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No.197-2 三ツドッケから蕎麦粒山川苔山 (初夏)
平成23年6月6日〜7日 1日目は薄晴れ2日目は曇り


蕎麦粒山 略図2新緑の奥多摩・都県境尾根を歩く

第1日=JR青梅線奥多摩駅-《バス24分》-東日原〜滝入ノ峰1310m(巻道)〜一杯水避難小屋〜三ツドッケ1576m〜一杯水避難小屋 第2日=一杯水避難小屋〜仙元峠〜蕎麦粒山1473m〜日向沢ノ峰1356m〜踊平〜川苔山(川乗山)1363m〜赤杭山950m〜松乃温泉「水香園」(入浴&食事)〜JR青梅線川井駅
 【歩行時間: 第1日=4時間 第2日=7時間】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ


  梅雨の晴れ間を狙って、山の仲間たち山歩会をお誘いして奥多摩北部の都県境尾根を歩いてきました。 稜線のミズナラやブナやカエデ類などの新緑が素晴らしく、三ツドッケ付近にはシロヤシオ、蕎麦粒山からの広い尾根道にはサラサドウダンがきれいに咲いていました。
  今回のトレイルは、5年前の冬に単独で歩いたとき→前項・三ツドッケから蕎麦粒山と川苔山(冬期)とほぼ同じですが、私たちにとっては深くてロングなコースで、初めての無人小屋泊というメンバーも多かったりして、大冒険の2日間でした。



登山アルバム
東日原バス停からの展望:奥に本仁田山
  第1日目・10時50分・登山開始: 東日原バス停からまず一杯水避難小屋を目ざします。 写真はバス停前から日原川の下流方面(南東の方向)を撮ったものです。 閑静な日原集落の奥に、ピラミダルな本仁田山(ほにたやま・1225m)が聳えています。
  急坂を登り始めますと、エゾハルゼミの哀愁のある鳴き声が聞こえてきます。 しかし、う〜ん、ザックが重い。
大きなブナの木の下で・・・
  ヨコスズ尾根に取り付く: スギ・ヒノキの植林帯を抜けると自然林で、ミズナラやブナやカエデ類などの新緑がとてもきれいです。
  私たちの登山は休憩が多いので、“休憩の合間に歩く”といった感じです。 この山行のために高価な大形ザックやシュラフを購入されたメンバーもいましたので、登山用具談議にも花が咲きます。
シロヤシオが満開!
  あっ、シロヤシオだ!: 幾分なだらかになった枝尾根(ヨコスズ尾根)をさらに進み、高度も上がって主稜線(都県境尾根)が近くになってくるとお目当てのシロヤシオの花があちこちに咲いています。 満開のシロヤシオを見るのは私も初めてのことだったので、その気品のある美しさには大感動です。
* シロヤシオ: ツツジ科の落葉小高木。岩手県以南の太平洋側・四国の深山の岩の多い林縁に生える。花期の早いアカヤシオなどとともにゴヨウツツジ(五葉躑躅)とも呼ばれる。
一杯水避難小屋前で集合写真
  一杯水避難小屋に到着・15時30分: 小屋から5分ほど東へ進んだ道沿いにある水場(一杯水)をチェック。 梅雨時のこととて勢いよくホースから流れ落ちているのを確認して、まずは一安心。 ザックを小屋にデポして三ツドッケの山頂を往復します。 膝痛が心配な長老のSさんは留守番です。 今日の小屋はどうやら私たちの貸し切りのようです。 (*^^)v
※ 小屋の土間にあった薪ストーブは、何故か撤去されていました。
三ツドッケ山頂から大岳山〜御前山方面を望む

  三ツドッケ(天目山)1576mを往復・約1時間: 三ツドッケの痩せた稜線沿いにもシロヤシオが見事に咲いていました。 おまけにトウゴクミツバツツジもまだ咲き残っています。 冬に来たときに感動した照葉樹のヤマグルマにも再会しました。
  山頂からの展望もこの季節としてはまぁまぁで、大岳山や御前山などは勿論のこと、石尾根の右奥には雲取山や芋ノ木ドッケなども見えていました。

