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No.328 頭高山303m(渋沢丘陵)
平成26年(2014年)11月27日 曇りのち晴れ

頭高山・略図
紅葉が見ごろでした
小道をゆるやかに登る

山頂部に雲がかかっていたのがちょっと残念
展望地から表丹沢を望む

頭高山山頂の東屋
紅葉の頭高山山頂

藪柑子:サクラソウ科(またはヤブコウジ科)の常緑小低木
ヤブコウジ

ここも舗装された立派な道です
渋沢丘陵を東へ進む

「千と千尋」に出てくるような・・・
峠隧道へ入る

渋沢神社は大雀命と伊邪奈美命と須佐之男命が祀られているとのことです
渋沢神社のイチョウ

ペデストリアンデッキから頭高山を望む
渋沢駅北口から頭高山を望む


駅からの(半日・周回)軽ハイキング
紅葉と新蕎麦も楽しんだ。 八重桜…、まぁいいか〜

小田急小田原線・渋沢駅〜千村配水場〜泉蔵寺〜白山神社〜展望地・八重桜の里〜頭高山〜展望地〜慰霊碑「祈り」〜かりがねの松〜峠バス停傍〜峠隧道〜渋沢神社〜手打ちそば「くりはら」(大休止)〜渋沢駅 【歩行時間: 2時間20分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


  “山茶花(さざんか)梅雨”という風情のある梅雨言葉があるが、ここ2〜3日は雨模様で、空も心もずっと暗かった。 それが(天気予報通り)今朝はカラッと晴れ渡っている。 で、妻の佐知子と相談して、どこか近くの山を散歩してみよう、ということになった。 今、近郊の山々はその麓が紅葉の見ごろを迎えているのだ。 じ〜っとなんかしていられない。
  私達が“散歩”に選んだ山は神奈川県秦野市の南西、丹沢前衛の渋沢丘陵の西に位置する頭高山(ずっこうやま・303m)だった。 丸山、ぼっこう山、秋葉山、などと呼ばれることもあるらしい。

  渋沢駅の南口から右(西)方向へ歩き始めたのは午前8時半を少し過ぎた頃だった。 北側には丹沢山塊がずらっと鎮座しているのだが、この(小田急線の)南側の山歩きというのは…山が少ないこともあり…私達にとっては初めての経験だ。 目指す山が超低山であれ“丘”であれ、やっぱり(特に歩き始めは)ウキウキしてくるから不思議だ。
  「矢倉澤往還道を甦らす会」による案内板の目立つ市街地を通り、千村配水場の交差点を左折して、チューリップのお寺「泉蔵寺」や大杉のある白山神社を右に見ながら進む。 この辺りからようやく街を抜け、静かな小道のゆるやかな上りになる。 しかし道は舗装されていて、これはやっぱり(予想した通り)登山じゃなくて軽ハイキングとかウオーキング(散歩)といった感じかもしれないね、などと夫婦の会話が弾む。 何時の間にか周囲はスギ林にクヌギやコナラやシデ類やミズキなどの雑木林が交ざる、よくある里山の林相だ。 紅葉は(狙い通り)見ごろを迎えている。
  間もなく山稜へ出て、道標に従って西へ進むと展望地(八重桜の里)へ出たが、北面の表丹沢の峰々には雲がかかってしまっているのが少し残念だ。 近くには石碑や東屋などがあり、地元のライオンズクラブ(確かロータリークラブも…)提供の案内板も立っている。 それらの説明には、この地に数種の樹木を植えたことが書いてある。 何故サトザクラ(八重桜や染井吉野)のような園芸種を山に植えたのか、違和感を覚えた。 せめて自然な植生のヤマザクラでも植えてくれればよかったのに…ぶつぶつ…と云っていたら、「それはあなたの嗜好で、ここは里山なのだから、地元の方々の考えや思い入れを尊重すべきじゃないのぉ」 と佐知子に諭された。 う〜ん、そうだなぁ、私はよそ者だし、まぁいいか。 林床のしぶとい陰樹、アオキの緑葉が美しい。
  頭高山の山腹を一周する小道を時計と反対回りに進み、途中から頭高山へ登る。 山頂は広場になっていて、中央に東屋が建っている。 木々に囲まれているので展望は殆どないけれど、心休まる空間だ。 ザックを降ろして、さっそく周囲の樹木などをメモする。

