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No.342 百蔵山(ももくらさん・1003m)
平成27年(2015年)12月17日 晴れ:小春日和

登路(下和田)から百蔵山を望む
百蔵山の略図
登山口の少し手前から撮影
振り返って富士山を仰ぐ

山の神登山口
(謎の)和田美術館

アカマツの純林です
山稜のアカマツ林

茶色く黄葉しているのはカシワ
百蔵山の山頂

正面が扇山です
扇山分岐(下山路)

下山路にて
小さなお地蔵さま

アカマツの多い山だった
南面は素晴らしい展望で、懐かしい山々が無数に重なり合っている…。

JR中央本線猿橋駅〜大月市営総合グラウンド〜山の神登山口(西ルート登山口)〜福泉寺分岐〜百蔵山〜東ルート登山口〜百蔵浄水場〜市営総合グラウンド〜猿橋駅 【歩行時間: 3時間40分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ


 高尾駅で乗り換えて、猿橋駅で降りたのは午前8時42分だった。駅のホームからは(北面に)これから登る百蔵山がで〜んと横たわっているのが見えている。その右手の奥には懐かしの扇山(おうぎやま・1138m)も聳えている。ここから眺めると百蔵山のほうが横長の扇形に見えていて、扇山のほうが尖がって(三角形に)見えている。見る角度の違いだとは思うけれど、東隣りの鳥沢駅付近から望む百蔵山と扇山の形がまるで正反対に見えるのが、なんか面白いなぁ〜。…などとのんびりとはしていられない。猿橋駅前から間もなく出発するはずのバスに乗らないといけないのだ。歩みを速めて北口のバス停へ急ぐ。
 しかしなんかおかしい。5分待っても10分待っても葛野登山口の福泉寺前へ行く(上和田行きの)バスが来ないのだ。標識板の時刻表を調べたら、なんと、メモしてきた8時46分発のバス便が記入されていない。時刻表を写し間違えたか勘違いをしたか…、だろうと踏ん切りをつけて、バスをあきらめて北へ向かって歩き始める。

帰宅してから分かったことですが、私がバスの時刻表をインターネット検索で事前に調べたのは個人サイトで、そのページには 「公式ホームページではありません。参考として下さい。」 と、はっきりと書いてありました。…やっぱり富士急山梨バスの公式サイトから調べればよかった、と後悔しました。公式サイトの時刻表には、もちろん8時46分発の(上和田行きの)バス便は存在していなくて、そのころの便は8時28分発と9時8分発、となっていました。