*** コラム1 ***
山でキャビアは美味くない!

コンロは総勢7名で3台使用  一杯水避難小屋での食事: 一杯水(水場)で冷やしておいた缶ビールは、夕げにはちょうど飲みごろの適温で、まずはそれで乾杯。 運んできた苦労が報われる瞬間であり、山歩きを趣味にしていてよかったと思う瞬間でもあります。 防腐剤の入っていない信州産の赤ワインを飲みながら、ポタージュスープと同時の前菜は、なんとあの高価なキャビア。 そして今回のメインディッシュはフランスパンを齧りながらの高級ロースハムステーキで、なんともリッチな気分です。
  しかし…、ハムステーキは非常に美味でしたが、キャビアは、じつは、山ではあまり美味く感じませんでした。 高価すぎて(ほんの僅かで約8,000円)、充分に味わえるだけの量がなかったこともあり、これじゃぁイクラかタラコのほうがずっとマシだと思いました。 その場のムード…やっぱりウオッカを飲みながらじゃないとまずいのかなぁ…もあるのかもしれませんが。 何れにしても、コストパフォーマンスを考えたらボツですよね。
  翌朝はアルファ米と卵スープとカニ缶を使い、刻んだ細ネギなども入れたカニ雑炊。 これも美味で量もたっぷり、一人お椀3杯分。 ダイエットなにするものぞ、のメニューでした。
* caviare to the general: 高尚すぎて俗受けのしないもの、という意味だそうです。(^_^;)

新緑の都県境尾根を進む

  第2日目・6時20分・出発: 一宿の恩に預かった小屋の中を丁寧に掃除しました。 それから朝の清々しい空気を腹いっぱいに吸い込んで、新緑の主稜線を東へゆるやかに進みます。
  ここは長沢背稜から続いている都県境尾根で、北側が埼玉県になるのですが、防火帯を兼ねた広い尾根道のほとんどは南側(東京都側)を通っています。
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  ハウチワカエデの落し物: ちょっと気になったのですが、ハウチワカエデを狙い撃ちにしたように、その新葉が登山道上のあちこちにたくさん落ちていました。 何故ハウチワカエデだけなのか、不思議です。 これは誰の仕業なのでしょうか?
* この結論は「コラム2」へ [後日追記]

*** コラム2 ***
初夏のハウチワカエデの落葉について

森林インストラクターのTamuです  新緑のころのちょっと高い山稜を歩くと見かけるこの現象について、私は虫(チョッキリの仲間?)か鳥かサルの仕業だと思っていたのですが、なんか釈然としなかったので森林インストラクター仲間のみなさんにお聞きしてみました。 “激しい風雨で落ちたんじゃないか”といったご意見もあったのですが、それだと何故ハウチワカエデだけ…? といった疑問が残ります。
  佐藤征男さんからいただいた回答が当を得ていて面白く、もしかしたらこれかもしれない、と思ったので、ご本人の了解を得たうえで、その回答文をそのまま貼り付けてみます。

 ・・・ まず、押さえておかなければならないことは、カエデのなかまは亜高木で陰樹ということです。葉は薄く、あまりコストをかけていません。開葉の仕方は一斉に開き、秋まで何とか持たせるといったものです。陰樹として、都合の悪い環境になれば、大胆にリストラする樹木です。葉を落とすだけではなく、幹も枯らして、萌芽するような芸当をみせます。
 「一斉落葉したハウチワカエデが尾根上に生育していた」ことがポイントのように思えます。日陰には強いが、ギャップへの対応は様々らしく、一斉に出した新葉が、連日の強い日差しや強風などで耐えられないと判断したら、とりあえず一斉に葉を落とすようなことはしそうな樹木です。本来、陽樹が占有する尾根は、カエデにとってストレスが強い環境なのでしょう。生き延びるために様々なリストラをして、周囲をより背の高い樹木が覆うまで頑張るつもりだと思います。・・・


  つまりハウチワカエデの緑葉が、若い身空で、本隊を守るために自らの命を絶ったというのです。 まるで終戦間近の神風特攻隊のようで、私は佐藤さんの説に大変感動しました。

