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北奥羽・7日間の山旅日記・そのB
No.423 下北半島くるま旅(霊場恐山など)
令和3年(2021年)9月29日〜10月1日 曇り30日は本降りの雨 マイカー利用

「北奥羽の山旅」略図
むつグランドホテルの部屋の窓から撮影
むつ市街と釜臥山
↑ホテルの窓から撮影↓
夕日に映える航空自衛隊のレーダーサイト
釜臥山頂のレーダーサイト

この右手前が駐車場
太鼓橋と大尽山

大尽山登山道の入口付近にて
宇曽利山湖畔の遊歩道にて

前方は地蔵山331m
恐山菩提寺へ
前方は地蔵山331m↑

土砂降りでした・・・
仏ヶ浦-1

カネゴンにも似ているかも・・・
仏ヶ浦-2(如来の首)

けっこうな迫力!
仏ヶ浦-3

夕焼けの津軽海峡
ホテルの窓から
薄っすらと北海道が・・・

下北半島は広い!

《マイカー利用》 姫神山登山七時雨山登山-《車4時間》-斗南温泉(泊)-《恐山周辺や仏ヶ浦などをドライブ観光》-下風呂温泉…
 【歩行時間: 霊場恐山周辺80分 仏ヶ浦50分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(恐山)へ


*** 前項「A七時雨山」からの続きです ***

●9月29日(曇): 岩手県八幡平市に属する七時雨山を下山してから、急いでマイカーに乗り、次の予定地の青森県下北半島へ向かう。八戸自動車道→国道338号線→国道279号線と北上して青森県むつ市へ入る。正味約4時間の運転で、この日の宿・斗南温泉「むつグランドホテル」にチェックインしたのは17時頃だった。
 途中、下北半島の付け根に位置する六ヶ所村の、ヤマトシジミ(貝)が生息しているという鷹架沼(たかほこぬま)の近くで、原子燃料サイクル施設や石油備蓄基地の脇を通り抜けた。近代史において行政の圧力に翻弄され続けている(多分現在も…)地域である。…むつ小川原風力発電事業の象徴の風車群が…異様というか壮観というか…否応なく目に入ってくる。大規模太陽光発電施設なども含め、私にとっては未だに馴染めない風景だ。風力発電にはバードストライクの問題がある。太陽光発電においては…、その光を奪われた動植物たちは、一体どうなるのだろうか…。

温泉マーク 斗南温泉「むつグランドホテル」: むつ市街の東・小高い丘の上に建つランドマーク的な(つまり目立つ)地上11階建ての温泉ホテル。システム化されたシティホテル、という言い方もできるかもしれない。部屋から大浴場まではチト遠い。日帰り組と宿泊者との入り口を厳格に分けるシステムは(良きにつけ悪きにつけ)なかなか近代的だと思った。泉質はアルカリ性単純泉、源泉かけ流し(?)、ごく薄い茶褐色でヌルヌル感のある「美人の湯」。外湯も内湯も石張りで十分な広さ。1泊2食付き一人8,950円(税込み)はリーズナブルだ。
 私達が通された10階の部屋の(南西を向いた)窓からは、新田名部川を挟んで明かりの灯り始めたむつ市街が一望できて、その奥の左手に大湊湾(陸奥湾)、そして正面には恐山山地の山影が、ぼんやりと見えている。翌朝にその山影をよく眺めると、左側の大きなピーク・釜臥山(かまふせやま・878m)の山頂部に直方体の白い建築物が、朝日を受けてきらめいていた。航空自衛隊のレーダーサイトであるらしい。
 外部サイトへリンク 「むつグランドホテル」のホームページ

 斗南(となみ)温泉の斗南とは、斗南藩(≒下北半島)に因んでいるという。幕末から維新にかけての、あの会津藩の無念が沁みついている地でもある。ホテルの窓からむつ市街や恐山を眺めているとき、ふと、そんなことに思いを馳せていた。

●9月30日(雨): 6時30分からのホテルの(バイキング形式の)朝食を摂ってから、さて今日はどうしよう、と早朝夫婦会議を開いた。台風16号は本州の太平洋側を北東に逸れているが、下北半島への影響は特に本日が強いようだ。午前中からの豪雨が予想されている。おまけに雷注意報も出ている。…ということで、予定していた大尽山(おおづくしやま・828m)の登山は、阿吽の呼吸であっさりとあきらめて、下北半島をドライブ観光しよう、ということになった。で、まず向かったのは霊場・恐山だった。

 恐山(おそれざん)と恐山山地(おそれやまさんち)とは意味が違う、ということを知ったのはこの山旅だった。山名事典(三省堂)などによると、「恐山」とは下北半島北部にある安山岩を主とした二重式の活火山(ランクC)で、カルデラ湖の宇曽利山湖(うそりやまこ=恐山湖)、蓮華八葉(峰)と呼ばれる外輪山(大尽山、小尽山、屏風岳、剣山など)、及び鐘状寄生火山(朝比奈岳や最高峰の釜臥山878mなど)の総称であるという。一方、恐山山地とはこの恐山を含む下北半島の山々のすべてを含むらしい。
 硫黄臭の漂う宇曽利山湖畔にマイカーを停めたのは8時半頃だった。南側の対岸には恐山の外輪山がずらっと並んでいる。その中央のひときわ高い金字塔が大尽山だ。まだ(辛うじて)雨は降っていなかったので、未練だとは思ったのだが、大尽山への登山道(湖畔の自然歩道)を少し歩いてみた。「…ミズナラ、ナナカマド、クマノミズキ(?)、ハウチワカエデ、オオカメノキ(赤い実)、ホオノキ、ヤマウルシ、ツタウルシ(核果)、(アズマ?・エゾ?)シャクナゲ、コシアブラ、林床はチシマザサ…咲いている花はアカマンマや野菊の類…湖畔にはヨシ、スゲ類…」とメモをとりながら200m〜300mほど進んでから、佐知子が後ろからついてこないことに気がついて、慌てて引き返す。なんか、自身がとても憐れに思えた。…う〜ん、登りたかったなぁ〜新日本百名山の大尽山に…、そして、ブナ・ヒバ混交林も見ておきたかったなぁ、やっぱし。