 駅から歩くのだったら、福泉寺前バス停からのルート(葛野コース)よりは下和田方面からのルートのほうがアプローチが短い。なので、桂川に架かる宮下橋と葛野川に架かる百蔵橋を渡って中央自動車道をくぐってから、(福泉寺方面へ左折せずに)更に北へ向かってアスファルトを上った。前方の百蔵山がますます大きい。左手には独特な岩峰の、あの岩殿山が見え隠れしている。
 大月市営総合グラウンドを右手に見て、その少し先のY字路を道標に従って左折して、更にその先のY字路も(下和田西ルート方向へ)左折する。閑散とした山里の道が細くなってきて、傾斜も強まってくる。まるでスポーツジムのトレッドミル(ウォーキングマシン)を歩いているようだ。既に汗びっしょりで、たまらずにフリースを脱ぐ。道沿いの狭い畑の畔には何故か、早とちりのホトケノザがきれいに咲いている。
 地形図を読むと猿橋駅の標高が約320mだから、標高差にして280mほども登っただろうか、狛犬にガードされた立派な門構えの(村の庄屋さんといった感じの)建物の脇を通る。…これが謎の和田美術館(一般公開はしていない)だろうか。しかしともかく、ここからようやく山道になった。大月市のサイトからダウンロードした百蔵山周辺のガイドマップではここが「山の神登山口」となっているけれど、その“山の神”が何処にあったのか…和田美術館の裏手にあるそうだが…見過ごしてしまったものか確認できなかった。
 貯水槽の先の沢筋にある小さな水場を通過して、まずはスギ・ヒノキ林の薄暗い急坂をひたすら登る。やがてそれらの人工林を抜け出ると、コナラやクヌギなどの2次林(里山的な雑木林)になってきて、上空が明るくなってくる。開けた箇所から振り返ると、雲のかかった、しかしはっきりとそれと分かる白銀の富士山が、道志山塊の御正体山を前衛にして、その存在を誇示している。
 稜線へ出ると福泉寺方面(葛野登山口方面)からの登山道が左から合流して、そのT字路を右折する。この辺りからは立派なアカマツが多く、殆どその純林が続く。思わずきょろきょろしてしまうが、松茸の季節はとうに終わっているし、第一そんなに簡単に見つかるはずがない。樹林の隙間からは左手(北面)に南大菩薩や奥多摩の笹尾根や近くの権現山1312mなどの山影が見え始め、右手(南面)には相変わらず丹沢や道志や御坂の山々が見えている。
 三等三角点の標石や百蔵大明神遺跡の石碑や大月市秀麗富嶽十二景の解説板のある百蔵山の小広い山頂に着いたのは午前11時20分だった。大きく開けた南面は素晴らしい展望で、中央本線の走る大きな谷を隔てて懐かしい山々が無数に重なり合っている。小春日和の薄靄のせいで峰々の輪郭がぼやけていることもあるけれど、それらの1座1座をはっきりと同定するのは至難の業だ。北面はアカマツやカシワなどの木々が邪魔をして、それらの樹間からのちょい見えだ。富士山は益々雲の中で、これは少し残念だ。植えたと思われる数株のヤマザクラ、だろうか…、地衣類などに凌辱された様子など、樹勢が衰えていて見るも無残な幹や枝が印象に残った。サーモスの熱いコーヒーを飲んで、コンビニのおにぎりとメロンパンを食べてから、さぁ下山開始だ。
 山頂の東の奥からロープ場もある急坂を下る。私としては珍しく少し歩き足りない気がしていたので、扇山へ足を延ばしてみようかとも思ったけれど、気が付いたら分岐を右折して、(下和田東ルートを)ずんずん下っていた。意識と足が別行動をとってしまう私の海馬体は、もしかしてヤバいことになっているかも…と、近い未来がちょっと不安だ。…コナラ林の足元にモミやイヌガヤの稚樹が可愛らしく針葉を広げている。未だ残っているマルバウツギの紅葉が美しく青空に映えている。
 山道が終わって、南側が大きく開けた百蔵浄水場脇のアスファルトを下る。やがて今朝通った分岐に合流して、更にだらだらと下る。駅から歩けるのはいいことだけれど、百蔵山登山の難点はアプローチ(舗装道)が長いことかもしれない。
 猿橋駅に戻り着いたのは午後1時45分頃で、駅前でもたもたしていたら上りの電車が出てしまった。…で、寒風吹きすさぶホームのベンチに腰掛けて約30分間、北面に聳える百蔵山を眺めながら、次の電車を待つことになった。百蔵山はよく眺めると、その中腹辺りまで人家が建ち並んでいて、「あぁ…、あの少し上部が登山口だったんだな」 と理解した。

じつは、下山道を歩いているときに妻の佐知子から緊急のメールが入っていました。恒例のギックリ腰をやってしまって動けないから、夕食の弁当をどこかで買ってきてくれ(つまり早く帰れ!)というメッセージでした。だから、夕方の5時前には(立ち寄り湯をカットして)帰宅した次第です。まぁ、多分、扇山へ足を延ばさずに真っ直ぐに下山したのは結果オーライでした。彼女の容態は思ったほど悪くはなくて、それはそれでホッとしましたが…。

仕切り線

小春日和の百蔵山にて
小楢:ブナ科コナラ属の落葉広葉樹
落ち葉のほとんどはコナラでした。
丸葉空木:アジサイ科ウツギ属の落葉低木
マルバウツギの紅葉が未だ残っていました。
犬榧:イチイ科イヌガヤ属の常緑小高木の針葉樹
イヌガヤの稚樹です。
樅:マツ科モミ属の常緑針葉樹
モミの稚樹です。
懐かしい山々が無数に重なり合っている
百蔵山の山頂から南面を望む(丹沢〜道志〜御坂): 右側の富士山は雲の中

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