No.57 鋸山329m(のこぎりやま・内房総) 山全体がお寺の境内…? |
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INDEX @マイカー利用で楽々ハイク: H10年(1998年)1月 ※天国も地獄も国も宗教も無い世界(コラム) A船と電車と高速バスを利用して: H30年(2018年)11月 B山頂を極めてきた!: H31年(2019年)4月 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ 鋸山@ 平成10年(1998年)1月31日 先月開通したばかりの東京湾アクアラインを使っての日帰りドライブ&ハイキング。(・・・このアクアラインやレインボーブリッジも、そのうちゴジラに壊されてしまうのかなぁ・・・) 登りはズルをして頂上近くまで車を使った。約1時間強の登りを省略した訳だが、自動車で行けるところをわざわざ歩くということを理不尽に思ってしまうのは、矢張りこれも文明病の一種か…。 ハイキングというよりは観光といった感じ。薄いモヤのため関十州は望めなかったが、ぼんやりと富士山が見えたし、金谷港などの海の景色も良かった。 西暦725年に行基によって開かれたとされる鋸山日本寺(にほんじ)・正式には乾坤山(けんこんざん)日本寺。岩壁をそのままレリーフした巨大な百尺観音や、西暦1783年にその原型が造られたという日本最大の石大仏など、山全体がお寺の境内といった感じだ。 自然を破壊するほどの宗教の力を人間の善と見るか悪と見るか…。宗教なんだから、矢張りこれで善しと見るべきなのだろう。ただ…、人工的に切り取られた、垂直に聳え立つ荒々しい岩壁を、私達は痛々しいものとして見ていた。 あるいは、石切りで裸になった岩壁を可哀想に思って、心やさしい信心深い方々が、そこに巨大石仏を彫刻したのかもしれない…。いや、そうに違いない。鎮守の森など、結果的に信仰が自然を守っているケースも多いし…。 * この件について、後日、考えたことをコラム欄にまとめてみました。 → コラム欄へ * 鋸山の山名について: 垂直に切り立った岩壁が露出し、東西に連なるギザギザの山稜が大きな「のこぎり」の歯のように見えることからその名がついた、ということは容易に推測できます。東京湾を隔てた三浦半島側から、際立った山容(双耳峰)の富山やギザギザ頭の鋸山を同定するのは、私達の楽しみの一つになっています。 * 鋸山の地質について: 三浦半島に連続した地質構造をもち、山全体が堆積岩(砂質凝灰岩)でできているそうです。江戸時代から房州石(金谷石)の産地として知られ、建築用材などに利用されてきたことは周知の通りです。[環境省・千葉県の案内板を参照しました] * その後の鋸山情報(H18年5月現在): 一等三角点のある鋸山の山頂は、じつは、ロープウェイ山頂駅から東の方向約1Kmの位置にあります。東電の施設があるからでしょうか、この山頂部は長いこと立入り禁止になっていましたが、平成18年4月から山頂を通過する「新登山道」が開通したようです。「東京湾を望むみち」と名付けられたこの新登山道は、JR内房線浜金谷駅から鋸山を通りJR保田駅までの全長約8.4Kmのコースで、首都圏自然歩道(関東ふれあいの道)の1つでもあるとのことです。コンサート会場としても使われる石切り場跡や観音像が彫られた洞窟、石の回廊、絶壁階段などさまざまな見どころがあるそうです。市観光協会金谷支部はこのほかにも独自に初級から上級までの四つのコースも設定したとのことで、地元関係者などは「観光再興の起爆剤になれば」 と期待を込めているそうです。 EメールをいただいたKさんからの情報提供によりますと、鋸山山頂には立派な案内板も立てられているようです。 「山頂からは約5キロの林道を歩き、保田漁港前の魚組直営のレストラン(ばんや)で食事というのがお勧めです」 との添え書きもありました。 [後日追記]
このページのトップへ↑ 鋸山A 平成30年(2018年)11月24日 〜船と電車と高速バスを利用して〜