 それから少し先の霊場恐山(恐山菩提寺=円通寺)へ、@500円の入山券を受付で購入して参拝する。「人は死ねばお山に行く」という信仰と祈りを千年の長きにわたって伝えてきたお寺で、比叡山、高野山と並ぶ日本三大霊山の一つでもある。佐知子は初めてだが、私は学生時代(昭和40年代の中頃)に訪れたことがある。もう随分と昔のことなので記憶は定かではないけれど、火山ガスの噴出する様子などについてはその迫力が少なくなったように感じた。あの頃は、この恐山についてはよくテレビなどで放映されていて、おどろおどろしい(地獄のような)その光景に感心したものだ。特に女性の霊媒師「イタコ」が死者の魂を自身に憑依させる場面など、とてもドキドキしたのを覚えている。
 「初めて霊山恐山を訪れたとき(つまり半世紀以上の昔)、この入口の一角に『イタコは当寺(円通寺)とは関係ありません』といったような立札が立っていたよ、たしか…」 などという思い出話を佐知子にしながら、誰も歩いていない(静かでおどろおどろしい)境内をじっくりと登って、そしてゆっくりと下りた。無料で入浴できるという恐山温泉に後ろ髪を引かれながら、ふと眼を上げると、宇曽利湖(=宇曽利山湖)を挟んで、やっぱり大尽山が、恨めしそうに私達を見下ろしている。
 このころ(10時頃)から、とうとう本降りの雨が降ってきた。

 霊場恐山からは、フロントワイパーを忙しく稼働させながら、県道4号線を北上して、奥薬研温泉を通過して県道284号線(薬研佐井線=あすなろライン)をひたすら西へ走る。この山間部を東西に走る「あすなろライン」は、最近(今年の5月15日に)舗装されて2年ぶりに開通したという。所々の鬱蒼としたヒバ(ヒノキアスナロ)林や右手に並行する薬研渓谷、そして(北限のサルといわれる)サルの群れに出会ったりとか、見どころが多かった。雨降りの山間ドライブだったけれど、私達はラッキーだったのだと思う。
 佐井港で平館海峡(津軽海峡)側へ出て、左折して海岸に沿った国道338号線を南下する。本日の観光目的の一つ、仏ヶ浦(仏宇多)の駐車場に着いたのは12時を回っていた。土砂降りの雨だったので少し躊躇して、菓子パンを齧りながら、小降りになるのを車内で待ったのだが、なかなか雨足は弱くならない。どころかますます激しくなってくる。意を決して、傘を差して、標高差で100mくらいはあると思われる階段の坂を下って、浜へ出た。
 風雨と荒波で浸食された凝灰岩、というが、巨大な白い奇岩がずらっと並ぶ海岸線の景観は、予想をはるかに超えて、畏怖の念を抱くほどの美しさ、というか“凄さ”だった。下り約15分・上り約20分の歩程でちょっと疲れるが、来てみてよかったと思った。
 じっくりと観光したので、仏ヶ浦の駐車場に戻ったのは14時近くになってしまった。この日の予定では下北半島を一周するつもりだったのだが、とんでもない、下北半島は思っていたよりもずっと広い。もうここからは踵を返して、時計回りで海岸線を進み、今日の宿・下風呂温泉へ直行しよう。

温泉マーク 下風呂温泉「ホテルニュー下風呂」: 本州最北端の(本マグロで有名な)大間崎を通過して間もなく、下風呂温泉郷に着いた。ホテルニュー下風呂は津軽海峡に面した好ロケーション。総ひば造りの和室や新鮮な海鮮料理など、高級感がある。夕食が部屋食だったのは、今どき有り難いサービスだと思った。石貼りの浴槽には白濁の湯が掛け流されている。泉質は硫黄泉、食塩含有硫化水素泉、口に含むと少し甘じょっぱい味。外湯がないのは意外だったが、まったく問題ない。いい風呂だった。
 部屋の窓からは夕日を浴びた津軽海峡の、その対岸に北海道が薄ぼんやりと浮かんでいるのが見える。その右寄りに聳える山並みの、あれは恵山に違いない。夜は…、イカ漁のいさり火が、なんともロマンチックに映えていた。朝食は7時から。1泊2食付き一人15,000円(税込み)は、まぁ致し方のないところだと思う。
 外部サイトへリンク 「ホテルニュー下風呂」のホームページ

  佐知子の歌日記より
 予報は雨登山をやめて見学す硫黄ただようおゝ恐山
 海に向き大き岩岩そそり立つ仏ヶ浦に手を合わせたり
 夕焼けに染まる山並み海峡を越えて見えるは北海道だ
 漁り火がちらちら灯す下北の美味しいイカをいただいており



下北半島を観光!
バックは小尽山方面
霊場恐山
奇岩が群れを成して・・・
仏ヶ浦の帆掛岩と天龍岩

次項「C秋田の太平山」へ続く

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