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スイス・アルプス周遊ハイキング その@
No.459-1 サンモリッツ編
令和5年(2023年)7月11〜15日 概ね良い天気(乾季)

モルゲンロートに染まるベルニナ山群
ムント・ペルスの中腹からベルニナ山群を望む

あのベルニナ山群を見てきた!
I did not climb the Piz Bernina…but touched it with my heart!

 ツアーの行程
7月11日〜12日: 東京(成田)〜ドバイ〜チューリッヒ〜サンモリッツ
7月13日: サンモリッツ〜コルバッチ展望台・ベルニナ山群ハイキング〜サンモリッツ
7月14日: サンモリッツ〜オスピッツォ〜アルプグリュム〜ディアヴォレッツァ
7月15日: ディアヴォレッツァ…ムント・ペルス登山〜サンモリッツ〜ツェルマット
7月16日: ツェルマット〜マッターホルン北壁展望ハイキング…ツェルマット
7月17日: ツェルマット〜 ゴルナーグラート・リッフェル湖ハイク〜メンリッヘン
7月18日: メンリッヘン〜クライネシャイデック〜ユングフラウヨッホ〜グリンデルワルト
7月19日: グリンデルワルト〜フィルスト展望台・バッハアルプゼーハイキング
7月20日〜21日: グリンデルワルト〜チューリッヒ〜ドバイ〜東京(成田)



 7月11日〜12日: 東京〜ドバイ〜チューリッヒ〜サンモリッツ
 夜、成田空港でアルパインのツァーリーダー・Hさん(私達よりは大分若くてそれなりに美人)にお会いする。やがてツアーのメンバーたちも全員揃って、簡単な自己紹介。夫婦で参加は私達ともう一組。男性単独が5名で女性単独は2名。Hさんを含めて総勢12名の中高年パーティーだ。
 空港内の両替所で円(JPY)をスイスフラン(私は500CFR・佐知子は400CFR)に両替。このときの外国為替相場は1CFR=約165JPY。円が安すぎるのかスイスフランが高すぎるのか、一昔前(バブルの頃)とは隔世の感がある。
 エミレーツ航空の超大型機(A380型機)は定時を少し遅れて、22時40分頃に飛び立った。アラブ首長国連邦のドバイを経由する所謂「南回り」だ。
 ドバイ空港で乗り換えのために4時間以上を待たされた。その間、待合室でのマンウォッチングが楽しかった。聞いたことのないようなさまざまな言語が飛び交い、この大空港はまるで人種のるつぼだ。お蔭で眠気も吹っ飛んだ。
 スイスのチューリッヒ空港に着いたのは現地時間の14時頃だった。日本とスイスの時差が−7時間だから、成田を出てから正味約22時間強が経過している。やっぱりヨーロッパは遠い。スイスも遠い。今はロシア上空を飛べないから尚更遠いのだ。

7月13日
曇りがちな一日
コルバッチ展望台

草原はお花畑
ロゼック谷へ下る

アルプスマーモット:齧歯目リス科マーモット属
マーモットを発見!

乗合馬車でポントレジーナへ
乗合馬車

7月14日
世界遺産のベルニナ線
サンモリッツからベルリナ線に乗る

ベルニナ線が走る
ラーゴ・ビアンコ湖

西洋薄雪草:キク科ウスユキソウ属の多年草
(花壇の)エーデルワイス

ディアヴォレッツァ展望台にあるジャグジー
山上ホテルの露天風呂?

黄嘴烏:カラス科ベニハシカラス属
キバシガラス(アルペンドール)
↑嘴が黄色で足は赤っぽい

7月15日
バックに山上ホテルが見えています
ムント・ペルスを往復ハイキング

赤と白の標識
これがハイキングサイン

有名なアングルです
氷河特急でツェルマットへ
 チューリッヒ空港からは専用車(大型のワゴン車)でスイスの南東に位置するサンモリッツまで3時間半。途中、左手に長細いチューリッヒ湖などを眺めたり、右に左に妙義山を何倍も大きくしたような山岳風景を眺めたり、イギリスの風景式庭園のような牧歌的な草原を眺めたり、三角屋根の閑静な家並みなどもしっとりと眺めて、あぁスイスに来たんだな、と思う。車窓からの(異国の)景色に夢中になったり、ユリア峠のドライブインで買い物をしたり…、私には眠っている暇がない。と…隣の座席に目をやると、佐知子は(やっぱり)目を半開きにしてウトウトしている。
 夕刻、シャネルとかエルメスとかルイ・ヴィトンとかの名店がずらりと並ぶ、サンモリッツ市街に位置する3つ星の「ホテル・ハウザー」に着いた。…この日に一番驚いたのは、ドバイでもチューリッヒでもサンモリッツでも、マスクをしている人は誰もいない、ということだった…。

