No.268 神武寺から鷹取山
平成21年11月29日 高曇り

鷹取山・略図
意外と紅葉が美しい!
くてくてい… 私達の里山コース

京浜急行線・神武寺駅〜逗子中学校脇〜神武寺〜鷹取山139m〜磨崖仏(往復15分)〜京急田浦駅 【歩行時間: 2時間20分】
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  子供の頃、遠足などで何回か歩いたことがあるし、私達の子供がまだ小さかった頃、家族ハイキングをしたこともある懐かしい山が三浦半島の鷹取山(たかとりやま・139m)だ。 最近では、今年の8月に三浦アルプス縦走のついでに東逗子からのコースで歩いている。 そのときは私の単独行で 「鷹取山が意外によかったよ」 と妻の佐知子に話して、何時か二人で行ってみようと思っていた。 しかしいざその段になると、山歩きとしてのボリュームの貧弱さが気になって、結局他の山へ足を運んでしまっていた。 鷹取山は…、そうなのである。 三浦アルプス山行などの“おまけ”で歩くか、ある日突然思い立って(半日の予定で)歩いてみる小さな山なのである…。
  晩秋の日曜日、東京都大田区の自宅でのんびりと朝食を摂っているときに、ふと思いついたのが鷹取山ハイキングだった。 ここ数週間というもの持病の膝痛が出てしまい、なかなか山歩きができないでいた私にとっては、それ(近所の低山ハイク)は絶妙のリハビリであり光明でもあった。 家事や両親の介護に追われる佐知子も 「半日だったら…」 とついてきた。
  11月下旬を晩秋というのか初冬というのかは私にとっては難しい問題だが、三浦半島のこの日はまさに“秋の盛り”だった。

神武寺の裏参道(池子参道)
紅葉の沢道

三浦半島八景に選ばれている
神武寺の晩鐘

赤い帽子とエプロンが可愛らしい
六地蔵

樹齢約400年のホルトノキ:かながわの名木100選
なんじゃもんじゃの木

凝灰岩の採石跡
山頂部の岩峰

けっこうでかい!
磨崖仏
  京浜急行線の神武寺(じんむじ)駅から私達夫婦が歩き始めたのは既に午前10時近くになっていた。 それでも時間的な余裕は充分すぎるほどあるので 「コンビニに寄らないで(昼食のお弁当は持たないで)行きましょう!」 ということにした。 天気はそれほど良くなく、ちょっと寒い日だったが、歩き出すとウキウキしてくるから不思議なものだ。 あちこちでヒヨドリが盛んに鳴いている。
  随分と変わってしまった町並みに思い出のかけらを探しながら、道標に従って右折して逗子中学校の脇を進む。
  老人ホーム「せせらぎ」の裏手から山道になるのだが、この沢筋の紅葉が素晴らしかった。 カシやツバキなどの常緑樹に交じったイロハモミジが特に色鮮やかだ。 思わず 「うわ〜!」 と感嘆符。 これは予想していなかっただけにインパクトがあった。 この段階で、佐知子はもうすっかり鷹取山のファンになってしまっている。 まさかこの日この山でこんなにステキな紅葉を、まるで深山の渓谷を歩いているような気分で見ることができるなんて、思ってもみなかった。
  稜線へ出ると道はなだらかになり、東逗子方面からのハイキング道を合わせ、ひっそりとした神武寺の境内へ入る。
  この神武寺へ至るルートについては、私達が西側の京急神武寺駅から登ってきた沢コースは裏参道(池子参道)で、南側のJR東逗子駅からの尾根コースが石階段の多い表参道になる。 まぁ、人それぞれ、好き好きだとは思うけれど、山歩きとして比べた場合、私達夫婦は迷うことなく今回の裏参道コースに軍配を上げた。
  神武寺は奈良時代に行基によって開かれた古刹とのことで、広い境内付近の森は「かながわの美林50選」にも選ばれている。 植林されたスギやヒノキも少し交じるけれど、凡そは当地の天然林(雑木林)の典型のようだ。 つまり、アカガシ・スダジイ・ヤブツバキ・シロダモなどの照葉樹(常緑広葉樹)と、コナラ・クヌギ・ヤマザクラ・エノキ・アカメガシワ・モミジ類などの落葉広葉樹のせめぎ合う森の姿が随所で観察できる。 林床は、これも平凡なアオキやアズマネザサなどだ。 “平凡”というのは人の目や心を疲れさせない。 平凡な自然というのは、ありそうで案外と少ないのだ。
  神武寺の境内を進むに従って…、今は立ち入り禁止の拝殿(本堂)、赤い帽子とエプロン姿が可愛らしい六地蔵、三浦半島八景のひとつにもなっている晩鐘(鐘楼堂)、立派な山門のある薬師堂、その薬師堂前の広場にある「なんじゃもんじゃの木(実は樹齢約400年のホルトノキ)」…、などと次から次へと見所があって飽きない。 逗子市教育委員会の解説板によると、この周辺の渓谷や切通しなどの岩面にはイワタバコやイワトラノオなどの岩隙植物を見ることができるという。 私達はこのときは立ち寄らなかったが、近くの墓地には「みろくやぐら」と呼ばれる中原光氏銘のみろく石仏もある。
  薬師堂の左奥からハイキング道は続いている。 少し登って奥ノ院を通過。 岩っぽい箇所がけっこうあって、クサリ場なども出てくるが、慎重に歩いていれば膝痛の私でも問題はない。 展望箇所も随所にあってなかなか素敵な尾根道だ。
  時たますれ違うハイカー(?)は、そのほとんどがリュックザックを背負っていない。 ご近所のご隠居さんがカラ身で散歩している、といった風だ。 ザックに軽登山靴と、何時もの登山姿の私達はちょっと浮いている感じだ。
  広く開けた鷹取山の山頂部へ着いたのは11時10分頃だった。 切り立った岩壁で練習をしているクライマーたちを見物しながら、あちこちをウロウロした。 それからおもむろに360度が開けている展望台へ上がってみた。 生憎の曇り空だったので富士山や丹沢・箱根の山々などの遠望はできなかったけれど、都心や横浜方面の風景や二子山・阿部倉山などの三浦の山々の近景を楽しむことができた。 横須賀湾や観音崎灯台辺りの先、つまり東京湾の彼方にはぼんやりと房総の低い山並みも見えていた。
  トイレもジュースの自動販売機もある山頂公園内のベンチに腰掛けて、サーモスの熱いコーヒーを啜り、煎餅を齧ったり飴玉を舐めたりして多少はエネルギーを補充する。 のんびりと行動したつもりだが、それでもまだたっぷりと時間があったので、左折して追浜方面へ少し進み、磨崖仏(*)を見物した。 昭和40年頃に民間の手で作られた弥勒菩薩像とのことで、私達はこれを見るのは初めてだったが、その大きさにびっくりした。 なんともいえぬ優しいお顔といい、一見の価値はあると思う。
  往復約15分の磨崖仏見物の後は、京急田浦方面への山道をひたすらと、しかしゆっくりと下山する。 コナラやスダジイなどの林はとても気分がよい。 閑静な住宅街に出て、京急のガードをくぐり、大通りを右へ進むと間もなく京急田浦駅の改札口だった。 時計を見ると午後1時を少し過ぎたばかりで、真っ直ぐに帰宅するのもなんなので、駅近くの寿司屋へ寄って遅めの昼食とした。 この寿司屋(すしの御苑)がまた、安くて旨かった。
  こうしてそうして私達夫婦の「安・近・短」の日曜日は、家の中でじっとしているよりはずっといい、アウトドアーの真髄を彷彿とさせる素晴らしい一日になったのだ。


