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No.122 御岳山から大岳山
平成13年(2001年)3月18日 曇り

馬頭刈尾根から大岳山を望む(後日撮影)
御岳山から大岳山・略図
御岳平近くから御岳山の山上集落を望む
御岳山の山上集落

ひっそりとした奥の院
御嶽神社奥の院

明るい雑木林の尾根道を行く
大岳山へ向かう

南面の開けた大岳山山頂
大岳山の山頂

鋸山〜登計峠
鉄梯子

奥多摩 一泊二日の山旅(その2)
変化のあるミニ縦走

本仁田山登山…松乃温泉(泊)-《タクシー》-滝本-《ケーブル》-御岳山駅〜御岳山929m〜奥の院1077m〜鍋割山1084m〜芥場峠〜大岳山1266m〜鋸山1109m〜登計峠〜愛宕山507m(愛宕神社)〜JR青梅線奥多摩駅 【歩行時間: 5時間40分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ(大岳山)


*** 前項・本仁田山からの続きです ***

 昨夜からの雨は上がり、日も射し込んできて清々しい朝を迎えることができた、のだけれど、朝食が遅かったので宿(松乃温泉)をタクシーで出たのは9時過ぎになってしまった。滝本から急いでケーブルに乗り込み、御岳平の御岳山駅で下車。ここは既に標高830メートル。広場の先から東面(都心方面)が大きく開けていて、左手には高水三山、右手の近くには日の出山なども見えている。春霞のような薄モヤのため遠望は利かないけれど、まずまずのお天気だ。家族連れの観光客たちに紛れて、気分よく歩き出したのは午前9時30分頃だった。
 国の天然記念物にもなっているという樹齢1000年超、幹回り8.5mの大木、神代欅(じんだいけやき)などを見物したりして、独特な雰囲気のある御岳山(みたけさん)の山上集落を通過。日の出山への山道を左に見送り、大岳山(おおたけさん)方面への道標に従う。
 御岳山から大岳山へのルートは3つある。面白そうなロックガーデンコースや主流になっているなだらかな巻き道コース(中間道)を左に分け、今回は静かな道、御嶽神社奥の院から鍋割山を経由する尾根道コースへ進む。太い幹の杉並木やひっそりとした奥の院(甲籠山=男具那の峰)など、ムードたっぷりでとてもよかった。
 大岳山への登りにさしかかると、残雪の所々がアイスバーンになっていて非常に歩きずらい。耐え切れず軽アイゼンを装着した。大岳山荘(*)傍の鳥居からこじんまりした大岳神社を経て、露岩の目立つ急登を約15分、お昼の12時35分、小広い大岳山の山頂へ着いた。流石に奥多摩三山(*)の一座だけのことはあり、人影は多かった。
 南面の開けた大岳山の山頂で展望を楽しみながらコンビニのオニギリを食べていたとき、目の前の小枝に止まっている…シジュウカラよりも一回り小さく、喉の黒模様がちょこっとついた小鳥…コガラを見た。シジュウカラ科の仲間では最も標高の高い所に生息しているらしい。愛らしいその仕草に見入っていると、飛び降りてきて、隣りで休んでいた中年のご夫婦がこぼしたビスケットのかけらを素早くつまんで、何処かへ飛んでいってしまった。コガラもなかなかしたたかだ。と、なにやかやで、約1時間の大休止となってしまい、「時間」が少し気になってきた。
 左前方に御前山の大きな金字塔を眺めながら、気分の良い明るい尾根道(鋸尾根)を下る。雑木林の木々に樹木名を書いた木札がぶら下がっている。…アセビ、ツガ、モミ、ミズキ、ミズナラ、イヌブナ、タンナサワフタギ、リョウブ、アカマツ、ヤマザクラ、クリ…。野鳥の多さといい、ここは未だ自然の宝庫だ。
 中岩山、鋸山、天地山三角点(三等三角点・点名:澤入・標高1046.66m)など、いくつかのピークを越え、尚も下る。岩上に小社のある天聖神社のあたりからは岩稜らしくなってきて、要所にはクサリや鉄梯子も取りつけられている。北の眼下に奥多摩駅付近の街並みが見え始め、その右後方には昨日登った本仁田山が大きく聳えている。
 登計(とけ)峠からまっすぐに愛宕山(愛宕神社)〜五重塔(戦没者慰霊のための塔)を経て、奥多摩駅へ着いたのは午後5時10分だった。日が随分と長くなったようだ。少し心配したのだが、まだ充分に明るかった。
 予想以上にタフなコースだったけれど、変化のあるコースで、十分に山歩きを楽しむことができた。心地よい疲れが、私達夫婦に山の良さを告げていた…。

