No.322 真夏の 曽我丘陵 平成26年(2014年)7月31日 |
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やっぱり耐暑訓練だった… → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(不動山)へ 神奈川県の西部、箱根の東に位置する小田原市というと、「小田原城」とか「太閤の一夜城(No.430石垣山)」とか「小田原ちょうちん」などをすぐに思い浮かべる。優柔不断を意味する「小田原評定」も、ふと脳裏をよぎるかもしれない。「かまぼこ」や「魚の干物」や「梅干」などがメジャーな名産品だ。 曽我丘陵とは、その小田原市の北に連なる標高300m前後の低山群のことで、富士山や箱根の山々や丹沢山塊や相模湾を眺める絶好のロケーションに恵まれている。南麓には曽我梅林が広がり、仇討ちで有名な曽我兄弟にゆかりの地ということもあり、神社仏閣・名所旧跡の多い処でもある。 しかし、今回の私達夫婦はちょっと間違えた。最近なまってしまっている足を鍛え直そう、という趣旨で出掛けたのだが、そう、真夏の低山歩きを軽く見過ぎていた。結果、殆ど耐暑訓練になってしまった。下山後の冷えたビールは超美味かったけれど…。(^^ゞ 午前8時40分、JR御殿場線の下曽我駅前から歩き始めるとすぐ「小田原市梅の里センター」前を通過する。その門前には「この地点の海抜21.7m」と書かれたプレートが貼ってある。標高300m程度の低山といっても、もろにその標高差を登るのだから、しかもアップダウンもありそうなので、油断は禁物だ。などと思って、今は閑散としている曽我梅林(*原梅林や別所梅林)を通り過ぎるが、もう既に汗びっしょりだ。猛暑の炎天下、(やっぱり)道には誰も歩いていない。降雨時に這い出してきたものか、ミミズたちがあちこちの路上で干物になっている。 分岐が多く道標もはっきりとしないが、地図とコンパスで見当をつけてコンクリートの道を登っていくと、歩き始めてから正味50分ほどでベンチやテーブルのある狭い空間「見晴台」に着いて、ここで一休み。しかし残念。足元の小田原市街や足柄平野や箱根の山々は薄っすらと見えるのだが、富士山はモヤの中だ。自宅のプランターから収穫したミニトマトや冷蔵庫で冷やしたスイカ(不思議とまだ冷たい)が美味しい。 見晴台からひと登りすると尾根上に出て、道はなだらかになる。ミカンやキウイやウメなどの果樹園が続き、所々の足元にはヤブミョウガやウバユリが咲いている。名前の割には可憐できれいな花…ヘクソカズラも咲いている。謂れ因縁のありそうな一本松〜六本松跡を通過して、ヒノキ・スギの植林地帯を歩く。林床の主はアオキだ。緑陰と土の道で、風が爽やかで、多少は涼しい。 本コースの最高点と思われる不動山328mは知らずのうちにやり過ごす。道標がなかったのか見落としたものか、北側の(広い)巻道を歩いたようだ。まぁ、展望のない頂上ということで食指が動かなかったというのが本音だが…。それにしてもこの(曽我山の)稜線は電波塔の多い処だ。道標は少ないが…。 林道を外れて細い山道へ入ると辺りの林相が一変して、コナラ、クヌギ、シデ類、ヌルデ、アカメガシワなどの雑木林になる。後から思うとこの少しの区間が本コース唯一の天然林だった。地形図上の山名注記のないピーク323mも知らずに通り越し、浅間山も危うく通り過ぎるところだったが、電波塔の柵内にある擦れた案内板に「浅間山無線中継局」と書かれてあったので、あぁここが浅間山(せんげんやま・317m)のピークなんだな、と気がついた次第。一休みするような場所がなくて、がっかりしてやっぱり結局、通り過ぎる。 浅間山のすぐ先で左の農道へ入り、道なりに下る。この下山道もコンクリートで、辺りはミカンやキウイの果樹園だ。どうやらこの小さな山域は(多分)果樹園が優先する私有地で、ハイキング用の道標が貧弱で不完全なのもその影響かと思われた。それはそれで勿論悪いことではない。しかしこの季節、うだるような気温と湿度の日本の夏には、この(道標の無い分岐が多い)コースは向いていない。道を間違えて(汗びっしょりで)引き返すのが、なんだかとても癪に障る。 相変わらずアブラゼミの鳴き声が聞こえる、誰も歩いていない静かな小道だ。日陰を捜して縁石に腰掛けて、曽我梅林などを見下ろしながらサーモスの冷たい麦茶を飲み、おにぎりを頬張る。佐知子がぽつんと 「やっぱり花(梅)や実(みかん)の季節がいいのかも、この曽我丘陵は…」 とつぶやく。 「舗装道歩きの多い今回のコースは、ハイキングというよりは矢張りウオーキング…かなぁ」 と私が返事する。相変わらず私達夫婦の会話には脈絡がない。 須賀神社〜中河原梅林〜宗我神社〜城前寺と寄り道しながら里を歩き、下曽我駅に戻りついたのは12時50分頃だった。帰路に茅ヶ崎駅で途中下車して、無料送迎バスを利用して日帰り温泉「湯快爽快」に立ち寄る予定だが、それが楽しみだ。ごくごくと飲む入浴後の大ジョッキが瞼に浮かぶ…。 (^_^)v * 曽我梅林: 別所、原、中河原の三梅林の総称。計3万5千本の、主に梅干用の白梅が植えられているという。関東三(四?)大梅林のひとつで、花の時期は行楽客で賑わう。 なお、関東の三大梅林については諸説あり、その候補としては水戸偕楽園(茨城県水戸市) 、越生梅林(埼玉県越生町)、秋間梅林(群馬県安中市)、熱海梅園(神奈川県熱海市)、そして本項の曽我梅林(神奈川県小田原市)などがあるようだ。 日帰り温泉「湯快爽快」については高麗山の項を参照してみてください。 佐知子の歌日記より 冬晴れには富士や箱根がさぞかしと 酷暑に歩く曾我丘陵 からみつつ小さな白い花咲けり誰が名付けたヘクソカズラと → 花の名は漢字で書くと優雅なり でもこの花は屁糞葛(Tamu) * 本サイト(私達の山旅日記)の同山域(大磯丘陵)に属する記録です。 高麗山(高麗丘陵) 頭高山(渋沢丘陵) 曽我丘陵(本項) 吾妻山 あちこちでヤブミョウガが(群生して)咲き始めていました このページのトップへ↑ ホームへ |