 佐知子の歌日記より
空港の待合室にどの国の人もスマホを滑らせている
黒べール黒い長着の女たち はたして下着は何色だろうか

 7月13日: サンモリッツ〜コルバッチ展望台〜サンモリッツ
 7時からのホテルの(ビュッフェ形式の)朝食を食べてから、ゆっくりと出発。路線バスとロープウェイを乗り継いでコルバッチ展望台3306mへ。ベルニナ山群や眼下のシルヴァプラーナ湖など、360度の展望を楽しむ。眼前の氷河の景色が私達には珍しい。
 それから中間駅のムルテル2702mまで(ロープウェイで)戻って、そこからロゼック谷1999mまでの歩程約3時間を、圧巻の展望ハイキング。山登りというよりは山下りだ。車も通れそうな整備された道で…実際に自転車族も多いが…辺りには美しい高山植物が咲き乱れている。それらの一株ずつをツアーリーダーや現地の専属ガイドさんが丁寧に教えてくれる。もちろん、聞いたそばから殆ど忘れてしまうのだが…。確かシレネ・ブルガリス(マンテマの仲間)とかアルニカ・モンタナ(キク科)とかキルシウム・スピノシッシムム(アザミの仲間)とかタマシャジン(魔女の爪)とかバニララン(甘い香り)とかモンタヌム・バンダイソウ(ベンケイソウ科)とかアルペンローゼ(ツツジ科の低木)とか…。
 日本でもおなじみの(名前の)花はヤナギラン、フランスギク、フウロソウ、ワスレナグサ、イブキジャコウソウ…などけっこう多い。おゃ、こんな地球の裏側でも出会えたね、と感動した種名もあったけれど、やっぱり実際は、ほんとうの(学名レベルの)種名は違うんだよね、殆どはきっと。何れにしても、花の色はやや濃いめで鮮やかに見える。
 キンポウゲ科の花(オキナグサ、キンバイソウ、キンポウゲ、リュウキンカ、トリカブトの仲間など)が多いのは牧牛や牧羊などが食べないからだそうだ。
 なおスイスアルプスでは、道を外れてお花畑などにハイカーが入り込むことに関してはお咎めはないという。昔から人間と自然が…牛や羊や山羊や犬などの家畜も含め…共存してきた帰結のようで、大変に興味深いことだと思った。実際、自然保護の考え方は一筋縄ではなく、かなりややこしい。
 標高が下がってくると草原の合間に高木が繁る林を通る。しかしよくよく見ると、樹種は貧弱だ。つまりヨーロッパカラマツが殆どで、あとはヨーロッパトウヒとスイスマツ(Swiss Pine=五葉松類)が少し…だけのようだ。草原(アルプ:高原)では放し飼いの牛が草を食んでいる。
  スイス・アルプスで見かけた花・写真集 参照してみてください。

 ハイキング後はロゼック谷の可愛いレストランで、私は地元のビール、佐知子はなんとかスープを飲んだ。それから情緒のある乗合馬車(3頭立てだ!)でポントレジーナへ。雨が降ってきたけれど、馬たちは一生懸命に前だけを見て走っている。「まるで馬車馬のよう…」とメンバーたちも感心している。
 ポントレジーナからは登山電車(ベルニナ線)で、美しい湖が傍にあるサンモリッツ駅へ戻る。そして、標高約1820mの高級山岳リゾート地のあちこちを、今日も観光しながらホテルへ戻る。夕食はHさんの案内で(希望者の数名で)近くのレストランへ。何種類かのピザを注文してそれをシェアーした。味は…、日本のピザの方が旨いかもしれない…。とはいえ、ビールとワインはここでも旨い。
 * この日の歩数計=19072歩

