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No.228 箱根 外輪山周廻歩道(三国山1102m
平成19年9月8日 薄霧

箱根外輪山周廻歩道 略図
石畳の古式ゆかしい坂
石畳の坂を登る

ガスっています
海ノ平を通過

ドライブインの近く。何故かニワトリがウロウロしていた。
山伏峠にて大休止

ブナ林に出遭えたのは嬉しい誤算でした。
三国山の山頂

芦ノ湖西岸歩道との合流点です。
深良水門近くへ下山


台風一過の緑の絨毯を歩く
箱根にブナの木が残っていた!

箱根湯本…宮ノ下-《バス34分》-箱根町〜箱根峠(道の駅)〜海の平〜山伏峠〜三国山〜湖尻峠〜深良水門〜湖尻水門〜桃源台(入浴)-《バス30分》-宮ノ下… 【歩行時間: 4時間30分】
 → 国土地理院・地図閲覧サービスの該当ページへ


  西丹沢の山へ行く予定だったのだが、昨日の台風9号の影響で沢が増水して渡渉ができないという。 テルテル山岳隊のH隊長が急遽予定を変更して選んだのが、もう少し足を伸ばした箱根のこのコースだった。 当日、出かけてしまってからのドタバタだったので地図も予備知識も何にもない。 ただひたすらH隊長の後をついていくだけの我々4人の隊員と今回ゲスト参加の私の妻だった。

  終着の箱根町バス停から歩き出したのは既に午前10時頃だった。 駒形神社や石仏群の脇を通り、足の速いH隊長を見失わないように必死で追いかけて、石畳の古式ゆかしい坂(風越坂→向坂→赤石坂→釜石坂→挟石坂)を登り詰めると再び箱根旧街道(国道1号線)へ出て、右折して「道の駅」のある箱根峠へ出る。 そして(箱根外輪山周廻歩道の)道標に従って左折する。 芦ノ湖西側の箱根古期外輪山を縦走するこのコースは神奈川県と静岡県の県境に位置し、自動車専用道路(芦ノ湖スカイライン)とずっと平行して続いているようだ。
  ヒノキ林を抜け、雨露に濡れたハコネダケ(当地に多く自生するシノダケの一種)をかき分けながら尾根道を北進する。 先頭のHリーダーは“露払い”で全身びしょびしょだ。 足元にはキンミズヒキ、アキノキリンソウ、マツムシソウ、ツリフネソウ、ノコンギク、ヒヨドリバナ、アザミ類、ヤマホタルブクロ、ワレモコウ、ヤマジノホトトギス、などがひっそりと咲いている。 周囲には株立ち状のアブラチャンやアセビなどの低木・小高木が目立つ。 ススキの原も通り抜けるが、霧が出ていて富士山などの景色が見えないのが何としても残念だ。
  山伏峠を通り過ぎて暫らく進んだ辺りから林相が一変して、かなり自然っぽくなってくる。 毒があるのでシカが食べないアセビ(常緑広葉樹)も交ざるけれど、その殆どはケヤキ、ブナ、カエデ類、シデ類、リョウブ、ヒメシャラ、ミズナラ、マユミなどの落葉広葉樹の森が続くのだ。 これには驚いて感動した。
  三国山付近のブナはゴツゴツとした樹形の大木(老木)が多く、これが何と全部(イヌブナではなくて)本ブナなのだ。 このコースに関する予備知識が全く無かっただけに、それは息が詰まるほどに嬉しい誤算だった。 …温暖化などの原因か、流石に若木(ブナの後継樹)は育っていないようだが…、箱根に…、ブナが、未だこんなに残っていたんだ!→コラム欄へ
  コース最高峰の三国山の山頂には3等三角点1101.8mの標石があるが、樹林に囲まれていて展望は無い。 山名の通り三国境(相模、駿河、伊豆)に位置している。 静かでこじんまりとした、好ましいロケーションだった。
  下りの山道にも台風一過の枝折れや倒木がたくさんあって、少し歩きにくいが、それはそれで面白い山歩きができた。 強風で落ちた新鮮な葉っぱが地面を覆っている。 檜林ではヒノキの葉が、広葉樹林では様々な広葉樹の葉が、鮮やかな緑色の絨毯(じゅうたん)のようになって、ふわふわと夢見心地の周廻歩道だ。
  この道はこのまま真直ぐに進むと箱根外輪山最高峰の金時山へ続いているが、日も傾いてきたことだし、今回は湖尻峠で右折して下山の途につく。 悔しいかな、この頃から霧が晴れだして、木々の間から芦ノ湖やその対岸の神山や駒ヶ岳などが見えてきた。
  自然林からヒノキ林、スギ林と、滑りやすい石畳の道を下り、芦ノ湖西岸歩道 と合流してなつかしい湖畔の道へ出る。 深良水門、湖尻水門、キャンプ村を経てロープウエイ駅や遊覧船の乗り場がある桃源台に着いたのは午後4時近かった。 アップダウンのある意外と歩きでのあるコースで、ほどよい山の疲れが心地良い。 マイカー登山などで周遊コースをとる場合には、ここから遊覧船(海賊船)に乗って箱根町へ戻るのも楽しいかもしれない。
  桃源台に離れて建つ「箱根レイクホテル」の風呂で山の汗を流し、缶ビールで“打ち上げ”をしてから帰路につく。 …週末なので箱根名物の交通渋滞が懸念された。 そこで一計を案じ、小田原駅前や箱根湯本駅前などを利用せず、行きも帰りも路線バスは箱根登山鉄道の宮ノ下駅を起点にしたが、これは大正解だったようだ。 渋滞ストレスもなく、丸一日を楽しく過ごすことができた。

