奥秩父の異端児、山頂は大混雑
《マイカー利用》 中央自動車道・韮崎I.C-《車1時間》-里宮平・瑞牆山荘〜富士見平小屋〜瑞牆山〜富士見平小屋〜瑞牆山荘…増富温泉(泊)… 【歩行時間:
5時間20分】 * 実際は、須玉インターからの方が若干早いようです。
→ 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ
車を使っての往復登山。せっかく作ったサンドイッチを自宅の冷蔵庫に置き忘れてきてしまったので、途中の談合坂サービスエリアで買い求めた菓子パンなどを車の中でかじって、朝食を済ませた。
韮崎インターから40分ほど走った山間の舗装路を進む。増富を通り過ぎて金山平の少し手前あたりから、梢越しに瑞牆山の独特な岩峰が、朝日の逆光の中、黒いシルエットとなって見え隠れしてくる。瑞牆山は、たおやかな奥秩父山塊の西端にあって、ひときわ異様な姿でそびえる花崗岩の岩峰。近年の百名山ブームもあって、人気の高い山の一つでもあるらしい。
この舗装道路沿いの、なだらかな峠(里宮平)に瑞牆山荘がある。山小屋と云うより「リゾート風峠の茶屋」といった感じのこの山荘前を歩き出したのは午前6時33分。小鳥のさえずり、新緑の萌葱色が、耳と目にまぶしい。ミズナラやシラカバなどの清々しい林を通り過ぎたりして、50分も登ると富士見平に着く。膝の調子があまり良くないので、何時もより更にゆっくりと歩く。「お先にどうぞ」を一体何回言ったことか。
道はいったん下り、天鳥川(あまどりがわ)の渓流を渡る。この川は、地図帳で調べると、釜瀬川や笛吹川などと合流し、富士川となって駿河湾に流れ込んでいる。辺りにはコメツガやネズコ(クロベ)の木が目立ってきた。シラビソが生えていないのは岩っぽい地質と関係があるらしい。
縦にヒビの入った巨岩(桃太郎岩)の脇を通り過ぎる辺りから、あと一ヶ月もしたら満開になりそうな硬い蕾をつけたシャクナゲの群落が続いていた。尚暫く急坂の岩場を登って、大ヤスリ岩の脇を通り過ぎ、もうそろそろかなぁ、などと佐知子と喋っていたら、急に視界が開け、登山者で賑わう山頂にポンと出た。空がいきなり開けた感じで、ちょっと驚いた。
昼寝にはもってこいの大岩群の頂上で早めの昼食(ラーメン)。たっぷりと時間をとって、360度の大展望を楽しむ。ここでも広角三角形の緑の山、小川山が大きい。金峰山から眺めた小川山の方が形はいいが、重量感はここからの方が上だ。金峰山五丈岩の右奥に富士山が薄っすらと見えている。さらに時計回りに、南アルプス、中央アルプス、御嶽山、八ヶ岳などの山々がよく見える。…それにしても凄い人出だ。山頂を去る12時少し前頃には、足の踏み場もないほどの混みようになっていた。
下りは往路を引き返す。途中の富士見平に着いたのは14時で、ここでもまた大休止。瑞牆山荘前に下山したのは15時10分だった。瑞牆山荘のレストラン(“食堂”ではない)のベランダで生ビールを美味そうに飲んでいるハイカーがいた。従業員の接客態度が横柄だったが、これはちょっと気になった。
車で今夜の宿(増富温泉「不老閣」)へ向かう途中、金山平から振り返った瑞牆山は、午後の太陽を正面に受けて筋骨隆々と聳えていた。
増富ラジウム温泉「不老閣」: 湯治情緒たっぷりの、由緒ある温泉宿。泉質は放射能泉。内湯はタイル貼りで、冷たい温泉に暫く浸かっているといかにも効きそうな気がしてくる。勿論、加熱の温かい湯船もある。飲むと甘酸っぱい味がする。鉄分も少し溶けているらしく、僅かに血の臭いがした。私達は行かなかったが、宿の裏山に野趣溢れる小さな天然岩風呂がある、とのことだった。内湯の源泉よりもっと冷たいそうだ。1泊2食付き(部屋食)一人10,000円だった。
南向きの窓の下を渓流(本谷川)が流れていて、岩燕が沢山飛んでいた。見上げると、腹の黄色い小鳥、キセキレイも近くの電線に止まっていた。
「不老閣」のHP
木暮理太郎翁の記念碑
