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No.379 樽前山1041m
令和元年(2019年)6月26日(水) ほぼ快晴 レンタカー利用
「樽前山」の略図
樽前山の略図

支笏湖の東岸から撮影
支笏湖から樽前山を望む
標高約750m
森林限界を抜けた!

山頂ドームなどの展望が一気に広がった!
東外輪山へ到着!

右手前に一等三角点の標石
東山の山頂にて

前方は風不死岳
北外輪山へ向かう

岩袋(別名・樽前草):ゴマノハグサ科の多年草
タルマエソウと溶岩ドーム

支笏湖をはさんで左奥に恵庭岳
樽前山から風不死岳を望む

左前方に山頂ドーム
西山から東外輪山へ向かう

右手には勇払平野が広がる
下山路:前方に支笏湖が…
バックは樽前山〜風不死岳
下山後は支笏湖畔に遊ぶ


LCCを利用して北海道の山旅4日間・その@
素晴らしい天空のトレッキング!

第1日目(6/25)=成田空港17:00…18:50新千歳空港-《車(レンタカー)10分》-エアーホステルLCC(千歳市内)
第2日目(6/26)=エアーホステルLCC-《車1時間》-七合目ヒュッテ(樽前山登山口)〜東山1022m〜西山994m〜樽前山神社奥宮〜七合目ヒュッテ-《車で支笏湖観光など》-休暇村支笏湖 【歩行時間: 4時間】
第3日目(6/27)=休暇村支笏湖…藻岩山・旭山記念公園(札幌市)…丸駒温泉旅館
第4日目(6/28)=丸駒温泉旅館…水明郷…新千歳空港…成田空港

 
→ 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(樽前山)へ


 このサイト(私達の山旅日記)のBBS(掲示板)常連のssさんからLCCの格安セール(バニラエアーセール)を教えていただいて、とりあえず予約購入してみたのが成田〜新千歳の航空券だった。(旅費が)安くてびっくりしたが、しかしさて、どの山に登ろうか、というのが私達夫婦の楽しい問題だった。…こういう展開(行く地域はきっちりと決まっているけれど登る山が決まっていない)も私達には珍しい経験だ。
 3泊4日とはいえ登山に使えるのは中2日間なので、新千歳空港からなるべく近くて有名な山がいい、とまず思った。日本百名山の羊蹄山は既に登っているので今回の山旅からは外すことにして…、と…、考え抜いて選んだ2座が支笏湖の南に聳える活火山の樽前山(たるまえさん・1041m)と札幌市街の南西に位置する藻岩山(もいわやま・531m)だった。樽前山は日本二百名山で、藻岩山は岩崎元郎さんの新日本百名山の一座だ。不案内な土地へ行くときには(プロの登山家が選んだ)○△名山的な山を選択すればまず外れがない、ということは経験論的に分かっている。
 …と、じつは“考え抜いて選んだ”のではなくて、名山嗜好を地で行っただけなのだが…。ともあれ、さて樽前山と藻岩山はどんな山なのかしら、と行く前からとても楽しみだった。

 第1日目(6月25日・晴): ヒメマスの塩焼が絶品!
 成田空港から17時発のLCC・バニラエアに搭乗して約2時間後、ほぼ定刻に新千歳空港に降り立つ。予約のレンタカーで、空港近くの(千歳市街地に位置する)エアーホステルLCCにチェックイン。一人分の片道飛行機代は約5,000円で、この(朝食付きの)ホテル代は約2,500円…と超安で、これには本当にびっくりだ。
 少し遅めの夕食はホテル近くの(ホテル受付嬢お勧めの)料理屋へ行ってみた。刺身もじゃがバターも美味かったが特にヒメマスの塩焼が絶品で、…銘柄は聞き忘れたが微かな酸味が絶妙な…地酒がすんなりと喉を通った。