 佐知子の歌日記より
幌付きの馬車に揺られて一時間はずむ会話に雨音消える

 7月14日: サンモリッツ〜オスピッツォ〜アルプグリュム〜ディアヴォレッツァ
 サンモリッツも3日目で、もう大分街の様子が分かってきた。改札のないサンモリッツ駅に集合時間より早く着いて、近くのコープ(COOP:スーパーマーケット)で買い物をしたり、風光明媚なサンモリッツ湖畔を散歩したりなどして過ごす。そして9時18分発のベルニナ線(世界遺産だ!)に乗って、最高地点のオスピッツォ・ベルニナ駅2253mで降りて、美しい氷河湖のラーゴ・ビアンコを眺めながらアルプグリュム2091mまでハイキング(正味の歩行時間:2時間)。途中の湖畔で周囲の壮大な山岳景観を眺めたり、あちこちにたくさん咲いている高山植物の花を愛でたりしながら、贅沢で至福なピクニックランチ。コープで買ってきたフランスパンのサンドイッチ(カスクート?)を頬張る。…ここはもう、イタリアの国境まで数キロほどの距離だ。
 と、ここまで(メモを見ながら)カタカナだらけで書いて、自分で何が何やらよく分からなくなった。帰宅してから10日以上経っているので、もう、巡った順序も地名も曖昧でごちゃごちゃになっている。…トシはとりたくないものだ。
 話を戻す。アルプグリュムからは再びベルニナ線に乗ってベルニナ・ディアボレッサ駅まで下り、大型ロープウエイに乗り換えてディアヴォレッツァ展望台2973mへ着く。ピッツ・ベルニナ4049mを主峰とする、ここからのベルニナ山群の景観が秀逸だった。私のデジカメでは3枚を繋げてようやくその全貌が撮れる、というほどの容量だ。これはもう流石に…感動などの感情の比較を無視するならば…ちょっと悔しいが…常念山脈から槍・穂高連峰を眺めたときのスケールを優に上回っている。
 その広い展望台の中央に、今日の宿「ディアヴォレッツァ山上ホテル」がある。何気に、辺りを数羽の黒い鳥がしきりに飛び回っている。小さめの黄色い嘴で足の赤い、カラスを一回り小さくしたような鳥で、人間にはよく慣れているようだ。後で調べたらアルペンドール(キバシガラス:カラス科)という種で、夏は高山で過ごすらしい。
 ホテルでの夕食の前も後も、ディアヴォレッツァ展望台を行ったり来たり、ベルニナ山群の4000m峰とペルス氷河の壮大な山岳風景を眺めていた。スイスは、というかヨーロッパは、日の入りがとても遅い。夜の10時近くまで日が残っている…。
 夜遅く、部屋の北側の窓からは…明朝に登山を予定しているムント・ペルス3207mの右手に…北斗七星が見えていた。
 * この日の歩数計=13833歩

 佐知子の歌日記より
ベルニナの沿線ハイク 花は吾(あ)の靴ずれを忘れさせたり

 7月15日: ディアヴォレッツァ=ムント・ペルス登山〜サンモリッツ〜ツェルマット
 まだ薄暗い午前5時頃、支度して山上ホテル前から歩き始める。近くの山(ムント・ペルス:Munt Pers)3207mを往復ハイキングだ。不思議なもので、こうして二人だけで歩いていると何時もの…日本の山の…山歩きをしているような錯覚にとらわれる。しかしやがて日が差してきて、モルゲンロートに染まったピッツ・ベルニナとペルス氷河やモルテラッチ氷河も姿を現すと、おぉ、ここはやっぱりスイスアルプスなんだ、と心も覚醒する。(→冒頭の写真)
 登山道は概ねガレ場だがよく整備されていて、要所にはウェイマーク(ハイキングサイン:赤と白の標識)がしっかりついているので安心だ。足元の所々にはグラキアリス・キンポウゲがけっこう咲いている。数は少ないがウサギギクに似たアルニカ・モンタナやホソバツメクサに似た花などがきれいに咲いている。特にグラキアリスは、その株によって微妙に花の色合いが違っていて、とても美しくて妖艶だ。
 ところが、歩き始めてから40分ほどもすると佐知子がギブアップした。靴擦れがとても痛いらしい。少し道を外れた稜線の展望のいい箇所で暫く休んだけれど、佐知子は動こうとしない。私は意を決して、ここから単独で山頂の近くまでを往復した。といっても、そこからはわずか20分足らずの歩程で、展望についてもそれほどの違いはなかったのだが…。
 何やかやで、休み休みゆっくり歩いて、二人そろって山上ホテルに戻ったのは7時40分頃だった。復路の途中、Hさんやツアーのメンバーの数名とすれ違って、明るく挨拶した。…それから9時45分の集合時間まで、朝食を摂ったり、何回もベルニナ山群の大展望にうっとりとしたり、ディアヴォレッツァの朝を満喫する。
  ムント・ペルスの中腹からベルニナ山群を望む(YouTube)

 それからロープウェイと登山電車を乗り継いでサンモリッツに戻り、普通列車でクールへ。クールからは氷河特急(Hさんのガイドによると世界一遅い特急であるらしいが…)に乗車してツェルマットへ。遅めの昼食は食堂車でワインを飲みながら、車窓に見えるスイスらしい景色を眺めながら、まったりと堪能する。世界遺産登録区間を含むゴージャスで夢のような行程を、今日も私達はなぞっている。
 * この日の歩数計=10349歩

 佐知子の歌日記より
晴れの朝ピッツベルニナの眺め良し夫と歩めり裏の小ピーク
九切れを残さず夫が食べたから七月十五日は人参記念日


次項 「Aツェルマット編」 へ続く

スイスの略図
スイスの山旅:行程の略図



ディアヴォレッツァ展望台からベルニナ山群を望む
撮影はHさんです
ペルス氷河〜モルテラッチ氷河が大きい:…でも、年々縮小しているそうな…

INDEX
@サンモリッツ編(本項)
Aツェルマット編
Bグリンデルワルト編
スイス・アルプスで見かけた花・写真集

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