八丈島・2泊3日の山旅日記(前編) No.431 八丈富士(西山)854m 海もいいけど山もいいぞぉ~ |
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お鉢巡りはファンタスティック! 第2日目(3/29・雨)=三根…島内一周ドライブ観光…中之郷 第3日目(3/30・曇)=中之郷…三原山登山…硫黄沼ハイキング…島内観光…八丈島空港17:25…18:25東京・羽田 ※島内の移動はレンタカー → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ 山と渓谷社から出版された「関東百名山」について、旧版(1993年1月発行)と新版(2019年4月発行)の2冊を併せてみると、東京都から選出されたのは計17座になっている。ちょっと興味をもったのは、旧版では取り上げられなかった三原山(大島)と八丈富士(八丈島)が新版に追加されたことだ。これで伊豆七島の山については、神津島の天上山を含め3座となる。もしかして、伊豆七島の「山」の魅力が正しく評価されてきたのじゃないかな、と思った。で、私は声を大にして叫びたい。「伊豆七島は海だけじゃないぞぉ~!」 →「関東百(名)山」の一覧表へ ●第1日目・令和4年(2022年)3月28日・月・概ね晴れ: 私達の自宅が羽田空港に近い関係もあり、7時30分発のANA-1891便が八丈島空港に着陸した8時25分まで、あっという間の出来事に感じた。空は高曇りで、空港周辺からは南東に三重式成層火山の三原山(東山)の山群が、北西にはコニーデ式の八丈富士(西山)が、其々大容量で聳えているのがよく見える。麓から中腹にかけて沢山の白っぽい斑点が見えているけれど、あれはオオシマザクラの(満開の)花色に違いない。この八丈島の緯度は北九州と同じくらいだという。寒くもなく暑くもない、いい時季に私達は来島したのだ。 若いころには磯釣りで数回訪れた思い出はあるけれど、八丈島の山登りは初めての経験だ。かつては海ばっかり見ていた私だが、こうやってしみじみと八丈島の山を眺めるのは…、多分初めてのことかもしれない。 予約しておいた空港近くのレンタカー(軽自動車だ!)の手続きもスムーズで、10分強の運転で八丈富士登山口の駐車場(標高約490m)に着いてしまう。羽田で買ってきた空弁を車内でゆっくりと食べてから、準備して歩き始めたのは9時15分頃だった。八丈島へは殆ど船(東海汽船)で来ていたので、飛行機って早いなぁ、とつくづくと思う。 お鉢巡りの分岐(山稜)までは火山岩質の長い階段をひたすら登る。1260段あるというが、丁寧に作られた階段で歩きやすい。周囲は比較的に若い樹木が多く、タブノキ、シロダモ、ハチジョウキブシ、オオバヤシャブシ、ユズリハ、(ハチジョウ)イヌツゲ、ヒサカキ、マルバグミ、ガクアジサイ、アオキ、それに(ハチジョウ)スズタケなどが(案外と)疎に茂っている。土壌の関係もあると思うが、樹種は少ない。 階段の所々には開けた箇所があって、振り返ると飛行場の滑走路や東西の港などが見下ろせる。八丈島唯一の(狭い)平野部だ。そしてその上空には、三原山が幅広に横たわっている。足元にはシダ類やツワブキ、アシタバ、イネ目の草本(キリシマノガリヤス、オオシマカンスゲ)などが目立ち、タチツボスミレに似たシチトウスミレがきれいに咲いている。 山稜へ出た所(お鉢巡りの分岐点)は開けていて展望もよい。一休みしてから、とりあえず時計回りにお鉢を進む。と、3分の1周ほどの地点に二等三角点(点名も八丈富士・標高854.25m)のある山頂(伊豆七島の最高地点だ!)があり、ここでも小休止。それからさらに先へ進み、中央火口丘や火口壁などの近景を眺めたり、海に浮かぶ(今は無人の)八丈小島などの景色も楽しむ。火口底に広がる森は、あれはヤマグルマの純林であるらしい。東側の眼下に見えている建物は本日の宿・三根のホテル(リードパークリゾート八丈島)に違いない。…もうずっと、360度の大絶景だ。 直径で約500mあるというこの八丈富士のお鉢巡りは、思っていたよりもずっとヘビーなものだった。風が強くてイヌツゲの藪漕ぎや玄武岩の岩場など、歩きにくい箇所もあったけれど、変化と情緒があってとてもファンタスティックだ。 正味1時間ほどでお鉢分岐に戻り、そして火口内の(ヒメユズリハやヤマグルマなども生い茂る)鬱蒼とした低木林を進み、浅間神社を往復する。こちら(火口)は意外と湿気が多く、小さな池もあったりして、その植生はかなり原生的だ。シダ類やコケ類、そしておどろおどろしいサルオガセ(着生する地衣類)なども多い。足元には、ウラシマソウに似たシマテンナンショウが不気味に咲いている。八丈草という別名もあるアシタバも矢張り(美味しそうに)生えている。 この浅間神社は予想に反して…あまり手入れをしていないような…かなりうらぶれたものだった。古い鳥居や苔の生えた小さな石祠などがあり、願い事などの書かれたカラフルな玉石が無造作に置かれている。火口内は国立公園特別保護地区に指定されているというが、だから敢えて手を付けていないのかもしれない。それはそれで、とてもいいことだと思う。 浅間神社の奥を覗くと、直径約80m、深さ約60mあるという「小穴」と呼ばれる(ヤマグルマの生い茂る)火口の陥没地が見えている。それは自然の成り行きの、原生の情景に思えて…白神岳の山稜から世界自然遺産のコア部分を眺めたときのような…感動だった。 登ってみて、地形や地質など、この八丈富士が静かな活火山(現在は噴火警戒レベル1)であることをしみじみと実感した。出会ったのは数組の…何れも若くて軽装の…観光客のハイカーで、その殆どがお鉢分岐や三角点のある山頂から引き返していたけれど、あのステキなお鉢巡りや火口往復をスポイルするのはあまりにも勿体ないと思う。 登山口の駐車場に戻ったのは午後1時頃で、昼飯前だった。 さてこれからは、この八丈富士の山腹をぐるっと廻る鉢巻道路をドライブして、オオシマザクラの花見をしたり「ふれあい牧場」を見学したり、空港の南側に隣接する「八丈植物公園」などもじっくりと散策してから、今日の宿(リードパークリゾート八丈島)へ向かうとしよう。 佐知子の歌日記より 若きらの「こんにちはー」に励まされ八丈富士の御鉢を巡る
次項「八丈島・2泊3日の山旅日記(後編)・三原山と硫黄沼」へ続く
浅間神社の奥から火口の「小穴」を覗く ・ 火口底はヤマグルマの純林 このページのトップへ↑ ホームへ |