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No.360 烏尾尾根から 烏尾山1136m (東丹沢)
平成29年12月6日 快晴

略図
県立秦野戸川公園の一角
まず、風の吊橋を渡る

戸川林道をなだらかに登る
紅葉の残る戸川林道

背面に「文化七年」と刻まれている
烏尾尾根の石仏

バックは三ノ塔
烏尾山の山頂

三ノ塔山頂部の西端にあります
三ノ塔名物のお地蔵さん
ひっそりとしていました
名水はだの富士見の湯


思い出の林道からアプローチ
下山して振り返ると何もかもが楽しい思い出になってしまう…

小田急線・渋沢駅-《バス15分》-大倉〜(戸川林道)〜新茅荘〜(烏尾尾根)〜烏尾山1136m〜三ノ塔1205m〜二ノ塔1140m〜富士見山荘跡・富士見橋公衆トイレ〜ヤビツ峠-《バス35分》-富士見の湯(入浴)-《無料送迎バス10分》-秦野駅 【歩行時間: 5時間10分】
 → 国土地理院・地図閲覧サービスの該当ページへ


  学生時代の冬のホームベースは東丹沢で、週末の殆どを沢登りに費やした。 だから大倉からの戸川林道は私にとってはものすごく懐かしいアプローチ道で、今でもふと机上から目を上げたときに思い浮かべることがある。 …その戸川林道を無性に歩いてみたくなった。
  平衡感覚や体力が超衰えてきている中高年の私だから、沢登りはほとんどロシアンルーレット(6回に1回は落ちて死ぬ)なので、今回計画したのはもちろん一般登山道だ。 で、まだ一度も歩いたことのない烏尾尾根に白羽の矢を立てた。 ときあたかも寒気団が関東地方まで南下しているという、快晴の初冬だった。

  定時の午前7時31分、満員のハイカーを乗せたバスが大倉バス停に着くと、その乗客の大半は(北側の)大倉尾根方面へ立ち去っていった。 ぽつんと取り残されたような寂寞を感じながら、トイレへ行ったりストレッチをやったりして、それからおもむろに南東側の「風の吊橋」へ向かって歩き始める。 この辺りは(20年ほど前からその供用が始まったという)神奈川県立秦野戸川公園の一角で、広々としたとても良い処だ。 …昔は、大倉バス停から大倉尾根登山口方向へ歩き、右に下って滝沢園を通って戸川林道へ出たものだ…、などと早くも私は思い出に耽り始める。
  高さ35m、長さは267mあるという「風の吊橋」を渡ってから、道標に従って左折して水無川の左岸を北へ遡上する。 間もなく滝沢園からの小道が左から合流して、いよいよ懐かしの林道だ。 様々な思い出が次から次へと脳裏に去来して、最近とみに涙腺の弱くなっている私はもう、この段階でウルウル状態になっている。
  まだ残っている紅葉を愛でながら、「丹沢の名水・竜神の泉」の脇を通り過ぎ、ヒゴノ沢を過ぎ、…大倉バス停から1時間15分ほど歩いたころ、前方にプレハブ(飯場?)が見えてきて、その少し先の新茅荘前が広場(駐車場)になっている。 ここが烏尾山(からすおやま)の登山口だ。 セーターを脱いで、サーモスの熱いコーヒーを飲んで、メロンパンを一個食べて、ストックを伸ばして、それから烏尾尾根に取り付く。
  (烏尾尾根は)急勾配だが思ったよりも歩かれているようで、踏み跡はしっかりしている。 ときたま分かりづらい箇所も出てくるけれど、道標の赤テープが導いてくれるし、尾根筋を外さなければまず問題はない。 尾根の右下(東側)は懐かしのヒゴノ沢で、左下(西側)はこれも懐かしの新茅ノ沢だ。 辺りを見回すと(コナラやシデ類などの雑木も少し交ざるけど)その殆どはヒノキの植林地帯だ。 …これは森林インストラクター泣かせだなぁ…。
  立派なヤマザクラが印象的な小広場(一本桜)に丸太のベンチがあって、ここでひと休み。 それから更に登って石仏の脇でも小休止…したのだが、この石仏(青面金剛像の庚申塔かな?)にオーラを感じたのでよく見てみたら、その裏側に“文化七年”と彫られた文字が読み取れる。 文化7年(西暦1810年)といえば相当な昔だ。 何かいわくがありそうで、暫し空想の世界に遊ぶ。
  やがて息も切れてきたころ空が透けてきて、左手の新茅ノ沢からの薄い踏み跡(ガレ場)が合流する。 その(ものすごく懐かしい)沢筋の彼方の、大倉尾根の上空には白銀の富士山が神々しく聳えている。 完全に固まってしまった私は、その場に長いこと立ち尽くした。 …烏尾山の山頂(表尾根の主稜線)はこの少し先にある。
  烏尾山荘が建つ烏尾山の山頂一帯は360度の大展望だ。 東丹沢の主稜はもちろんのこと、相模湾から箱根の山々〜愛鷹連峰〜富士山まで遠望ができる。 風も出てきて寒いのでセーターを着て、さらに(ウインドブレーカー代わりの)カッパの上着も着込んだ。 すると日差しのせいもあって身体がポカポカしてきて、コンビニのおにぎりなど、ゆっくりと美味しくいただけた。 ここでもサーモスの(まだ)熱いコーヒーが絶品だ。
  烏尾山からは踵を返して、例のあのあっけらかんと展望の開けた表尾根を、三ノ塔〜二ノ塔〜と東へ進む。 (誰にも出会わなかった戸川林道〜烏尾尾根と違って)行き交うハイカーはひっきりなしだ。 三ノ塔の山頂からは富士山の右手に(これも白銀の)南アルプスの一角も展望できたりして、この尾根歩きはまったく快適だ。 人気があるのも頷ける。

