No.412 宝登山から長瀞アルプス 令和3年(2021年)2月8日(月) |
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→ 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(宝登山)へ 関越自動車道の花園ICから35分ほどの運転で、秩父の宝登山(ほどさん)ロープウェイ・大駐車場(有料:1日500円)に車を停めたのは午前8時30分頃だった。ゴンドラの始発(9時40分)までにはまだ大分時間があるので、ここはやっぱり、山頂までの標高差約300mを歩くことにした。天気は良いし、ひんやりとした大気も清々しい。まだ朝が早いとみえて、何処も彼処もひっそりとしている。 幅広の遊歩道(表参道)をくねくねと登っていくと、次から次へと(4〜5台の)自動車が私達を追い越していく。一般車両は通行禁止の筈なので、あぁ、多分ロープウェイ関係の人が乗っているのかな、と佐知子と会話した。 45分ほどの登りで、ロープウェイの宝登山山頂駅を横目で見て、更に進むと、いよいよお目当てのロウバイ園だ。和臘梅(ワロウバイ)と満月臘梅(マンゲツロウバイ)の花期には早かったのか、咲いている花には素心臘梅(ソシンロウバイ)が多いように見えた。私はしかし、この黄色一色のソシンロウバイが好きだ。→ ソシンロウバイとマンゲツロウバイの違いは微妙で、それほどじっくりと観察したわけでもないので、はっきりとしたことは分かりません。m(_ _)m [後日追記] 6〜7分咲きの「東ろうばい園」を、微かな甘い香りにほだされながら通過して、オオカミの狛犬が番兵する宝登山神社奥宮に参拝する。それから満開の「西ろうばい園」もゆっくりと巡る。南面〜西面が大きく開けた展望箇所からは、秩父市街越しの奥武蔵の山々や、その右手に連なる奥多摩〜奥秩父の峰々など、素晴らしい眺めも堪能する。流石に観光地の宝登山、だと思った。 三等三角点497.10mのあるこじんまりとした宝登山の山頂で一休みしてから、奥の(北西側の)丸太階段を下って、いよいよ長瀞(ながとろ)アルプスの縦走路へ進む。 * 宝登山(ほどさん)の山名由来についてなど: 寶登山神社奥宮の境内に設置されている解説板によると、日本武尊が東征の折(西暦110年頃?)、この山で大火に襲われたが、大きな山犬たちが現れて火を消し止めたという。尊は、山犬たちが山の神の神使(大口真神・おおくちまかみ=狼のこと)と悟られ、この山を火止山(ほどさん)と名付けられたとのことだ。諸説あるらしいが…、何れにしても、かなり古い昔の由緒ある話ではある。 なお、秩父地方では神社の狛犬がオオカミ、というのが多いけれど、その理由として、上述の日本武尊伝説の他に、田畑を荒らすイノシシやシカやネズミなどを退けてくれる存在として(オオカミが)神格化された、という説も有力だ。ニホンオオカミは明治末期に絶滅したと云われている。返す返すも残念だ。 200段あるという丸太階段だが、所々が途切れていて(つまり休み場があって)、それほど苦労はない。「豚コレラウイルス」についての注意書や「毒キノコに注意」の看板のある、林道本山根線(奈良沢林道)へドスンと降りて右へ進む。暫くその林道をなだらかに下って、指導標に従って奈良沢峠を左折して、よく整備された山道(縦走路=長瀞アルプス)へ入る。 小鳥峠〜野上峠と快調に北進する。天然氷を作るという氷池への分岐や、304mのコブ(小ピークのこと)や、天狗山分岐なども直進すると、あれよあれよという間に里が近くなる。山稜はスギ・ヒノキの人工林にコナラ・クヌギ・ヤマザクラ・イヌシデ・リョウブ・シラカシなどの雑木林が交ざる、若くて情緒ある林相だ。なによりも…なだらかで小さなアップダウンなので…あんまり疲れないのがいい。 とはいえ、平日(月曜日)なのに、すれ違うハイカーの多さにはちょっとびっくりして、慌ててマスクをつけ直す。声に出して「こんにちは」とは云わないで、笑顔で黙礼して通り過ぎるお互いが憐れで、なんか切ない。 里へ降りて、近くに公衆トイレのある萬福寺の脇を右折して、秩父街道(国道140号線)に沿った閑静なアスファルトをまったりと南進する。野上駅から長瀞駅まで、並行して走る秩父鉄道を利用してもよかったのだが、歩いても40〜50分程度の距離だ。