 第2日目(6月26日・晴): 圧倒的な存在感の山頂ドーム
 北海道の朝は早い。4時前には外は明るくなって、5時頃のホテルの食堂にはバックパッカーと思われる若い外人さんたちがウロウロしている。“朝食付き”とはいってもパンを焼いたり卵料理を作ったり(私達はプレーンオムレツだ)するのは自分たちでやる、というシステムだ。ジャムやバターも冷蔵庫の中にたっぷりとあるし、電気ポットで湯を沸かしてコーヒーなどを飲むこともできる。隣りがコンビニなのも何かと都合がよい。避難小屋やテントの生活を思えば極楽だ。こういうのをゲストハウスというのかな。佐知子はノーコメントだったが、私的には“多国籍な空間”に好感がもてた。
 (千歳市街から)カーナビに導かれて約1時間、樽前山の登山口(七合目ヒュッテ・標高約650m)の駐車場に着いたのは7時半頃だった。広い駐車場だが、平日だというのに既に半分近くの20台以上が停まっている。トイレを済ませてから軽くストレッチして、駐車場奥からよく整備された登山道を徐に歩き始める。
 シナノキ、マルバアオダモ、ナナカマド、オオカメノキ、そしてミヤマハンノキなどの樹林の背が益々低くなって疎になって、歩き始めてから(標高差にして)100mも登らないうちから森林限界を超えて、空が大きく開けた。左手(東面)には勇払(ゆうふつ)平野の…まるで富士山麓の樹海のような…深い森が広がっていて、そのさらに左奥(北面)には支笏湖が紺碧の湖面を見せている。足元は火山特有のザレで、道端にはこの山の名物のタルマエソウ(イワブクロ)が次々と咲いている。その他にもイソツツジ、マルバシモツケ、ウラジロタデなども咲いていて、目が飽きない。
 登山口から1時間近くもゆっくりと歩くと硫黄臭がしてきて、東外輪山の一角へ出る。と、思わず「おぉぉ〜!」と感嘆詞。この山のシンボルである巨大な山頂ドーム(北海道の天然記念物・樽前山溶岩円頂丘)がど〜んと…まるで宇宙映画(例えば「未知との遭遇」)のワンシーンのように…目の前に聳えている。…しかし噴煙を上げるこの火口は立入禁止になっていて、一般のハイカーは(標高1041mの最高地点がある)山頂ドームに登ることはできない。私達は北へ(右へ)Vターンして、まず外輪山の最高峰で一等三角点のある東山1022mへ登り、そのまま(時計の反対回りに)ドームの周囲をぐるっと一回りすることにした。この“外輪山の大回り・コースタイム約2時間”が素晴らしい天空のトレッキングだったのだ。
 北面には形のよい風不死岳(ふっぷしだけ・1102m)が近くて大きくて、その左奥には支笏湖を挟んで恵庭岳(えにわだけ・1320m)の鋭角な山頂部がよく見えている。北外輪山から三等三角点のある西山994mへ至る西側の周回道からは薄っすらと羊蹄山も見えている。そして西山から樽前山神社奥宮への南側の道からは(おぼろげだが)太平洋が見えているし、東面に目をやると勇払平野の奥に千歳や苫小牧の街並みも小さく見えている。…歩くにつれて、それらの景色がゆっくりと角度を変えて目に飛び込んでくる。そしていつも左手(中央)に見えているのは溶岩ドームのずんぐりと屹立する(佐知子に云わせると鉄鍋を伏せたような)大きな塊りだ。気象庁の火山情報には「山頂部の火口原は直径南北1.2q、東西1.5qで、その内部の中央火口丘の中央には1909年に最大径約450m、比高約120mの溶岩ドームが生じた」と記述されている。この樽前山のランドマークとも云える山頂ドームは…大雑把で何となくだけれど…東京ドームが10個くらい入る大きさ(体積)かなぁ〜。すごいなぁ〜。
 足元には相変わらずタルマエソウやイソツツジやマルバシモツケが咲いている。花のように美しいミネヤナギの柳絮(りゅうじょ)が風に乗って飛んでいる。(外輪山コースの)ピークや道端のあちこちに座り込んで、景色や花に見とれたり、メロンパンやアンパンを齧ったり、樽前山神社奥宮を参拝したり、ほんとうに楽しい“外輪山の大回り”だった。
 東外輪山の分岐から来た道を下って、大いに満足して七合目ヒュッテの駐車場に戻ったのは12時50分頃だったが、驚いた。駐車場は何時の間にが超満杯で、道路のほうまで延々と車があふれているのだ。「やっぱり、すごい人気の山なのねぇ樽前山は」 と佐知子も感心している。

