No.430 石垣山(一夜城)262m 令和4年(2022年)2月12日(土) |
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東海道沿線の日帰り半日ハイキング(小田原市) → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ 新型コロナの第6波(オミクロン株)で、1月9日から沖縄、山口、広島の3県、1月21日から東京都や神奈川県などの1都12県、1月27日からは北海道や大阪府などの1道2府15県が、まん延防止等重点措置の適用を受けている。つまり日本国中の殆どが(なるべく)相互に行ったり来たりしてはいけない地域になってしまった。 なので引きこもり老人になっていた私達夫婦だが、3回目のコロナワクチンを済ませたこともあり、この際勇気を出して行ってみよう!と思い立った。参考にしたガイドブックは石丸哲也氏の著書「東京発・半日ゆるゆる登山(ヤマケイ新書)」で、「朝寝坊しても大丈夫! 都心から6時間で行って登って帰ってこられる」というのがその惹句(キャッチフレーズ)だ。 で、今回の私達の山旅は箱根の少し手前(東側)に位置する小田原市の石垣山(古くは笠懸山)、ということになった。あの豊臣秀吉が小田原攻め(1590年)の際に、一夜のうちに築城した(ように見せかけた)とされる一夜城(国史跡石垣山)だ。先々月の浜石岳(駿河)、先月の吾妻山(湘南)に続いての日帰り半日ハイキングで、コロナ下の東海道沿線シリーズの第3弾、ということになるかも…。 公共交通を利用するので、乗客の少ない週末の朝に、私達はマスクをつけて、いそいそと出掛けた。 小田原駅に発着している路線は(なんと)5線もある。JR東海道新幹線、JR東海道本線、小田急線(小田急小田原線)、伊豆箱根鉄道大雄山線(西武グループ)、そして今回私達が利用した小田急グループの箱根登山電車(正式には箱根登山鉄道鉄道線)だ。単線でゆっくりと走るその箱根登山電車で約10分、入生田駅に降り立ったのは午前9時13分だった。さっそく手袋をつけて歩き始めたが、思ったほどは寒くはない。微風で空は快晴だ。 箱根登山鉄道のガードを潜り、そして国道1号線(旧東海道)を跨ぐ歩道橋を進むと、右手に近代的な大きな空間…神奈川県立・生命の星・地球博物館…が見えてくる。当初は立ち寄って見学する予定だったのだけれど(たまたま珍しく)ネットで事前に調べたら、令和3年11月から令和4年3月15日まで空調等改修工事のため休館の予定、とのことで、今回はその立派な建物等を横目で眺めながら早川沿いの道を進む。ひょいと振り返ると、上流部(西面)の奥には二子山~駒ヶ岳~神山などの箱根山・中央火口丘の峰々がかっこよく見えている。その早川に架かる太閤橋を渡ると、いよいよだらだら坂の上りだ。 私達が歩いているトレイルは(社)日本ウオーキング協会により選定されたという「 美しい日本のあるきたくなる道500選」のひとつで、「太閤一夜城と長興山・史跡のみち」と命名されている。その説明板は勿論のこと、この地の自然に関すること(クヌギ林についてなど)や石丁場(石切りの仕事場)についてとか、これでもか、というほど次々と丁寧な解説板が道沿いに現れる。「早川石丁場群」というのだそうだが、江戸城の石垣を造るために切り出した石丁場の痕跡があちこちにあり、それを小田原市が大切に保護しているようだ。安山岩、であるらしい。 辺りはヒノキやスギの人工林で、マダケの竹林も少し交じる。林縁のアラカシの幼木やアオキなどの照葉樹、そして足元のアズマネザサやシダ類などが僅かに自然っぽい。この地の本来の極相の一種であるスダジイの古木がぽつんと道沿いに立っていて…これにも丁重な解説板がついていたけれど…なんかほっとする。 車は殆ど通らないアスファルトを、とうとう誰にも出会わずに正味70分ほど緩やかに登り切り、ヘヤピンカーブを大きくジグザグしてからターンパイク箱根を陸橋で渡る。すると間もなく人の気配がしてきて、大駐車場やバス停(*)やスイーツが美味しいという「一夜城ヨロイヅカファーム」の建物などが前方に見えてくる。そこが「石垣山一夜城歴史公園」の入口で、立ち入りは自由(無料)だ。経年劣化の(歴史を感じさせる)石垣群などは、それなりに風情がある。案内板の説明によるとこの史跡公園の面積は約5.8haあるという。けっこう広い。 * 土・日・祝日のみ、小田原駅を起点とする観光回遊バス「うめまる号」が運行されているようです。 天守台跡の標高が262mで、そこが石垣山の最高地点であるらしい。本丸跡や二の丸跡、それから各種の曲輪(くるわ)跡などもじっくりと観光する。クスノキやケヤキの大木が印象的だ。遊歩道沿いにシャガの群生地があって、その花期(4~5月頃)は見事だろうと思う。 それから地形図上の三等三角点240.71m(点名:飛乱地)の標石を探していたら、意外とそれは地味な処…天守台跡の最高地点から北北東に約270mの位置…史跡公園の北端にある(入生田方面を望む)展望台の右手前に、ひっそりとあった。 前方に小田原の街や相模湾を見下ろしながら早川駅へ向かって…たわわに実ったミカン園を横目で見ながら…「石垣山に参陣した武将たち」と題した道脇に設置された解説板などを読んだりしながら…こちらもアスファルトの、だらだら坂をまったりと下る。途中に無人の簡易売店があって、ミカンを一袋(10個くらい)100円で購入した。これが甘くて、思いのほか美味しかった。 市街地に下ってから東海道新幹線や東海道本線のガードをくぐる、と海の匂いがしてくる。早川や海蔵寺のビランジュ(バクチノキ)の見学も…いろいろと謂れのある樹木なこともあり…後ろ髪を引かれたのだけれど、おなかが空いていたので、早川駅の裏手に位置する小田原漁港の魚市場食堂に直行することにする。丁度お昼の12時頃だ。 今回のトレイルを総括すると、その殆どが舗装道で、半日観光ウオーキングといった感じだ。梅や椿の花を期待していたのだが、思ったほどは咲いてなかったのがちょっと残念だ。展望について、石垣山からは箱根の山々に遮られて富士山を望むことができない、ということもスポイルされる点かもしれない。とはいえ、その箱根の山々から前日の積雪で迫力を増した丹沢山塊に続く山岳風景や、小田原方面の街並みや相模湾を見下ろす景観などはなかなかのものだと思った。 * 魚市場食堂: 小田原漁港内にあるワイルドな食堂。東海道本線「早川駅」から徒歩約5分。営業時間は10:00~15:00(土・日・祝~16:00)で定休日は水曜日。酒類は自動販売機で。 私達が食べたのは市場定食(@1,850円)で、これがまた盛りだくさんで美味しくて、魚好きにはたまりません。食べ過ぎて胸焼けで、帰宅してからすぐ太田胃散を飲みました…。 佐知子の歌日記より 三十分並びて入る「漁港めし」銀ダラ煮付け骨までせせる 小田原のウォーキングマップ(PDF): 小田原市が発行しているもので、参考になります。 曽我丘陵: 当サイト(私達の山旅日記)の小田原市に属する山行記録です。 |