上にどど〜んと裾野まで両翼を張った富士山を飽きることなく眺める。中腹に横一線の雲がかかった、なかなか味のある富士山だ。それから少し北側(金時山方面)へ進み、ベンチやテーブルのある休憩地で中休止。こちらからは東側の芦ノ湖や駒ヶ岳方面などの展望が良いのだ。 それから踵を返して丸岳へ向かって南進する。ここからは私も佐知子も初めて歩く道で、なんかわくわくする。よく整備された道の両側にはササ(*)が生い茂る、明るい尾根歩きだ。やがてミズナラ、イヌシデ、ナツツバキ、ヒメシャラ、リョウブ、アブラチャン、マメザクラ、モミジ類(オオモミジやウリハダカエデなど)、ツクバネウツギ、ネジキ、アセビ、イヌツゲ…、そしてブナが目立ってきて、間もなくおっとりとした丸岳の山頂に着く。西側には離れて立つ大きなパラボナアンテナがあり、その手前のササに邪魔されて富士山は見えない。しかし、東面の金時山〜芦ノ湖〜中央火口丘(神山など)〜手前のゴルフ場〜この先の箱根外輪山(三国山方面)などはよく見えている。それらの絶景をベンチに腰掛けて眺めながら、至福の時間(おにぎりの昼食タイム)を過ごす。 * ハコネザサ?: この山域を紹介するガイドブックやウェブサイトの多くには、何故か「ハコネザサ」と書かれてあります。しかしながら、ハコネザサという正式な種はないのでハコネダケのことだと推測します。…ところが、私が見た範囲では、この区間(乙女峠〜丸岳)の比較的背の低いササは葉縁が白くなっていて葉裏に毛があって、節部が何となく丸っこくて、ミヤコザサ(かその仲間)に似ていると思いました。アズマネザサの変種とされるハコネダケの葉裏は無毛で、葉の形は(ミヤコザサと比べて)やや小さくて細めであると聞きます。ササやタケに関するインターネット上の資料はごく限られていて、なかなか分かりにくいのですが、素人の私がざっと見て調べた感想(間違っている可能性もあります)とご理解ください。もし仮にミヤコザサだとしたら、背丈が高すぎる感じもしますし…。[下欄の写真も参照してみてください。] 丸岳からは東面の景色を眺めながら進み、富士見台などでは西面の富士山や愛鷹連峰などをたっぷりと眺める。何時の間にか両側のササの背丈が高くなってきてシノダケっぽくなってきた。よく見ると葉の様子も少し違うようで、あぁこれが(多分)ハコネダケだな、と思った。右手に並行して走っている箱根スカイラインの人工物が、そのハコネダケ群落の隙間から見え隠れする。長尾峠を過ぎる頃から益々そのシノダケ(ハコネダケ)の背が高くなってくる。 三等三角点1044.88m(点名:落合)のある小ピーク(地理院地図では山名注記のないピーク)を過ぎ、更に南進する。あっけらかんとした広い草地の富士見ヶ丘公園でも富士山をたっぷりと観賞する。…公園と云っても何もない処だが、それが私達にはかえって嬉しい。ここで出逢った若いカップルは、今流行りのドローンを操縦して楽しんでいた。 さらに小さくアップダウンして、芦ノ湖展望公園の少し手前の分岐を左折して、早川口へ下る。それから15分ほど静かな車道を歩いて、急に人影が出てきた桃源台のバス停に着いたのはまだ日の高い14時50分頃だった。桃源台の“人影”もバスの乗客もその殆どは外人さんで、ここも急速に国際化が進んでいるようだ。バスの運転手さんが手慣れた英会話で対応していたのが印象的だった。 箱根は、はっきり云って、俗化されていると思っている。しかし、いつも来る度に「いい処だなぁ〜」と思うから不思議だ。いい処だから人が集まる→人が集まるから俗化される…。それは矢張り仕方のないことなのかもしれない。 今回の下山後は箱根湯本駅のすぐ近くにある懐かしの箱根湯本温泉「かっぱ天国」に立ち寄り、山の汗を流しました。「「かっぱ天国」についてはNo.18「駒ヶ岳から神山(箱根山)」の頁を参照してみてください。 佐知子の歌日記より 春の日の思い立っての箱根路を二人で歩くリュックは軽く 幾たびもドーンドーンの大音響演習場より聞こえてきたり 山稜のササ類の違いが分かるかなぁ〜
丸岳の山頂から南東面を望む: 中央火口丘(神山など)〜芦ノ湖〜箱根外輪山(三国山など) 富士見ヶ丘公園から西面の富士山を望む: 左は愛鷹連峰 このページのトップへ↑ ホームへ |