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No.440 爺ヶ岳鹿島槍ヶ岳
令和4年(2022年)8月3日〜6日 初日は雨模様概ね良い天気

爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳の略図
展望台から山座同定
大町山岳博物館にて
柏原新道を登る
雪渓を横切る

種池山荘から針ノ木岳方面を望む
山荘裏から水晶岳が!

爺ヶ岳の中腹から撮影
鹿島槍ヶ岳を望む

左は前穂高岳
槍ヶ岳が見えた!(右)

左奥は爺ヶ岳の北峰
爺ヶ岳(中峰)

バックは立山連峰
爺ヶ岳の山頂(中峰)

立山靫草:シソ科ウツボグサ属の多年草
タテヤマウツボグサ

残念!ガスった・・・
鹿島槍ヶ岳の山頂

雲海から太陽が昇る(冷池小屋の近くから撮影)
ご来光を仰ぐ(最終日)

前方は種池山荘
チングルマのお花畑


みんなニコニコ

登山前日(8/3)=東京…信濃大町・大町山岳博物館…竹のや旅館(前泊) 第1日目(8/4)=信濃大町−《バス40分》−扇沢〜(柏原新道)〜種池山荘 第2日目(8/5)=種池山荘〜爺ヶ岳(中峰2670m)〜布引山2683m〜鹿島槍ヶ岳2889m〜冷池山荘 第3日目(8/6)=冷池山荘〜爺ヶ岳(南峰2660m)〜種池山荘〜柏原新道入口−《タクシー15分》−大町温泉郷・薬師の湯(入浴)−《バス20分》−信濃大町駅…
【歩行時間: 第1日=4時間40分 第2日=6時間30分 第3日=5時間30分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(鹿島槍)へ


 8月3日から6日までの4日間、山の仲間たち(今回は総勢5名・山歩会)と、後立山連峰の一角(爺ヶ岳〜鹿島槍ヶ岳)を歩いてきた。
 山稜ではチングルマやコマクサなどの高山植物をたっぷりと観賞した。ライチョウやオコジョにも出逢えたし、雲海から昇るご来光も拝めたし、爺ヶ岳の南峰ではブロッケンのおまけもついた。…とにかく、登山初日に雨られたほかは(特に午前中は)絶好の展望日和で、立山連峰や近くの後立山連峰の峰々はもちろんのこと、穂高〜槍や富士山までも展望することができたのが大ラッキーだった。天気についてはあまり期待していなかっただけに嬉しい大誤算で、すれ違う登山者たちも(もちろん私たちも)みんなニコニコ顔だった。
 私達夫婦にとっては、22年前の悪天候時の…何も見えなかった…縦走登山(→No.68「五竜岳から鹿島槍ヶ岳」)のリベンジが叶ったのが、なによりも嬉しかった。

●登山前日(8/3曇) 東京…信濃大町
 新宿9時発の「特急あずさ9号」に乗ると、終点の松本駅に着くのは11時39分。ここでいったん改札を出て、ステーションビル(なぜ“駅ビル”じゃないのだろう?)の蕎麦屋で昼食を摂ってから、松本13時18分発のJR大糸線に乗る。と、(こちらも終点の)信濃大町駅に着くのは14時17分。それから今日の宿…駅にほど近い「竹のや旅館(Guest House Takenoya)」…にザックを預けて、信濃大町駅の北東・徒歩約25分の距離にある大町山岳博物館を見学する。出だしはいたってアカデミックだ。
 少し雲っぽくてイマイチだったけれど、博物館の展望台から北アルプスの大パノラマを(殆ど心眼だけど…)眺めて悦に入る。特筆すべきはここのカフェ(もるげんろーと)で飲んだ…サンザシやナッツ類などの菓子付きの…挽き立てのコーヒーで、とても美味かった。それから大きなスーパー(デリシア・大町店)へ行き、明日からの登山に必要な予備食などの買い物をした。
 「竹のや旅館」のゆったりとした浴場で汗を流してから再び街へ繰り出して、信濃大町駅前のイタ飯屋「パプリカ」で…明日からの登山について話し合ったりしながら和気藹々と…夕食を摂った。
 ゆとりのある計画の…時間と体力をお金で買った…私たち5人(平均年齢約71歳)の山旅はもう始まっている。
 外部のサイトへ移動 「大町山岳博物館」のホームページ
 外部のサイトへ移動 「竹のや旅館」のホームページ

