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No.269 鳥ノ胸山1208m
平成21年(2009年)12月27日 薄晴れ マイカー利用

鳥ノ胸山・略図
「道の駅どうし」の駐車場から鳥ノ胸山を望む
「道の駅」から鳥ノ胸山

若いブナです
ブナが育っている!

バックは御正体山。左奥に富士山(見えるかなぁ〜)
鳥ノ胸山の山頂

名前の通り雑木に囲まれている
雑木ノ頭

樹林の隙間から双耳峰の鳥ノ胸山を望む
振り返って見る鳥ノ胸山

夏場はプールになるとか
大池


道志川を見下ろす静かな峰

《マイカー利用》 …中央高速道・富士吉田線 都留I.C-《車30分》-道の駅どうし〜グリーンロッジ〜鳥ノ胸山1208m〜雑木ノ頭1140m〜道志ノ森キャンプ場・大池〜道の駅どうし-《車10分》-道志川温泉(入浴)-《車50分》-中央自動車道相模湖I.C… 【歩行時間: 3時間20分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


  もはや年末の恒例になってしまった感があるが、家事で忙しそうな妻の吊り上った目を気にしながら、心を鬼にして(年末の家事をサボって)、単独で、富士山の見える山へ出掛けてみた。
  今年の歩き納めの山は西丹沢の奥深い処、裏丹沢というエリア分けをする人もいるようだが、道志渓谷にも程近い鳥ノ胸山だ。 「とりのむねやま」とも「とんのむねやま」とも読むらしい。 「道志の湯」にも近いし、登山口から山頂までの標高差がそれほどでもなく(約500m)、深い山の割には簡単そうだったので、前々から気になっていた山でもある。 公共交通の便がちょっと悪いが、それをマイカー利用でカバーした。
  はたしてこの山は、首都圏からの日帰りドライブ&ハイキングによい、地味で趣き深い山だった。

  ゆっくりと自宅を出て首都高から中央自動車道へ入る。 カーナビの“目的地”を「道の駅どうし」に設定してあるマイカーは、めずらしく朝の渋滞にも遭わず順調に走る。
  相模湖I.Cで降りたほうが目的地に近いと思っていたのだが、カーナビはそこでは降ろしてくれない。 相模湖I.Cを通り越し、大月ジャンクションを左へ進み富士吉田線へ入り、都留I.Cからのルートを彼(カーナビのこと・“彼女”かもしれないが…)は選んだようだ。 ウィークデーだったら私は怒り狂って彼を怒鳴りつけていたところだが、日曜日なので高速料金は全然安い。 だから私の心は終始穏やかだった。 たくさんガソリンを使いなさい(地球温暖化なんて気にするな!)、と云わんばかりの最近のわが国の政策に感謝すべきなのか、はチト難しい問題だ。 ところで、鳩山総理が公言した“25%の温室ガス削減”ってとてもいい提案だと思うけど、本当に大丈夫なのかなぁ…。
  都留I.Cからは道志二十六夜山登山御正体山登山の際などに利用した懐かしの「山梨県道24号・都留道志線」を通り、道志渓谷を走る国道413号線へ出て右折して、「道の駅どうし」の駐車場に車を止めた。 道志川を挟んだ対岸の頭上には目的の鳥ノ胸山が案外の近さで三角錐に聳えている。 わくわくしながら支度して、歩き出したのは午前10時近くになっていた。
  まず裏手の吊り橋(かっぱ橋)で道志川を渡り、シカ除けだろうか、2つのフェンスをくぐる。 閑散としたキャンプ場(グリーンロッジ)を左右に見ながらアスファルトを上ると、やがて登山口の案内板が出てきて、そこから山道へ入る。 辺りはスギの人工林にコナラ、クヌギ、シデ、アオハダ、ホオ、アカマツなどの雑木林が交じる、よくある里山の林相だ。 高度を上げると、スギはやがてヒノキやカラマツへ移行し、雑木林にはミズナラやオオモミジやハリギリなどの自然っぽい樹種が目立ってくる。 林床の主はスズタケだ。
  冬枯れの木々の隙間からは近くの山々が見え隠れする。 東面には加入道山1418mを従えた大室山1588mが室久保沢を隔てて大きく聳え、北の方向には道志渓谷を隔てて今倉山1470mや菜畑山1283mなどの道志の山々が連なっている。 一応軽アイゼンはザックに入れてあるのだが、まったく必要はないようだ。 汗ばんできたので着ていたセーターを脱ぐと、冷たい風が身体の中を通り抜けて気持ちよい。
  もう山頂も近い稜線上だっただろうか、落葉で樹種を想像しながらゆっくりと歩いていたら、いつの間にかブナの葉っぱが多いのに驚いて、立ち止まって辺りを見回してみた。 やや細身だったけれど、たくさんの本ブナがミズナラやカエデ類などといっしょに“自然林”を形成しているのだ。 予想していなかっただけにこれは感動だった。 “細身”ということは比較的最近(10年〜50年前頃?)に芽生えたブナ、ということになる。 地球温暖化などの影響で、もはや後継樹は育たないと云われている丹沢でも、これほど北の奥になるとまだブナは育つんだな、と思った。
  鳥ノ胸山の小広い山頂(北峰)は西面が開けていて、中央の3等三角点の標石の近くには4〜5人の男女のパーティーが休憩(宴会?)をしていた。 私も片隅に陣取って、コンビニのおにぎりで昼食にした。 そっとザックに入れてきた小さなミカンも食べ終わってから、辺りをぶらぶらと歩き回った。 近くの御正体山1682mや菰釣山1379mが大きいが、なんといってもその中間の奥に位置する白銀の富士山が青空に映えて馬鹿でかい。 もっとくっきりと晴れ渡っていれば南アルプスの一角も望めるらしい。 東側はヒノキ林で、その隙間からは丹沢の山々も見えている。 私のメモには “山頂部の樹種はヒノキ、ミズナラ、ブナ、シデ、リョウブ、アカマツ、モミ、等。落葉はブナが多い。” と書いてある。
  しかし、延々と続きそうな宴会中の男女パーティーに遠慮して、早々に山頂を辞した。 少し下って登ると樹林に囲まれた南峰のピークで、ここはあっさりと通り過ぎる。 それからなだらかにアップダウンして、鞍部から登り返した細長いピークが雑木ノ頭1140mだった。 ここで一息入れて振り返ると、双耳峰とはっきり分かる鳥ノ胸山が雑木の隙間から見えている。
  道標に従って道志ノ森キャンプ場への道を下る。 今回の周回コースは殆どが尾根道で、急坂はジグザグしないで真っ直ぐに進む、というのが特徴だ。 その急勾配の箇所にはトラロープが張ってある。 落葉で道が隠れているので、道標の赤テープなどに注意しながら、ヒノキ林〜雑木林〜スギ林、と、“行く年”を惜しむようにゆっくりと下った。
  ドスンと林道へ出てから道は平坦になる。 夏場はプールになるそうだが、三ヶ瀬川(道志川の支流)へ注ぐ東沢の流水を集めた「大池」の左側を進み、落合橋を渡る。 流れる水は清らかで、心が洗われる思いだ。 この辺り一帯が道志ノ森キャンプ場になっているようで、別荘地なども通過するが、今はシーズンオフで何処も彼処もひっそりとしている。 それにしても…、この地域はキャンプ場の多いところだ。
  正面(北の方向)に今倉山や菜畑山などの道志山塊の峰々を望みながら山里の谷を下り、道志川を渡って「道の駅どうし」に戻ったのは午後2時15分頃だった。
  予想以上に“軽い”山行で、心と身体に負担の少ないトレイルだった。 おまけに富士山展望もできて、今年一年をじっくりと総括(歩き納め)することもできた。 膝痛と腰痛の今の私には、単独行としては、この程度の山が限界であるとも思った。 体調が悪くても、家庭事情が悪くても、歩くことのできる山がこの国にはたくさんある。 「山」って本当にいいものだ、と、しみじみと思う。
  しかしさて、これから近くの温泉入浴を楽しんでから家路につくのだが…、帰宅後の妻の、私に対する“仕打ち”が恐怖だ。 「道の駅どうし」で当地特産のクレソンや妻の好きな干し柿を買って帰ろう!