秩父の里道を歩くといつも思うのだが、寺や神社が多くて心が和むし、現在位置も分かりやすい。今回の里道沿いの所々には桑畑もあって、それが特に印象的だった。…まだ養蚕をやっていたんだ、この地は…。 まだ日の高い13時頃だった。こちらは(狼ではなくて)普通の獅子狛犬が守護する、大きくて立派な寶登山神社(里宮)に参拝する。この参道付近にはレストランや茶店などのこじゃれた店が多く、食指が動いたのだが、この時期(コロナ禍)のこととて(立ち寄りを)じっと我慢する。 そして、宝登山ロープウェイの大駐車場から東京都大田区の我が家へ、マイカーを直行させる。 今回の山行を総括して思った。…長瀞アルプスをアルプスと呼ぶのは、いくらなんでも言い過ぎだ。この縦走路は険しい「アルプス」ではなくて、おっとりとした丘陵を歩く、特に中高年の膝に優しい「遊歩道」、だったのだから…。 そしてもう一言いいたい。“長瀞アルプスは多くの私有林を通っている”とのことで…それは(当地の地主さんたちに対して)感謝すべきことなのだが…。通行税的な「一人100円を入れてください」のポストがあったのには違和感を持った。真面目な私達夫婦だから、指示された通り、そこに百円玉2枚を“投函”したけれど…。「チケットとか領収書はもらえないのかな」「地主さんは所得申告をしているのかしら…」などとひそひそと話した。かなり多くのハイカーが行き来するこの長瀞アルプス。そのシーズン(今だ!)には相当な金額になる筈だ。できたら、そのうちの一部でもいいから、この地区の自然保護などの公益のために使ってほしい(もしくはその旨の表示がほしい)と思った。 佐知子の歌日記より 花に鼻ふれんばかりに寄せたけど蝋梅つんと匂ったような ギザギザと切れ立つ峰をならべ立つ両神山をかつて登りき 武甲山はアンパンマンだ 身を削り困った人を助けてくれる
再び 宝登山から長瀞アルプス 蝋梅の甘い香りに誘われて…、山の仲間たち(山歩会)と秩父の宝登山(ほどさん)から長瀞(ながとろ)アルプスを歩いてきました。 予定していた13日が悪天候だったので翌日に順延しましたが、それが大正解でした。穏やかなお天気に恵まれて、宝登山ロウバイ園のロウバイも見頃を迎えていました。奥武蔵〜奥多摩〜奥秩父の峰々の展望も抜群で、山座同定もとても楽しかったです。数日前(10日)に降った大雪の影響など、積雪の状態を心配していたのですが、もうほとんど融けていて、歩行にはまったく問題ありませんでした。持参した軽アイゼンはザックの重りになっただけです。 今回は氷池コースで下山して、長瀞駅前からは無料シャトルバスに乗って「星音の湯」で山の汗を流して、同レストランで甘露甘露の打ち上げを行いました。コロナが一段落しつつある今日この頃。素晴らしい仲間と素晴らしい「陽だまりハイキング」ができて、ほんとうに嬉しくて楽しかったです。 星音の湯(せいねのゆ): 秩父盆地の西、閑静な山間に位置する“天然自家源泉と豊かな自然に囲まれた”日帰り温泉施設。高級感のある和風の造りで、ゆっくりとくつろげる。源泉は地下200mより湧出するというナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉、加温、一部循環。薄く濁った湯はやわらかくてヌルヌル感がある。檜枠と岩の露天風呂は男女週替わり、とのことで、この日の男性は檜枠の湯船(星の舟)だった。女性たちは岩露天風呂(月の石)とのことで、湯上りの“打ち上げ”ではどちらも「とてもいい湯だった」という感想が寄せられた。サウナや岩盤浴(有料)など、設備も多彩。なんといっても秩父鉄道の長瀞駅や皆野駅から無料送迎バスが(1時間おきに)出るのが素晴らしい。湯上げタオルや浴着付きの入館料は@930円(土・日・祝は1,030円)だが、私たちはネットからプリントした割引クーポン券を提示したので@50円安くしてもらった。「星音の宿・ばいえる」を併設する。 「星音の湯」のホームページ 佐知子の歌日記より 削られてもなお堂々の武甲山 昼のおにぎり少し塩っぱい つややかな黄の蝋梅は宝登山(ほどさん)の頂飾る冠のごと
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