佐知子の歌日記より
駅前の「ゲストハウス」とう宿に着く山の友らと夕食ののち

●登山第1日目(8/4曇・雨) 信濃大町…扇沢〜種池山荘
 信濃大町駅前から出ている扇沢行きの路線バス(アルピコ交通)の始発は6時15分(書き入れ時には5時35分発もある)だけれど、そんなに慌てなくともよかろう、ということで7時10分発の便に乗る。と、7時50分には終点の…立山黒部アルペンルートの長野県側の起点でもある…扇沢駅前に着く。降車客はパラパラで、この地の主流も矢張りマイカーであるようだ。なにやかやで、扇沢バスターミナルから歩き始めたのは8時頃だった。
 まずはバスが来た道を15分ほどなだらかに下り、標高約1350mに位置する柏原新道登山口で登山計画書(登山届)を専用ポストに投函する。そしてここから種池山荘のある主稜線まで、標高差約1120mをひたすら登ることになる。思わず気合が入る。とはいえ、この柏原新道はよく整備されていて、もちろん急勾配の箇所もあるけれど、安全に歩けるので安心だ。
 標高約1750mに位置するケルンと呼ばれる地点を過ぎる辺りから道は幾分緩やかになり、何時もの私たちのペースで、休み休みゆっくりと登る。クロベ(ネズコ)やコメツガやアズマシャクナゲなどの樹林帯だし、ガスってもいるので、開けた箇所などからの山岳展望は望めない。だから、とにかく登る、そして休憩。それからまたゆっくりと登り…休憩…、を繰り返す。
 何時の間にか辺りの樹種がコメツガから(オオ?)シラビソとダケカンバに移行していて、時々ガスが切れて扇沢の建物などや雪渓を纏った針ノ木岳と蓮華岳などが見え隠れする。行く手の山稜には目指す種池山荘と思われる建物が見えることもあるが、近そうで矢張り遠い。…そのうち、とうとう本降りの雨が降ってきた。幸いなことに風がないので傘を差し、カッパも着込む。
 小さな沢(雪渓)を横切り、やがて森林限界を超える。登山道沿いにヤマハハコ、ハクサンフウロ、ウサギギク、ウラジロタデ、などの花が目立ち始めると間もなく、14時40分頃、待望の種池山荘(標高約2460m)に到着。みんな元気だ。

佐知子の歌日記より
雨降りに素早く合羽を身につけてしかたないねと空を見上げる

●登山第2日目(8/5晴・曇) 種池山荘〜鹿島槍〜冷池山荘
 種池山荘の朝食を弁当にしてもらって、5時10分頃には富山と長野の県境尾根を歩き出す。意外にも朝から好天気で、行く手の右前方(南南東)には、南アルプスと八ヶ岳を露払いと太刀持ちにした横綱の富士山が、朝焼けに映える雲海の上にくっきりと聳えている。心ウキウキ、みんな笑顔だ。
 爺ヶ岳へ向かって歩いていると、右手後方(南南西)には槍ヶ岳や前穂高岳の姿も確認できた。さらにその右手前の…蓮華岳と針ノ木岳の間の奥に突き出ている見覚えのある山容は、あれは水晶岳(黒岳)だ。左後方(西面)には迫力の立山連峰(立山〜剣岳)が近く、北面にはこれから向かう双耳峰の鹿島槍ヶ岳、そして東面の大町方面は大雲海…と、それらが爺ヶ岳のピークなどからは360度で見放題だ。
 山稜にはきれいな高山植物もたくさん咲いていて、岩場ではオコジョ、ハイマツ帯ではライチョウにも出会えた。オコジョはとても可愛いけれど、今回もカメラを向けたとたんに姿を隠してしまった。…とにかく見どころ満載で、歩がなかなか進まない。
 今日の宿に予約してある冷池山荘にザックの中身の一部をデポして、幾分身軽になって、布引山を経由して鹿島槍ヶ岳(南峰)を往復する。もちろん山頂では達成感で、みんな感動だ。…ところがこの頃からガスってきて、展望はイマイチとなってしまった。だから復路はひたすら下を向いて、植物観察に専念する。
 冷池山荘に着いたのは15時を少し過ぎていた。みんなニコニコだけれど、クタクタだ。