頭高山の山頂部での私のメモ: コナラ、クヌギ、イロハモミジ、ミズキ、サクラ(品種名は不明)、コブシ、スギ(北側の少し離れた処・ヒノキだったかも?)、ミツバツツジ…など、樹種は限定されていてすっきりしている。 何故かこの山にはシイやカシなどの本来は当地の極相種である照葉樹(常緑広葉樹)が少ないが、なんか不自然な感じだ。 もしかして生えてきたシイやカシを伐っちゃっているのかなぁ…。
  小さな鳥居の近くに石祠(秋葉神社)や馬頭観音があり、その傍らには立派な常緑小高木のヒサカキ(照葉樹林の名脇役)があって黒い果実をたくさんつけていたが、これは“ヒサカキ=姫榊=神ノ木”ということで伐採を免れたのかなぁ…。 その足元にはヤブコウジが赤い実を可愛らしくつけている。
  広場の北側にある1株のクヌギの幹に色々な蔓(ナツヅタ、アケビ、ヘクソカズラ、テイカカズラ)が絡んでいたけれど、色付いたそれらの葉模様が何とも云えずきれいで芸術的だ。 若い蔓たちなので、多分たまたま“ツル切り”を免れたものだと思う…。
  この山頂には(一部の登山者にとっては由緒ある)4等三角点の標石がある筈だが、ちょっと見には何処にあるのか分からない…。
  つまりここは公園的な里山である。 それはしかし当然だ。


  頭高山の山頂から展望地へ戻り、道標に従って山稜(渋沢丘陵)を更に東へ進むと、合掌した手の形の石像が建っていた。 戦死者のための慰霊碑「祈り」、ということらしい。 とりあえず(自然と)私達も手を合わせ、少しの間真摯な気持ちになる。
  この慰霊碑の少し先のミカン畑ではミカンの無人販売があったので、20円を缶カラに投入して1個を枝から選んでもぎ取った。 これが超みずみずしくて超美味しかった。
  (ここも)表丹沢の展望が素晴らしいカヤトの展望地を過ぎ、「かりがね」という名の京のお姫様が旅の途中にここで息絶えたという「かりがねの松・雁音神社」にも手を合わせる。
  私達が歩いている遊歩道は農道でもあるようだ。 とても静かで、この日コース上で出会ったのは数名の地元の散歩者と…“関係車両以外進入禁止”が効を奏してか…1台の軽トラックだけだった。 あれよあれよという間に時間が過ぎていく。 そして震生湖方面へ続く渋沢丘陵の縦走路を前方に見送って、渋沢駅方面の道標に従って右折する。 ここからの大きくS字型にくねった下り坂も舗装路だけれど、車の姿を見ない静かな小道なのが嬉しい。
  下り切って県道708号(秦野大井線)と交わる辺りが、その名も“峠”という地名の、古くから交通の要所であった処らしい。 そのT字路の少し先が六地蔵のある峠バス停だが、私達は左へVターンして県道を北へ進む。 歩道の狭い峠隧道を通り抜けて間もなく、右手の渋沢神社の石段を登って丁寧に参拝する。 境内のイチョウが見事な黄葉を見せていた。
  それから少し寄り道して、十割手打ち蕎麦「くりはら」へ立ち寄ってみたのだが、これが私達好みのシブいお店で、ゆったりとくつろぐことができた。 エビスビールの中瓶を飲みながら、私は「鴨せいろ」、佐知子は「天せいろ」で、甘露甘露の打ち上げとなった。 …勘定を済ませて表へ出て驚いた。 平日だというのに(マイカーで駆けつけた旅行者タイプの)席待ちのお客さんがずらっと並んでいるのだ。 さもありなんと思った。 私達は丁度開店時間の11時半頃にお店に入ったので、ラッキーだったのかもしれない。
  「くりはら」からホロ酔い気分で約15分間を歩いて、渋沢駅の南口に着いたのはお昼の12時40分だった。 益々よく晴れ渡ってきたので、駅の歩道橋の上から南面を振り返って眺めてみたが、見えているのは渋沢丘陵の中央部分で、右端に位置する頭高山は建物に邪魔されて見えない。 あきらめて改札前を通り越して北口へ行き、佐知子が駅前の「JAはだの・特産センター渋沢店」で生落花生などを買っている間に、私は歩道橋上(ペデストリアンデッキ)から表丹沢の薄っすらと紅葉色に装った山腹をずっと眺めていた。 そしてふと左を振り返って「??…!!!」と思った。 白銀の富士山の左側…、ビルの谷間から頭高山と思しき山影が見えているではないか。 慌てて地図とコンパスを取り出して、それが間違いなく頭高山の山頂部だと確信した。 やがて佐知子が買い物を終えてペデストリアンデッキに上がってきたので、得意満面に「ほら、あれが頭高山だぜ!」と指さしたが、佐知子は「…あっ、そう…」と言って、すたすたと改札口へ向かっていった。

  今回も立ち寄り湯を省いたので、東京都大田区の自宅に帰ったのはまだ日の高い午後2時半頃だった。 しかし部屋は1階も2階も閑散としていて、ちょっと心配してしまったけれど、そのうち父がよたよたと、いつもの散歩から帰ってきたのでほっとした。 近くに住む長女がなにかと面倒を見てくれていたので、今回も(長女には)感謝感激だ。


  佐知子の歌日記より
 ひとすじの蜘蛛の糸にからみ揺る 頭高山の黄色い葉っぱ



雨上がりのカラッとした空でした
カヤトの展望地から渋沢の街と表丹沢の山々を望む
林床のアオキの緑葉が美しい・・・
雑木林のハイキング道
頭高山の山頂部にて・紅葉した葉はナツヅタです
クヌギの幹に蔦(ツタ)類が…
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