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No.99 矢倉岳870m(箱根)
日だまりの山頂で憩い、足柄古道を下る

下山道から望む矢倉岳
小田原駅-《伊豆箱根鉄道・大雄山線》-大雄山駅(関本)-《バス11分》-矢倉沢〜矢倉岳〜足柄万葉公園〜足柄峠〜夕日の滝〜地蔵堂-《バス21分》-大雄山駅(関本) 【歩行時間: 4時間20分】
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矢倉岳その1 平成12年(2000年)1月30日 快晴

 誘われて、伊藤さんの主催する中高年男女のパーティー(のびたき)に随行させていただいた。伊藤さんは地元神奈川の山々を中心に活発な登山活動をされている方で、今回の山行で学んだものは多かった。妻の佐知子が急用でいっしょに来られなくなり、私の単独参加となった。総勢11名だった。
 小田原で大雄山線に乗り換え、終点の大雄山駅で降りる。車窓から、明神岳などの箱根の山々の右端、足柄平野の奥に、見てすぐそれと分かる矢倉岳(やぐらだけ)が、ずんぐりもっくりぴょこんと見えている。全山が石英閃緑岩でできているそうだ。
 大雄山駅前(関本)からバスで約10分、矢倉沢バス停を歩き出したのは午前9時5分だった。私にとっては久しぶりのグループ登山だ。遅れては申し訳無いと、後ろの方から必死についていった。右を振り返ると丹沢の山々がくっきりと見えている。
富士山を眺めながら憩う
矢倉岳山頂にて
 急斜面を登りきると小広いカヤトの山頂へ出る。矢倉明神(足柄神社の前身)の小祠が祭られていた。ここまでの歩行時間は正味1時間半くらい。何時もの私達夫婦だったら2時間はたっぷりとかかっていたかもしれない。小休止の間、展望を楽しむ。南面には箱根の山並が広がっている。その右端、なんといっても富士山が美しい。風が出てきて少し寒くなってきた。
 所々の雪道の下り、滑りやすいので注意が必要だ。途中、前の方でメンバーの数人が雪合戦を始めた。物静かで大人びたグループだと思っていたけれど、童心にかえってはしゃぐその様子を見て、矢張り山っていいもんだと思った。私も参加しようとしていたら、雪合戦はすぐ終わってしまった。松の木の目立つ山道でのことだった。
 足柄万葉公園内の開けた広場で昼食の大々休止。ここでリーダーの伊藤さんは、コンロで温めた甘酒をみんなに配っていた。一言二言、会話することができた。伊藤さんは 「外へ出ること、それ自体がとてもいいことなんですよ」 とおっしゃっていた。百名山にこだわり始めていた私の狭い心を見抜かれたのだろうか。忘れかけていたアウトドァーの真髄を、改めて教えていただいた気持ちがした。
 仲間の人たちから色々と食べ物などを分けてもらったりしたおかげで、お腹はいっぱい。たっぷりと景色も楽しみ、車道を足柄峠へ向かう。足柄関所跡を左に見送り、暫く進んでから左の山道に入る。急勾配を下ると再び車道へ出て、寄り道して「夕日の滝」を見物。金太郎が産湯をつかったということだが、整った形のなかなかいい滝だと思った。この辺は金時山と矢倉岳の中間に位置するところだ。民家の庭先に沢山の毛皮が干してあり、最初、金太郎に馴染みのある山なので熊の毛皮かと思ってビックリしたけれど、よく見たら猪の毛皮だった。まさか今ではここに熊はいないだろう…。
 地蔵堂のバス停に着いたのは午後3時15分だった。下山途中、振り返りながら眺めていた矢倉岳が、何時の間にか前方に、大きな金字塔となって眼前に迫ってきた。

矢倉岳山頂より富士山を仰ぐ
矢倉岳の山頂
足柄万葉公園にて昼食。奥に見える山が矢倉岳。
足柄万葉公園内にて
下山地の地蔵堂
地蔵堂


矢倉岳その2 平成16年(2004年)2月7日 薄晴れ

矢倉沢のバス停から矢倉岳を目指す
矢倉岳へ向かう

参加者は9名
矢倉岳の山頂にて
 「山歩会」の皆さんと、日だまりの矢倉岳山頂で、鍋を囲みながら楽しく憩いました。
 その山頂には、何時の間にできたものか、小さな木製の展望台が設置されていました。階段のない、ちょっとヤバい展望台でしたが、そこに攀じると足柄平野や相模湾も見渡せる1点360度の展望です。箱根の山々は勿論のこと、丹沢山塊から道志・御坂と続く山並みもよく見えます。スッキリとした空模様ではありませんでしたが、雲に覆われた富士山の景色もナカナカでした。
 杉や檜の植林地帯に少し広葉樹の入り交ざるこの山域です。色の褪せた針葉樹や葉を落として寒そうな広葉樹の山道は、ほとんどワビ・サビの世界でした。そんな冬枯れの景色の中で、登りの登山道でのアオキの鮮やかな濃緑の葉色が特に印象的でした。
 この日は「夕日の滝」へは寄らず、奈良・平安時代の古道とされる足柄道を辿り地蔵堂のバス停へ下山しましたが、少々物足りなさを感じました。前回の下山時には(歩程にして20分くらい)遠回りして「夕日の滝」を見物しましたが、そのほうが充実したトレイルになると思いました。
 ほとんどのガイドブックにはこの足柄古道を歩くルートが紹介されているようですが、自動車道と何回もクロスする道は、はっきり云って、少々興ざめです。

* 足柄古道と矢倉岳: 北の箱根路(官道)として、奈良・平安時代に利用されていたのが足柄古道とのことです。関所跡などのある足柄峠は足柄古道の最高点で、矢倉岳と金時山の間に位置しています。矢倉岳の山名については、その足柄峠を越える旅人を見張る櫓(やぐら)のような形をしていたのが由来とのことです。
 箱根の古道について、足柄道は碓氷道についで箱根で2番目に古い街道とのことです。尚、その後の3番目(8世紀初頭)に開かれたのが湯坂道(鎌倉古道)
[→ 滝坂道・湯坂道の項とのことで、いやはや、何れにしても気の遠くなりそうな昔の話、ではあります。

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