佐知子の歌日記より
青空にウサギギグの黄すくと立ち主役のごとく斜面を飾る
鹿島槍を頭痛とともに登りたりバファリン飲んでゆっくり歩く


* 山稜に咲いていた花など(順不同): ゴゼンタチバナ、ハクサンフウロ、ウサギギク、ヤマハハコ、ウラジロタデ、オンタデ、ミヤマアキノキリンソウ、チングルマ、コイワカガミ、キバナノコマノツメ、ミヤマトリカブト、ホツツジ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマキンポウゲ、タカネツメクサ、イワツメクサ、コマクサ、モミジカラマツ、クルマユリ、ヤマホタルブクロ、トウヤクリンドウ、タテヤマウツボグサ、イブキジャコウソウ、ミヤマキンバイ、シラネニンジン、シモツケソウ、エゾシオガマ、アオノツガザクラ、アカモノ、ミヤマコゴメグサ、ミネウスユキソウ、イワギキョウ、チシマギキョウ、イワオウギ(タテヤマオウギ)、コメススキ、…など。 ※ハクサンシャクナゲは既に花期を終えていた。

* 北アルプスの花の写真については拙サイトの写真集も参考にしてみてください。
 →白馬岳・花の写真集
 →霞沢岳の山稜に咲いていた花
 →針ノ木岳と蓮華岳の高山植物

* 爺ヶ岳: 3つのピーク(北峰2631m・中峰2670m・南峰2660m)をもつ女性的な山容の、日本三百名山の一峰。最高点の中峰に三等三角点2669.93m(点名:祖父岳)がある。山名の由来でもある南面の山腹にできる雪形(種蒔きをする老爺)は有名。

* 鹿島槍ヶ岳: なだらかな弧を描く「品の良い美しさ(深田久弥)」の吊尾根をもつ双耳峰(北峰2842m・南峰2889m)。ご存じ日本百名山の一峰。南峰には二等三角点2889.21m(点名:鹿島入)がある。五竜岳へ向かう北側には難所の八峰キレットがある。

●登山第3日目(8/6晴・曇) 冷池山荘〜扇沢…大町温泉…
 冷池山荘を出たのは5時の少し前。大町側の大雲海から昇るご来光を拝むことができた。この日も午前中は良い天気で、来た道を引き返すということもあり気は楽だ。往復登山の長所は、じつはそんなところにある。
 往路では爺ヶ岳の南峰を巻いて最高点の中峰へ登ったので、復路では中峰を巻いて南峰に登った。これが結果大オーライで、南峰のピークでは1点360度の展望は勿論のこと、ブロッケン現象も見ることができた。みんなウキウキだ。
 種池山荘裏から柏原新道をひたすら下る。山荘の受付嬢に教えてもらった通りに、携帯の通じる途中のケルン(標高約1750mの地点)でタクシー会社に予約の電話を入れる。そのケルンから約1時間、約束のちょうど13時に、タクシーの待つ柏原新道入口に下山できた。軟弱な私たちにとっては上出来の山行だった。無理のないゆとりのある登山計画だったのが幸いしたと思う。

大町温泉郷「薬師の湯」: 帰路に立ち寄ったのが大町温泉郷の中で唯一の日帰り温泉施設という「湯けむり屋敷・薬師の湯」。私たちは5人のパーティーだったので、柏原新道入口からのタクシー料金は非常に効率(コスパ)が良くて一人当たり848円(計4,240円)だった。扇沢から大町温泉郷のバス代@1,030円を鑑みると、かなりの割安感で、これもまた嬉しい誤算だった。
 「薬師の湯」はその平屋の建物がかなりの面積(広い空間)で、登山客などにも配慮されていることもあり、とてもくつろげた。62.8℃の源泉を引湯した単純温泉(弱アルカリ性低張性中性高温泉)で、無色透明無味無臭。微かにヌルヌル感。内湯も外湯も広くてゆったりとできるのが何よりだ。タクシーの運転手さんにもらった割引券(@100円引き)を使っての入浴料は一人500円だった。
 外部のサイトへ移動 「薬師の湯」のホームページ

  佐知子の歌日記より
 雲海に輝く太陽あらわれる思わず拝む心底拝む
 ブロッケン初めて見たとポーズとる友らのスマホ電池あやうし
 山旅の〆はもちろん温泉だ三泊四日の汗を拭いて



雲海の彼方に・・・
朝焼けに映えて・・・
八ヶ岳〜富士山〜南アルプス(朝の種池山荘裏から撮影)

左下は種池山荘
爺ヶ岳から剣岳を望む
午前7時25分頃
ブロッケンだ!(爺ヶ岳南峰にて)

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