* 奥多摩三山とは、大岳山、御前山、三頭山のことで、少し気取ったときの呼称かも。
* 特に大岳山は、いかり肩の山容で遠目にも目立つので、奥多摩のランドマークとも云える存在だと思う。昔は江戸湾(東京湾)を航行する船の所謂“山立
(やまたて)”として、この山がその役目を担っていたというのも頷ける。
* 大岳山荘: この後(2008年3月から)閉鎖され、無人小屋になっている。[後日追記]

御岳山から日の出山 御岳山周辺の拙山行記録です。
松乃温泉「水香園」: 前項・本仁田山を参照してください。

山頂直下に建つ大岳神社:後日撮影
山頂直下の大嶽神社(左が本殿・右は拝殿)
檜原村白倉(大岳山の南麓)に里宮があります
愛宕神社本殿の北側にある戦没者の慰霊のための塔
愛宕山の五重塔


再び、御岳山から大岳山へ
御岳山駅〜御岳山〜ロックガーデン〜大岳山(往復)【歩行時間:4時間15分】

ロックガーデンの西端に位置します
綾広の滝(ロックガーデン)
@ 平成25年12月14日(快晴): 旧職場の山仲間たち(総勢8名)との忘年山行。今年は(JR青梅線の)御嶽駅と沢井駅の中間に位置する「ゆずの里・勝仙閣」を利用しての、1泊2日の、お天気にも恵まれた、奥多摩入門コースのまったり登山でした。まぁ…、いつもまったりですが…。
 その第1日目に登ったのが大岳山です。今回はケーブルカーを利用した御岳山駅からの往復登山で、往きに人気のロックガーデンコース、復路にはなだらかな中間道(巻き道)を歩きました。初めて歩いたこともありますが、沢筋のロックガーデン(岩石園)が私にとっては特に印象的でした。ナラやカエデやツツジなどの自然林や苔生したゴツゴツ岩や「綾広の滝」など、とてもよかったです。
 大岳山の山頂からは丹沢、道志、御坂、大菩薩の山々や富士山も見えるほどの好展望でしたが、相変わらず大勢のハイカーでごった返していたので早々に踵を返し、閉鎖されてお化け屋敷のようになってしまった大岳山荘脇の小広場で、甘露甘露の大休止(つまり宴会)をしました。JさんとSさんがコンロで料理してくれた鍋焼きうどんは最高!
 今回の御岳山駅からの往復登山は一番楽なコースで、特に日の短い冬では有力かもしれません。大岳山について、ずっときつい山だと思っていたのですが、「えっ、こんなに簡単だったの?」 といった感想をもちました。コース取りでその山のイメージが大分変わってしまう、ということを改めて実感したわけです。
 情緒と変化を求めるのでしたら、やはり鋸尾根や馬頭刈尾根なども利用した縦走コースだと思いますが…。
* この翌日は高水三山を歩きました。

* ロックガーデン(=御岳岩石園・奥御岳渓谷・ミニ奥入瀬): 現地に設置された東京都多摩環境事務所の案内板によると、昭和10年に(当時の東京府が)沢沿いの約1kmを遊歩道として整備したものだそうです。つまりこのロックガーデンは、光野桃さんの著書「森へ行く日」にも書いてあるように“ひとの手で設計された森の「庭」”ということになります。最近の(つまり歳を重ねてきた)私も、僭越ながら光野桃さんと同じ考えで、(善意の)ひとの手が加わった森(自然)は美しい…、と思うようになってきました。(^^ゞ

登山者で賑わう大岳山の山頂
大岳山の山頂にて
A 平成27年3月28日(薄晴れ): 山の仲間たち山歩会と、同コースを歩いてきました。春の花にはまだ少し早いと思っていたのですが、ロックガーデンの沢筋にはハナネコノメがたくさん咲いていました。やっぱり標高の差、でしょうか。高尾山の麓ではもう終わりかけているハナネコノメですが、こちらではちょうど見ごろです。暫しあちこちで立ち止まって、ルーペを取り出してじっくりと観察しました。初めて見たというメンバーが多くて、歓声が絶えなかったです。
 風もなくモヮっとした暖かい一日で、南面の開けた大岳山の山頂からは笹尾根越しに丹沢〜道志〜御坂の山並みがずらっと、影絵のように見えていました。…その少し右手には白銀の富士山の輪郭を辛うじて見ることもできました。春霞の中の白銀の富士山ですから、写真を撮っても(闇夜のカラスと同じで)まったく様になりませんが…。
 午前中には咲いていなかったタチツボスミレの花を、午後の(復路の)登山道脇に何輪か咲いているのを発見したときも歓声、でした。木々は芽吹きの準備をしているようで、見た目は冬枯れですが、この地にも春が確実に訪れているようです。

  佐知子の歌日記より
 奥多摩の眠れる山の沢に生う 花猫の目が春を知らせる

ロックガーデンにて
ここがロックガーデンの入口です
天狗岩で(も)一休み
ユキノシタ科の多年草:超小さな花です
満開のハナネコノメ
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