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No.287 高松山801m(丹沢前衛)
平成23年(2011年)5月18日 薄晴れ

高松山・略図
摘み終わって間もない田代の茶畑
茶畑を通過

ギフチョウの食草です
カンアオイ

由緒ある峠です
尺里峠にて

まだ新緑がきれい!
広い尾根道を登る

もゎ〜っとしていたものですから・・・ (^_^;)

スギの大木と馬頭観音
ビリ堂でも小休止


友情をやさしく包み込む山

小田急線新松田駅-《バス20分》-田代向〜尺里峠〜高松山801m〜ビリ堂〜尺里・高松山入口-《タクシー8分》-新松田駅…鶴巻温泉「弘法の湯」(途中下車・入浴)… 【歩行時間: 4時間15分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


  今年の1月に単独で、丹沢の南に位置するシダンゴ山758mに登っているが、今回の山はその更に南に聳える高松山801mだ。 健脚な人なら両山を1日で難なく歩き通してしまうかもしれない。 言い訳に聞こえてしまいそうだが…、それぞれの山にそれなりの個性があるので、この西隣の大野山723mも含めて、1座1座を丁寧にゆっくりと歩いてみるのも一興だと思う。 常日頃の鍛錬不足や運動不足の私にとっては、悔しいかな、それがちょうど適量の日帰りハイキングコースでもあるのだが…。
  運動不足の中高年ハイカーは、じつは私の身近にもけっこういる。 血圧の状況がイマイチ芳しくない長老のSさんと、病み上がりのHさんご夫妻と、少しメタボのT君だ。 そんな、同病相哀れむ的な山仲間4人と、田代向のバス停から道標に従って歩き始めたのは午前9時30分頃だった。
  里ではハリエンジュ(ニセアカシア)の白い花が満開で、辺りの山腹にはやはり白花のミズキが際立っている。 コゴメウツギなどのウツギ類も満開で、薄紫色のキリやヤマフジの花が所々に彩りを添えている。 まさに「夏はきぬ」である。
  茶畑を眺めながら舗装道を歩いたり、ショートカットの山道を歩いたりして、徐々に高度を上げる。 神奈川県のこの地域は有名な足柄茶の産地なのだ。
  尺里(ひさり)峠の辺りまではスギの植林地帯がメインだ。 ショートカットコースを歩いているとき、野草に詳しいH夫人が、エビネ(ラン科)が咲いているのを発見して狂喜した。 盗掘が原因で絶滅が危惧されているあのエビネだ。 その場所を特定するような書き方はできないが、片側が少し荒れている明るい雑木林で、林床に微妙に陽の当たるロケーションだった。 その近辺にはカンアオイの小群落も点々と続いている。 Hさんが 「教養のある人はすごい!」 と夫人をからかっている。 メカには強いが植物に疎いT君は終始無口で感心したふりをしている。 食材になる野草に興味のあるSさんが 「それって食べれる?」 と聞いている。 金子みすずじゃないけれど 「みんなちがって みんないい」 と思った。
  尺里峠(虫沢峠)からは舗装道を左へ見送り、丸太階段を少し登ると馬頭観音のある小広場で、ここからが尾根伝いの本格的な山道になる。 いつしか植林の樹種はスギからヒノキへ移り変わり、コナラやアブラチャンなどの雑木も交じってくる。 高度も上がってきて冷気が肌に心地よい。 足元にはミミガタテンナンショウが不気味に咲いている。 フタリシズカやナツトウダイはきれいに咲いている。 同定の面倒臭いツチグリやヤマブキソウなどの黄色い小花もあちこちに咲いている。 葉だけのトリカブトは夏が終わるのをじっと待っている。 所々ササも茂っていたが、背の高いのはクマザサで、低いのはミヤコザサだ。
  鎖に守られたコンクリート造りの階段を登りつめると、標識と2等三角点の標石が控えめに立つ高松山の広い山頂だった。 ノシバ(?)の上に座り込んで数組のパーティーが休憩している。 北面にはシカ避けの柵が張られ、その奥がヒノキ林になっているので展望はないが、南・西面は木々が伐採されていて大きく開けている。 天気は良かったのだが、この季節の常として景色はもゎ〜っと霞んで、箱根の山並みや松田や小田原の街並みが辛うじて見える程度だ。 残念なことに、富士山方面ももゎ〜っとしている。
  私たちも山頂の片隅を占領して、車座になって大休止だ。 シカの糞を気にしながらお弁当を食べる。 食後の話題は例によって「年金」と「病気」と「介護」について…。 私たちはいつの間にか立派に老人の仲間入りをしていたのだ。
  一段落してから山頂部の樹木などをざっと観察してみた。 ヒノキの他に伐り残されたのはマユミ、サンショウ、アブラチャンなどで、それらがカヤトの原にポツンと生えている。 淡黄色の小花(正確には萼筒)をたくさん咲かせているのはナツグミだ。 北側の足元にはナツトウダイが群れている。 …しかし、しまった! 話や植物観察に夢中になりすぎて、山頂で写真を撮るのを忘れてしまった。
  山頂を辞したのは13時40分頃、まずヒノキ林の急坂を下る。 30分足らずで「ビリ堂」と呼ばれる感じのよい小平地へ出る。 ここにも馬頭観音が2体祀られている。 「荏畑 SKY CAMP」なる文責による案内板には 「ビリ堂のいわれ由来は、一番びり、最後にある観音堂のため…」 と書かれてあり興味深かく読ませていただいた。 傍らにある蛇口をひねると出てくる水(ビリ堂水)は、太田沢水系の湧水を引いたものとのことで、それほど冷たくはなかったが、美味しい水だった。 なお、同案内板には 「(高松山は)花の百名山(田中澄江)の一つになっており…」 と書かれてあったが、これは間違いと思われる。 田中澄江さんの「花の百名山」にも「新・花の百名山」にも「高松山」は出てこない。 以前NHKでやっていた番組と勘違いされているのかもしれない。
  和気藹々とスギ林を下る。 眺めのよい鉄塔下辺りからは天然林(雑木林)が多くなり、カシ類などの照葉樹も多くなる。 舗装道(林道)へ出てからは里の風景を楽しみながらのんびりと歩き、尺里川に沿って東名高速道の下をくぐると高松山入口のバス停だった。 15時44分発の新松田駅行きバスが出たばかりだったので、携帯電話でタクシーを手配した。 5人で割ると一人分のタクシー料金は約400円だ。 グループ登山にはそんな良さもある。
  小田急線の新松田駅からの帰路、途中下車して鶴巻温泉「弘法の湯」で“打ち上げ”をしたのだが、ここでも病気や介護の話で盛り上がってしまった。 とどのつまり、とても楽しくて癒された一日で、終始「山の気」が私たちの友情をやさしく包み込んでいた。

鶴巻温泉「弘法の里湯」については当サイトの「夏の鍋割山」を参照してみてください。



果実も見えています:毒草ですよ
ナツトウダイ(トウダイグサ科)
盗掘による絶滅が危惧されています
エビネ(ラン科)
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