* 鷹取山と磨崖仏: 磨崖仏(まがいぶつ)のある広場に立つ説明板…1977年の横須賀市制70周年記念事業として「横須賀風物百選」を選出した際に作られた…の全文をそのまま書き写してみました。
 『・・・鷹取の地名の由来については、太田道灌が鷹狩りをしたことによるとか、鷹が多くいて鷹をとったことによるとか、いろいろな言い伝えがあります。 また、高いところを示す語に「タカットー」の原意があり、これが「タカトリ」となり、鷹取の文字をあてたものと考えられています。
  この山の地質は、市内のいたるところで見られる第三期層凝灰岩です。 柔らかで加工しやすいため、家屋の基礎やへい、護岸などの建築土木用材として鷹取石の名称で広く愛用されてきました。
  切り立つ岩の様相は、明治から昭和の初期にかけて、石材を採取したために生じたものです。 この山の容姿が群馬県の妙義山に似ていることから、「湘南妙義」の別称で呼ばれるようになりました。 また、岩肌にある無数の小さな穴は、登山練習のために打ち込まれたハーケンの跡です。
  磨崖仏の弥勒菩薩
(みろくぼさつ)尊像は、逗子市に在住の川口満氏の依頼により、本市在住の彫刻家・藤島茂氏が昭和四十年ごろに製作したものです。・・・』



中央右奥は二子山
画像をクリックしてみてください。大画面ですよ〜
鷹取山山頂(親不知)の展望台からの展望(東面)

神武寺から鷹取山へのハイキング道にて
クサリ場を通過
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画像をクリックしてみてください
鷹取山公園から横須賀方面を望む



鷹取山公園にて再び・神武寺から鷹取山へ

  平成22年1月23日(快晴): 快晴の冬、「山歩会」の仲間たちと再び鷹取山を訪れました。 恒例の“新年鍋山行”です。
  陽だまりの山頂部広場の一角に陣取って、3台のコンロを使って具沢山のきのこ鍋をみんなで囲みました。 月例山行においてアルコール類はご法度ですが、新年山行だけは“解禁”です。 心配していた風はお昼には止み、上着を脱ぐメンバーもいたほどの、絶好のコンディションでの“大宴会”でした。 山頂部には水場もトイレもあるので、“鍋山行”にはもってこいのロケーションだと思います。

山頂の展望台にて  平成23年10月30日(高曇り): 孫たちを目の中へ入れて山歩きをしてきました。 もとい、孫たちと鷹取山へハイキングに行きました。 小二のお姉ちゃんも年中さんのボクも、樹上を走り回るタイワンリスに出会ったり、ヤブニッケイの葉っぱの香りを嗅いだり、アカガシのどんぐりを拾い集めたりして、楽しく最後までしっかりと歩きました。
  山頂部では展望を楽しんだり、岩場で遊んだり、コンロに火をつけて肉と野菜をたっぷりと入れた寄せ鍋を作ったりしました。 生まれて初めてハイキングの経験をした孫たちにとっては、この日のすべてが“大冒険”でした。
  孫たちのお母さん…、つまり私達の長女は、昔(彼女が彼女の子供たちの年ごろのこと)私達と歩いたこの鷹取山をすっかり忘れていました。 その長女にとっても妻の佐知子にとっても、癒しの一日になったことだと思います。 もちろん、この季節恒例のギックリ腰にひーひー云っている私にとっても…。
  シロヨメナやタイアザミが今を盛りに咲いていた、里山の素晴らしい秋でした。

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