* 鳥ノ胸山の山名の謂れについて: 「ヤマケイ・アルペンガイドJ・丹沢(2002年5月初版)」の該当項には次のように記されている。 ⇒ 『トンノムネとは奇妙な山名であるが、「甲斐国志」には殿群山とあり、この付近の雄峰、大群(室)山に付き従うという意味合いだろうか。このトノムレがなまって「鳥ノ胸」の字が当てられたのではなかろうか。』

道志川温泉「紅椿の湯」 道志川温泉「紅椿の湯」: 鳥ノ胸山の下山後は近くの「道志の湯」で山の汗を流すつもりだったのだが、この日(12月27日)が今年の営業最終日で15時まで(冬季の通常は20時まで)の営業とのことだった。 着いたのがその15分前だったのできっぱりとあきらめて、そこから北へさらに10分ほども車を走らせて、同じ道志村にある「紅椿の湯」へ立ち寄った。
  「紅椿の湯」は宿泊もできる民営の温泉施設。 建物や設備などは立派で、よく管理されているようだった。 入浴料金は1,000円(3時間)だったが、村営の「道志の湯」の500円(2時間)と比べて割高感がある。 “地下1500mより湧き出た自噴温泉”という風呂はとてもよかった。 泉質はカルシウム・ナトリウム硫酸塩泉(PH9.03)。無色透明で殆ど無味無臭。 加温、掛け流し。 岩風呂風の露天風呂からは道志川の深い谷が望める好ロケーション。 大きな3つの内湯など、それぞれ湯温の違う浴槽を選べるのもリッチな気分だ。
 * 「道志の湯」については拙山行記録の菰釣山の項を参照してみてください。
  道志川温泉「紅椿の湯」のHP

* 「紅椿の湯」から東京への帰路について、カーナビは中央自動車道・相模湖I.Cへのルートを選んでくれた。 行きの富士吉田線・都留I.Cからの峠道(都留道志線)もいい感じだったが、帰りの谷間に沿った「道志みち(国道413号線)」も、辺りの山々を眺めながらのステキなドライブを楽しむことができた。



左手が菰釣山で右手が御正体山
 “道志みち”の彼方に…(鳥ノ胸山の山頂から富士山を望む)

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