 樽前山からの下山後は…深くて静かで透明度の高い日本最北の不凍湖の…支笏湖畔を散策した。といっても、普通に観光できるのは東岸のほんの一部の(狭い)エリアだけなので、かなりまったりとした午後になった。それはそれでとてもよい一日だったと思うけど…。
 支笏湖温泉や土産物店や遊覧船発着場やビジターセンターなどのある支笏湖東岸から眺めると、北側の恵庭岳とその対岸の(南側の)風不死岳が特に大きく見えてかっこいい。しかし風不死岳の左奥に位置する樽前山は、その山頂部のドームがちょこんと小さく自己主張しているだけだ。
 「登山中は(樽前山の溶岩ドームは)大きなプリンのように見えたけど、ここから見るとただのイボのようだね」 と云ったら、佐知子は笑い転げていた。

* 樽前山について(補足): 恵庭岳・風不死岳・樽前山を総称して支笏三山と呼んでいるそうで、支笏カルデラ(支笏湖)形成後に順番に噴火した火山であるといいます。恵庭岳や風不死岳が樹林に覆われているのに対して上半身が裸の樽前山はやっぱり若さゆえ(約9000年前にその山体の原型ができた)、ということなのかも知れません。
 故・田中澄江さんはその著「花の百名山」の該当項(樽前山=ウラジロタデ)で、目の前に広がる(山頂部の)火口原の眺めにびっくりして、“・・・見あきるまでこの岩山を見ていたいと思った。この岩山を背景にして、うすい絹の白衣をまとって、縦横に跳躍しておどりまわりたい。・・・”と記述されています。いま読み返しても流石に面白い発想だと感心します。
 今回調べてみておやっと思ったのは、樽前山の東山と西山にある三角点の点名です。東山の一等三角点の点名が「樽前岳」で、西山の三等三角点の点名が「樽前山」なのです。…これはいくらなんでも(ネーミングにおいて)イージー過ぎます。国土地理院さんは手をお抜きになったのでしょうか。それとも何か深い理由があるのでしょうか。


支笏湖温泉「休暇村支笏湖」: 支笏湖の東側に位置する近代的な宿泊施設。支笏湖温泉は1974年にボーリングにより湧出されたそうだ。泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉、半循環、加熱、引き湯、無色透明、強いヌルヌル感。石タイル貼りの内湯のみだが必要かつ十分。塩素臭が少し気になった。夕食も7時からの朝食もバイキング形式(この節のこの国においてはビュッフェというらしいが…)で、質も量も充分過ぎるほど十分。公益的な宿「休暇村」にしては、1泊2食付きで一人13,460円はちょっと割高感かも…。
  休暇村支笏湖のHP

丸駒温泉旅館: 樽前山登山の翌日(藻岩山の登山日)に宿泊したのが支笏湖の北岸に位置するこの老舗温泉旅館だった。風呂も客のもてなしも文句なしに素晴らしかった。流石に日本秘湯を守る会会員の宿だと思った。泉質は塩化物泉で源泉掛け流し。飲用も可なので飲んでみると微かに甘塩っぱい感じで鉄分臭もある。泉温別の浴槽がいくつかある大浴場や展望露天風呂はもちろん素晴らしいけれど、支笏湖の水位によって左右される天然露天風呂もなかなかシブい。そして極め付きは平成16年に完成したという露天風呂付き貸切風呂だった。セット料金になっているとのことで、私達は「丸の湯」(50分間の時間限定・通常はプラス2,500円)に入浴させてもらった。もったいないほどの掛け流しの湯量で、支笏湖を眺めながらの超ゴージャスな時間と空間を満喫できた。食堂食の夕食も7時30分からのビュッフェ形式の朝食も美味しかった。これで1泊2食付きで一人11,469円は超割安感だった。
  丸駒温泉旅館のHP

 この翌日の予定について…、じつは、当初の計画では支笏湖の北側に聳える恵庭岳に登る予定だったのですが、お天気が悪そうだしきつそうだし…ということで結局、札幌市の藻岩山ハイキングになった次第です。そう、私達については相変わらず“水は低い方へ流れて”います。
  次ページ「藻岩山」へ続く

  佐知子の歌日記より
 格安の航空券で北海道へ 本当だろか五千円なんて
 樽前の外輪山に噴き上がる硫黄の風を全身に浴ぶ
 支笏湖の透きとおる水に手を浸し浄化されたか吾が内と外

  樽前山登山の写真集 大きな写真でご覧ください。



樽前山のイソツツジとマルバシモツケ
何となく似ているけれど…よく見ると全然違う!
磯躑躅:ツツジ科の常緑小低木
イソツツジ
丸葉下野:バラ科の落葉低木
マルバシモツケ
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