* この尾根道の両側では県や市や自然保護ボランティア団体などによる植樹(ブナ、ミズナラ、ヤマハンノキ、ヤシャブシ、ヤマボウシ、ウツギの類などの苗木)が盛んに行われているようです。 この山域を歩くときは何時もそうなのですが、頭の下がる思いがします。 …それが良いか悪いかは全く別の問題だとは思いますが…。
 → 丹沢の自然保護に関する私の拙い考えについては、当サイトのコラム欄(丹沢のブナと登山道について)を参照してみてください。


  時間を調整しながら(あちこちで休みながら)随分とゆっくりと歩いたつもりだが、ヤビツ峠のバス停に着いたのは14時45分頃で、(午後にはこの一便しかない秦野駅行き15時51分発の)バスを寒さに耐えて約1時間、じっと待つはめになった。
  帰路に(バスを途中下車して)立ち寄ったのは2ヶ月前にオープンしたという「名水はだの・富士見の湯」で、じんじんに冷えた身体が温まったのは、なによりだった。 下山して振り返ると何もかもが楽しい思い出になってしまう…、山って不思議で素晴らしいものだと思う。

温泉マーク 名水はだの富士見の湯: 2ヶ月前(平成29年10月1日)にオープンしたという秦野市の日帰り入浴施設。 ヤビツ峠からの帰路、秦野駅行きのバスを末広小学校前で途中下車して、行ってみた。 徒歩8分とのことだったが、道標も看板も見当たらなくて、地元の方に道を聞きながらだったので15分近くかかってしまった。 週末などのバス便は「名水はだの富士見の湯前バス停」を経由するそうで、下山後の入浴施設における選択肢が一つ増えたのは喜ばしいことだ。
  ここは温泉ではないけれど、露天風呂や室内大浴場やジャグジーやサウナなどが完備されていて、まぁ良くできたスーパー銭湯といったところかも。 まだ初々しさの残る館内の雰囲気やとても感じのよい受付嬢など、中途半端な温泉施設よりはずっといいと思った。 入浴後は食堂での温かいとろろ蕎麦に舌鼓。 …小ジョッキサイズ生ビールの450円はちょっと割高感かも。
  帰りは秦野駅までの無料送迎バス(1時間に1〜2便)を利用できて、甘露甘露だった。 終わり良ければ全てよしだ。
 外部サイトへリンク 「名水はだの富士見の湯」のホームページ

* 丹沢表尾根を歩いたときの当サイトの山行記録です。
  烏尾山・水無川-新茅ノ沢
  塔ノ岳(丹沢表尾根縦走)


仕切り線

新茅ノ沢の奥・大倉尾根の頭上に富士山が・・・
烏尾山山頂の少し手前(山腹)から富士山を望む
手前のちょっとしたピークが烏尾山です
三ノ塔から振り返って主稜(塔ノ岳方面)を望む

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