No.429 二宮町の 吾妻山(あづまやま・136m) 令和4年(2022年)1月9日(日) |
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湘南・吾妻山公園と二宮散策 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ 知らない街を歩いてみたい~どこか遠くへ行きたい…と、歌の文句じゃないけれど、そんな気分になった。ときあたかもコロナの第6波(オミクロン株だ!)がひたひたと押し寄せ始めた正月明け、意を決して何時ものメンバー(夫婦)で出掛けることにした。参考にしたガイドブックはヤマケイ新書の「東京発・半日ゆるゆる登山(石丸哲也氏)」で、その「吾妻山から袖ヶ浦海岸へ」の項に紹介されているトレイルを中心に、神奈川県二宮町観光協会のガイドマップに示されている町の散策路(里歩き)も加味してみた。何れにしても半日ハイキング(ウォーキング?)程度の歩程ではある。 どこか遠くへ…、というコンセプトもあったのだけれど、歩きの起点となるJR東海道本線・二宮駅までは東京都大田区の自宅から1時間強で行けてしまえる程度(割と近い)なのだ…。まぁ、コロナ下ということで、なるべく遠出は避けた方がいいかもしれない。それに、生まれて初めて歩く町(二宮町)=知らない街、という意味では当を得ていると思う。 標高約25mに位置する二宮駅の北口から、指導標に従って歩き始めたのは午前8時15分頃だった。吾妻山公園への上りは(最も多くの人が利用するという)役場口コースの階段の道を進み、浅間神社を参拝したりツツジ園やアスレチックなどを横目で見たり、そして樹木観察などもしながらゆっくりと歩く。殆どの立木に樹名板がついているので、同定の手間が省けるのがいい。あちこちで水仙が満開だ。 しかしあっという間に散策路を抜けて、吾妻山の山頂広場に到着した。目立つシンボルツリー(エノキの大木)と全く目立たない三等三角点の標石(135.87m・点名:山西)との対比が印象的な芝生広場だ。呼びものの菜の花が満開で、軽装の家族連れやアマチュアカメラマンたちで結構賑わっている。ザックに軽登山靴という出で立ちの私達夫婦は、ちょっと浮いている感じだったかもしれない。 この(吾妻山公園の)展望台や芝生広場からの眺望が素晴らしかった。西側の菜の花畑の彼方…箱根の山々を従えた白銀の富士山がなんといっても秀逸だ。その右側の、道志山塊(御正体山など)から丹沢の山々へと続く山岳風景も山座同定的で分かりやすい。近くの曽我丘陵は波打って広がっている。南面では相模湾が太陽を受けて青白く光り、伊豆の山々はぼんやりと霞んで海に浮かんでいる。…それらの景色を目で追いかけながら、うっとりとして、陽だまりのベンチに腰掛けて大休止。チョコレート菓子をつまみに飲むサーモスの熱いコーヒーが美味い。 吾妻山からの下山ルートは…最も自然度が高いという…北西側の釜野口コースを辿る。しかしこれもあっという間に(釜野口へ)下山して、ここからは知らない街の(つまり二宮町の)アスファルト歩きだ。 * 吾妻山公園で観察のできた樹木: コナラ、クヌギ、エノキ、ネムノキ、サクラ類、イヌシデ、クマノミズキ、ミズキ、コブシ、イロハモミジ、ハリギリ、キブシ、ゴンズイ、ウツギ、マユミ、コマユミ、ガマズミ、カマツカ、ヤマボウシ、ソシンロウバイ、アジサイ類、クサギ、クチナシ、コクサギ、ナツグミ、タラノキ、キンシバイ、スダジイ、クスノキ、クロガネモチ、ツバキ類、ヒサカキ、ヤブニッケイ、イヌビワ、アオキ、ヤツデ、シャリンバイ、ヒイラギナンテン、マンリョウ、サネカズラ(蔓性)、ヒノキ、…など。 都市公園にありがちな植生で、云わば「ごった煮」の感じ。この地に元々あった(スダジイなどの)樹木と、近年になってから植樹したもの(ソメイヨシノとか…)などが、ある意味行儀よく整然と立ち並んでいる。とはいえ樹種は豊富で、そこそこ自然なこともあり、散策するのにはよい公園だと思う。各種の花壇も豊富なので、それらの花の季節にも訪れてみたい。 釜野口からは…行き交う自動車に注意しながら…東海道新幹線のガード下を潜り、そして国道271号線(小田原厚木道路)も潜って、やがて葛(くず)川に沿った遊歩道を歩く。ソメイヨシノがずう~っと植えられているので、花見の季節はさぞかしと思う。セグロセキレイやキセキレイやカモ類(コガモだったかも)や、そしてイソヒヨドリも見かけることができた。静かな町で、歩いている人は少ない。 せせらぎ公園~古民家ふるさとの家~神明神社~炭焼き広場~緑が丘中央公園~鶴巻の横穴墓群~と「ゆるやかな時が流れる町」をぐるっと歩き、二宮駅近くに戻ったのは丁度お昼の12時頃だった。さてこれからは、近くのこじゃれた店にでも立ち寄って食事して、それから袖ヶ浦海岸でも散歩してから家路に就くとしよう。 舗道歩きが長くてちょっとダルだったけれど、今年の初歩きはよい一日だった。 * 軽食喫茶「山小屋」: 下山後のお昼、袖ヶ浦海岸に近い人気のレストラン「指帆亭」へ行ってみたのだが、要予約ということで門前払いされた。なので、二宮駅南口の近くまで戻って第2候補の可愛いレストラン…中年のご夫婦が仕切る…「山小屋」で食事をすることになった。結果オーライで、ここで食したランチ(菜の花とチーズを包んだハンバーグライス・@税込みで確か約1,300円)が美味しかった。無垢材を使った店内に低く流れるジャズの響きと、バドワイザーの缶ビールも懐かしくて…心と喉に沁みわたり…なんだか、時間が超スローに流れていたような、そんな感じだった。セットで飲んだホットコーヒーもとても美味しかったが、噂によるとスパゲッティとかパフェなども美味しいらしい。ここも人気のお店らしく行列ができていたが、待ったかいがあったと思った。 * 吾妻山公園の詳細については、二宮町のホームページを参照してみてください。 * 本サイト(私達の山旅日記)の同山域(大磯丘陵)に属する記録です。 高麗山(高麗丘陵) 頭高山(渋沢丘陵) 曽我丘陵 吾妻山(本項) 佐知子の歌日記より 富士山と月見草は似合うけど菜の花も良し小寒の空に 1時間待って出てきたハンバーグ ひたすら食べた10分でした |