* ガイドブックや道標の一部などには「外輪山周回歩道」と書いてありますが、箱根町側の登山口に設置された地元作成の案内板には「外輪山周廻歩道」となっていました。 周廻のほうが“らしい”と思うので、本頁ではそのように表記しました。

箱根レイクホテル 箱根レイクホテル: 箱根の芦ノ湖の北岸(桃源台)に建つ小田急系列の民営国民宿舎。 日帰り入浴ができるので、芦ノ湖西岸歩道や外輪山周廻歩道(本コース)などのハイキングの際に立ち寄るにはもってこいだ。 “5月には窓の外でシャクナゲの花がお出迎えします” という天然温泉「シャクナゲの湯」は、清潔な感じの石タイル貼りの大浴場だ。 泉質については天然温泉(弱アルカリ性の単純泉)ということだが、その真偽は定かではない。 多少ヌルヌル感があったので、まんざらの“食わせ物”ではないようだ。 (多分)循環加熱だが、それらを何も(パンフレット等で)隠さなくてもいいと思うくらい、しっかりとしたいい風呂だった。 日帰り入浴の利用時間は午前11時から午後4時まで、とのことだったが、この日は4時を少し過ぎて入館した私たちを快く迎え入れてくれた。
  箱根レイクホテルのHP

けっこうな迫力です!
三国山の大ブナ
前方は丸岳などへ続く箱根古期外輪山の山並
間もなく湖尻峠へ


再び 箱根外輪山周廻歩道(三国山) 平成27年11月21日 晴れ

山伏峠のピークで集合写真
山伏峠のピークにて
アサギマダラが飛んでいました
  山の仲間たち山歩会と同コースを歩いてきました。 お天気に恵まれて、芦ノ湖や対岸の駒ヶ岳などの近隣の山々はもちろんのこと、富士山もよく見えました。
  この外輪山周回歩道は、芦ノ湖スカイラインが近くを並行して走っているので、ときたま自動車やバイクの音が煩く聞こえてきたりするのが若干スポイルされるところですが、なだらかなアップダウンの整備されたきれいな山道で、距離もボリュームも展望も充分な、とてもよいコースだと(今回も)思いました。 背の高いササ(ハコネダケ)の生い茂る道や枝を横に広げたブナの老木が点在する自然林など、やっぱり箱根は良い処だなぁ、を感じさせてくれるのも嬉しいです。
  紅葉は殆ど終わっていて…、だから人影が少なかったのもよかったです。 枯れ葉の絨毯を歩く…、散紅葉(ちりもみじ)の風情も充分に味わいました。 咲き残ったマツムシソウが案外ときれいで、リンドウやアザミの類もよく咲いていました。

  佐知子の歌日記より
 芦ノ湖は青空うつしおだやかな水面に白い船を浮かべる
 昔から不動のスターの座におわす 秀峰富士を眺めつくせり
 紫のマツムシソウやリンドウが足元かざる箱根外輪山


ススキと富士山:海ノ平から撮影
外輪山周廻歩道から富士山を望む
山頂部の北側(右側)のほうが雪が多いネ
この茶屋ではヤギやニワトリを飼っているようです
山伏峠の茶屋の脇で大休止
何故かヤギが…

森林インストラクターのTamuです*** コラム ***
太平洋側のブナと日本海側のブナ

  箱根や丹沢や伊豆・天城山などの太平洋側に生きるブナは、日本海側のブナとは風貌を異にしています。 雪が殆ど積もらない冬の乾燥から身を守るために(=蒸散量を少なくするために)、太平洋側のブナは葉が厚くで小さいのです。 太平洋側のブナをコバブナ、日本海側のブナをオオバブナと呼んで区別する所以です。 スタイル(樹形)にも違いがあり、太平洋側のブナはこの三国山のブナのようにゴツゴツとしていて無骨な感じで、根本近くから太い枝を四方に伸ばすなど、自由奔放に展開しています。 一方、日本海側のブナはスマートな樹形をしていますが(積雪の重みに耐えるための)粘り強さは太平洋側のブナよりもずっと勝っています。 (雪に対する)耐性が他の多くの樹種よりも勝っているので、日本海側のブナは純林をつくりやすいのです。 それに対して、太平洋側のブナは温帯性の様々な樹木と共存している、という違いもあるようです。 雪が降るか降らないか、などの気候風土の差が(ブナの)森の風景を変えている、というのが面白いと思います。
  「日本の森列伝・米倉久邦著」などを参考にして記述しました。

太平洋側のブナ(コバブナ)
ゴツゴツした箱根のブナ
箱根・三国山のブナ(撮影:H27年11月)
ゴツゴツとしていて無骨な感じです。
日本海側のブナ(オオバブナ)
すらっとした白神山地のブナ
白神山地のブナ(撮影:H21年7月)
すっきりとしたスタイルです。

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