蕎麦粒山の山頂にて

  蕎麦粒山の山頂に到着・7時45分: 蕎麦粒の形に似ているという山頂の火打ち石(写真:左手前)を観察したり、川苔山方面の展望を楽しんだりして、ここでもまったりと時を過ごします。
  新緑のパステルカラーが、何処も彼処も、めまいを感じるほどに鮮やかです。
オトシブミの「ゆりかご」   オトシブミの落し物: 稜線のいたる処でオトシブミ(昆虫です)の「ゆりかご」が落ちていました。 今がその季節だったようです。 それを足元に発見する度に嬉々として歓声を上げる若々しいメンバーたちです。 私もそうですが、都会育ちの多い「山歩会」ですので、こういうのってとても珍しく面白く感じるのです。
サラサドウダン(ツツジ科)
  サラサドウダンだ!: 稜線上の所々に今を盛りに咲いていました。 とっさに6年前の初夏に北海道の恵山で見たサラサドウダンを思い出しましたが、今思うと恵山のは赤色がもっと濃くて限りなくベニサラサドウダンに近い種だったんだなと思い当りました。 この都県境尾根のサラサドウダンの花色は彩度の低い黄緑色と桃色の更紗で、シブ好みの私にとってはこの上もなく美しく見えました。
* サラサドウダン: ツツジ科の落葉低木。別名フウリンツツジ。深山の岩地に生育。日本固有種。
川苔山の写真は大失敗:カメラが悪い!

赤杭尾根に新しい林道ができていた
できたての林道を下る

下山道に咲いていたコアジサイ(ユキノシタ科)
コアジサイ
  東の肩から川苔山(川乗山)の山頂を往復: 天気は下り坂で、大分曇ってしまいましたが、それでも川苔山の山頂からは三ツドッケや蕎麦粒山などの私たちが歩いてきた山稜が見えていました。 ちょっと感動です!
  川苔山の東の肩へ戻って、そこで昼食の大休止。 お湯を沸かしてカップラーメン類です。 スライスしたハムを乗せたら、ぐっと高級感が出て美味しくなりました。
  なお、懐かしのボロ小屋(川苔小屋)は撤去されていました。 やっぱり少し淋しく思いました。

  赤杭尾根を辿り川井へ下山: 川苔山からの下山路には今回も赤杭(あかぐな)尾根を利用しました。 途中、新しい砂利道(林道)ができていて、数百メートルの区間はそこを歩きました。
  再び山道へ入り標高が下がってくると、ノイバラやコアジサイの花盛りです。 赤杭山を通り過ぎて暫く下ると古里駅方面と川井駅方面との分岐へ出ますが、今回はここを左折して松乃温泉のある川井駅方面へ下ります。 歩く人の少ない川井ルートで、若干道は荒れていましたが、特に問題はありませんでした。
  長い下山路でしたが、松乃温泉の風呂と冷えたビールを思い浮かべると気合が入ります。 長老のSさんの膝も絶好調のようでした。
  ロングコースに私たちの体力が限界になってきたころ、ようやくドスンと里のアスファルトへ出ました。 多摩川に架かる奥多摩大橋が右手に見えていましたので、地図と首っ引きで、そちらの方向へ下って行きますと青梅街道(国道411号)に出ました。 左手の直近はJR青梅線の川井駅で、右手が“打ち上げ”予定の松乃温泉「水香園」です。

松乃温泉「水香園」へ下山・16時20分: 高級感のある「水香園」は一人3,500円で入浴とボリュームたっぷりの料理を味わうことができて、非常に割安だと思いました。 “多摩川の清流を眺めながら離れで温泉と懐石料理” っていうコピーは誇張じゃないです。 要予約で、その日の状況もあると思いますが、内緒にしておきたいほどの穴場スポットです。
 → 松乃温泉「水香園」についてはNo.121本仁田山の項も参照してみてください。


※ ヤマダニに食いつかれたHさん: じつは、この下山途中にメンバーのHさんがヤマダニ(マダニ)に食いつかれました。 二の腕の内側の柔らかい部分で、幸いにも発見が早く、引っ張ったら剥がれたそうです。 ヤマビルなどとともに山の“イヤな奴”で、日本紅斑熱やライム病などの病原菌の心配もありますが、その後のHさんからの連絡によりますと「まったく大丈夫だった!」 とのことでした。 「虫に殺されぬいい男」 とそのときはみんなにからかわれていましたが、よかった、よかった。

三ツドッケから蕎麦粒山と川苔山(冬期) H18年2月の都県境尾根・山行記録です。
三ツドッケから酉谷山と天祖山 H21年4月の長沢背稜・山行記録です。
* 樹木の記述に際しては「日本の野生植物(平凡社)」を参考にしました。



新緑のパステルカラーが美しい
新緑の広い尾根道で一休み(都県境尾根)

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