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翌朝、増富温泉を発ち、再び金山平に車を止め、瑞牆山を眺めたり、木暮理太郎翁の記念碑(レリーフ)を見学したりした。木暮理太郎は、田部重治などとともに奥秩父の幽趣を世に紹介した日本山岳会の大先達だ。その記念碑は舗装道から距離にして200メートルほど登った森の中に、ひっそりと建っていた。
ドライブ観光の帰路、瑞牆山が最もよく見えるという黒森を抜け、信州峠から清里高原を経て小淵沢のインターへ出る途中、八ヶ岳の麓にある「まきば公園」に立ち寄った。牧場の遊歩道から奥秩父方面を眺めたが、霞みのため、金峰山や瑞牆山などの稜線は殆ど見えなかった。
瑞牆山の山頂から南東面の金峰山を望む
瑞牆山の山頂から北東面の小川山を望む
再び瑞牆山へ 平成15年(2003年)9月6日
「山歩会」の定例山行で、8人乗りのワゴン車を利用して、再び同コースを歩く機会に恵まれました。往復の登山道は静かなのですが、山頂は相変わらず人影が多く、ごった返していました。しかし流石に展望はピカイチで、高曇りだったこともあり、周囲の山々がよく見渡せました。季節がら花はあまり咲いていませんでしたが、富士見平小屋の近辺にはアキノキリンソウが満開に咲いていました。
歩いていてふと気になったことがあります。本項の平成11年5月のときには、富士見平から天鳥川へ下る登山道の一部から瑞牆山がよく見えていた(上覧1枚目の写真)のですが、行きも帰りもよく調べたのですけれど、樹林が邪魔をしてほとんど見えなくなっていたのです。多分ここ4〜5年間に樹木が育って、視界を塞いでしまったからだと思います。けっこう迫力のある瑞牆山の景観だったのですが、それがちょっと残念でした。
下山後に知ったことなのですが、瑞牆山荘の登山口から富士見平までの中間地点(標高約1650m)で合流する富士見平林道を左へ進むと、少し遠回りになりますが、瑞牆山を眺める絶好のビューポイントがあるとのことです。事前に分かっていれば私達も林道コースをとったのに、と、これが今回の反省点でした。
帰路には「増富の湯」に立ち寄って山の汗を流しました。日帰りということで少しせわしない登山でしたが、メンバーの皆さんも大満足のようでした。
増富温泉「増富の湯」: 結論から先に云ってしまうと、ここは超お勧めの日帰り温泉施設です。広々とした風呂場には、非常に効率的な配置で各種の浴槽が並んでいます。湯温が異なる源泉の浴槽がいくつもありました。例のあのいかにも効きそうな冷たい源泉です。もう嬉しくなって思わず長湯になってしまいました。食堂の営業時間が午後3時まで、と早過ぎるのが「タマにキズ」、かな。平成9年5月にオープンしたとのことです。
* この後(H18年5月)、小川山登山の帰路に「増富の湯」に立ち寄ってみました。食堂の営業時間は少し延長されたようで、平日が午後4時迄、土・日・祝祭日は午後5時までとなっていました。それでも私達が風呂から上がったときにはもう既に食堂は終了していました。少しくどいようですが、なおもう少し食堂の営業時間を延長してほしいと思いました。何故って、夕食はやっぱり夕方のものであって、開始が4時とか5時ならまだしも、その終了が4時とか5時では、あまりにも中途半端です。ほんとうに、くどくて申し訳ありませんが…。[後日追記]
* このまたその後(H24年10月)、バリエーションルート(→ カンマンボロンから瑞牆山)を辿って瑞牆山に登りましたが、その帰路にも「増富の湯」に立ち寄りました。食堂はこの年の3月に「花豆食堂」として生まれ変わっていました。[後日追記]
「増富の湯」のHP
瑞牆山の登路にて
縦にヒビの入った巨岩・桃太郎岩
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大ヤスリ岩下にて
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カンマンボロンから瑞牆山: H24年10月の山行記録です。
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