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No.353 飯能アルプス(前坂〜板屋ノ頭〜子ノ権現)
平成29年2月16日 快晴

略図

墓地脇の登山口


三角点のある板屋の頭


稜線を進む


六ツ石ノ頭に到着!


小床集落に下山


小刻みにアップダウンして高度を上げる
怪しい分岐が調味料(刺激)になって面白い!

西武秩父線・吾野駅〜前坂〜板屋ノ頭522m〜(高反山532m)〜六ツ石ノ頭540m〜スルギ〜(久々戸山538m)〜子ノ権現640m〜小床集落〜西吾野駅 【歩行時間: 4時間30分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(板屋の頭)


  奥武蔵の天覧山〜多峯主山から天覚山〜子ノ権現〜伊豆ヶ岳と稜線通しに続く山々の総称を飯能(はんのう)アルプスと呼んでいるらしい。 近年ではトレイルランニング大会のコースにもなっていることなどから、けっこう人気があるという。 “アルプス”と聞くと浮足立つのは私達夫婦の悲しい性質(さが)だ。 しかし、飯能駅から飯能アルプスを完全縦走して正丸駅まで(約25Km)を一日で歩き通すのは、(もちろん)軟弱な私達には無理で、その体力もやる気もない。 で、今回はその中央部(前坂〜板屋ノ頭〜子ノ権現)をトボトボと歩いてみよう、ということになった。

  早春の穏やかな日に、西武秩父線の吾野(あがの)駅前から歩き始めたのは午前9時頃だった。 左に回り込んでホームのトンネルをくぐり、線路の南側へ出ると目の前は広大な墓地で、その左端から「大高山・天覚山 登山口」と書かれた道標に従って、スギ・ヒノキの山道へ入る。 手前に「吾野湧水」なる水場があったけれど、墓地の下では…飲む気はしない。
  スギ・ヒノキ(植林地帯)の山道だから相当に薄暗い。 林床にはベニシダ、リョウメンシダ、オオバイノモトソウなどのシダ類が生い茂り、シロダモ、ヤブツバキ、ヒサカキ、アセビ、イヌツゲなどの照葉樹もじっと耐えていて、シラカシやモミの幼木が密かにこの森の覇権を狙っている。 …しかし、それら(スギ・ヒノキ以外)はやがて除伐される運命だ。 里から(動物によって?)その種が運ばれてきたものか、薄日のさす登山道沿いにはチャノキも目立っている。 この(半自生している)チャノキについては、近くの高山不動尊辺りの山腹でもたくさん観察しているが、この地の植生における個性のひとつだと思う。
  標高差で約270mの、案外と急な山道を登り切ると指導標の立つ前坂の分岐に到着。 左へ進むと大高山から天覚山方面で、直進は中藤から竹寺方面だが、私達は右折して子ノ権現(西の方向)を目指す。 私はセーターを、佐知子は上着を、もうとっくに脱いでいる。 それでも汗びっしょりだ。
  少し下ると林道へ出て、その舗装された道を300m近くも歩くと再び山道で、北側の石灰岩採石場(吾野鉱山)では砕石用の重々しい車両が行ったり来たりしている。 …機械音が、やっぱり耳障りだ。
  祠やお地蔵さまの脇を通り過ぎ、少し登り返すとこじんまりとしたピークに立つ。 山頂標識は無いけれど三等三角点522.03mの標石があるので、ここが板屋ノ頭に違いない。 周囲にはコナラやアラカシやアセビなどが生えているけれど、北東面が開けていて、関八州見晴台の辺りから顔振峠へ続く奥武蔵の低い山並みが、高麗川の流れる谷を隔てて展望できる。 手前を覗き込むと例の採石場で、武甲山北側斜面のそれと比べても遜色がないほどの(凄惨な)姿だ。
  稜線をさらに進むと前方(北西の方向)の子ノ権現と思しき山容の奥に伊豆ヶ岳(古御岳?)などの山頂部が、木々の隙間からぴょこんと見えている。 …小刻みにアップダウンを繰り返しながら高度を少しずつ上げていく。
  高反山532mのピークはその右側を巻き、岩っぽい急傾斜を登り切ると六ツ石ノ頭540mで、ここには(ほんとうに)六つくらいの石がゴロゴロしている。 この先も怪しい分岐がいくつかあったけれど、要所にはピンクテープや手製の道標があったりするので、思ったほどは迷わない。 スルギの分岐を過ぎたあたりで、小道にどっかと腰をおろして、手作りのおにぎりの昼食にする。 小鳥も鳴いておらず人の気配もなく、とても静かだ。
  木祠のある久々戸山538mのピークもその右手を巻いてスルギ尾根(スルギから子ノ権現へ至る、距離にして1.2Kmほどの尾根)を進み、展望のよい駐車場にひょいと着いたのは午後1時の少し前だった。 ここから東面(東京方面)を俯瞰したり、(ハイカーにとって有り難い)足腰守護の神仏を祀ってあるという子ノ権現(標高約640m)に参拝したり、巨大な鉄製の草鞋(ワラジ)や高下駄を拝観したりする。 私達夫婦にとっては19年ぶりの子ノ権現参拝だったけれど、佐知子も私も大ワラジ以外は何も覚えていない、ということが何とも情けない。
  それから車道を戻って下り、山道に入る。 静かな下山道だけれど、ここもやっぱりスギ・ヒノキの人工林だ。
  清らかな小川の流れる、なんともいい感じの小床(こゆか)集落を通過して、高麗川を渡って国道299号線に突き当たる。 ここを右(東)へ進むと1Km足らずの距離に日帰り入浴もできる「休暇村・奥武蔵」があるのだけれど、私達は後ろ髪を引かれながら左折して西吾野駅へ向かった。 道路脇の空き地などに咲いているフクジュソウやオオイヌノフグリやホトケノザに春を感じる。 都会に住む私達にとってはそれだけでも充分な休養(レクリエーション)なのだ。 …なんとか14時32分発の上り電車に間に合いそうだ。

  今回の(飯能アルプス中央部の)コースは所謂「安・近・短」で、駅から駅へのほどよい歩程なのがとてもよい。 しかも静かで、エスケープルートにも事欠かない(多様なルートを選択できる)というのも良いところだ。 小刻みなアップダウンが多く、怪しい分岐もあったりするので気は抜けないが、それが却って調味料(刺激)になって、なかなか面白いコースだとも思う。 …しかし、コースの殆どがスギ・ヒノキの植林地帯で(自然林が少なくて)展望箇所も少ない、ということが(私にとっては)スポイルされる点だ。 もっとも、ひたすら足元を見て走るトレランのコースとしては、全く問題は無いと思うが…。

  佐知子の歌日記より
 杉林は赤茶色して出番待つ こわごわ歩く花粉症の夫
 山肌は大きくえぐられ奥武蔵のいのちを積み込むダンプカー
 「ほら見て」と車内アナウスしようかな 夕焼けを背に黒い富士山
(帰路の車内にて)

仕切り線

前坂への登路にて
スギ・ヒノキの植林地帯を進む
関八州見晴台〜顔振峠方面・手前は採石場
板屋の頭付近から北東面を望む
鉄製のワラジ・2トンあるそうです
子ノ権現の大草鞋
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仕切り線

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