行きは久里浜港から東京湾フェリーを利用して、対岸の(千葉県の)金谷港から歩き始めました。JR内房線の浜金谷駅前近くを通り過ぎ、観光案内所で分かりやすい観光地図(鋸山エリアマップ)をもらって、階段状の道(関東ふれあいの道・東京湾を望むみち)を進みます。人影は案外まばらで、富士山や金谷の街並みや海がよく見下ろせる観月台で(中国語を話していた)二人の若い女性に追い越されただけの…スダジイ、カシ類、マテバシイ、ツバキ、トベラ、タイミンタチバナ(球形の果実が黒く熟していた)…、などの当地極相の照葉樹林を登る…静かで趣のある道でした。 もう一つの一般登山ルート(車力道)と合流する頃から家族連れなどの人影が多くなってきます。寄り道して、その車力道を少し進んで石切場跡を見学しましたが、これは予想以上に迫力があって一見の価値はあると思いました。あとで分かったのですが、この車力道をもう少し進む(下る)と分岐があって、そこを右折すれば(一等三角点のある)鋸山の山頂を極めることができたのですが、それがちょっと心残りでした。 関東ふれあいの道との分岐点に戻ってから左折して進み、関所みたいな“受付”で一人600円の拝観料を支払って入山します。すると、まず巨大な「百沢観音」のレリーフが出迎えてくれます。しかしその先の「地獄のぞき」にはロープウェイ組の長蛇の列ができていて、(多分)30分以上は待たされそうなので、ここはカットしました。そのかわり「十州一覧台」への階段を上って、ピークの小広場で景色を楽しみながら、ダージリンのティータイムとします。 そして千五百羅漢の石像などを観賞しながらだらだらと南へ下り、日本最大の石大仏も拝顔します。私達夫婦にとっては約20年ぶりの鋸山で、とても懐かしく感じましたが、矢張り記憶というのは当てにならないもので、見どころの「百沢観音」とか「地獄のぞき」とか「石大仏」などの位置関係が(20年間の)私達の頭(海馬体です、はぃ)の中でごちゃごちゃになっていました。今回それらがすっきりと整理できて、それもとてもよかったです。 それから現在改装(復興)中の鋸山日本寺の門前を通り、割と珍しいバクチノキや樹齢約800年という大蘇鉄(ソテツ)などを観察したり、庭園風のたたずまいを見せる心字池なども通過して、道標に従って遊歩道(里道)へ進みます。里へ出てからは、穏やかな田園風景を楽しみながら、ローカル色豊かなJR内房線の線路に沿って歩きます。振り返ると鋸山の稜線が近くに見えていますが、ここ(南側)から眺める鋸山は金谷方面(北側)からのそれと比べると、ノコギリの歯のような岩っぽい山容ではなくて、なだらかでまったりとした感じに見えるのが面白いと思いました。もう…、保田駅は近いです。 保田駅前を通り過ぎて、以前にも立ち寄ったことのある保田漁港前の魚組直営の大食堂「ばんや」へ立ち寄ってみましたが、(三連休の真ん中ということもあり)ものすごく混んでいて30分ほど待たされました。相変わらずの人気ですが、約10年前(→No.273伊予ヶ岳)と比べると、味も量も昔ほどではなくなったような…、そんな印象を受けました。隣接する高濃度の炭酸泉が売りの「ばんやの湯」は、今回はパスしました。 帰路は保田駅から内房線で木更津駅へ出て、海ほたる(東京湾アクアライン)を経由する高速バスを利用しましたが、交通渋滞がひどかったです。…まぁ、バスの車中では殆ど(満ち足りてぐっすりと)寝ていましたが…。 佐知子の歌日記より 釣り船をあまたかきわけすいすいと東京湾のフェリーは進む まっすぐに岩切られたり職人のわざと知恵あり鋸山に 両親に会えただろうか男の子 元気よすぎる一人歩きの
〜山頂を極めてきた!〜
もう20年近くいっしょに山歩きを楽しんでいる仲間たち(山歩会)との、とても楽しい鋸山ハイキングでした。平均年齢も70歳を超えて、故障者続出の山歩会。まぁ、トシには勝てませんね、やっぱり。という訳で、上りについては車力道組(健脚組)とロープウェイ組の2班体制で臨みました。 「地球が丸く見える展望台」を経て鋸山山頂にアタックした車力道組9名と、まったりとしたロープウェイ組3名が、昼前には百尺観音前で落ち合うことができました。それから千五百羅漢道を下って石大仏を見物して、日本寺から麓の遊歩道を歩いて、(今回は「ばんや」はパスして)保田漁港の手前に位置する磯料理「山田屋」で打ち上げました。浜定食@1,850円を食しながら地酒などを少々。静かで落ち着いたムードで、なかなかけっこうでした。 今回の特筆は、(私を含む徒歩組が)小さなアップダウンを6回ほど繰り返して…つまり鋸山のノコギリの歯を辿って…一等三角点のある鋸山の山頂を極めてきた、ということです。案外なことですが、私は初めてでした。狭い山頂からは北側の景色(約60度)がよく見えていました。 佐知子の歌日記より 菓子袋カサカサ開けるを聞きつけて五匹の猫がくるベンチ脇 平日の鋸山に人けなく順番待たずに「のぞき」に立てり |